サイディング外壁のメンテナンスは必要?時期、費用、DIYのやり方
住宅の外壁材にサイディングを使用している方の中には、そろそろメンテナンスをしたほうが良いのか悩んでいる方も多いと思います。
サイディング外壁の劣化に気づいても、業者に頼むべきなのか、自分で補修ができるのか判断がつかないこともあるはずです。
この記事では、サイディング外壁のメンテナンスの必要性や、素材ごとのメンテナンスの時期、費用、方法などについて解説します。
目次
サイディング外壁は7〜10年ごとにメンテナンスが必要
サイディング外壁は「メンテナンスが不要」と謳われることも多いですが、実際には定期的なメンテナンスが必要です。
サイディング材自体の寿命は20〜40年ほどといわれているものの、紫外線や雨風による日々のダメージによって少しずつ劣化していきます。
外壁の劣化を放置していると、塗膜の剥がれやシーリングの傷みが生じ、雨水が内部に侵入する原因となります。
防水シートや住宅の柱まで腐敗してしまうと大規模な工事が必要となるため、早めのメンテナンスが不可欠です。7〜10年ごとに1度メンテナンスを行い、サイディング外壁の性能を長持ちさせましょう。
サイディング外壁をメンテナンスせず放置するリスク
サイディング外壁のメンテナンスをしないまま住み続けると、以下のようなリスクが生じます。
雨漏りなどによる住宅機能の低下
サイディング外壁を劣化するままにしておくと、外壁が剥がれたり板と板の間をつなぐシーリング部が傷んだりといったダメージが生じます。
劣化箇所から雨水が侵入すると、サイディング材内部の防水シートが腐敗し、やがて雨漏りにつながります。
雨漏りを放置していると住宅の柱まで腐敗することがあり、大規模な工事が避けられなくなります。
雨漏りの他にも、劣化した外壁に生じたすき間から虫が侵入したり、すき間風が生じたりすることもあります。
美観が損なわれる
サイディング外壁のメンテナンスをしないまま何年も放置していると、機能面だけでなく住宅の見た目にも影響が出てきます。
日当たりのよい外壁面と比べて、住宅の北側など風通しが悪い面には湿気によるカビが繁殖しやすく、見た目が悪くなる原因となります。
他にも、チリやホコリが付着することで外壁全体が黒っぽくくすんだり、排気ガスの影響で油汚れが目立ったりすることもあります。
また紫外線により変色が起こることもあります。カビや汚れは洗浄をすれば落ちる場合もありますが、サイディング自体が変色している場合は塗装などのメンテナンスが必要です。
住宅の建て直しが必要となることも
メンテナンスをしないままサイディングの劣化が進むと、最悪の場合住宅自体の建て直しが必要となる可能性もあります。
雨漏りが起こると柱や天井などの木材が腐敗してもろくなり、住宅の寿命を縮めます。ひどくなると天井が抜け落ちたり、家が傾いたりすることもあります。
また、湿っている木材はシロアリの好物でもあり、侵入すると家を食べられてしまいます。
さらに、建物の木材に発生したカビにより住人がアレルギーを発症する恐れもあります。こうした状態になると住むことができなくなるため、建て直しをせざるを得えません。
サイディング外壁の素材別メンテナンスの時期の目安
サイディングには窯業系、金属系、木質系、樹脂系の4種類があります。それぞれのメンテナンス時期について説明していきます。
窯業系サイディング 目安:8〜10年
メンテナンスの目安:8〜10年(耐用年数は20〜40年)
4種類のサイディングの中で最も使われているのが、セメントと繊維質からできた「窯業系サイディング」です。表面に塗られた塗料が紫外線や雨風などにより劣化すると、サイディング材自体も傷んでしまいます。
そのため、塗料が劣化してくる8〜10年ごとにメンテナンスが必要です。
また、板同士を組み合わせるために外壁と外壁の間に注入されているシーリング(コーキング)部分も10年前後で劣化するため、併せて補修しましょう。
金属系サイディング 目安:10〜15年
メンテナンスの目安:10〜15年(耐用年数は20〜40年)
トタンやガルバリウム鋼板からできた金属系サイディングは吸水性が低いため、窯業系サイディングよりもメンテナンスの頻度は低く済みます。
ただし、傷がつくとサビが生じたり年月が経つと色褪せが起きたりするため、10〜15年ごとのメンテナンスが必要です。
とくに海沿いなど潮風が当たる地域にある住宅は、塩害により傷みやすくなります。
傷やサビの状態によってはメンテナンスの目安時期にかかわらず補修が必要となることもあるため、気になる方は業者への相談をおすすめします。
木質系サイディング 目安:3〜10年
メンテナンスの目安:3〜10年 (耐用年数は15〜40年)
木質系サイディングは天然木材からできたサイディングです。木の温もりを感じられる独自の風合いがあり、デザイン性を重視する店舗などに人気があります。
断熱性に優れていますが木材のため水気に弱く、雨や湿気による劣化が生じやすい外壁材です。そのためメンテナンスの周期も短く、3〜10年ごとに1度の補修が必要です。
木質系サイディングは木目を生かすため透明な塗料でコーティングされており、木材自体が劣化する前に塗料を塗り直すことが長持ちにつながります。
樹脂系サイディング ほとんど必要なし
メンテナンスの目安:ほとんど必要なし(耐用年数は20〜50年)
塩化ビニルを主原料として樹脂系サイディングは海外で多く使用されていますが、日本ではまだ施工技術を持つ職人が少なくあまり見かけません。
樹脂系サイディングは耐用性に優れており、雨や塩害にも強く色褪せもほとんどないのが特徴です。
そのためメンテナンスもほとんど必要ありませんが、紫外線を防ぐための塗料の塗り替えを行うことがあります。
サイディング外壁の劣化症状の見分け方
サイディング外壁の劣化が気になっても、メンテナンスが必要な状態か判断するのが難しいと感じる方は多いと思います。
サイディング材の劣化症状には、塗料の剥がれやシーリングの傷み、白い粉が発生するチョーキング現象、浮きやひび割れなど、さまざまなパターンがあります。
サイディングの種類や劣化の要因によっても見分け方やメンテナス方法が異なります。
劣化症状を見分けるポイントについては以下の記事を参照してください。
サイディング外壁の代表的なメンテナンス方法・期間
サイディング外壁のメンテナンスはどのように行われるのでしょうか。代表的なメンテナンス方法を、必要な期間とともに解説していきます。
塗装工事 工期:2~3週間
サイディング表面の塗装が劣化すると、塗膜の剥がれや色褪せが生じることがあります。塗膜が剥がれると、そこから雨水が侵入して外壁材自体の劣化につながります。
また、色褪せは住宅の外観の見た目を悪くします。
塗装によるメンテナンスは、サイディング材自体が傷んでしまう前に、高圧洗浄により外壁表面の汚れを落とし、上から新しい塗料を塗装することによって行われます。塗装によるメンテナンスにかかる工期は2~3週間が目安です。
補修工事 工期:2〜3週間
塗装だけではサイディング材の劣化がカバーできない場合、補修によるメンテナンスを行います。
窯業系サイディングの施工に使用されるコーキングの劣化は、塗装だけでは補修されません。放置すると雨水の侵入につながるため、コーキング自体の打ち増し・打ち替えを行う必要があります。
また、金属サイディングに使われる釘の打ち直しも補修のひとつです。外壁塗装工事と併せて行うことが多く、おおよそ2〜3週間で完了します。
重ね張り工事 工期:1〜2週間
サイディング外壁自体の劣化が激しく塗装や補修では対処できない場合、重ね張り(カバー工法)によるメンテナンスが行われます。
重ね張りは既存のサイディング材を残したまま、新しいサイディングを上から重ねる工法です。
サイディングの中でも軽量の金属系サイディングが使用されることが多いです。
外壁を撤去して張り替える工法よりも費用が抑えられるメリットがありますが、内部の状態を確認できないため、すでに雨漏りのある外壁には施工できません。メンテナンスにかかる期間は1〜2週間です。
張り替え工事 工期:2〜4週間
すでに雨漏りをしている、またはその疑いがあるサイディング外壁は、張り替え工事により外壁自体を新しくする必要があります。
劣化した外壁を取り外すため、建物内部の防水シートや木材の状態を正しく確認しながら補修作業を行うことができます。
外壁の撤去費用がかかりますが、施工後は新築同様の外観に生まれ変わります。雨漏りの心配がなくなるので安心して住めるようになります。
メンテナンスは外壁の撤去から行うため、2〜4週間の工期が必要です。
サイディング外壁のメンテナンスの費用相場
サイディング外壁のメンテナンス費用は、補修方法や使用する材料によって異なります。工法ごとにかかる費用とその特徴を解説していきます。
塗装によるメンテナンス費用(30坪で約30〜50万円)
塗装によるメンテナンス費用は、使用される塗料によって異なります。
塗料の種類 | メンテナンス費用(30坪あたりの目安) |
シリコン系塗料 | 36万円 |
ラジカル系塗料 | 40万円 |
フッ素系塗料 | 48万円 |
ここではサイディング外壁塗装によく使用されるシリコン系塗料、ラジカル系塗料、フッ素系塗料について説明します。
シリコン系塗料は、日本で最も使われている外壁塗料です。耐用年数が10〜15年と比較的長く、安価という特徴があります。
ラジカル系塗料は近年登場した新しい塗料で、防汚性・防カビ性に優れています。塗料の劣化を防ぐ酸化チタンが使用されています。
フッ素系塗料は15〜20年の耐用年数を持ちますが、費用も高くなります。
張り替えによるメンテナンス費用(30坪で約60〜110万円)
サイディング材の張り替えによるメンテナンス費用は、サイディングの種類によって異なります。
サイディングの種類 | メンテナンス費用(30坪あたりの目安) |
窯業系サイディング | 60万円 |
金属系サイディング | 48万円 |
木質系サイディング | 72万円 |
樹脂系サイディング | 108万円 |
窯業系サイディングは、現在日本で最も人気のあるサイディング材です。比較的安価でデザインの幅が広く、カラー展開も豊富なためイメージに合った外壁に仕上げることができます。
金属系サイディングは軽量で耐震性に優れた外壁材です。
木質系サイディングは天然木からできているため自然の風合いが楽しめますが、費用は割高です。
樹脂系サイディングは近年日本でも見られるようになった耐久性の高いサイディング材です。
重ね張りによるメンテナンス費用(約100〜220万円)
既存の外壁を残したまま新しいサイディング材を上から重ねる施工法は「カバー工法」とも呼ばれ、外壁の撤去が必要な「張り替え工事」よりも費用を抑えられるメリットがあります。
重ね張り工事の費用相場は、住宅の規模や構造、使用する外壁材により異なりますが100〜220万円ほどが目安です。
外壁材が二重になるため断熱性と遮音性が高まる一方で、重量の軽い金属系サイディングに選択肢が絞られる点や、外壁の内側の状態が確認できない点はデメリットとなり得ます。
普段から自分でも出来る簡単なメンテナンス方法
サイディング外壁材の塗装や補修といったメンテナンスは業者に依頼する必要がありますが、普段から簡単なメンテナンスを行なっておくことで外壁の劣化を遅らせることができます。
ご自身でもできる簡単なメンテナンスを2つ紹介します。
年に1〜2回、外壁掃除
サイディング外壁に生じる汚れや腐食の主な要因は、外壁表面に付着したホコリやチリ、油などです。ご自宅のホースや雑巾などを使って外壁全体を優しく水洗いすることで、これらの汚れを落とすことができます。
水だけで落ちない汚れは中性洗剤を塗布した布などを利用してください。
高圧洗浄機を使ったりブラシなどでゴシゴシと強く洗ったりすると、サイディング材が傷んでしまうため避けましょう。基本的には年に1〜2回の頻度で行えば十分です。
定期的に外壁のチェック
ご自身の目で定期的に外壁をチェックすることも、大きな劣化を防ぐ方法のひとつです。汚れや塗膜の剥がれだけでなく、ひび割れやチョーキングが生じていないか確認してください。
チョーキングとは、経年劣化によって塗膜に含まれる顔料が乾燥し、粉を吹いた状態のことです。外壁材に手を触れた時にチョークの粉のようなものが付着した場合には注意が必要です。
再塗装が必要かどうか、業者に点検してもらうタイミングの目安となります。
適切なメンテナンスのための業者の選び方
サイディング外壁のメンテナンスを依頼する際には、適切な業者を選ぶことが大切です。
施工の実績をはじめ、工事後の保証やメンテナンスを行なっているか、見積もりの内容は具体的かなどを確認し、信頼できる業者かどうか見極めましょう。
インターネットの口コミを参考にしたり、複数の業者に見積もりを依頼したりするのもおすすめです。
サイディング外壁塗装を依頼する業者の選び方については、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
メンテナンスフリーと謳われることもあるサイディング外壁ですが、大切な住宅に長く住むためには定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスの時期はサイディングの種類によって異なり、一番人気の窯業系サイディングは塗膜やコーキングが劣化する8〜10年ごとの周期が目安となります。
主なメンテナンス方法として、塗装、補修、重ね張り、張り替えの4つをご紹介しました。
サイディング材の寿命を延ばすためには、ご自身でも外壁のお手入れをしつつ、適切なタイミングで業者にメンテナンスを依頼することが大切です。
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