屋根修理と外壁塗装を同時に行うのはあり?費用相場、気をつけるべき点
住まいのメンテナンスの中でも屋根修理と外壁塗装はまとまった費用がかかるので、どちらを優先すればよいのかわからない、費用を抑えるために屋根修理と外壁塗装を同時に行った方が良いのか?と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
どちらも必要なことだとはわかっていても、なるべく費用を抑えたいというのが多くの方に共通する悩みだと思います。
そこで本記事では、屋根修理や外壁塗装のメンテナンス時期の目安や、屋根材の種類・建物の面積ごとの費用相場などについて紹介します。
目次
屋根修理と外壁塗装、それぞれのメンテナンスの目安とは?
屋根修理と外壁塗装ではどちらの工事を優先した方が良いのでしょうか?
外壁はほぼ10年~15年ごとにメンテナンス(塗装)を行う方が多いと思いますが、屋根は人の目が届きにくいためどうしても後回しにされてしまう傾向があります。
しかし実際には、屋根の方が外壁よりも紫外線や雨風の影響を受けやすいなど、厳しい環境に晒されています。
また屋根は、使用されている屋根材の種類によって耐用年数が大きく異なります。
例えば古くから使われている焼き物の粘土瓦であれば、耐用年数は50年以上といわれ基本的にメンテナンスフリーですが、近年の住宅で多く使われている化粧スレート屋根の耐用年数は約20~25年といわれ、健全な状態を長期間保つためには8~10年ごとに塗装する必要があります。
さらに棟板金が台風で飛ばされてしまうといった事例も多く、こまめな点検、修理が欠かせません。
そして25~30年後にはカバー工法や葺き替えによる修繕が必要になることが多くなっています。
屋根と外壁塗装なら屋根を優先した方が良い
屋根の修理と外壁塗装とでは、早急にメンテナンスが必要な事象が共に発生している場合にはどちらも行うべきですが、そうでない場合には屋根のメンテナンス工事を優先して行った方が良いと思います。
というのも、前述したように屋根の方が外壁よりも常に厳しい環境下にあり、外壁の劣化よりも屋根の劣化のほうが住宅が傷む原因になってしまうからです。
確かに外壁の色あせやひび割れ、シーリングの浮きや剥がれなどは目につきやすいので気になる方が多いと思いますが、屋根はそれ以上に劣化が進行している可能性があります。
そして屋根の不具合は雨漏りに直結するので、放置すれば外壁の不具合よりも大きな被害を受ける可能性が高いといえるでしょう。
したがって外壁塗装のついでに屋根のメンテナンスを行うのではなく、屋根工事のついでに可能な範囲の外壁のメンテナンス・修繕を行うというのが正しい選択といえます。
外壁と同時に屋根も塗装する場合の費用相場
外壁塗装と屋根塗装を同時に行うことで、足場代が節約できるメリットがあります。
それぞれを別々に行った場合にはその都度足場代がかかるのに対して、外壁と屋根の塗装を同時に行なえば足場代も1回で済むので、約15~20万円程度のコストダウンになります。
また屋根塗装と外壁塗装を併せて行った場合の塗装費用の相場は、30坪程度の建物の場合は80~125万円程度です。
建物の形状や屋根の大きさや勾配によっても異なりますが、外壁塗装の費用に屋根の塗装費用30~40万円が加算されると考えておくと良いでしょう。
屋根修理の費用相場
ひとくちに屋根修理といっても屋根材にはさまざまな種類があり、どんな屋根材が使用されているのかによって修理方法や修理の費用相場が変わります。
屋根修理には大きく分けると次の4つの方法があります。
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屋根材の種類ごとの修理方法と費用相場についてひとつずつ紹介しましょう。
化粧スレート屋根修理の費用相場
化粧スレート屋根は「コロニアル」や「カラーベスト」などとも呼ばれ、近年の住宅で最も多く採用されている屋根材です。
化粧スレート屋根の耐用年数は約20~25年程度といわれていますが、塗装によるメンテナンスは10年ごとに行った方が良いとされています。
化粧スレート屋根のメンテナンス費用の相場は次のようになります。
修理方法 | 費用相場 |
部分的な修理、差し替え、棟板金の交換 | 2~30万円 |
塗装 | 30~60万円 |
カバー工法(重ね葺き) | 80~120万円 |
葺き替え工事 | 100~150万円 |
※カバー工法、葺き替え工事はガルバリウム鋼板を使用した場合
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
粘土瓦屋根修理の費用相場
粘土瓦(釉薬瓦、いぶし瓦、素焼き瓦など)の耐用年数は50年以上ですが、漆喰や防水シートの寿命が20~30年程度になるため定期的なメンテナンスが必要になります。
代表的な瓦のメンテナンス方法と費用の相場は次のようになります。
修理方法 | 費用相場 |
瓦の差し替え(5枚程度まで) | 2~3万円 |
谷板金の交換 | 2万円~ |
漆喰補修工事 | 15~30万円 |
棟の取り直し | 15~30万円 |
葺き替え工事 | 150~250万円 |
※既存が瓦屋根の場合には、カバー工法(重ね葺き)を採用することはできません。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
金属屋根修理の費用相場
金属屋根には昔からトタン屋根がありましたが、他に銅板葺き、ステンレス葺きなどがあり、近年の住宅ではガルバリウム鋼板葺きが人気です。
ガルバリウム鋼板は軽量でかつ耐久性や耐候性が高いので、新築住宅だけでなくカバー工法(重ね葺き)のリフォームでよく使用されています。
金属屋根のメンテナンス費用の相場は次のようになります。
修理方法 | 費用相場 |
棟板金工事 | 15~30万円 |
塗装工事 | 25~50万円 |
カバー工法(重ね葺き) | 100~150万円 |
葺き替え工事 | 120~180万円 |
※カバー工法、葺き替え工事はガルバリウム鋼板を使用した場合
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
外壁修理の費用相場
外壁の修理方法には主にひび割れ補修、シーリング(コーキング)補修、サビ止め、高圧洗浄などがあります。
それぞれの費用相場は次表のようになります。
修理方法 | 費用相場 |
ひび割れ補修(Uカットシール工法) | 1,500~2,000円/m |
シーリング打ち替え | 900~1,500円/m |
シーリング増し打ち | 500~1,000円/m |
サビ止め | 300~900円/㎡ |
高圧洗浄 | 150~250円/㎡ |
また外壁塗装を行う場合、その費用相場と耐用年数は塗料の種類によって異なり、以下のようになります。
塗料の種類 | 耐用年数 | 施工単価 |
アクリル塗料 | 5~8年 | 1,000~1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 | 7~10年 | 1,500~2,500円/㎡ |
シリコン塗料 | 10~15年 | 1,800~3,500円/㎡ |
ラジカル(制御型)塗料 | 12~15年 | 2,200~4,000円/㎡ |
光触媒塗料 | 12~20年 | 3,800~5,500円/㎡ |
フッ素塗料 | 15~20年 | 3,500~5,000円/㎡ |
無機塗料 | 20~25年 | 4,500~5,500円/㎡ |
※横にスクロールしてくだい。
住宅30坪の場合の費用相場
外壁の塗装費用は、塗装する外壁の面積に使用する塗料の単価(前述した施工単価)を掛けて算出されます。
そして外壁の面積は、建物の延べ床面積から計算することができ、概ね以下のようになります。
外壁塗装面積=建物の延べ床面積×1.2~1.4 |
したがって建物の延べ床面積が大きくなるほど外壁塗装面積が増えて塗装費用も高額になります。
延べ床面積30坪の家の外壁塗装面積の目安は119~139㎡で、外壁塗装工事費用の相場は60~90万円程度(足場代、高圧洗浄代、下地処理代含む)といわれていますが、使用する塗料の種類などによって変動します。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
住宅40坪の場合の費用相場
延べ床面積40坪の家の外壁塗装面積の目安は158~185㎡(延べ床面積×1.2~1.4)で、外壁塗装費用の相場は90~140万円程度(足場代、高圧洗浄代、下地処理代含む)といわれています。
しかし30坪の場合と同ように、塗装費用は使用する塗料の種類や他のさまざまな条件によっても変動します。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
住宅50坪の場合の費用相場
延床面積50坪の家では外壁塗装面積も大きくなる(198~231㎡)ため、外壁塗装費用の相場は100~150万円程度(足場代、高圧洗浄代、下地処理代含む)になります。
ただし使用する塗料のグレードや建物の劣化状態、周辺環境などによって価格が変動するのは他の坪数の場合と同じです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
屋根と外壁塗装は同時に行っても大丈夫?
屋根や外壁の塗り替え時期のタイミングは、現在の劣化状況を見て判断します。
どちらかに劣化症状が見られない場合には片方ずつ工事を行うことになりますが、屋根と外壁が同じように劣化している場合には、同時に屋根と外壁の塗装工事を行うことで足場代を節約することができます。
屋根や外壁の塗装工事を行う際にはそれぞれ足場が必要になり、足場代だけでも30坪前後の家で15~20万円程度かかってしまいます。そのため屋根と外壁の塗装を同時に行うことで、1回分の足場代を節約することが出来ます。
また同時に塗り替え工事を行う際には、次に塗り替えが必要になる時期も同じ時期になるようにすることをオススメします。
しかし屋根と外壁に同じ塗料を使用すれば、次回の塗り替え時期も同じタイミングになるとは限りません。
屋根と外壁とでは、屋根の方が紫外線や雨風の影響を受けやすい厳しい環境にあるため、たとえ同じ塗料を使用して塗り替えたとしても屋根の方が先に劣化してしまうことが多いからです。
そのため塗料を選定する際には塗装業者に要望を伝えた上で、工事に使用する塗料についてよく相談することが大切です。
一般的には、屋根に使用する塗料の方が外壁に使用する塗料よりもグレードの高いものを使用することが多いようです。
また、たとえば同じシリコン塗料であったとしても、屋根用と外壁用の塗料は異なることがほとんどなので注意してください。
屋根と外壁塗装を同時に行う時の注意点
屋根と外壁の塗装を同時に行うのであれば、一連の流れについて把握しておくと共に工事を行う前に十分に検討しておくべきことがあります。
この章では屋根と外壁塗装を同時に行う時の注意点について紹介します。
具体的な希望
まず初めに完成後の建物全体のイメージを明確にして、屋根と外壁のバランスを考えることが大切です。
屋根と外壁の色の組み合わせで家の印象はガラリと変わります。
温かみのある雰囲気にしたい、シャープで都会的なイメージにしたいなどといった自分が希望するイメージを業者にしっかりと伝えておくことが大切です。
また屋根を屋根材から葺き替えやカバー工法などでそっくり変えてしまう場合であっても、どのような屋根にするのか屋根材の種類や色を塗装業者に事前に伝えておくことで、外壁とのバランスをとることができます。
塗装業者からのアドバイスを受けることもできるでしょう。
せっかく屋根と外壁を同時にリフォームするのであれば、単に綺麗にするだけでなく、全体のカラーバランスを整えて調和のとれたセンスの良い家に一新するようにしましょう。
業者の選び方
屋根と外壁塗装を同時に行うことで足場代を節約できたとしても、悪質な業者に工事を依頼してすぐに塗膜が剥がれてしまったり、工事着工後に高額な追加工事を請求されてしまったりすれば何の意味もありません。
そのため業者選びは慎重に行うことが大切です。
契約する前には必ず複数の業者から相見積もりをとって見積もり内容を比較検討する、業者の施工実績や評判などをインターネットや口コミ情報で事前に確認するなどといったことが大切です。
業者の相見積もりについては、こちらの記事をを参考にしてください。
塗料の選び方
屋根や外壁塗装に使用される塗料は現在さまざまな機能・用途を持ったものが開発されていて、同じシリコン塗料でも数多くの商品が市場に出回っています。
一方、塗料は住宅の状況にあったものを選ぶことが大切で、それによって価格も耐用年数も異なります。
塗料選びは一般の人が自分だけで選ぶのは非常に難しいので、信頼できる業者に相談して要望にあったものを選択するようにしてください。
塗料の種類による耐用年数などは、こちらの記事を参考にしてください。
まとめ
屋根の修理・塗装と外壁塗装はできるだけ同時に行うようにすると1回の費用負担は大きくなりますが、長期的に見ればメンテナンスコストの削減につながります。
したがって工事を行う際には、次回のメンテナンス時期も屋根と外壁が同じ時期になるようにすることをオススメします。
そのためにはどんな塗料で塗り替えたら良いのかが非常に重要になり、施工業者の選定もより慎重に行う必要があります。
必ず複数の業者に相談して、親身になって相談に応じてもらえる業者に依頼するようにしましょう。
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