外壁塗装は60万円でも施工可能!費用を抑える方法・条件を解説

外壁塗装を検討している方の中には、
「60万円以内で外壁塗装はできないのか?」
「なんとか60万円前後で工事費用をおさめたい」
と考えている方も多いと思います。

外壁塗装は新築後に経年劣化を起こし外壁としての機能や性能が劣ってくるため、定期的なメンテナンスが必要です。

メンテナンスの際はまとまった工事費用を用意する必要がありますが、高額なため躊躇している方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では60万円で外壁塗装工事を行う方法をはじめ、60万円でできることについて解説します。

外壁塗装の費用をできるだけ抑える方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

外壁塗装は60万円でも施工可能!

外壁の塗膜は経年劣化を引き起こすことから、一般的に10年に1度は塗り替え工事を行う必要があるといわれています。

その理由として、新築時にはシリコン塗料が使用されていることが多く、シリコン塗料の耐用年数が10~15年であるためです。

そして建物の劣化状態や使用する塗料の種類、立地条件、周辺環境によっても外壁塗装工事にかかる費用が異なりますが、延べ床面積30坪程度の木造2階建住宅の場合は、60~90万円が費用相場となっています。

また、費用は建物の大きさによって異なるので、40坪を超える住宅の場合は60万円で外壁塗装を行うことはできない可能性が高くなります。

一般的に知られている建物の延べ床面積ごとの外壁塗装の費用相場は、次の表のようになります。

建物の延べ床面積(坪数) 外壁塗装の費用相場
20坪 約40~80万円
30坪 約60~90万円
40坪 約90~140万円
50坪 約100~150万円

したがって60万円の予算で外壁塗装を行うためには、施工に際していくつかの条件があります。

外壁塗装を60万円で施工する条件

塗料

60万円で外壁塗装を行うための条件は、次のようになります。

塗装面積が150平方メートル以下である

外壁塗装の工事費用は塗装面積から算出されますが、一般的に建物の延べ床面積が大きくなるほど外壁の塗装面積も大きくなります。(外壁塗装面積=延べ床面積×約1.2~1.4)

そのため、予算が60万円前後の場合には塗装面積が150㎡以下である必要があり、60万円の予算で外壁塗装を行う場合には建物の大きさによっては部分的な塗装しか行うことができません。

外壁塗装費用の計算方法は、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

足場代に注意

外壁塗装工事費用の中で大きなボリュームを占めるもののひとつに足場代があります。

足場は外壁塗装工事を行うためには不可欠なものですが、一般的に15~20万円程度の費用がかかります。

しかし建物の敷地が前面道路との高低差がある場合や狭小地の場合など、現場の条件によっては足場代が割高になってしまうことがあります。

外壁の傷みが少ない

外壁塗装工事では塗装工程に着手する前に、外壁のひび割れや欠け、既存の塗膜の浮きなどを補修する下地処理を行いますが、劣化が著しく進行している場合には高額な下地処理費用がかかってしまうことがあります。

そのため、60万円で外壁塗装を行うためには外壁の痛みが少ない状態であることが大前提となります。

予算が60万円の場合はシリコン塗料での外壁塗装がおすすめ

塗料

外壁塗装に使用する塗料にはさまざまな種類があり、用年数が長くて多機能な塗料を使用するほど工事費用が高額になります。

そのため、60万円の予算で外壁塗装を行うためには高額なグレードの高い塗料を使用せず、最も多く使用されているシリコン塗料で塗装することをおすすめします。

また、塗料の中にはシリコン塗料よりも安価なアクリル塗料やウレタン塗料がありますが、耐用年数が短いためメンテナンス周期が短くなってしまうことからあまりおすすめできません。

主な塗料の費用相場と耐用年数の目安は、次の表のようになります。

塗料の種類 費用相場 耐用年数の目安
アクリル塗料 1,000~1,800円/㎡ 5~8年
ウレタン塗料 1,500~2,500円/㎡ 7~10年
シリコン塗料 1,800~3,500円/㎡ 10~15年
ラジカル(制御型)塗料 2,200~4,000円/㎡ 12~15年
光触媒塗料 3,800~5,500円/㎡ 12~20年
フッ素塗料 3,500~5,000円/㎡ 15~20年
無機塗料 4,500~5,500円/㎡ 20~25年

各塗料の特徴については、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

外壁塗装の適切な費用相場と内訳

外壁塗装工事には適切な費用相場があります。

この章では、外壁塗装工事の費用相場と費用の内訳を紹介します。

通常の外壁塗装工事は30坪で約60万~90万

外壁塗装工事費用は使用する塗料の種類によって異なりますが、建物の大きさ(延べ床面積)ごとにそれぞれ大まかな相場があるため、「我が家の場合にはどれくらいの費用になるのか」を事前に知っておくと良いでしょう。

詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

 

外壁塗装費用の内訳

外壁塗装費用を検討する際には、費用の内訳と総費用に占める割合を知っておくことが大切です。

そこで外壁塗装工事費用の内訳がどのようになっているのかを紹介します。

■塗料などの材料代

外壁塗装工事に必要な材料の費用で、塗料はもちろんシーリング材やマスキングテープ、養生材、飛散防止ネットの費用も含まれます。

塗料自体は塗料のグレードが高くなるほど高額になりますが、費用全体に占める割合は20~25%程度になります。

■足場代

外壁塗装工事に不可欠な足場の設置費用です。

費用全体の20%程度になります。

■人件費

塗装作業を行う職人の手間賃になり、技能レベルが高い熟練工が多いほど高額になる傾向があります。

費用全体に占める割合は30~40%程度になります。

■諸経費

現場に向かうための交通費や駐車料金、通信費、事務処理のための費用、事務所の賃料などが該当し、費用全体の10~20%程度になります。

諸経費は会社の規模が大きくなるほど高額になる傾向があります。

外壁塗装の見積もり書の正しい確認方法

見積書

業者から事前に提出される見積もり書は、単に工事の総額を知るためだけにある訳ではありません。

満足度が高い工事を行うためには、工事を発注する前の見積もり書のチェックが非常に重要になります。

見積もり書のチェック項目と確認事項をわかりやすくまとめると、次の表のようになります。

チェック項目 確認事項
作業工程 全体の作業工程と各工程の具体的な作業内容が記載されているか
※足場の設置、高圧洗浄、養生、下地処理等
塗装工程 塗装工程が3回塗りになっているか
※外壁塗装は3回塗りが標準
塗装面積 塗装面積が詳細に記載されているか
塗料の種類 塗料の商品名やメーカー名が記載されているか
塗料の単価 塗料の単価が正しく記載されているか

※横にスクロールしてください

外壁塗装工事には、足場の設置~高圧洗浄~養生~下地処理~下塗り~中塗り・上塗り~付帯部分の塗装~足場の解体に至るまでいくつかの工程があります。

そのため、それぞれの工程が見積もり書に漏れなく正確に記載されていることが非常に重要です。

また、業者の中には見積もり書に「外壁塗装工事 一式 ○○円」とだけ記載して数量明細を記載していない業者がいますが、信頼できる業者であればこのような記載をすることはありません。

きちんと見積もり書に数量明細まで記入している業者に工事を依頼するようにしましょう。

見積もり書のチェック方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

外壁塗装費用を安くする5つの裏技

この章では、外壁塗装工事費用をできるだけ安くする方法を5つ紹介します。

自治体からの補助金や助成金を申請する

お住まいの地域の自治体が実施している「住宅リフォーム支援制度」を活用すると、外壁塗装時に助成金・補助金が受給できることがあります。

助成金・補助金制度の名称や支給金額、支給条件は自治体によって異なるので、地域の自治体の窓口やホームページなどで事前に確認しておくと良いでしょう。

助成金や補助金を支給している自治体や申請条件の最新情報は、以下の記事に詳しく記載しています。

 

火災保険を利用する

外壁が台風や地震、落雷などの自然災害で破損してしまった場合には、被災してから3年以内であれば火災保険を利用して保険金を受け取ることができます

そして受け取った保険金を外壁塗装費用の一部に充てれば、その分費用を安くすることが可能です。

ただし免責金額などの条件があるので、加入している火災保険の適用範囲などを一度調べてみると良いでしょう。

外壁塗装工事に火災保険を適用させる条件や申請の流れなどは、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

大手の業者ではなく地元の業者に依頼する

外壁塗装工事は塗装工事の専門業者だけではなく、大手住宅会社や工務店、大手リフォーム会社でも工事を請け負っています。

その中でも大手企業は比較的信頼度が高くて安心感があるのがメリットですが、実際の工事は下請けの塗装工事業者が行うことがほとんどです。

中間マージンが見積もり金額に上乗せされるので、費用が高額になります。

一方、地元の塗装業者の場合は施工管理や現場での施工も全て自社のスタッフが行うので、余分な費用が発生しません。

このような理由から、発注コストをできるだけ抑えるのであれば地元の業者に依頼した方が有利になります。詳しくは以下の記事で解説しています。

 

優先順位の低い工事内容を削る

外壁塗装工事費用をできるだけ抑えるためには工事の優先順位を明確にして工事内容を絞り込む必要があります。

業者が作成する外壁塗装工事の見積もり書の中には、雨樋などの付帯部分の塗装工事が含まれていることがほとんどです。

予算に余裕があれば併せて行っておきたい工事ではあるものの、少しでも費用を削減したいと思うのであれば、割り切って削除してしまうのもひとつの方法です。

見積もり書の中にはこうした工事が含まれていることが多いので、内容を細かくチェックして必要のないところにお金をかけないことが大切です。

リフォームローンを利用する

外壁塗装工事費用を安く抑える方法ではありませんが、手持ちの資金がどうしても足りない場合には、リフォームローンを利用する方法があります。

近年では外壁塗装工事を対象としたリフォームローンを取り扱っている金融機関が増えているので、一度調べてみることをおすすめします。

予算がないからといって外壁塗装工事の時期を先延ばしにしてしまうと、どんどん劣化が進行して高額な補修費用がかかってしまうことも少なくありません。

そうなってしまうと結果的に大きな出費になってしまうので、早めにメンテナンスを行うことが大切です。

また、リフォームローンを利用することでよりハイグレードな耐久性の高い塗料を使用し、次回のメンテナンス時期を先延ばしにすることも可能になります。

リフォームローンの詳しい内容や注意点は、以下の記事で紹介しています。

 

外壁塗装は信頼できる業者に依頼を!

外壁塗装工事は建築系の工事の中でも手抜き工事が多く、悪徳業者が多いことでも知られていることから、業者の選定が非常に重要です。この章では業者選びで失敗しない方法を紹介します。

格安で工事を受注する業者に要注意

外壁塗装工事には費用相場があるので、最初から相場と大きくかけ離れた格安な価格で工事を請け負っている業者には注意が必要です。

着工後に高額な追加工事代金を請求されたり、工程の一部を省略する・塗料を薄めて使用する・塗料の乾燥が不十分などの手抜き工事が行われたりする恐れがあります。

こうした手抜き工事が行われると、数年後に塗膜が剥がれたりチョーキング現象が発生したりして、耐用年数を待たずに外壁が劣化してしまうことになります。

外壁塗装工事を行う優良業者の探し方をチェック

外壁塗装は建物全体の耐久性にも大きく影響します。

万一雨漏りが発生してしまうことにでもなれば構造躯体にも影響を及ぼすことになるので、外壁塗装は建物の安全性に非常に重要な役割を担っているといえます。

そのため、適切な費用相場で安全性の高い工事を提供している優良業者に工事を依頼することがじ何よりも大切です。

優良業者の探し方の重要なポイントは次の5つです。

  • 複数の業者に相見積もりを依頼して各社の見積もり書の内容をよく比較検討する
  • 営業マンの対応をチェックする
  • 業者の施工実績を確認する
  • 必要な資格や許可を持っていることを確認する
  • アフターフォローや保証内容を確認する

優良業者の見極め方や悪徳業者の特徴は以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

 

まとめ

本記事では主に60万円の予算で外壁塗装を行う方法について紹介しましたが、60万円は外壁塗装を行うための最低限の金額といえなくもありません。

もちろん塗装する建物の大きさや使用する塗料のグレードによっては60万円以下のの金額でも施工可能ですが、一定の品質を確保するためには適切な費用相場での工事がとても大切です。

予算60万円ギリギリでは選択の幅が制限されることが多く、塗料のグレードを妥協しすぎてしまうと後で後悔することにもなりかねません。

そのため、自治体の補助金や助成金、火災保険の保険金、リフォームローンなど利用できるものはできるだけ利用するようにして、悔いが残らないような外壁塗装工事を行うことが大切です。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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