サイディング外壁のリフォーム費用は?種類別・方法別に比較

新築して家を建てたあと、何年かするとサイディングの外壁は痛みはじめます。そのままにしていると痛みが進行し、外壁にも良くないのでリフォームが必要です。

そこでこの記事では、サイディングの種類や種類別のリフォーム方法、費用について詳しく紹介します。

サイディング外壁とは?

サイディングとは建物の外壁に使用する外壁材の一種で、正式名称をサイディングボードといいます。

一般的にセメント製(窯業系)や金属製のものが多く、外壁の寸法に合わせて現場で切断して貼り付けていくパネル型の外壁材です。

以前はモルタル外壁の家が主流でしたが、近年は国内で建築される住宅の外壁の約8割にサイディングが使用されています。

中でも窯業系サイディングがサイディング外壁のシェアのほとんどを占め、その割合は7割にもなるといわれています。

窯業系サイディングは工場で大量生産するので、品質が安定し価格も安くデザインが豊富なのが人気の要因です。

また施工にも職人の特殊な技術は不要なので、施工時間(工期)の短縮につながり、工事費も比較的安くなるメリットがあります。

サイディング外壁の補修・メンテナンスは必須

一般的な窯業系サイディングは工場で塗装を行って出荷されますが、元はセメント質と繊維質により形成されているので吸水性が高いことが特徴です。

そのため、時間の経過とともに表面の塗膜が劣化すると、雨水を吸収してしまうようになります。

そのまま放置すれば、建物の構造にまで大きな影響を与えることにもなりかねません。

そうならないためにも、定期的なメンテナンスが不可欠です。

サイディングのメンテナンスの目安になる耐用年数や劣化症状については、こちらの記事を参考にしてください。

サイディング外壁のリフォーム方法別費用比較

サイディング外壁のメンテナンスリフォームの方法には、次の4つの方法があります。

それぞれの費用と特徴をご紹介します。

重ね張り(カバー工法)

費用 工期
税別180~250万円
(延べ床面積40坪程度の場合)
10~20日

既存のサイディングに重大な劣化がなく、建物が比較的健全な場合には、既存のサイディングを残したまま上から新しいサイディングを重ね張りすることができます。

ご自宅に住みながら工事を行うことが可能で、手軽に外観のイメージチェンジができます。

しかし既存の外壁の上に重ね張りするため、建物の耐震性を考慮するとサイディング材の中でも最も軽量な金属製サイディングを使用した方が良いでしょう。

金属系サイディングでは、窯業系サイディングと比較して色柄が限定されてしまうのがデメリットといえます。

重ね張り(カバー工法)についての詳細はリンク先の記事を参考にしてください。

 

張り替え

費用 工期
税別200~300万円
(延床面積40坪程度の場合)
15~25日

既存のサイディングの傷みが激しい場合や雨漏りしている場合、建物の修繕が必要になる場合などは、サイディングの張り替えを行う必要があります。

既存のサイディングを全て撤去してしまうので、傷んでいる下地材や防水シートなどもすべて交換・補修することが可能です。

張り替えによるリフォームは、建物の耐用年数を向上させることができるのが大きなメリットといえるでしょう。

またサイディング外壁の種類を自由に選ぶことができるので、色柄が豊富な窯業系サイディングを選択して様々なコーディネートを行うことも可能です。

さらに塗装などによる補修では元に戻らない部分的な傷みがある場合には、サイディングを部分的に張り替えることも可能です。

この場合の補修費用は10~20万円程度からになります。

張り替えについての詳細はリンク先の記事を参考にしてください。

 

塗装

費用 工期
税別75~105万円
(延床面積35坪程度の場合)
7~10日

サイディング外壁のリフォームでは、塗装工事が最も一般的に行われている方法です。

費用は塗装面積と使用する塗料の種類・グレードによって大きく異なり、一般的には価格が高い塗料ほど高機能・高性能で、耐久性も高くなります。

近年はコストパフォーマンスに優れているシリコン系塗料が主流ですが、最近では新しい塗料であるラジカル塗料による塗装も増えています。

外壁塗装による補修の詳細はリンク先の記事を参考にしてください。

 

シーリングの打ち替え、増し打ち

サイディング張りの外壁ではサイディングそのものが劣化するだけでなく、サイディング同士の継ぎ目にある目地のシーリング(コーキング)も劣化します。

そしてシーリングの補修方法には、古いシーリングを撤去して新たにシーリングを充填する「打ち替え」と、古いシーリングの上に新しいシーリングを充填する「増し打ち」という方法があります。

工法 単価
打ち替え 900~1,200円/㎡
増し打ち 500~900円/㎡

※打ち替えの場合は既存シーリング撤去費が別途1万〜3万円掛かります。

既存のシーリングの劣化状態がそれほど酷くない場合には増し打ちだけで済ませてしまうことがありますが、基本的には全て打ち替えることをおすすめします。

またシーリング工事を行う際は、別途足場の設置費用が15~20万円ほどかかってしまうので、基本的には外壁塗装工事と同時に行うのが一般的です。

サイディング外壁の種類別費用比較

サイディング外壁のリフォームでは、サイディングの種類によって費用相場が異なります。

また重ね張り(カバー工法)を行う場合には、サイディングの重さにも注意が必要です。

重量が重い建物ほど地震の際に揺れやすくなるので、外壁の重ね張りを行う際にはできるだけ軽量な「金属系」や「樹脂系」のサイディングが一般的に使用されています。

窯業系や木質系のサイディングはあまりおすすめすることができませんが、どうしても使用したい場合には、この点に十分配慮する必要があります。

それではサイディングの種類別にリフォーム費用をみていきましょう。

窯業系サイディング

工法 単価
塗装 2,500〜3,500円/㎡
重ね張り(カバー工法) 4,000〜5,000円/㎡
張り替え 5,000〜6,000円/㎡

最も代表的な窯業系のサイディングは、セメントや繊維質を原料として板状に形成したものです。

レンガ調、タイル調、石積調、木目調など色柄のラインナップが豊富で、防火性・耐火性を備えているため、国内のほとんどの新築住宅に採用されています。

主なリフォーム費用の相場は以下の通りです。

金属系サイディング

工法 単価
塗装 2,000~3,000円/㎡
重ね張り(カバー工法) 3,000~9,000円/㎡
張り替え 4,000円~10,000円/㎡

表に張られた金属板に、断熱性のある裏打ち材を組み合わせて加工したものです。

溶融亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム合金、ステンレス鋼板、ガルバリウム鋼板など金属板の種類によって、価格や耐久性に大きな違いがあります。

非常に軽量なので、重ね張り(カバー工法)によく使われています。

木質系サイディング

工法 単価
塗装 3,500~4,000円/㎡
重ね張り(カバー工法) 6,000~10,000円/㎡
張り替え 7,000~11,000円/㎡


木材を板状に加工した外壁材
です。

天然木に塗装したものの他に、細かい木を集めて圧縮したタイプなどがあります。

木特有の温かみのある風合いと高い断熱性がメリットですが、吸水しやすいのでこまめなメンテナンスが欠かせません。

一般的に他のサイディングよりも、メンテナンスの頻度や費用は高くなります。

樹脂系サイディング

工法 単価
塗装 N/A
重ね張り(カバー工法) 8,000~10,000円/㎡
張り替え 9,000~11,000円/㎡

樹脂系サイディングは、主原料に塩化ビニル樹脂を使用している外壁材です。

北米で主流(約50%のシェア率)のサイディングで、国内ではまだあまり使用されていません。、

日本国内では、北海道や東北地方などの寒冷地を中心に少しずつ需要を伸ばしています。

樹脂系サイディングは素材自体に顔料が練り込まれているので、退色することはほとんどありません。しかし紫外線の影響で徐々に弾性が失われてしまうので、紫外線を遮る塗装が必要になる場合があります。

また軽量の材質なので、重ね張りにも適しています。

サイディングとモルタルの費用比較

サイディングが工場で生産された板材を現場で切断加工しながら貼り付けていくのに対し、モルタルは左官職人が刷毛引き仕上げ、金ごて仕上げ、木ごて仕上げなどで、1棟ずつ現場で仕上げていきます。

そして表面の仕上げには様々な方法(塗装、塗り壁、タイル張り、石張り等)があるので、完全にオリジナルな外壁にすることができます。

モルタルは非常に防火性に優れていますが、価格が高くてひび割れしやすい、工事期間が長い、職人によって品質にバラツキが大きいなどのデメリットがあるため、近年はサイディングの方が圧倒的に多く採用されています。

モルタルの施工価格は40坪の住宅で75万円(塗り面積1㎡あたり約5,000)程が相場で、この他に仕上げ工事(塗装工事、タイル工事など)が別途必要になります。

したがって総額では、仕上げの方法によって大きな価格差が生じるといえます。

一方サイディングの単価は、最も普及している窯業系サイディングで1㎡あたり4,000~5,000円が相場で、新築時には塗装工事費用はかかりません。

サイディングのメリット・デメリットとは?

サイディングのメリットには、費用が安いこと、工期が早いこと、品質が安定していること、メンテナンスの手間がモルタルよりもかからないことなどがあります。

そしてデメリットは、吸水性が高いこと、シーリングのメンテナンスが合わせて必要になること、蓄熱性が高いことが挙げられます。

リフォームにも費用がかかるので、サイディングのメリット・デメリットを正しく知ってリフォームするようにしましょう。

詳細はリンク先の記事を参考にしてください。

サイディングのリフォーム費用を抑える業者選びのポイント

外壁リフォームを行っている業者の中には、悪質な業者も存在しています。

こうした業者に騙されないようにするために、業者選びの際に最低限抑えておくべきポイントをご紹介します。

施工実績や工事後の保証・メンテナンス体制がある

施工実績が多い業者からは、状況に応じた適切なアドバイスが期待できます。

また、万一工事後に不具合が発生した時に備えて保証制度やメンテナンス制度があることは非常に重要です。

会社のホームページで調べたり営業マンに質問したりして、必ず事前に確認しておきましょう。

外壁塗装の保証やアフターサービスについてはこちらの記事を参考にしてください。

 

適正価格で工事を行う業者を選んだ方が良い

工事には適正価格というものがあるので、工事費用が安ければ良いとは限りません。

見積書の金額から数十万円の値引きをして契約を迫る業者や、格安な価格の業者は手抜き工事を行う恐れがあります。

外壁塗装の適正価格の考え方についてはこちらの記事を参考にしてください。

 

自社施工の業者を探す

外壁リフォームを行っている業者の中には、自社で工事を行わずに工事を丸投げ(下請け業者に一括発注すること)している業者も少なくありません。

このような場合には工事価格にリベートが含まれる場合もあり割高になってしまいます。(ただし自社施工でなければ必ずしも品質が悪いとは限りません)

したがって、自社で職人を抱えている業者に依頼した方が費用を抑えることができます。

優良業者の見極め方についてはこちらの記事を参考にしてください。

まとめ

サイディングには様々な種類がありそれぞれに特徴があるので、サイディングを選ぶ際にはメリットとデメリットをよく比較検討して選ぶことが大切です。

またサイディング外壁も一定の年月が経過すれば経年劣化が進行してリフォームが必要になります。

そしてリフォームの方法も、その時の劣化状況やリフォーム後の耐用年数、リフォーム費用などに応じて様々です。

この記事を参考にして、有意義なサイディング外壁のリフォームを行っていただけたら幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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