瓦屋根の補修方法!工事の種類、タイミング、費用相場
現在瓦屋根の住宅にお住まいの方の中には、「いつ瓦屋根の修理をしたら良いのか」「修理方法はどのような方法があるのか」「自分でも瓦屋根の修理はできるのか」と考えていらっしゃる方も多いでしょう。
瓦屋根は他の屋根材に比べて耐久性の高い屋根です。しかし、経年劣化や風や飛来物によって補修が必要になることもありもあります。
そこで今回は、瓦屋根の修理方法や費用相場、修理が必要となる目安の時期について解説します。
目次
瓦屋根の修理はお早めに!
瓦屋根の異変に気づいた際には、早めの対応が重要になります。
何らかの理由で瓦屋根が壊れてしまった場合には、いくつかの危険性が考えられます。
1つ目は、壊れた瓦が落下してしまう危険性です。
瓦屋根はそれぞれの瓦が重なり合って固定されています。
そのため、部分的にでも瓦屋根の重なりが壊れてしまうと安定感が低くなります。瓦の浮きやズレには注意が必要です。
2つ目は、割れた瓦の破片が他の瓦を傷つけてしまう事です。
割れた瓦の断面は鋭利で周りにある正常な瓦にも傷をつけてしまう可能性があります。
3つ目は、壊れてしまった瓦の部分から雨漏りにつながる危険性です。
瓦屋根は1枚1枚の瓦が重なり合うことで屋根全体の防水機能を担っています。一部でも瓦が壊れてしまうと屋根の防水機能が損なわれます。
瓦屋根の修理方法は4種類
瓦屋根の修理方法は、「葺き替え」「葺き直し」「カバー工法」「部分修理」の4種類ですが、壊れてしまった瓦屋根の状態や築年数、使用されている瓦の種類などから最適な修理方法を選択することが大事です。
ここでは、瓦屋根の4つの修理方法について解説します。
葺き替え
瓦屋根の葺き替えは、既存の瓦屋根全体を新しい屋根材に交換する修理方法です。
屋根全体に瓦のひび割れやズレが見られる場合には、吹き替えを検討する必要があります。
既存の屋根を全て撤去するため、表面的には発見出来ていなかった雨漏りの修理を同時に行うこともできます。
ただし、既存の屋根の解体から下地の補修、新しい瓦を葺く作業が必要になるため、4つの修理方法の中では最も費用がかかってしまう方法です。
葺き替えにかかる費用相場は、180〜250万円前後で、新しい瓦の種類によって費用に差が出ます。
さらに各工程に時間がかかるため、工期は10日から2週間程度と長くなることが一般的です。
瓦屋根の葺き替えは、築年数の長い建物や古くから使われている和瓦などで施工された屋根の修理方法として最適です。
葺き替え | |
メリット | 下地の不具合にも対応可能 |
デメリット | 費用が高額、工期が長い |
費用相場 | 180~250万円 |
工期 | 10日~2週間 |
屋根の葺き替えについては、こちらの記事に詳しい解説がありますので、ぜひ参考にしてください。
葺き直し
瓦屋根の葺き直しは、新しい屋根瓦を使用せず既存の屋根瓦を再利用する修理方法です。
屋根に施工されたルーフィングや野地板などの下地部分だけを補修するので、葺き替えに比べて費用を抑えられるメリットがあります。
しかし既存の屋根瓦の重量が重たい場合には、葺き直しではなく葺き替えをした方が建物の耐震性などにも効果的です。
また既存の屋根瓦の撤去の際に、破損してしまうこともあります。
葺き直しにかかる費用相場は100〜190万円前後です。既存の屋根瓦を再利用することで、費用を抑えることができますが、修理方法の中では高額になります。
また、既存の屋根瓦を再利用できる形で撤去を行う必要があるので、工期は2〜3週間程度になることもあります。
葺き直しは屋根瓦が比較的に傷んでいない場合の修理方法として最適ですが、既存の屋根瓦を再利用するため工事後も外観に変化はありません。
瓦屋根の修理と同時に外観もリフレッシュしたい方には向いていないかもしれません。
葺き直し | |
メリット | 費用を抑えられる |
デメリット | 費用が比較的高額、工期が長い |
費用相場 | 100~190万円 |
工期 | 2週間~3週間 |
カバー工法
カバー工法は、既存の屋根瓦の上から新しい屋根を取り付ける修理方法です。
既存の屋根瓦を撤去しないので、解体や処分費などを抑えることができます。
さらに建物に2重の屋根が完成することで、雨音の軽減や断熱性能の向上が期待できるメリットがあります。
一方で、屋根が2重になることで重量が増えてしまうデメリットがあります。屋根の重量が重たい建物は耐震性の点で不安が残ります。
そのため、カバー工法で採用される新しい屋根材はガルバリウム鋼板などの軽量の金属系屋根材がほとんどです。瓦屋根からガルバリウム鋼板の屋根に変更する場合は、外観が大きく変わります。
カバー工法にかかる費用相場は、80〜120万円前後です。
既存の屋根瓦の解体や撤去がないため、工期は5〜10日程度です。
カバー工法は、費用を掛けずに屋根の修理をしたい方には最適な修理方法ですが、ガルバリウム鋼板の屋根が気に入らない方には向いていません。
また既存の屋根の下地に発生している不具合を見落としてしまうこともあるので注意が必要です。
カバー工法 | |
メリット | 費用を抑えられる、雨音の軽減、断熱性能の向上 |
デメリット | 屋根が重たくなる、外観の変化 |
費用相場 | 80~120万円 |
工期 | 5~10日 |
カバー工法についてはこちらに詳しい解説がありますので、ぜひ参考にしてください。
部分修理
部分修理は、屋根の一部に破損や浮き、ズレが見られる場合に行う修理方法です。
風や飛来物によって出来てしまった傷などを、部分的に修理することで費用を抑えることができます。
屋根瓦の浮きやズレ、差し替えなどにかかる費用は2~3万円前後です。工期も1~2日程度で比較的に短い期間で修理が可能です。
また瓦屋根には、棟瓦や面戸に漆喰が施工してあることが一般的で、経年劣化によて漆喰が剥がれてしまうこともよくあります。
そのため、漆喰のみをやり直す部分修理も行われます。漆喰のやり直しにかかる費用は、4,000~5,000円/m前後です。工期は屋根の形状によって差はありますが5~10日程度です。
部分修理は、突発的な屋根瓦の異常や経年劣化による漆喰の修理方法として最適です。
しかし、部分的にでも屋根に異常が見られる兆候は、屋根全体の経年劣化を知らせるサインでもあります。
部分的な修理を気に異常が続いてしまうこともあるので注意が必要です。
部分修理 | |
メリット | 費用を抑えられる、工期が短い |
デメリット | 全体の劣化を見落としてしまう |
費用相場 | 80~120万円 |
工期 | 5~10日 |
瓦屋根を補修する時期とタイミング
瓦屋根を補修する時期やタイミングは、新築から20~30年経過したら葺き直しを行った方が良いとされています。
また、新築から50~60年経過したら葺き替えを行った方が良いでしょう。
建物の中でも屋根は、異常が見つかる前に修理をすることが大切です。
雨漏りが見つかる段階では、すでに屋根瓦の劣化の他にも下地の腐食や建物の躯体への影響も発生している可能性があります。
雨漏りや屋根瓦の破損が見られる場合には、なるべく早く部分修理による補修を行う必要があります。
屋根補修を行う時期やタイミングについてはこちらに詳しく解説がありますので、ぜひ参考にしてください。
瓦屋根補修にかかる費用
瓦屋根の修理にかかる費用には、さまざまな費用が含まれています。ここでは、工事方法を問わず、瓦屋根を修理する際にかかる費用の内訳を解説します。
30坪住宅のかわら瓦屋根補修にかかる費用相場費用相場
項目 | 費用 |
足場代 | 20万円前後 |
瓦代 | 50~150万円 |
防水シート代 | 20~30万円 |
雨漏りチェック代 | 10~30万円 |
足場代
瓦屋根の補修などの高所で作業を行うには、必ず足場が必要になります。足場をしっかりと設置することで、職人の安全と工事の正確さが変わってしまいます。
30坪の住宅に足場を設置する場合には、20万円前後の費用が必要です。
瓦代
瓦屋根の補修で新しく瓦を使用する場合には、瓦代が必要になります。
新しく使用する瓦の種類によって変わりますが、一般的な瓦を使用した場合には1平米あたり5,000~15,000円前後が費用の相場となり、
30坪の住宅の場合には50万~150万円程度が必要です。
和瓦などの高級な瓦を選ぶ場合や住宅の条件によっては、200万円前後の費用がかかることもあるので注意が必要です。
防水シート代
屋根に使用される防水シートは、一般的にルーフィングと呼ばれます。葺き替えや葺き直し、カバー工法を行う際に必要な費用です。
30坪の住宅にかかる防水シート代は、20~30万円程度です。
雨漏りチェック代
屋根の補修をする際には、散水検査などによる雨漏りチェックを同時に行うことが理想的です。
散水検査とは、雨漏りが疑われる場所に実際にシャワーやバケツを使い水をかけて雨漏りの箇所を調べる方法です。
葺き替えの場合には施工費の中に雨漏りチェック代が含まれていることが一般的ですが、部分修理などの場合には別途必要になることがあります。散水検査にかかる費用は10万~30万円前後です。
雨漏りの原因や修理方法、費用について詳しくはこちらで解説していますので、ぜひ参考にしてください。
DIYによる補修が可能な部分と注意ポイント
瓦屋根の修理をDIYで補修することが可能なケースを解説します。
割れた瓦の一時的な補修はDIYでも可能
瓦屋根などの高所で行う補修は、基本的に業者に依頼することが理想的です。
ただし、一時的な補修であればDIYでも可能です。DIYでも可能な補修の範囲は主に2つのケースです。
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DIYによる補修を行った場合も、部分的に見えた劣化が実は中まで傷んでいる可能性があります。
一時的な補修をDIYで行った場合にも最終的には業者に修理を依頼することが大事です。
また雨漏り修理や棟瓦の破損、瓦の交換などの修理はDIYで行うことが難しいので、最初から業者に依頼しましょう。
DIYで補修を行うときの注意ポイント
DIYで行う屋根補修では、注意するポイントがあります。
足場を作る
屋根などの高所で作業を行う場合には、必ず足場を作りましょう。
脚立やはしごを使って屋根に登ることはとても危険です。足場をしっかりと作ることで安心して補修を行うことができます。
工具の取り扱いには気を付ける
不慣れな屋根の上での作業では、工具などを落下させてしまうこともあります。高所からの工具の落下は、周囲の方にとっても危険です。
さらに落下した工具によって屋根や建物が傷ついてしまうこともあります。
瓦を外したらきれいに掃除をする
瓦を外し場所の掃除をすることで、普段は見ることができないルーフィングや下地の劣化を発見にも繋がります。
また、瓦の下に溜まったほこりや砂によって劣化が早まってしまう原因にもなるのでしっかりと掃除することが大切です。
瓦がずれないようにする
瓦を戻す際には、ずれないように設置することが大事です。瓦のずれは瓦自体の落下に繋がる危険性もあります。
さらに、知らずに乗ってしまった場合には、自身の落下の可能性もあります。
瓦屋根の補修業者の見つけ方
瓦屋根の補修は、既存の屋根の劣化状況に合わせた最適な修理方法を選択することが大事です。瓦屋根の補修業者を見つける重要なポイントを紹介します。
複数の業者から相見積もりを取る
屋根補修の費用は、修理方法や使用する瓦の種類によって大きく変動します。
さらに、同じ修理方法であっても、依頼する業者によって大きく変わることもよくあります。
既存の屋根の状態に合わせた最適な費用を知るためにも、複数の業者から相見積もりを取ることが重要です。
自社施工の会社を選ぶ
屋根補修を行っている業者の中には、自社で屋根工事の職人を抱えている業者がいます。
外注や下請けに工事を依頼することがないため、中間マージンの削減や補修内容の伝達ミスなどを避けることができます。
まとめ
瓦屋根の異常を発見した場合には、早めの修理が必要です。
既存の屋根の劣化状況に合わせた最適な修理方法を選択することが重要で、修理方法に合った費用を把握しておく必要があります。
また、DIYによる補修が可能なケースもありますが、基本的には屋根などの高所での作業は落下などの危険をともなうので、業者に依頼することをおすすめします。
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