外壁コーキングの補修方法!工事の種類・流れ、DIYについても解説

外壁の継ぎ目の目地に充填されているコーキング材には防水性や気密性を高める重要な役割があります。

コーキング材がきちんと機能していることで建物の耐久性を高め安心して生活することができるようにようになります。

万一コーキングが劣化してしまった場合、建物にさまざまな悪影響をもたらすようになるので、適切な時期にコーキングのメンテナンスを行うことが不可欠です。

本記事では、コーキングの役割補修方法からコーキングの種類DIYによる補修方法まで詳しく解説します。

目次

コーキングは外壁同士を繋ぐ充填剤

コーキングとは、弾性に富んだ樹脂系の目地充填剤のことをいいます。

サイディングボードなどの外壁と外壁の継ぎ目の目地やサッシ廻りなどに充填するもので、建物内部への雨水や外気の侵入を防止する、地震などによる揺れの負担を緩和するなどといった重要な役割を持っています。

コーキングとシーリングは基本的に同じ

コーキングはペースト状のシーリング材のことで、厳密にいえばシーリング材の中の1つの種類のことをいいますが、コーキングとシーリングはどちらも隙間などに充填して防水性や気密性を保持するもののことを指します。

したがって建設業界で用いる場合には、コーキングとシーリングは基本的に同じものと思って問題ありません。

また商品によっては「シーラント、シール材」などと呼ばれることもありますが、これらも全て同じものです。

コーキング剤の種類は5種類

コーキング剤にはいくつかの種類があり、それぞれ用途に応じて使い分けられます。

主に下記の5種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。

アクリル系

安価で湿気のある場所にも使用できるメリットがありますが、硬化した際に肉やせしやすい上に紫外線に弱いというデメリットがあります。

水性なので取り扱いは簡単ですが、耐久性が低いため外壁補修には不向きといえます。

したがって現在はあまり使われなくなっています。

耐用年数:約10年

ウレタン系

耐久性が高く施工後にはゴムのような弾力性を持ち密着性にも優れているので、建物の動きにも柔軟に対応できて地震に強いというメリットがあります。

ひび割れ補修によく使用されますが、紫外線に弱いため外壁に使用する場合には上から塗装して塗膜で保護する必要があります

耐用年数:10~15年

シリコン系

耐久性・耐候性・耐熱性・撥水性があり手頃でバランスが良いため、コーキング剤の中でナンバー1のシェアを占めています。

カラーも豊富で使いやすいコーキングですが、上から塗装することができないのが難点です。しかし近年ではこれに対応する専用プライマーなどが販売されています。

外壁以外の用途では、主にお風呂やキッチンなどの水回りによく使用されています。

耐用年数:10年

変性シリコン系

施工後に上から塗装することができるので、主に外壁によく使用されています

シリコン系よりも耐久性がやや劣りウレタン系よりも密着性が多少劣りますが、汚れにくくて水回りにも使用できる万能型のコーキング材といえます。

紫外線に弱いので、上から塗装して使用するのがベストです。

耐用年数:10~15年

ポリウレタン系

柔軟性や防水性・耐久性が高いことが特徴です。
変性シリコン系シーリング剤よりも安価なのがメリットですが、紫外線に弱いためコーキング材を露出させて使用することはできません。

したがって、コーキング材充填後には塗装が必要になります。

また充填後にシーリングが痩せてしまうデメリットがあります。

耐用年数:5~10年

なお、コーキングの種類には上記5つの他に、ポリサルファイド系ブチルゴム系などがあります。

コーキング材の成分の違いは1液型と2液型で分かれる

コーキング材には成分によって1液型と2液型があります。

それぞれの特徴は次の通りです。

1液型

1液型とは、そのままの状態で使用することができるタイプです。

1本ずつカートリッジ(筒)の中に入った状態でホームセンターなどで販売されています。

専門知識がなくても誰でも手軽に扱うことができるのが特徴で、空気中の水分に反応して硬化します。

2液型

2液型は、「基材」と「硬化剤」を混ぜ合わせることで硬化するタイプです。

専用の機械を使用して混ぜ合わせるため主に専門知識を持ったプロ向けですが、価格が安いため、広範囲を施工する際によく使用されます。

コーキングの種類で迷ったら変性シリコンを使うのが良い

一般的に外壁のコーキングにはシリコン系・変性シリコン系が多く使用されています。

この二つは同じシリコンという名前ですが、全くの別物です。

コーキング材選びで迷った際には、上から塗装することができて用途が広く、ほぼ十分な性能を備えた変性シリコンを選んでおけば失敗することはほとんどないでしょう。

もし塗装業者から他のコーキング材をすすめられた場合には、そのコーキング材をすすめる理由や、使用上の問題点はないのか等を良く確認して納得した上で使用するようにしましょう。

外壁材の劣化や雨漏りの防止がコーキングの目的

外壁にコーキングを行う目的は以下の2つです。

雨水の侵入を防止するため

外壁コーキングの第一の目的は、外壁の隙間を埋めることで雨水や外気が建物内に侵入するのを防ぐことです。

サイディングやALCなどの外壁材は複数のボードやパネルを貼り付けて仕上げるため、外壁材同士の継ぎ目には隙間ができてしまいます。

その継ぎ目をふさいで、建物内に雨水や外気が侵入するのを防ぐのがコーキングの役割です。

外壁材の破損や劣化を防ぐため

外壁コーキングのもう一つの役割は、外壁材にかかる負担や衝撃を吸収して外壁材の破損や劣化を防ぐことです。

外壁材は気温の変化による伸縮や、地震・台風による揺れなどの影響を受けます。

外壁材同士の隙間に充填されているコーキングは、その動きに追従して揺れや伸縮を緩和させる緩衝材としての役割を果たしています。

したがってコーキングがあることで、外壁材のひび割れや損傷を防いでいるといえます。

剥がれ・ひび割れ・欠けなどがコーキングの代表的な劣化症状

コーキングの代表的な劣化症状には危険度が低いものから順に、肉痩せ、チョーキング、ひび割れ、欠け、剥がれ(剥離)、破断、欠落などがあります。

剥がれ(剥離)、破断、欠落が見られるようになったらすでに補修が必要なレベルといえます。

そのため、コーキングの劣化状態がどのレベルにあるのかを定期的に確認することが大切です。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

コーキングのメンテナンスは10年に1度必要!

コーキングの寿命は種類によって異なりますが、前述したように一般的には5~10年程度が目安になります。

 外壁に使用されるコーキングの場合は10年を目安にメンテナンスが必要といわれていますが、周辺環境や気候によっても劣化の進行が異なるため注意が必要です。

コーキングの劣化を放置しておくと雨水が建物内部に侵入する恐れがあり、雨漏りや構造躯体の腐食に繋がる危険性があります。

劣化症状が軽いほどメンテナンス工事費用を節約できるので、劣化のサインを見逃さないためにも定期的に点検を行い、10年に1度はメンテナンスを行うことが大切です。

コーキングの補修方法は打ち替えと増し打ちの2通り

コーキングの補修方法には、「打ち替え」と「増し打ち」と呼ばれる2通りの方法があります。

増し打ち

「増し打ち」は肉痩せした既存のコーキングの上から新しいコーキングを重ねて充填する補修方法です。

既存のコーキングの劣化が比較的軽い症状の場合に採用されます。

既存のコーキングを撤去しないので、工期が短く費用を節約できるのがメリットです。

しかし古いコーキングはそれなりに劣化が進んでいるので、新しいコーキングを上から重ねて充填しても早期のひび割れや破断につながる恐れがあります。

これは古いコーキングを残したことで、新しく充填するコーキングの厚みを十分に確保できないことも原因のひとつになっています。

したがって耐用年数も短くなってしまうので、外壁目地のコーキングの補修方法としてはあまりおすすめできません。

費用などの詳細はこちらの記事を参考にしてください。

打ち替え

「打ち替え」は既存のコーキングを全て撤去し、新たにコーキング材を充填する補修方法です。

既存のコーキングを撤去するための費用と工期がかかりますが、施工後にはほぼ新築時の状態に戻すことができるので、耐用年数を確保してメンテナンス周期を伸ばすことができます。

費用などの詳細はこちらの記事を参考にしてください。

コーキング(シーリング)の補修工事の流れ

この章ではコーキング(シーリング)補修工事の代表的な方法である「打ち替え」の作業の流れを紹介します。

➀既存のコーキング(シーリング)材の撤去

既存のコーキングを、カッターなどを使用しながら剥がしていきます。

➁外壁の目地の洗浄・掃除

既存のコーキングを剥がしたら、ブラシなどを使って目地や目地のまわりの汚れをきれいに落としていきます。

新しいコーキングをしっかりと接着させるためにも大切な作業です。

➂養生

コーキングする目地の両側にマスキングテープを貼って、コーキング材を充填した時に目地からはみ出したコーキング材が外壁に付着しないようにします。

➃コーキング材(シーリング材)を作る

「2液型」のコーキング材を使用する場合には、「基材」と「硬化剤」を専用の機械を使ってしっかりと混ぜ合わせます。

➄外壁の目地に下地を塗る

コーキング材をしっかりと接着させるために、目地にプライマーと呼ばれる下塗り材を塗布します。

➅コーキング材(シーリング材)の注入

コーキングガンを使って目地にコーキング材を充填します。

コーキング材を充填したら、ヘラで平滑に均します。

この作業は単にコーキング材をしっかりと密着させるためだけでなく、仕上がりや美観にも影響するので、丁寧に行うことが大切です。

➆養生を剥がしたあと、乾燥させる

コーキングが乾燥する前に、養生していたマスキングテープを丁寧に剥がします。

養生を剥がした後は、コーキング材をしっかりと乾燥させます。

乾燥にかかる時間は製品や天候によっても変わり2~3日で乾燥するのが一般的ですが、1週間近くかかってしまうこともあります。

コーキングをDIY補修する方法

コーキングのメンテナンス時期が来ていなくても、部分的な剥がれやひび割れがある場合にはDIYで補修する方法もあります。

しかし間違ったコーキング材を選んでしまったり、足場がなくて作業に危険が伴ったりする場合もあるので、決して無理をしないことが大切です。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

大掛かりなコーキングの補修は業者に依頼を!

近年はホームセンターで容易にコーキング材やコーキングガン、作業に必要な資材等を入手することができるので、ちょっとしたコーキングの補修であればDIYで行ってしまう方が多いと思います。

しかし家全体のコーキング補修となると足場の設置が必要になるので、安全面からもDIYはおすすめできません。

また、コーキングのメンテナンスはおよそ10年ごとに行うものなので、外壁塗装と同時に行うのが一般的です。

間違ったコーキング材を選んだ結果、すぐに剝がれてしまうこともあります。

また、仕上がりが汚くなった・慣れない作業に手間取り予想外に時間がかかった・誤って足場から転落して怪我してしまったなどということを避けるためにも、大掛かりなコーキング補修は専門業者に依頼することをおすすめします。

コーキングの優良業者を選ぶ3つのポイント

コーキングの補修には、適切なコーキング材の選定や下地処理の方法、手早い作業や乾燥時間の確保などの専門知識や技術力が求められます。

したがって、優良業者を選ぶことがコーキングの性能を100%発揮するための欠かせない条件になります。

そこでこの章では、コーキング補修の優良業者を選ぶためのポイントを紹介します。

相見積もりをとる

施工業者を決定する際には複数の業者から相見積もりを取って、各社の見積書の内容を比較検討することが大切です。

その際には単に見積金額の高い安いのみで比較するのではなく、提案内容の違い(使用するコーキングの違い、打ち替えか増し打ちか)などにも注目することが大切です。

これをしっかりと行うことで工事の費用相場を知ることができ、悪質な業者による過剰請求や詐欺を避けることにも役立ちます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

営業担当者・業者の知識や保有資格

営業担当者の専門知識が豊富であることも、優良業者を選ぶ上での大切なポイントになります。

営業担当者の知識次第で提案内容が変わることがあるためです。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

また、外壁塗装に関連する資格や免許を保有しているかどうかの確認も業者選定には欠かせないチェックポイントです。

依頼を検討している業者がどの様な資格や免許を持っているのかを必ず確認しておきましょう。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

インターネットの口コミ

施工業者の地域での評判を確かめるのも効果的に優良業者を選定する方法の一つです。

近年であれば、インターネットの口コミ情報を調べてみるのも良いでしょう。

しかし口コミの中には正しくない情報が紛れている可能性があるので、注意が必要です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

外壁エージェントでも利用者の口コミを掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

コーキングは建物内に雨水や外気が侵入するのを防止すると共に、地震などの揺れで外壁材が損傷するのを防ぐという非常に重要な役割を持っています。

したがって定期的に適切なメンテナンスを行うことが建物の耐久性向上のために不可欠になります。

本記事で紹介したコーキングのメンテナンス方法や、DIYによる補修方法などをご自宅のコーキングのメンテナンス工事に是非お役立てください。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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