トタン屋根の補修方法!工事の種類、費用相場、タイミング

トタン屋根は古くから日本の住宅に使用されてきた屋根材です。

近年ではトタン屋根の代わりにガルバニウム銅板を屋根材として使用される住宅も増えてきましたが、いまだにトタン屋根が使用されている住宅も数多く存在します。

そこで今回は、トタン屋根に関する基礎知識トタン屋根の補修方法トタン屋根を補修するタイミングについて紹介します。

トタン屋根とは?

トタン屋根は、トタン板を用いて作られた屋根のことを指していますが、このトタン板は「亜鉛めっき鋼板」と呼ばれる板材を使用して作られています。

亜鉛めっき鋼板は鉄板の表面に亜鉛の膜をつけているもので、現在は昔ほど主流ではなくなったものの、屋根材や外壁材などさまざまな場面で多く使用されています。

トタン屋根は継ぎ目が少なく雨漏りしづらい材質として、戸建て住宅だけでなくアパートなどでも多く使用されていることが特徴です。

トタン屋根の種類

住宅の屋根がトタン屋根なのかどうか、実際にはよくわかっていない方も多いのではないでしょうか。

トタン屋根には「波板トタン屋根」「瓦棒葺きトタン屋根」「折板トタン屋根」などの種類があり、それぞれ外見の特徴や特性などもさまざまです。

下記ではそれぞれの屋根の特徴について詳しく解説します。

波板トタン屋根

波板トタン屋根は、その名の通り波型に加工されているトタン屋根を指しています。

なぜ波型に加工されているのかというと、トタン屋根の強度をあげるためです。

並の高さは大波と小波の2種類があり、大波は波の大きさが76.2mm、小波は波の大きさが31.8mmほどとおおよそ半分の大きさに加工されています。

瓦棒葺きトタン屋根

瓦棒葺きトタン屋根は、雨漏りに強いという特徴があります。

屋根の外観は縦に均等間隔で線が入っていることが特徴で、この線の中には一本一本木製の桟が入っており、その上にトタン板が設置されています。

瓦棒葺きトタン屋根は、他の屋根よりも緩い勾配の屋根を作ることができることが最大の特徴です。

折板トタン屋根

折板トタン屋根は、一般的な住宅よりも工場・倉庫などで使用される機会の多い屋根です。

素材は金属からできているため水に強く、強勾配のない平な屋根にも使用することができます。

また、波板トタン屋根と同じように鋼板の強度不足を補う目的で屋根の表面を台形に加工していることも大きな特徴です。

トタン屋根と間違えやすい、ガルバリウム鋼板製の立平葺き屋根

立平葺き屋根はトタン屋根と間違えやすく見極めも困難ですが、ガルバリウム銅板から作られています。

プロの職人でも見分けることは難しく、トタンとガルバリウムを見分ける際は屋根が設置された年数を目安とすることが多いようです。

ガルバリウム鋼板は日本では1982に発売されたので、それ以前に作られた屋根についているものは全てトタン屋根であるといえるでしょう。

トタン屋根のメリット・デメリット

トタン屋根は施工しやすい・安価である・耐用年数が長いなどさまざまなメリットがあります。

一方でサビに弱く、雨が降る日は雨音が響きやすいというデメリットもあることを忘れてはいけません。

下記ではトタン屋根のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

トタン屋根は施工しやすく、安くて軽い

トタン屋根の最大のメリットは、安くて軽いという部分にあります。トタン屋根が多く流通していた時代では他の屋根材と比較すると耐用年数も長く、20年保証を行っていた業者も存在していました。

トタン屋根は軽量のため建物にかかる負担を抑えることができ、それが長持ちの理由の一つとされています。

また、トタン屋根は継ぎ目が少なく防水性にも優れており、施工しやすいという点も大きなメリットです。

サビに弱く、雨音がうるさいというデメリットも

トタン屋根のデメリットは、メンテナンスを頻繁に行わなくてはならず、放置し続けるとすぐに錆びてしまうという点にあります。

また、雨が降ると音がうるさく寝れないほど大きな音になってしまう場合もあります。

断熱性にも優れていないため、真夏の厳しい暑さではエアコンの効きが悪くなってしまうこともあるでしょう。

傷・凹みなども発生してしまいやすく、凹みに溜まった水分が原因で錆が発生してしまうことも多くあります。

トタン屋根の補修方法は4種類

トタン屋根の補修方法には「塗装」「葺き替え」「カバー工法」「部分修理」の4種類があります。

下記では、具体的な補修方法の内容や費用相場を解説します。

塗装

屋根に起きている劣化症状が色褪せ・サビ・チョーキングの場合は、塗装による補修工事がおすすめです。

その場合は屋根自体の損傷が少なく、さびの発生具合も軽度であるという条件が必要です。

錆・色褪せ・チョーキング部分の塗装では、一般的な30坪程度の住宅の場合であれば 1㎡あたり約4,000円~4,800円/㎡、合計で約40万~48万円ほどの費用がかかります。

もしも屋根の表面に穴が空いている場合は、塗装による補修を行うことができないため注意が必要です。

屋根が錆びないよう、塗装による定期的なメンテナンスを行うことでより傷みにくくすることができるのも特徴です。

葺き替え

葺き替えとは、現存のトタン屋根を撤去して新たに屋根を設置する方法です。

近年では、トタン屋根を使用している方でも葺き替えのタイミングでガルバリウム屋根に変更する方も多くなっています。

葺き替えにかかる費用は1㎡あたり約11,000円~14,000円/㎡、30坪の住宅で約110万~140万円とされています。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

 

重ね張り( カバー工法)

重ね張り(カバー工法)とは、既存のトタン屋根を撤去せずに新たに新しい下地を作って上から被せる方法です。

錆が広範囲にわたっている場合・穴が空いてしまっている場合でも、カバー工法による補修工事を行うことができます。

カバー工法にかかる補修費用は1㎡あたり約9,400円~12,000円/㎡で、30坪の住宅にかかる補修費用の目安は約94万~120万円が相場です。

カバー工法についてさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてください。

 

部分修理(部分張り替え)

部分修理は、屋根の傷んでいる部分が少なかったり、剥がれている面積が少ない場合に部分的に修復する補修方法です。

施工費用は一箇所あたり約3万円ですが、作業を行う場所が高所の場合は施工料金の中に足場代金(15万円ほど)がかかる場合があります。

トタン屋根補修の費用相場

トタン屋根の補修にかかる費用の相場は下記の通りです。

工事方法 単価 合計費用
塗装 約4,000円〜4,800円/㎡ 約40〜48万円
葺き替え(トタン) 約9,000円〜12,000円/㎡ 約90〜120万円
葺き替え(ガルバリウム鋼板) 約11,000円〜14,000円/㎡ 約110〜140万円
カバー工法(トタン) 約7,000円/㎡ 約70万円
カバー工法(ガルバリウム鋼板) 約9,000円/㎡ 約90万円
部分張り替え 約4,000円/㎡ 約40万円

※横にスクロールしてください。

現存の土台が劣化しておらず耐久性が劣っていない状態であれば、カバー工法を適用することで葺き替えよりも安く施工をすることができます。

カバー工法は工期も短く、断熱性・防音効果なども備わっているため、施工にかかる費用を気にしている方は、屋根の状態が良ければカバー工法で済ませるのも有効です。

トタン屋根とガルバリウム屋根を比較するとトタン屋根の方が安く思われがちなのですが、トタン屋根は定期的なメンテナンスが必要となるため、長期的なコストパフォーマンスを見るとガルバリウム屋根の方がおすすめです。

また、もっとも安く済ませることができる部分張り替えですが、やはり一時的な補修方法となってしまうため、根本からしっかりと修復をしたい場合には不向きの方法となってしまいます。

お住まいの屋根の状態やお客様のニーズによって最適な補修方法が異なるため、どの方法で修復を行うかどうかは専門業者としっかり話し合いを重ねましょう。

トタン屋根を補修するタイミング

トタン屋根を補修するタイミングは、今現在使用している屋根がどれくらいの年数経過しているかを参考にしてください。

下記では、棟板金の交換・葺き替え・カバー工法それぞれのタイミングを紹介します。

築10年〜15年を経過したら棟板金の交換をした方が良い

10年〜15年経過している屋根の場合は、棟板金の交換による補修工事をおすすめです。

トタン屋根の場合は、およそ15年ほどで屋根を固定している釘が緩んだり、劣化してしまう可能性があります。

その場合、台風などで強風が吹いた際に屋根が外れてしまったり破損してしまう原因となりますので、ちょうど10年〜15の時期に棟板金を行うのがベストタイミングとされています。

築25年〜30年を経過したら葺き替えかカバー工法による補修が良い

築25年〜35年ほど経過している場合は、屋根の内側に引かれている防水シートが寿命を迎えてしまいます。

防水シートの寿命=トタン屋根の寿命と考えられますので、その場合は棟板金の交換ではなく葺き替えやカバー工法による補修を検討しましょう。

ただし、カバー工法による補修工事は葺き替えに比べるとさまざまなデメリットもあります。

葺き替えよりも低予算で工事をすることができる反面、耐震性が劣る・劣化部分の修復をできるわけではないという特徴をしっかりと理解した上で補修工事を行うようにしてください。

DIYによる修理は地上から手が届く範囲まで可能

台風などの災害で屋根が壊れてしまった、そんな時に真っ先に「DIYで修理は可能なのか?」と疑問に思う方は少なくないかと思います。

DIYでの修理を試みる場合は、地上から手が届く範囲内までが原則とされています。

その理由は、高所での屋根修理作業は危険が伴い、最悪の場合は落下による事故死などの危険性があるためです。

近年、屋根修理のDIY方法などをインターネット上などで述べているリフォーム業者も存在しますが、ベテランの職人であっても常に危険と隣り合わせの工事であることには違いありません。

もしも屋根に傷みが生じた場合や修復が必要となった場合、DIYによる修復が少しでも危険であると感じた場合は必ず専門業者に依頼を行いましょう。

トタン屋根の修理に火災保険が使えるケースとは?

自然災害の影響により屋根に傷みが生じてしまった場合は、自己負担金なしで火災保険を使い屋根の修理を依頼することができます。

具体的には、「台風の影響によって屋根が破損してしまった」「強風による飛来物により屋根が傷んでしまった」のような場合は自然災害による傷みとされ、修理に必要な保険金が負担される可能性が高いです。

ただし、加入している火災保険によって適用条件は異なりますので、お住まいの住宅の修理を検討している場合は保険会社に確認をしてみてください。

詳しい内容についてはこちらの記事を参考にしてください。

まとめ

トタン屋根の種類や補修にかかる費用相場、タイミングなどをご紹介しました。

もしもお住まいの屋根に劣化症状が見られる場合は、まずは屋根の種類を確認し、トタン屋根であった場合は上記の補修方法を参考にしてみてください。

また、補修のタイミングや屋根の状態によって、最適な補修方法、費用は大きく異なります。

屋根は住宅の中でも非常に重要な役割を果たしている部分ですので、定期的なメンテナンス・最良の工事を行い、快適に住み続けることができるようにしましょう。

もしもわからないことや屋根修理に関してご不安な点がございましたら、専門の屋根修理業者にお問い合わせください。

この記事のライター:外壁エージェント編集部
こんにちは、外壁塗装エージェント編集部です。「安心の外壁塗装」をコンセプトに、外壁塗装をトータルでサポートする外壁塗装エージェント。コラムでは、何を基準に業者を選べばよいかわからない、外壁塗装の注意するべきポイントが知りたいなど、外壁塗装にまつわる皆さまのさまざまな疑問にお答えします。外壁塗装アドバイザーによる有益で信頼できる情報をお届けしますのでぜひ参考にしてください。

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