外壁塗装の「パック料金」は本当にお得?パック料金の落とし穴を解説
外壁塗装工事業者の中には、「パック料金」というサービスを提供している業者が存在します。
パック料金とは、外壁塗装にかかる費用をパックで支払えば余分な費用が発生しないというものです。このパック料金について「本当にお得なのか?」「契約しても大丈夫なのか?」と疑問に思っている方もいらっしゃると思います。
しかし結論から先に述べると、外壁塗装工事を行う際はパック料金の契約をすることはあまりおすすめできません。そこで今回はなぜ外壁塗装のパック料金がおすすめできないのか、その理由について詳しく解説します。
目次
外壁塗装の料金プランの一つである「パック料金」とは?
パック料金は一般的に「シリコン塗料での塗装プラン」「最高級塗料による塗装プラン」といった形式で販売されていることが多いようです。
このパック料金は外壁塗装工事にかかる費用を抑える目的という名目で作られていて、パック料金の中には塗料代・足場代・その他外壁塗装を行う上でかかる費用が全て含まれています。
費用が安く済ませられるように見せる「パック料金」
パック料金は外壁塗装にかかる費用が全て含まれているため、一見するとお得のように感じられるのが消費者の心理ではないかと思います。
しかし近年は、パック料金でのサービスを提供している業者が提示しているそのままの料金で施工をせず、追加料金がかかったというような内容のクレームが国民生活消費者センターなどに多く寄せられています。
中には集客のために安い金額を大々的に打ち出し、実際の施工で手抜き工事をする悪徳業者も存在しているのが現状です。
屋根塗装はパック料金に含まれない
通常外壁塗装工事を行う際は、同時に屋根塗装を行う方が多いようです。
しかし業者が提示しているパック料金の中には屋根塗装にかかる費用が含まれておらず、パック料金と合わせて屋根塗装を施工する場合は、本来かかる屋根塗装の通常料金よりも高い料金を提示される場合もあるので注意が必要です。
外壁塗装のパック料金をおすすめできない理由
先述した通り、パック料金にはさまざまなデメリットがあります。
パック料金は「追加料金が請求されるケースがある」「補修代や養生代が含まれていない」「安い塗料を使われる」「保証が含まれていない」などといったトラブルが発生しています。
この章では外壁塗装のパック料金をおすすめできない理由についてそれぞれ解説します。
理由①:追加料金を請求されるケースが多い
外壁塗装のパック料金には基本的にどの住宅でも必ず行う必要のある作業しか含まれていないことが多く、住宅のダメージや劣化状況に応じた補修工事などの費用は含まれていないことがほとんどです。
そのため、想定よりも住宅の劣化が激しく追加の補修工事が必要になった際は、後から追加で料金を払う必要があります。
それではそれぞれの事例について細かく見てみましょう。
- シーリングの補修代が含まれていなかった
外壁塗装を行う際はシーリングの補修工事が必要だが、パック料金の中にシーリングの補修代が含まれていなかった。
建物のシーリング自体がとても傷んでいたため補修工事が必要となり、追加でシーリングの補修代を別途請求された。
- 養生代が含まれていなかった
外壁塗装工事を行う際に必須である養生シートの設置費用がパック料金に含まれておらず、周囲の建物や車への塗料の飛び散りなどを防止するために養生シートの設置を希望し、別途養生代金15万円が請求された。
理由②:安価な塗料を使われることがある
外壁塗装のパック料金は、通常であれば塗料の料金も中に含まれています。ただし施主が希望する塗料を使用してもらえず、業者側から指定された塗料を使うことが多いようです。
そのため、シリコン塗料と記載がある場合でもグレードの低い塗料を使われてしまう可能性が高く、塗料の品質にこだわりたい方にとっては大きなデメリットといえるでしょう。
外壁塗装の塗料を選ぶ際はお住まいの住宅の外壁と相性の良い塗料を使うのが最適とされているため、あらかじめ塗料の種類が決められているパック料金はおすすめできません。
理由③:簡単な足場を使う可能性がある
外壁塗装を行う際に必要不可欠な足場ですが、足場代金は一般的に外壁塗装にかかる料金の20%〜30%を占めています。
そのため簡単なものであればあるほど業者側の足場代金の節約になるので、単管足場など簡単な足場のみの設計で塗装工事に入る業者も中には存在します。単管足場は安全性が低く作業効率が悪くなるため、高所で作業を行う場合は使用が禁止されています。
また塗装の仕上がりにも大きな影響を及ぼすため、パック料金で外壁塗装を行う際には足場を単管足場にしていないかどうかを必ず確認しておくようにしましょう。
理由④:業者による保証がついていない場合がある
パック料金には基本的に施工業者による保証などがついていません。
もともとパック料金はそれぞれの住宅の外壁や状況に応じて作られた見積もり内容ではないことから、保証内容を設定できないためです。
安心できるサービスを受けるためにも、パック料金ではなくしっかりと保証が付いたプランを選ぶようにしましょう。
理由⑤:手抜き工事をされる可能性がある
先述した通りパック料金の内容は住宅の状況や外壁に合わせた内容ではないため、作業内容を簡単にごまかすことができてしまいます。
その結果手抜き工事を行われてしまい、 施工後のトラブルの発生に繋がることが多いようです。
中には使用する塗料が足りなくなった際に、元々ある塗料を薄めて使用する悪徳業者もいます。
外壁塗装工事にかかる費用は住宅ごとに異なる
外壁塗装工事にかかる費用は塗装面積はもちろん、住宅の立地状況や劣化具合によって大きく変動します。
例えば同じ30坪の住宅の外壁塗装工事を行う場合でも、外壁の面積が異なる・劣化している場所や内容が異なるなど、塗装面積や修復費用に差が生じます。
正しく外壁塗装の費用を算出してもらう際は、必ず業者による立会い調査が必要です。
サイディングの劣化具合や塗装面積をしっかりと計測し、適切な料金を算出するようにしましょう。
外壁塗装工事をパック料金で行う際の注意点
外壁塗装工事をパック料金で行う際は、注意しなければならない点がいくつかあります。
次の項では外壁塗装のパック料金に既に申し込んでしまった方、またこれからパック料金の申し込みを検討されている方向けに注意点を解説します。
塗料の種類やグレードに注意
外壁塗装に使用されている塗料には、さまざまな種類やグレードがあります。
塗料の種類によって耐用年数や機能性が異なるため、パック料金で工事を行う際は使用される塗料がどのような種類やグレードであるのかを必ず事前に確認しておきましょう。
塗料の種類によっては機能性があまりないものや、グレードが低い可能性がありますので注意が必要です。
外壁塗装の塗料の価格や費用相場については、以下の記事を参考にして下さい。
安すぎるパック料金に注意
外壁塗装を行う際にかかる費用は、通常30坪ほどの住宅の場合100万円前後とされています。
しかしパック料金を売り出している施工業者の中には、相場よりもかなり低めに金額を設定している業者もいます。
通常外壁塗装を行う際は費用相場以下の安い料金で施工を行うことはできません。
費用相場よりも安い金額の場合は塗料代や足場代などが削られていたり、使用する塗料のグレードが低い可能性があります。外壁塗装の費用相場については以下の記事を参考にして下さい。
またパック料金の想定坪数が20坪ほどに設定されていることもありますが、20坪ほどの住宅はとても施工面積が小さく、日本国内で建てられている住宅の平均値よりも低くなっています。
そのため実際には20坪を超える部分の塗装費用は追加料金として設定され、最終的には相場より高くなってしまうこともあるようです。
塗料メーカーによる保証があるかどうかを確認する
外壁塗装工事を行う際に使用されている塗料には、基本的に塗料メーカーによる保証が付いています。
しかしパック料金で使用している塗料については他の施工で使用した余りものであったりすることもあるため、保証がついていないことも多いようです。
メーカー側による保証がついていない場合、施工後に何かトラブルがあっても一切保証はされません。より安心して契約を行うためには、パック料金の塗料にメーカー側の保証が付いているのかどうかを必ず確認しておくようにしましょう。
適正価格で外壁塗装工事を行うためには
先述した通り、外壁塗装工事には適正価格というものがあります。
しかし必ずしもすべての業者が適正価格での見積もりを提示してくれるとは限りません。
次の項では 適正価格で外壁塗装工事を行うための注意点について解説します。
複数の業者からの相見積もりを取る
外壁塗装工事を依頼する際は、一つの業者からではなく複数の業者から同条件で相見積もりを取るようにしましょう。
また外壁塗装を行う際に欠かせない立ち会い調査は、通常であれば1時間から一時間半前後の時間がかかります。もしも立ち会い調査の時間が短い場合や、事前の立ち会い調査自体がない業者の場合は契約を避けておくようにしましょう。
業者からの相見積もりの取り方は、以下の記事を参考にして下さい。
優良業者に工事を依頼する
先述した通り、外壁塗装業者には悪徳業者や優良業者などさまざまな業者がいます。その中でもトラブルの発生を防ぐためには、優良業者に依頼をすることが一番の対策となります。
優良業者はお客様に寄り添った丁寧な対応や明瞭な見積もりの提示など、お客様目線に立ったサービス提供を行っている業者のことをいいます。
これらの特徴をしっかりと覚えて、業者を選ぶ際にはしっかりと見極めるようにしましょう。
優良業者の見極め方については、以下の記事を参考にして下さい。
塗装の専門知識を持った職人が在籍している
外壁塗装業者の中にはお客様から受けた施工依頼を自分たちで行わず、下請け業者に回す業者がいます。
このような業者に依頼をしてしまうと、トラブルがあった際にスムーズに対応してもらえない可能性が高くなることだけではなく、塗装の専門知識を持っている業者が確実に施工を行ってくれるとは限らない状況になってしまいます。
そのため施工を依頼する際は、自社施工を行っており塗装の専門知識を持っている職人が在籍している業者を選定するようにしましょう。
また業者が所有している資格などは業者のホームページに掲載されていることが多いため、事前にインターネットで業者のホームページを確認すると良いでしょう。
信頼できる業者が所有している資格などについては、以下の記事を参考にして下さい。
まとめ
外壁塗装のパック料金の特徴やパック料金を依頼する際の注意点について詳しく解説しました。
一見するとお得で安いイメージを与えがちなパック料金ですが、実際には多くのデメリットがあることも把握しておかなければなりません。
外壁塗装工事を依頼する際は、その内容や使用している塗料の質・種類などをしっかりと把握し、納得のいく施工プランを選ぶようにしましょう。
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