【プロが解説】外壁塗装で値引き交渉を行う方法!
外壁塗装工事を依頼する際、工事費用の値引き交渉をしたいと考えている方も多いと思います。
実際、見積もり書提出の際に値引き交渉を行うことは可能です。
しかし大幅な値引き交渉や無理な値引き交渉は、工程省略などの手抜き工事を招く恐れがあるためおすすめできません。
そこでこの記事では無理なく値引き交渉を行う方法をはじめ、値引き交渉前に知っておきたいポイントや手抜き工事の事例、少しでも外壁塗装工事の費用を安くする方法などを紹介します。
目次
外壁塗装の値引きの限界は最大で10%程度
業者による値引きの額は平均でも全体の額の数%程度で、最大でも10%程度が限界であるといわれています。
また、綿密な現地調査をもとにはじめからギリギリの額で見積もり額を提示している業者の場合には 値引きをすることができないこともあります。
この場合には、どんなに交渉しても値引きは端数程度でしょう。
無理に大幅な値引きを強要してしまうと、品質の良い工事は期待できなくなってしまいます。
外壁塗装工事では現在の外壁の劣化状況を詳しく調査して、外壁の面積や足場の数量などを細かく算出した上で見積もり書を作成します。
したがって個別に見積もりした金額からさらに大幅な値引きをする業者があるとすれば、そもそも最初に提示した金額が相場よりも高額だった可能性が高いといえるでしょう。
中にはあえて数量や単価を割り増しした金額の見積もり書を最初に提示しておいて、そこから大幅な値引きを行って契約するといった営業手法をとる悪徳業者もいるようです。
値引き交渉の前に知っておきたい3つの重要ポイント
この章では、実際に業者に値引き交渉を行う前に知っておきたい3つの重要なポイントを紹介します。
外壁塗装には費用相場がある
外壁塗装にはある程度の費用相場があります。
業者の悪質な営業手法に騙されないようにするためには、これを知っておくことが大切です。
建物の延べ床面積別の外壁塗装費用の相場(2階建の場合)は、概ね次のようになります。
延べ床面積(建坪) | 外壁塗装費用の相場 |
30坪 | 60~90万円前後 |
40坪 | 90~140万円前後 |
50坪 | 100~150万円前後 |
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外壁塗装の工事費用は外壁の面積によって決まるので、同じ床面積でも建物の形状や窓の大きさや 数量、屋根の形状などによって工事費用に差が出ます。
また、建物の立地条件や外壁の劣化度合い、使用する塗料のグレードによって費用が高額になることがありますが、上記の費用相場から大きく逸脱してしまうことはほとんどありません。
何かしらの理由があって別途費用がかかる場合は、見積もり書にその旨が記載されています。
外壁塗装の費用相場については、以下の記事を参考にしてください。
足場代は値引き対象ではない
足場は外壁塗装工事を行う際に欠かすことができないものですが、施工後にはすべて解体してなくなってしまうものなので、注文者にとってはできるだけ費用を負担したくないものです。
そのため、業者から「足場代をサービスします」といわれることがあります。
足場代は外壁塗装工事の見積もり金額全体の20~25%近くを占めるので、足場代が無料になることは絶対にあり得ません。
したがって足場代をサービスするという業者の場合には、ほかの部分で水増し請求していることが考えられます。
このような営業トークを使って勧誘してくる業者には注意が必要です。
また、中には足場代を無料にして簡易的な足場で作業を行う業者もいますが、高さ2m以上の箇所で作業を行う場合には足場を設置することが法令で定められています。
法令違反になるばかりでなく、職人が不安定な姿勢で作業することにもなるので、塗りムラや塗り残しの原因になって仕上がりも決して良くならないことを知っておきましょう。
なお、足場代は自分でも概算費用を計算することができるので、事前に計算しておくと役に立ちます。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
アフターフォローも考慮し、正しい方法で値引き交渉を行う
前述したように外壁塗装工事にはある程度の費用相場があります。
そのため、業者に無理な値引きを要求してしまうと、業者は利益が確保できなくなってしまいます。
その場合には 業者からアフターフォローなどの継続したサービスが受けられなくなってしまう恐れがあり、万一引き渡し後に不具合が発生した場合にも対応してもらえなくなる可能性があります。
過度な値引き交渉の結果、必ずどこかにしわ寄せが生じてしまうので、業者の適正利益を守るためにも過剰な値引きには注意が必要です。
アフターフォローの重要性についてはこちらのこちらの記事で詳しく解説しています。
プロが伝授!外壁塗装で値引き交渉を行う方法
外壁塗装工事費の値引き交渉は難しいといっても、注文者の立場からは少しでも安く工事を行いたいものです。
では業者にどのように交渉すれば良いのでしょうか。
この章では、外壁塗装の値引き交渉を円滑に行う方法を紹介します。
値引き交渉➀:工事の日程を指定しない
業者に値引き交渉に応じてもらうためには、決して自分たちの要望だけを業者に強要するのではなく、業者側にもメリットがあるような交渉条件が必要になります。
ひとつの例として、外壁塗装工事の日程を注文者側から指定するのではなく、業者の都合に合わせてスケジュールを組んでもらうようにすると、値引き交渉にも応じてもらえる可能性が高くなります。
どんな業者にも閑散期と呼ばれる時期があるので、閑散期に工事予定を入れてもらえれば業者にとってもありがたいことです。
このように注文者側も一定の譲歩をすることで、値引き交渉が可能になります。
「ギブ&テイク」が交渉を上手に進める秘訣であることは、外壁塗装工事の場合も同じです。
外壁塗装におすすめの時期や繁忙期、閑散期については、以下の記事で詳しく紹介しています。
値引き交渉➁:複数の業者から相見積もりを取得する
業者との価格交渉を成立させるためには、値引きの落としどころを踏まえて交渉することが大切です。
1社の見積もり書だけを見ていても、それが高いのか安いのかが判断できません。
そのため、複数の会社の見積もり書を比較検討することで、「そもそも値引き要求ができる見積もり金額なのか」「どの程度の金額であれば価格交渉に応じてもらえそうなのか」がつかめるようになります。
理由もなく一方的に値引きを要求しても、企業努力ではじめから安い見積もり金額を提示している業者であったら逆効果になってしまうこともあるので、戦略的に交渉を進めることが大切です。
相見積もりの正しい取り方や比較方法などは、以下の記事で詳しく紹介しています。
値引き交渉➂:工事を依頼したい気持ちを伝える
担当者の人柄が良い、説明が分かりやすくて信頼できそう、知人からの評判が良いなどの理由で工事を依頼したい業者があるものの、見積もり金額が予算に合わないといった場合には、その気持ちを業者に正直に伝えてみましょう。
相手も人間なので気持ちが相手に伝われば、普段は値引きに応じることがなくても、ある程度の額までは値引きしてもらえることがあります。
塗装業者の立場からも値引きして当たり前といった態度の顧客が多い中で、このようなお客様には何とかしたいと思うものです。
外壁塗装工事では工事引き渡し後にも点検やメンテナンス工事などで顧客と長いつきあいになることが多いため、お互いの信頼関係が重視される傾向があります。
値引き交渉➃:端数切捨てや消費税抜き価格を提示してみる
業者の担当者に 話をした結果、まとまった金額を値引きしてもらうのが難しいと感じたら、見積もり書に提示された金額の端数を切り捨ててもらえるように交渉してみると良いでしょう。
たとえば975,000円の見積もりであれば5,000円を切り捨ててもらうなど、1万円以下の値引き要求であれば応じてもらうことができる可能性があります。
また、消費税を値引きしてもらえるように交渉するのも一つの手段です。
消費税は消費者に代わって業者が国に納めるものなので業者の利益ではありませんが、業者の事業年度を調べて期末以外のタイミングで価格交渉すると値引きしてもらいやすくなります。
絶対にやってはいけない値引き交渉とは?
「できるだけ安く外壁塗装工事をしたい」というのは誰もが思うことですが、必要以上に業者に値引きを要求すると、品質低下を招くことは明らかです。
この章では、絶対にやってはいけない値引き交渉の事例を紹介します。
業者間で価格競争をさせる
複数の業者に相見積もりを依頼して、各社の見積もり書の内容を比較検討することは業者を選定するうえで必要なことです。
しかし「A社は○○円だったけど、それ以下にはならないの?」というように他社の見積もり金額を明かしてそれよりも安くしようと交渉するのはルール違反です。
このようなことを続けていると、「自社の情報も他社に漏れている」と業者からの信頼を失うことになります。
契約の条件に値引きを強要する
「○○円にしてくれたらお宅と契約する」といって契約の条件に値引きを強要するのも避けた方が無難です。
値引きをするためには業者側にも対策が必要になるので、何らかのコストダウンが必要になります。
企業努力で対応できる範囲であれば良いのですが、度を越してしまうと不正や手抜き工事の原因になり、施工品質や耐久性に悪影響を与えるようになってしまいます。
高額値引きを要求する
業者から提示される金額はほとんどの場合が適正な工事を行うために必要な金額で、業者の粗利率は30%前後です。
他社にも相見積もりを取っていると知れば、業者は最初からギリギリの金額を提示するでしょう。
したがって見積もり金額が100万円の工事を30万円値引きしたとすると、業者の粗利益は0円で、経費はおろか従業員の給与も残りません。
当然100万円の工事と同じ内容の工事を行うことができるはずはないので、結果として手抜き工事になってしまうのは明らかです。
このような値引き交渉に応じるとしたら、悪徳業者の可能性が疑われます。
下地処理を行わない、低品質の塗料で塗装する、本来必要な塗料の乾燥時間をとらずに工期を短縮する、3回塗りを行わずに2回塗りで仕上げる、人件費が高い熟練工を使わないなどといったことが考えられます。
高額な値下げを提案してくる業者に注意!
外壁塗装工事には費用相場があるため、優良業者が作成した適正な見積もり書であればそこから大幅な値引きをすることはほとんどありません。
数十万円単位もしくは見積もり金額の10%を超える値引きを自ら提案してくる業者は最初の見積もり金額が高い悪徳業者である可能性が高く、悪質な工事を行うことが疑われます。
このような業者は、施工不良が発覚する頃にはすでに連絡が取れなくなっていることも珍しくないので注意が必要です。
値下げ交渉で発生しやすい手抜き工事や不具合の事例
外壁塗装業者の中には顧客から過剰な値引きを強要されても、契約をとるために苦渋の決断をして値下げしてしまう業者もいます。
この章では、外壁塗装工事の際に値下げ交渉を行った結果発生しやすい手抜き工事の事例を紹介します。
外壁塗装の3回塗りが守られていなかった
外壁塗装で使用する塗料には塗料メーカーが定めた塗装回数があり、ほとんどの塗料が3回塗りをするようになっています。
3回塗りを行うためには十分な乾燥時間を含めて2~3日かかりますが、過剰な値引きを行うことでスケジュールを短縮して人件費を節約したり、塗料代を浮かせるために規定の作業を行わなかったりする塗装業者もいます。
塗料にはメーカーが定めた適切な乾燥時間が定められているほか、正しい塗装回数も決められています。
そのため、これらを守らないで工程を簡略化させてしまった場合は、塗料の性能が発揮されずに不具合の原因となります。
また、塗膜が十分に形成されないことから塗料の耐用年数よりも早く劣化症状が発生する可能性が高くなります。
塗料の3回塗りに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
見た目がきれいに仕上がらず塗装ムラが発生してしまった
高額な値引きを要求すると、塗装業者は人件費が高い熟練の職人を現場に配置しなかったり、多少雑になってもスピード重視で作業を行なったりしがちになります。
また、塗料代を節約するために塗料を薄めて使用する手抜きなども発生する可能性があり、塗装ムラや塗り残しなどが発生する危険があります。
最悪のケースでは再塗装が必要になってしまうこともあるので、業者が再塗装に応じなければ新たに別の業者に外壁塗装工事を発注することにもなりかねません。
塗料本来の性能が発揮されていない
外壁塗装に使用する塗料は、塗料メーカーが定める作業手順や希釈率などを遵守することではじめて性能を発揮することができるようになっています。
これらの作業手順や希釈率を守らないで施工してしまうと塗料の性能が100パーセント発揮されず、どんなにグレードが高い塗料を使用していたとしても無駄になってしまいます。
外壁内部に不具合が発生してしまった
外壁塗装を行う前にはひび割れの補修や剥がれかけた古い塗膜の除去などの下地処理を丁寧に行ったうえで新たに塗装を行います。
しかし、過剰な値引きをしたことによって業者の予算が不足するようになると、これらの作業は省略されがちになります。
下地処理がしっかり行われていない場合は塗装直後ではなく数年後に外壁に不具合が生じるといわれており、雨漏りやシロアリの被害が発生する危険性があります。
値引き交渉以外で安く外壁塗装工事を依頼する方法
この章では過剰な値引き交渉を行わなくても、安く外壁塗装工事を依頼する方法を紹介します。
施工単価が安い塗料を選ぶ
外壁塗装工事費用は使用する塗料のグレードによって左右されるため、予算に合ったお手頃な塗料を選択することで、無理することなく費用を抑えることができます。
主な塗料の費用相場と耐用年数の目安は次の表のようになります。
塗料の種類 | 費用相場 | 耐用年数の目安 |
アクリル塗料 | 1,000~1,800円/㎡ | 5~8年 |
ウレタン塗料 | 1,500~2,500円/㎡ | 7~10年 |
シリコン塗料 | 1,800~3,500円/㎡ | 10~15年 |
ラジカル(制御型)塗料 | 2,200~4,000円/㎡ | 12~15年 |
光触媒塗料 | 3,800~5,500円/㎡ | 12~20年 |
フッ素塗料 | 3,500~5,000円/㎡ | 15~20年 |
無機塗料 | 4,500~5,500円/㎡ | 20~25年 |
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塗料は一般的に価格が高額になるほど耐用年数が長くなりますが、塗料の中でもシリコン塗料は価格と品質のバランスが取れているため、現在住宅の外壁塗装工事で最も多く使われている塗料になります。
アクリル塗料とウレタン塗料は価格が安いのがメリットですが耐用年数が短いため、今後長く住む予定の家にはおすすめできません。
長期的なスパンで考えると塗り替え周期が短くなるので、結果として割高になってしまいがちです。
しかし今後建て替えの予定がある場合や引っ越す予定がある場合などは、アクリル塗料やウレタン塗料で外壁塗装をすることで全体の工事費用を安くすることが可能です。
業者のキャンペーン期間や閑散期に工事を依頼する
外壁塗装業者の中には、閑散期や季節の変わり目などにキャンペーンを行って特別価格で工事を提供していることがあります。
たとえば梅雨の時期などは外壁塗装業者の閑散期になるので、条件さえ合えばお得に外壁塗装を行うことができます。
梅雨の時期の外壁塗装については、以下の記事で詳しく紹介しています。
閑散期は、お住まいの地域ごとに異なります。例えば台風が多い地域では夏場はどうしても外壁工事が敬遠されがちです。また、寒冷地では冬場が閑散期となります。
しかし閑散期であっても気象条件さえ守れば外壁塗装工事は施工可能ですので、閑散期の工事について業者と相談してみるのも良いかもしれません。
また、業者によっては閑散期の集客を狙ったキャンペーンを行なっています。
これらの情報は新聞の折り込みチラシやポスティングチラシ、タウン誌、業者のホームページなどに記載されていることが多いので、こまめにチェックしておくと良いでしょう。
屋根工事との同時施工もおすすめ
外壁塗装を行う際には足場が必要になるので、同様に工事を行う際に足場が不可欠になる屋根のメンテナンス工事と同時に施工すれば、本来なら2回かかる足場代15~20万円を1回分節約することができます。
工事を実施する際の出費は多くなりますが、トータルのメンテナンス費用は安く抑えることができます。
屋根修理が必要になるタイミングの見極め方などについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
自治体の助成金や補助金を利用する
外壁塗装工事を行う際には、自治体から支給される助成金や補助金を利用できることがあります。
主に遮熱塗料や断熱塗料などの省エネ対策になる塗料を使って外壁塗装を行う場合に補助対象となることが多いようです。
申請条件や申請方法などは自治体によってさまざまなので、一度ホームページなどで調べてみると良いでしょう。
助成金がある市町村リストや助成金の注意点について、以下の記事でまとめているのでぜひ参考にしてください。
まとめ
外壁塗装工事には100万円ほどの高額な費用がかかることがほとんどなので、業者に値引き交渉を行って少しでも費用を安く抑えたいと思う方が多いと思います。
値引きをしてもらえるかどうかは業者によって異なりますが、過剰な値引き交渉は塗装の品質低下を招く恐れがあるのであまりおすすめできません。
この記事では、業者に値引き交渉を行う際の注意点や値引き交渉の進め方、値引き交渉を行った際の失敗例などを紹介しているので、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。
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