屋根修理の費用相場!屋根材別のメンテナンス時期も解説

屋根は常に紫外線や雨風の影響を受ける厳しい環境に晒されているため非常に傷みやすい場所ですが、普段はあまり目にしないのでメンテナンスを行うタイミングの見極めが難しいといえます。

しかし屋根に何らかの不具合が発生すれば、すぐにでも雨漏りに直結してしまうことにもなりかねません。

そのため、屋根には定期的な点検とメンテナンスが不可欠といえます。

そこで今回の記事では、屋根修理の費用相場やメンテナンスを行うタイミングについて紹介します。

屋根修理の方法別・費用相場

屋根修理の主な内容と費用相場は次のようになります。

修理内容 費用相場(30坪の2階建住宅の場合)
瓦のズレ直し、部分的な差し替え 3~5万円
漆喰の補修、詰め直し 5~50万円
棟板金の補修、交換 3~20万円
コーキング補修 3~10万円
屋根塗装 30~50万円
雨樋の修理、交換 5~30万円
屋根全体の交換(葺き替え) 100~200万円(屋根材によって変動)
屋根全体の重ね葺き(カバー工法) 80~150万円(屋根材によって変動)

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他に必要に応じて足場の設置費用がかかります。

次項から屋根修理の方法別に詳しくみていきましょう。

塗装による屋根修理

屋根の劣化がそれほど著しくなく、色あせや変退色、コケ・藻の発生及び部分的にひび割れが生じている程度であれば、塗装することにより美観や機能を回復させることができます。

塗装による修理を行う場合は、まず高圧洗浄で汚れやコケなどを落とした後にコーキングでひび割れ補修を行い、下塗り・中塗り・上塗りの順番で塗装を行います。

化粧スレートや金属屋根はもちろんですが、瓦の場合でもセメント瓦など材質によっては塗装することが可能です。

ただし塗装による修理を行う場合には、屋根の傷みが激しくなる前に行う必要があるため、原則として10年前後に1度行うようにします。

葺き替えによる屋根修理

葺き替えとは古い屋根材を全て撤去して、新しい屋根材に葺き替えることをいいます。

屋根材の下のアスファルトルーフィングの交換や、屋根材の下地となる野地板を交換することもできるので、老朽化が激しい屋根の場合や雨漏りが発生していた屋根の場合には葺き替えでの修理が適しているといわれています。

費用は下地の補修範囲や新しい屋根材の種類によって大きく変わりますが、一般的には化粧スレートやガルバリウム鋼板の屋根材を使用することがほとんどです。

尚、既存の屋根が化粧スレートや金属屋根材などの軽い屋根材の場合には、重量のある日本瓦などにすることは耐震構造上避けた方がよいでしょう。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

重ね葺き(カバー工法)による屋根修理

既存の屋根材が化粧スレートや金属屋根などの平らな屋根材の場合には、既存の屋根材の上にアスファルトルーフィングを被せ、新しい屋根材を重ねて施工する工法があります。

これを重ね葺き(カバー工法)といいます。

既存の屋根材を撤去しないためその分のコストを抑えることができ、工期も短縮することができるのがメリットです。

しかし屋根の重量が増えてしまうため、家の構造によっては施工できないケースもあるので注意が必要です。

重ね葺き(カバー工法)による改修が可能であるかどうかは、単なる屋根工事業者ではなく建物の構造がわかる専門業者(専門家等)に判断してもらうことが大切です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

部分補修による屋根修理

全体的な屋根の傷みや劣化があまり酷くない場合や、屋根の部分的な補修、パーツの交換のみで済んでしまう場合には部分補修による修理が可能です。

主な修理内容と単価は以下の表のようになります。

修理内容 単価
瓦の差し替え 3,000~4,000円/枚
※5枚以上の場合
化粧スレート屋根材の差し替え 2,000~3,000円/枚
※5枚以上の場合
漆喰補修 2,000~3,000円/m
棟取り直し 3,000~5,000円/m
棟板金交換 5,000~7,000円/m
雨樋交換 3,000~5,000円/m
雨漏り修理 30,000円~

屋根の部分的な補修であっても、足場が必要になる場合には別途で足場代が発生します。(建物全体に足場が必要な場合は15~20万円程度)

さらに屋根が急勾配になる場合には、屋根足場が必要になることがあります。

また雨漏り修理は原因がわかっていて簡単に修理できるものであれば3万円程度で済みますが、どこから雨漏りしているのかがわからない場合は、散水調査などを行って原因を究明した上での修理が必要になります。

原因箇所によっては調査や修理が大がかりになってしまい、費用が高額になってしまうことがあります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

屋根材別・修理のタイミングの目安

屋根材にはそれぞれ「耐用年数」があります。

耐用年数とは材質本来の効果を保っていられる年数のことをいい、周辺環境の違いによっても変化します。

耐用年数を最大限に伸ばすためには定期的な修理、メンテナンスが欠かせません。台風などによる突発的な修理ではなく、主な屋根材ごとの基本的なメンテナンスのタイミングは次のようになります。

屋根材の種類 耐用年数 メンテナンス周期
化粧スレート 20~25年 8~10年
ガルバリウム鋼板 30~35年 20~30年
粘土瓦 50年以上 15~30年
トタン(亜鉛めっき鋼板) 15~20年 5~10年

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化粧スレート屋根:10年経過後、塗装によるメンテナンスを

化粧スレートはカラーベスト、コロニアルなどとも呼ばれていて近年の新築住宅で多く使われています。

ただしスレート自体は本来吸水性の高い素材なので、表面の塗膜により防水性が保たれているため、定期的に塗装によるメンテナンスを行う必要があります。

メンテナンスを怠るとひび割れや反りが生じて、葺き替えが必要になってしまうことがあります。

一般的には10年がメンテナンスの目安とされていて、費用の目安は次のようになります。

経過年数 メンテナンス項目 修理費用の目安
10年目 屋根塗装 約50~70万円
20年目 屋根塗装 約50~70万円
30年目 全体の修繕(カバー工法又は葺き替え) 約80~200万円

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詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

金属屋根(ガルバリウム鋼板):20年~30年はメンテナンスの必要なし

ガルバリウム鋼板はサビにくくて耐久性が高いのが特徴で、近年の住宅に数多く使用されるようになってきました。

しかし経年劣化は避けることができず、定期的なメンテナンスを欠かすことはできません。

また、適切なメンテナンスを行うことで耐用年数を延ばすことができるようになります。

ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンス時期と費用の目安は次のようになります。

経過年数 メンテナンス項目 修理費用の目安
10年目 シーリング打ち替え 約900~1,500円/m
15~20年目 シーリング打ち替え
屋根塗装
約900~1,500円/m
約50~70万円
25~30年目 シーリング打ち替え
全体の修繕(カバー工法又は葺き替え)
約900~1,500円/m
約80~200万円

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ガルバリウム鋼板は耐用年数が30~35年と比較的長い素材ですが、海沿いの地域などの場合には潮の影響を受けるため早めの修繕が必要になります。

耐用年数を伸ばすためにも、15~20年に1度は塗装をしておくと良いでしょう。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

瓦屋根:瓦のズレや苔などに注意

瓦屋根(釉薬瓦、いぶし瓦、素焼き瓦など)は耐用年数が非常に長く、瓦自体には定期的なメンテナンスは基本的に必要ありません。

ただし屋根漆喰の劣化や瓦のズレ、コケなどが発生する可能性があるので、10年ごとに点検を行っておくと安心です。

瓦屋根のメンテナンス時期と費用の目安は次のようになります。

経過年数 メンテナンス項目 修理費用の目安
10年目 点検 建築した会社に依頼する場合は無料
20年目 漆喰の詰め直し 約2,000~3,000円/m
30年目 屋根の葺き替え 約150~250万円

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※既存が瓦屋根の場合には、カバー工法(重ね葺き)を採用することはできません。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

トタン屋根:5~10年おきにメンテナンスが必要

ガルバリウム鋼板に交換する方法もトタン屋根は昔から多く見られるものですが、他の屋根材と比べて耐用年数が低くてサビやすいため、5~10年ごとに塗装などによるメンテナンスが必要になります。

また屋根のメンテナンスを機に、ガルバリウム鋼板に葺き替える方も多いようです。

トタン屋根のメンテナンスの時期と費用の目安は次のようになります。

経過年数 メンテナンス項目 修理費用の目安
5~10年目 屋根塗装 約50~70万円
15~20年目 屋根塗装 約50~70万円
25~30年目 全体の修繕(カバー工法又は葺き替え) 約80~200万円

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詳しくはこちらの記事をご覧ください。

屋根修理やメンテナンスを行った方が良い理由

屋根は建物の中でも日々紫外線や雨風にさらされるなど最も過酷な環境下にあるため、他の部位よりも劣化しやすいという特徴があります。

また直接雨水を受けているため、屋根に何らかの不具合が発生すると建物内に雨水が侵入してしまうだけではなく、住宅の皇族躯体の腐食やカビ・シロアリ発生の原因にもなります。

そして最終的には建物の寿命が短くなってしまうことにもなりかねません。

したがって屋根は早めに修理すれば安く修理できる場合でも、修理を先延ばしにしてしまうと高額な修理費用が必要になることも少なくありません

二次被害を避けるためにも、屋根修理やメンテナンスは早めに行うことが大切です。

火災保険を利用して修理やリフォームを行うことができる

台風や集中豪雨などの自然災害が原因で屋根の修理が必要になった場合には、火災保険の保険金を利用して屋根の修理を行うことができる場合があります

ただし修理が必要になった原因が経年劣化によるものと判断された場合には、保険が適用されません。そのため事前に保険会社に申請を行って、保険会社の鑑定人による調査を受ける必要があります。

時々火災保険を悪用して、「火災保険を使えば無料で屋根工事ができる」などと工事を勧誘している業者もいるので、保険が適用できるかどうかを事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

屋根修理の業者の選び方

屋根修理の業者の中には前述したような火災保険の保険金を悪用する業者などもいるので、業者の選定には注意が必要です。

また業者によって修理費用が異なることが多いので、複数の業者から相見積もりを取り、工事の内容を比較検討することが大切です。

屋根修理にはある程度の費用相場があるので、1社だけ他の業者と比べて見積もり金額が極端に高い(または安い)という場合には注意が必要です。

ほかに業者を選ぶ判断材料の一つとなるのが、施工実績や口コミの評判などです。

契約する前にその会社の施工事例などを業者のホームページで確認したり、実際にその業者が施工した現場に案内してもらったりすると良いでしょう。

そして外壁塗装のメンテナンス時期と屋根修理の時期が被っている場合には同時に修理を行うことで足場代などを節約することができるので、こうしたアドバイスなどをしてくれる業者であれば安心です。

まとめ

屋根修理の費用は、どのような修理を行うのかによっても大きく変わります。

またどのような修理を行う必要があるのかは、建物の築年数前回の修理からの経過年数使用している屋根材の種類などによって異なります。

本記事では屋根材の種類別の修理時期の目安やメンテナンス項目、修理費用の目安を紹介しましたので、参考にしていただければ幸いです。

また屋根修理には業者の選定も重要になりますので、注意していただきたいと思います。決して見積もり金額の安さだけで安易に業者を選ぶことがないようにしてください。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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