外壁塗装の足場代はいくら?費用相場、自分でできる計算方法

工事の際には必ず設置しなくてはいけないと言われる足場ですが、なぜ必要なのかご存知でしょうか。

足場は外壁塗装の工事を行う上で必ず設置しなくてはいけないものですが、「足場がなくても工事はできるのではないか?」と思ったり、「無料で設置することはできないのか」と考える方も多いと思います。

そこで今回は、足場の必要性や費用について解説していきます。さらに、足場にかかる費用を自分で計算する方法や足場工事におけるトラブル回避のポイントについても紹介します。

外壁塗装に必ず足場が必要な理由とは?

外壁塗装工事では必ず足場が必要です。足場の設置にかかる費用は、外壁塗装全体の費用の20%前後と言われています。

工事を依頼した側からすると、費用をかけてまで何故足場を組まなくてはいけないのかと疑問に思う方も多いでしょう。外壁塗装の際に足場が必要な3つの理由を解説していきます。

職人の安全確保のため

外壁塗装を行う住宅はほとんどの場合2階~3階建てです。高所で作業を行うには、足場が必ず必要になります。

足場を設置する最大の目的は、外壁塗装を行う施工業者の職人の安全確保のためです。

近隣住民へ配慮するため

足場を設置する際には、足場全体に飛散防止ネットを張ります。建物全体を覆うようにネットを張ることで、作業中の塗料の飛散を防ぐことができます。飛散防止ネットを張ることは近隣住民への配慮になります。

隣接する住宅が近い場合には、足場に設置するネットを二重にするなど対策をした方がいいでしょう。

作業効率を上げ、仕上がりをよくするため

外壁塗装の修繕は高所での作業が多く、足場がない状態での作業は施工業者の職人の姿勢が安定しません。不安定な姿勢での作業では、綺麗な塗装をすることが難しくなります

足場を設置することで昇り降りの回数も減り、作業効率が上がります。綺麗な仕上がりを希望する場合には、足場を必ず設置することをおすすめします。

また、外壁塗装の費用を抑える為に「足場を設置せずに工事をします」と勧誘してくる業者には注意が必要です。

外壁塗装に使用する足場代の単価・費用相場

足場代には、組み立て、解体、資材の運搬にかかる費用が含まれています。適正価格での工事を依頼するためには、足場代の相場や内容を知っておくことが大事です。

単価は20万円前後

足場代は令和3年現在、1平米あたり700~1,000円前後が相場です。一般的な2階建ての住宅の場合では、足場代の合計価格は20万円前後になります。

足場代の中には、足場の組み立て、解体、運搬費用の他に、飛散防止ネットの養生費用が含まれています。

飛散防止ネットは1平米あたり200円程度ですが、作業中の粉塵や塗料の飛散を防止するために設置するもので、近隣住民への配慮のためにも必要です。

坪数別の費用相場

一軒家の場合の足場代(養生費込み)の相場価格を延べ床面積の坪数別に紹介します。

  • 25~30坪の場合 15~20万円前後
  • 30~35坪の場合 18~23万円前後
  • 35~40坪の場合 20~25万円前後

一般的な住宅の場合には、足場代だけで40万円を超えることはまずありません。足場代が40万円を超えた場合には、適正な価格かどうか確認する必要があります。

その他の単価を抑えて、足場代を過剰に請求する外壁塗装業者も存在しているので注意が必要です。

足場代の費用を自分で計算する方法

足場代の費用は、お住まいの住宅の大まかな外周がわかれば、自分で計算して費用を算出することができます。足場代の計算方法を紹介します。

外壁塗装に必要な足場の面積は、以下の計算式で計算することができます。

足場代 = 足場架面積 × 平米単価(600~1,000円)

※横にスクロールしてください。

※足場架面積=(建物の外周(m)+ 8m)× 家の高さ(m)
※家の高さの目安:1階建て3.5m、2階建て6m、3階建て8.5m

つまり、住宅の外周が25mの2階建て家に、平米単価1,000円で足場を設置する場合の費用は以下の通りです。

(外周25m + 8m)× 家の高さ6m × 平米単価1,000円 = 198,000

※横にスクロールしてください。

外壁塗装の足場代が無料になることはない

結論からいうと、足場代が無料になることはありません。

足場の費用は外壁塗装工事費の20%を占めるといわれています。そのため、足場の費用が無料になることは絶対にあり得ません

一般的に外壁塗装で得られる利益はそこまで多くありません。足場代の他にも塗料などの材料費や作業する職人の人件費が必要です。

足場代を無料にしてしまうと、外壁塗装の業者側にとっては損失に繋がる危険性があります。

また、足場代が無料になると謳って勧誘してくる業者もいますが、その場合には足場代以外の他の部分で水増し請求をしている可能性があります。

足場の設置は作業する職人の安全面への確保に必要です。足場を設置をしないということは、安全面への配慮をしていない業者の可能性もあるので注意が必要です。

相場よりも安い場合は注意が必要

足場の設置は安全面への配慮という観点からも必ず必要です。先述した通り、無料になるといった勧誘や、足場を組まない業者には注意が必要です。

また足場の設計では、必要な強度やバランスを考慮して組み立てや解体を行っています。

足場代が無料とまでは行かなくても相場価格に比べて安い場合には注意した方がいいでしょう。

外壁塗装業者による足場や足場代のトラブルは意外と多いため、足場代がサービスになりますなどの勧誘文句には注意が必要です。

外壁塗装の足場代が高くなるケースとは?

先述の通り、基本的に一般的な住宅の場合では足場代が40万円を超えることはまずありません。

しかし、次に紹介するような住宅では足場代が高くなることがあります。

住宅が高層の場合

マンションやアパートのような高層の建物の場合には足場代が高くなります。足場架面積の増加の他にも、資材の運搬にかかる費用が上がります

さらに高層の住宅の足場の設置では、作業する職人の数も増やす必要があるので人件費も増加します。足場代全体の費用とともに平米単価も上がる傾向にあります。

住宅の外に階段が設置されている場合

道路から住宅の敷地までに高低差があるなど住宅の外に階段が設置されている場合も、足場代が高くなります。

作業効率の低下や施工業者の職人の増員などにより、平米単価が高くなります。

足場の種類

住宅の外壁塗装で使用する足場には、3つの種類があります。それぞれの足場の特徴を紹介します。

単管足場

単管足場は、単管という丸いパイプを使用して設置する足場です。

施工業者の職人が作業するのは、丸いパイプを2本並べただけの場所です。常に意識して作業していないのと、滑ってしまう危険性があります。

現在ではほとんど使用されることはなく、スペースが狭い場所で部分的に使用される程度です。

単管ブラケット足場

単管ブラケット足場は、ブラケットを使用して作業に必要な足場板を設置した足場です。

足場全体は単管足場と同様ですが、職人が作業する足場板があることで作業の効率や安全性が改善されています。

しかし、単管パイプ1本1本をボルトで固定して組み立てする必要があるので、組み立てや解体に時間がかかってしまうという欠点があります。

また、ボルトの閉め忘れなどがあると、足場全体の揺れなどにも繋がる危険性があります。

クサビ(ビケ)足場

クサビ足場は、最もよく使用されるクサビ型の資材を使用した足場です。クサビ型のブラケットを柱に差し込んで組み立てを行っていきます。

組み立てから解体までハンマーひとつで施工が可能なため、作業時間も短くなります。

職人が作業する足場板も広く安全で、足場全体の揺れも少なくすることができます。住宅用の足場の中では、最も普及している足場です。

足場はDIYで組むことができる?

業者に頼まずに足場をDIYで設置すること自体は可能です。

しかし、足場の設置には専門的な知識や経験が必要です。工事現場で足場の組み立てや解体を行うには、指定された講習を受講する必要があります。

講習の受講が済んでいない職人では、現場で足場の組み立てや解体ができません。

またDIYで設置した足場には倒壊の危険もあります。

足場全体が組みあがった状態での強度不足や、強風によって倒壊するケースの他にも、組み立てや解体時のバランスが悪く転倒してしまうことがあるので注意が必要です。

安全に工事を行うためには、必ず外壁塗装の専門業者に依頼することをおすすめします。

足場や足場代のトラブル・注意点

足場や足場代に関するトラブルや注意点をご紹介します。

近隣住民に敷地を借りる場合もある

自宅の立地状況によっては敷地内だけでは足場が組めない場合があり、足場の設置に近隣の方の敷地を借りる必要があります。

このような場合は工事を行う施主本人が丁寧な挨拶を行い、協力をお願いしましょう。

塗装業者によっては、挨拶の代行をしてくれる場合もありますが、施主本人が挨拶をした方が工事期間中のトラブルも抑えられます。

足場で家が傷つく可能性がある

足場の組み立てや解体の際には、家に傷がつかないように細心の注意を払って作業をしています。

しかし、どうしても資材などで家に傷がついてしまうケースもあります。

ついてしまった傷は工事業者の責任で補修や修繕が行われますが、築年数が経っている場合には工事業者がつけた傷かどうかの判断が難しいことがあります。

以前からついていた傷なのかのトラブルを防ぐためにも、工事前に住宅全体の写真を細かく撮影しておいたり、工事に立ち会ったりすることが必要です。

業者が加入している保険のチェックをする

足場の設置で家に傷がついてしまう可能性と同様に、外壁の一部や窓、車に傷をつけてしまうというトラブルも多くあります。

しかし、下請けの業者の場合には責任の所在を明らかにせず、最終的に施主が泣き寝入りするケースもあるのが事実です。

工事を依頼する前に、業者が加入している保険や、万が一の時の保険の適用範囲についても事前に出来るだけチェックしておくことが大事です。

事前に車両の移動を行う必要がある

足場の組み立て作業中などは、資材による傷や粉塵により車両が汚れたりする可能性があります。工事期間中は事前に車両の移動を行っておくことをおすすめします。

また、家の周囲に花壇などの植栽がある場合にも注意が必要です。鉢やプランターであれば移動が可能ですが、地植えの植物の場合には養生や植え替えの検討も必要になることがあります。

足場トラブルが起きない業者の選定ポイント

足場トラブルが起きない業者を選定するポイントとして、足場代の相場価格を知っておくことが大切です。

また、外壁塗装に必要な足場の無料提供やサービス提供を行う業者には注意が必要です。

一般的な住宅の外壁塗装では、20万円前後の足場代が必ず発生します。

足場を設置せずに外壁塗装を行うこともありえません。高所で作業する職人の安全面に配慮がされておらず、信用できない業者といえるでしょう。

また、足場の無い状態での塗装では最終的な仕上がりも綺麗になることはありません。

足場代のトラブル以外にも、現場の下見の際に駐車状況や花壇などの植栽への配慮、近隣の敷地利用などの注意点の説明があることも、業者の選定ポイントになります。

まとめ

外壁塗装の足場代は一般的に20万円前後です。足場の設置をせずに住宅の外壁塗装をする業者には注意が必要でしょう。

「足場代が無料になります」や「サービスします」と言った勧誘文句には注意が必要です。

足場に対する外壁塗装業者の考え方は、作業する職人の安全面最終的な外壁塗装の仕上がりへの配慮にも繋がります。外壁塗装で起こるトラブル回避のポイントとしても参考になります。

この記事のライター:タナカ サトシ
木造ハウスメーカーにてリフォームと新築の現場監督を経験後に二級建築士資格を取得、エクステリア会社にてハウスメーカーへの新築外構図の設計職を担当。 現在は二級建築士の資格を活かし、住宅を中心とした外壁塗装の職人として活躍中。 また、現場監督時代の経験と建築士の知識を活かし店舗などのリフォームを提案、設計監理を行う。趣味は子供と休日に思い切り遊ぶこと。

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