35坪の建物の外壁塗装費用は約80~120万円!見積もり書のチェック方法も解説

外壁塗装の工事費用は建物の構造や立地条件などによっても変動するといわれていますが、基本的には坪数(延べ床面積)がベースとなっており、坪数ごとに費用相場が異なります

そこでこの記事では35坪の建物に外壁塗装を施工する際の費用相場や費用の内訳をはじめ、工事費用が変動する要因や外壁塗装の工事費用を安くする方法などを紹介します。

35坪の建物:外壁塗装にかかる費用相場は約80~120万円!

ブラックの外壁の家

外壁塗装にかかる費用は、使用する塗料の種類や外壁の劣化状況、建物の立地条件などのさまざまな要因によって変動しますが、建物の坪数(延べ床面積)ごとにおおよその相場があります。

建物の坪数ごとの費用の相場は以下の表のようになります。

建物の坪数(延べ床面積) 施工費用の相場
30坪 約60~90万円
35 約80~120万円
40坪 約90~140万円
50坪 約100~150万円

一般的な35坪の住宅に外壁塗装を行う場合の費用相場は約80~120万円であるといわれています。

使用する塗料の費用相場

塗料

外壁塗装に使用する塗料にはさまざまな種類がありますが、一般的にグレードが高い高価な塗料を使用するほど耐用年数が長くなります。

また、塗料の価格や性能は商品・塗料メーカーによって異なるものの、塗料の種類ごとにある程度の費用相場があります

そのため、塗料の費用相場を知っておくことで外壁塗装費用を自分でも算出できるようになります。

おもな塗料の種類ごとの費用相場は次のようになります。

塗料の種類 費用相場
アクリル塗料 1,000~1,800円/㎡
ウレタン塗料 1,500~2,500円/㎡
シリコン塗料 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 2,200~4,000円/㎡
光触媒塗料 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 4,500~5,500円/㎡

外壁塗装では、使用する塗料によって工事費用が大幅に変わります。

また、外壁の劣化状態や建物の立地条件によっても工事費用が変わります。

築年数や建物の建築方法に注意する

外壁を塗装する前には塗装面の補修やシーリングの打ち替えなどの下地調整を行いますが、築年数が古くなるほど外壁の劣化が進行してしまうため、その分広範囲にわたって補修が必要になります。

そのため、築10年目には必要のなかった工事でも築20年目、30年目には補修が必要になることも多く、築年数が経過すると共に費用がかさむようになる傾向があります。

また、外壁塗装費用同じ35坪の家であっても凹凸の多い複雑な形状の家や窓が少ない家ほど外壁面積が多くなり、それと同時に足場を設置する面積も増えてしまいます。

そのため、デザインを重視した複雑な形状のデザイナーズ住宅などの場合には、一般的な建売住宅やローコスト住宅よりも塗装費用が高額になることが多いようです。

その他では、狭小地や住宅密集地、敷地と前面道路との高低差が大きい場合など、建物の立地条件や周辺環境によって工事費用が高額になることもあります。

外壁塗装と屋根塗装の同時施工はさらにお得になる

外壁塗装と屋根のメンテナンス周期が同時期である場合、同時施工をした方が工事費用を節約できるといわれています。

これはどちらの工事にも足場の設置が必要なためで、両方の工事を同時に行うことで足場の設置が1回で済み、足場代を1回分にまとめることができるからです。

足場代は外壁塗装費用の約20%(15~20万円)ほどを占めるものなので、大きな費用削減効果があるといえます。

外壁塗装と屋根塗装の同時施工については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

 

【自分で計算】35坪の外壁塗装費用の算出方法

この章では、35坪の住宅の大まかな外壁塗装費用を自分で計算する方法を紹介します。

外壁塗装費用は、「外壁塗装費用=外壁面積×塗料の平米単価」で算出することができます。

外壁塗装費用を求めるためには外壁面積を計算する必要がありますが、大まかな外壁面積であれば建物の延べ床面積(坪数)から求めることができます

まずは建物の延べ床面積(坪数)を調べて、延べ床面積(坪数×3.3㎡)×係数(1.2~1.4)で大まかな外壁面積を計算てみてください。

【35坪の住宅の場合】

外壁面積=延べ床面積(35坪×3.3)×1.2~1.4=115.5㎡×1.2~1.4=138.6~161.7㎡

全体の工事費用は、外壁面積に塗料代を掛けて計算したものに足場代や付帯工事費用(高圧洗浄、養生、下地処理等)、その他の諸経費などを加えたものになります。

計算方法の詳細や平米単価は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

 

35坪の建物:外壁塗装費用の内訳

外壁塗装費用外壁塗装費用の内訳は、足場代、材料代、施工費(人件費)、その他の諸経費に分けることができますが、その比率は概ね足場代と材料代が20%、施工費と諸経費が30%になります。

外壁塗装の費用を左右する主な要素は以下の4つになります。

➀外壁の塗装面積

外壁の塗装面積が大きくなるほど使用する塗料の量や職人の人件費がかかるので、工事費用が高額になります。

35坪の建物の外壁の塗装面積の目安は前述したように138.6~161.7㎡になるのが一般的ですが、複雑な形状の建物の場合には塗装面積が増えることがあります。

➁足場代

足場

2m以上の高さで作業を行う場合には、足場を設置することが労働安全衛生法で定められています。

外壁塗装には高所作業が伴うため、足場の設置が必要です。35坪の住宅の場合には、足場代は約15~20万円になるのが一般的です。

➂使用する塗料の種類

外壁塗装に使用される塗料にはグレードがあり、グレードが高いほど費用が高額になります。

塗料の種類 施工価格
アクリル塗料 1,000~1,800円/㎡
ウレタン塗料 1,500~2,500円/㎡
シリコン塗料 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 2,200~4,000円/㎡
光触媒塗料 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 4,500~5,500円/㎡

日本の住宅に多く使用されているシリコン塗料の施工単価は平均で1,800〜3500円、耐用年数は約10年になります。

グレードが高いといわれているフッ素塗料や無機塗料を外壁塗装に使用する場合は、その分全体の工事費用が高額になります。

➃工事内容

外壁塗装を行う際には、シーリングの打ち替え工事や軒天、破風板、雨樋などの付帯部分の塗装、バルコニーの防水工事などを同時に行うことが一般的ですが、工事内容が増えるほど費用がかさみます。

35坪の建物:外壁塗装の費用相場の例

この章では、35坪の建物に外壁塗装を行う際の費用相場の例を紹介します。

外壁塗装のみの費用相場

まずは外壁塗装のみを行う場合の費用相場です。

項目 数量 単価 費用
足場代 220㎡ 900 198,000
飛散防止ネット 220㎡ 200 44,000
高圧洗浄 138㎡ 250 34,500
養生 138㎡ 200 27,600
シーリング打ち替え 200m 1,000 200,000
下地補修 1式 25,000
外壁塗装 138㎡ 2,500 345,000
廃材処理費 1式 20,000
現場管理費 1式 30,000
合計 ¥924,100-

※シリコン塗料を使用した場合
※横にスクロールしてください

外壁塗装と屋根塗装を同時に行う場合の費用相場

次に同じ建物に外壁塗装と屋根塗装を同時に行う場合の費用相場を紹介します。

項目 数量 単価 費用
足場代 220㎡ 900 198,000
飛散防止ネット 220㎡ 200 44,000
高圧洗浄(屋根・外壁) 213㎡ 250 53,250
養生 138㎡ 200 27,600
シーリング打ち替え 200m 1,000 200,000
下地補修(屋根・外壁) 1式 30,000
外壁塗装 138㎡ 2,500 345,000
屋根塗装 75㎡ 2,500 187,500
タスペーサー 75㎡ 350 26,250
廃材処理費 1式 25,000
現場管理費 1式 35,000
合計 ¥1,171,600-

※シリコン塗料を使用した場合
※横にスクロールしてください

屋根塗装を同時に施工した場合は、外壁塗装の費用に約20万円の工事費用が追加されることが多いようです。

しかし屋根塗装にも必要な足場代を節約できることから、同時に施工したほうが建物のメンテナンス費用の削減につながります。

また、屋根は劣化のスピードは外壁よりも早くなることが多いので、できるだけ外壁よりもグレードが高い塗料(この場合はフッ素塗料など)を使用すると、次の塗り替えのタイミングを合わせることができるようになります。

外壁塗装の見積もり書の見方とチェックポイント

この章では、業者から提出された外壁塗装の見積もり書のチェックポイントを紹介します。

業者から見積もり書を受け取ったら、必ず確認するようにしましょう。

作業工程の詳細な記載

業者の見積もり書をチェックする際には、まずはどのような工事を行うのかが明記されていることを確認しましょう。

外壁塗装には「足場の設置」から「高圧洗浄」、「養生」、「下地処理」、「下塗り」、「中塗り・上塗り」、「付帯部分の塗装」などたくさんの工程があります。

これらの作業工程とそれぞれの費用が見積もり書に分かりやすく記載されていることが大切です。

特に大雑把に「外壁塗装工事 一式 ○○円」と記載しているだけの業者はあまり信用できません。

また諸経費の項目についても具体的に何を指すものなのか、廃材処理費や駐車料金、現場管理費等具体的に記載されていると安心です。

塗装工程や回数の記載

外壁塗装に使用する塗料は、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが基本です。

しかし塗料によっては2回塗りが標準施工になる場合もあるため、塗装工程が見積もり書の中にわかりやすく記載されているかどうかが重要です。

塗装回数が記載されていない場合には、あらかじめ業者に確認しておく必要があります。

工事単価は適正かどうか

外壁塗装の作業工程にはそれぞれに適正な単価があるので、それを事前に知っておくと業者の見積もり書をチェックする際に役立ちます。

足場や飛散防止ネット、高圧洗浄、塗料ごとの施工単価などをインターネットなどであらかじめ調べておくと良いでしょう。

作業ごとの単価は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

 

塗装する面積の記載

塗装する外壁面の面積は一般の方には非常にわかりにくいため、実際の塗装面積よりも数量を水増しして見積もり書を提出する業者も存在しています。

塗装面積は図面があれば自分で算出することも可能ですが、前述したように建物の延べ床面積(各階の床面積の合計)に係数(1.2~1.4)を掛けて大まかな外壁の面積を求める方法があります。

そのため、業者の見積もり書をチェックする際には外壁の数量が極端に多くなっていないかどうかをこの方法でチェックしてみると良いでしょう。

上記の計算方法で求めた建物の延べ床面積ごとの外壁面積は、次の表のようになります。

延べ床面積(坪) 延べ床面積(㎡) 外壁面積(㎡)
20坪 66㎡ 79~92㎡
25坪 82.5㎡ 99~116㎡
30坪 99㎡ 118~138㎡
35 115.5 138~161㎡
40坪 132㎡ 158~184㎡
45坪 148.5㎡ 178~208㎡
50坪 165㎡ 198~231㎡

業者の見積もり書に記載された外壁の面積が上記の表の範囲であればほぼ正しいといえますが、これを大きく超えている場合には注意が必要です。

ただし複雑な形状の家の場合には、稀に異なる場合もあります。

足場代の記載

足場は外壁塗装工事を行う際には絶対に欠かせないもので、35坪の建物を塗装する場合には約20万円の足場代がかかります

そのため、足場代をサービスする業者には注意が必要です。

他の工事項目が高額になっていたり手抜き工事につながったりすることが多いので、このような業者には依頼しないようにした方が無難です。

足場代の計算方法は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

 

35坪の建物:外壁塗装費用を安くする裏技

この章では35坪の住宅の外壁塗装費用を安くする裏技を紹介します。

自治体の補助金や助成金を利用する

全国の自治体の中には、「住宅リフォーム支援制度」を活用することで外壁塗装時に補助金や助成金の支給を受けることができる場合があります。

ただし住宅リフォーム支援制度に外壁塗装が助成・補助の対象に含まれていない自治体もあるので注意が必要です。

また、自治体によって制度の名称や交付金額、交付条件等が異なるので、自分が居住している自治体ではどういった制度を実施しているのかを事前に確認しておくと良いでしょう。

中には遮熱塗料を使用して塗装すること、併せて耐震改修工事を行うことといった条件があることも多く、さらに工事金額や施工業者、申請を行うタイミングなどの条件もあるので、必ず工事を行う前に確認しておくことが大切です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

火災保険を利用する

台風や大雪などの風災・雪災・雹災(ひょうさい)によって外壁の補修や塗装が必要になった場合には、火災保険を利用して工事を行うことができます。

ただし火災保険の種類によって補償内容や補償金額が異なるほか、保険会社への申請時の条件(被害から3年以内であること等)があるので、事前によく調べてから申請する必要があります。

また、経年劣化や業者の施工不良によるもの、故意による破損、費用が免責金額を下回っている場合などは適用外となってしまう可能性があります。

火災保険を適用させる条件や申請の流れは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

 

リフォームローンを利用する

外壁塗装費用を安くする方法ではありませんが、外壁塗装を行いたくても手持ち資金がない場合や手元に現金を残しておきたい場合には、金融機関のリフォームローンを利用する方法があります。

金融機関によっては「無担保」のリフォームローンがあり、担保設定がない分審査も比較的やさしく、手続きがスムーズになるメリットがあります。(ただし金利が高くなる傾向があります)

また「住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)」を使えば、ローンの残高に応じて所得税の控除を受けることも可能です。

ただしリフォームローンは銀行やクレジット会社によって担保の有無や返済時にかかる金利が異なるので、利用する前によく検討しておく必要があります。

外壁塗装でリフォームローンを組む方法や注意点は、こちらの記事で解説しています。

 

35坪の建物:外壁塗装の注意点

この章では、外壁塗装を行う際に業者を選ぶ上での注意点を紹介します。

1社だけではなく複数の業者から見積もり書を取得する

適正価格で正しい施工を行なう業者を見極めるためには、あらかじめ複数の業者に同じ工事内容で相見積もりを依頼して、各社の見積もり書の内容を比較検討することが大切です。

複数の業者の見積もり書を比較することでご自宅の外壁塗装にかかる費用を把握できるだけでなく、適切な塗料や必須になる工事、同時に行っておくべき工事、不要な工事、適正な工程の基準を判断することができるようになります。

また、単に工事費用や工事内容の妥当性を判断できるだけでなく、各社の提案を引き出したり担当者の対応やマナーを見極めたりすることにも役立ちます。

相見積もりの正しい取り方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

 

施工を下請けに外注していないかどうか

大手の業者は実際の工事を下請け業者に外注していることが多く、その場合には中間マージンと呼ばれる紹介料が見積もり金額に上乗せされてます。

また事前に打ち合わせした内容が現場の職人に伝わっていないというトラブルが起こることもあります。

一方、自社の職人に直接指示することができる「自社施工」の業者であれば、このような問題を回避することができます。

中間マージンはハウスメーカー、工務店、リフォーム会社などの業者の種類に関わらず、下請け業者に工事を外注すれば必ず発生するものです。

費用をできるだけ安く抑えたいのであれば自社施工の業者を選ぶことをおすすめします。

過去の施工実績や評判が確認できるかどうか

信頼できる優良業者であれば多くの施工実績があります。

そのような業者は、自社のホームページにも積極的に過去の施工実績や施工実例写真、工事価格、お客様の声を掲載していることがほとんどですので、それらの情報を事前に確認してみると良いでしょう。

ただし、業者のホームページには当然良い内容しか掲載されていないので、近くで外壁塗装が行われていたら業者に頼んで見学させてもらったり、積極的に口コミ情報を集めたりすることも大切です。

また、地元で5年以上営業している業者であればとりあえず安心できるといえるでしょう。

まとめ

本記事では35坪の住宅の外壁塗装の費用相場や費用の内訳、見積もり書のチェックポイント、業者の選び方などを紹介しました。

外壁塗装にはある程度の費用相場はあるものの、さまざまな条件により費用が変動してしまうので、そのことを良く理解しておくことが大切です。

外壁塗装を行う際にこの記事を参考にしていただけたら幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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