外壁塗装の「スタッコ仕上げ」とは?特徴、注意点
外壁塗装の仕上げ方法の中に、「スタッコ仕上げ」というものがあります。
スタッコ仕上げは昔からよく使われてきた仕上げ方法で、一般の住宅やマンションの外壁、ブロック塀などにも多く用いられていることが特徴です。
この記事にたどり着いた方の中には、外壁塗装業者からスタッコ仕上げについて提案された方もいらっしゃると思いますが、専門業者ではない限りスタッコ仕上げについて詳しくご存知の方はいらっしゃらないのではないかと思います。
そこで今回は、スタッコ仕上げについての特徴やメリット・デメリットを紹介します。スタッコ仕上げを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
外壁塗装における「スタッコ仕上げ」とは何?
スタッコ仕上げとは、日本に昔からあるオーソドックスな外壁の仕上げ方法の一つです。
スタッコは化粧漆喰とも呼ばれる建築材料ですが、スタッコ仕上げは石灰と水、セメント、砂などを塗料に混ぜた後に外壁に塗布していく仕上げ方法です。スタッコ仕上げの外壁は塗膜がとても厚く耐用年数は10年ほどと長めであることが特徴です。
この章では、スタッコ仕上げ特有の特徴や、スタッコ仕上げを見分ける方法について詳しく解説します。
意匠性が高いため重厚感のある外壁にすることができる
スタッコ仕上げは意匠性が高く、他の仕上げ方よりも表面の凸凹が激しいことが特徴です。そのため、外壁に用いることで重厚感を演出することができます。
この特徴を利用して、世界中の歴史的な建築物や壁画の装飾などにも多く使われています。
スタッコ仕上げかどうかを見分ける方法とは?
スタッコ仕上げはリシン仕上げなどの仕上げ方と見た目が似ているため、仕上げ方がスタッコ仕上げかどうか素人ではなかなか判断しづらいのが難点でもあります。
しかし実際スタッコ仕上げで仕上げられた外壁の表面を触ってみると、 リシン仕上げよりも滑らかな肌触りであることが分かります。
この方法でスタッコ仕上げと他の仕上げ方を見分けることができるため、「これはなに仕上げなんだろう?」と思った時は、まずは直接外壁の表面に触れてみるのが良いでしょう。
スタッコ仕上げとよく混同されるリシン仕上げというものは、原材料が塗料に砂を混ぜたものになります。
それに対しスタッコ仕上げは大理石や骨材なども含まれているため、 塗膜が厚く仕上がることが最大の特徴です。
リシン仕上げについて、仕上げ方や特徴などについては以下の記事を参考にして下さい。
スタッコ仕上げには2種類の仕上げ方がある
スタッコ仕上げには、「コテ仕上げ」と「吹き付け塗装仕上げ」と呼ばれる2種類の仕上げ方があります。この章では、それぞれの仕上げ方について詳しく解説します。
コテ塗りスタッコ仕上げ
コテ塗りスタッコ仕上げは、職人が専用のコテを用いて手作業で模様をつけていく工法です。コテだけではなく刷毛や木片などを用いて仕上げることもありますが、コテ塗り仕上げは職人の熟練度・経験やセンスによって仕上がりが大きく左右します。
一人一人の技術や作業内容、塗り方やセンスによって仕上がりが異なるため、唯一無二の仕上がりにできるのが特徴です。
オリジナル性を重要視する方には、コテ塗りスタッコ仕上げをおすすめします。
吹き付けスタッコ仕上げ
吹き付けスタッコ仕上げは、コンプレッサーやガンと呼ばれる専用の噴射器具で塗料を吹き付けて模様をつけていく工法です。スタッコ仕上げでは、一般的にこの吹き付け工法を使用しています。
吹き付け工法には吹き付けたまま固める「吹き放し仕上げ」と、吹き付けた後にローラーやコテで押さえてデザインを形成する「ヘッドカット仕上げ」というものがあり、仕上げ方によって外壁の雰囲気も変わるため、施工業者と丁寧に相談して住宅のデザインにぴったりな仕上げを選ぶようにしましょう。
スタッコ仕上げのメリット・デメリットとは
スタッコ仕上げのメリットは、デザイン性が高く耐用年数が長いという点にあります。
しかし、仕上げ方法によってもメリットやデメリットは異なります。
それぞれの仕上げ方法に対するメリットやデメリットをさらに詳しくみていきましょう。
スタッコ仕上げのメリット
まずはスタッコ仕上げのメリットを仕上げごとに解説します。
■コテ仕上げ:デザイン性が高く耐久性が向上する
コテ仕上げは職人の手によって模様が作られていくため、オリジナルの模様を作ることができるのが最大の特徴です。
デザイン性を意識される方は、実際に作業を行う職人と念入りに打ち合わせを重ね、希望通りの外壁に仕上がるように仕上がりのイメージをはっきりさせておくようにしましょう。
またスタッコ仕上げの欠点であるヒビや剥がれについても、施工を行う職人の腕次第で耐久性を上げることができます。
■吹き付けスタッコ仕上げ:工期が短く工事価格が安い
吹き付けスタッコ仕上げは機械で塗装を行うため、工期を短く済ませることが最大のメリットとなり、工期は1週間程度とされています。また工期と同時に、施工費用も安く抑えることができるのが吹きつけスタッコ仕上げのメリットの一つです。
先述した通り手作業ではなく機械で作業を行っていくため、そのぶん人件費がかからず、工事価格を安く抑えることができます。
スタッコ仕上げのデメリット
スタッコ仕上げのデメリットも詳しく見ていきましょう。
■汚れが目立ちやすく仕上がりが職人の腕に左右される
スタッコ仕上げは職人が手作業で模様をつけていくため、仕上がりが職人の腕に左右されるというデメリットがあります。また凹凸が多いため汚れが目立ちやすいこともデメリットの一つです。ここではそれぞれのデメリットについての対策方法や、仕上げ方法ごとのデメリットについて紹介します。
■仕上がりが職人の腕に左右される
スタッコ仕上げの仕上がりは職人の腕に左右されますが、このデメリットは信頼して依頼をすることができる優良業者を見つけることで解決することができます。
検討している業者の口コミや施工実績などを参考にして、信頼できる業者に依頼するようにして下さい。
■汚れが目立ちやすい
スタッコ仕上げは表面の凹凸部分に汚れが蓄積しやすいため、長いこと掃除をしないで放っておくと汚れが目立ちやすくなってしまいます。
このデメリットは定期的な掃除により解消することができます。
■耐久性が低くヒビ割れしやすい
スタッコ仕上げの塗料は一般的な塗料と比べると耐久性が低くひび割れしやすいため、再塗装する際は使用する塗料の量が他の仕上げ方と比べて多くなります。
メンテナンスにもある程度費用がかかるということを事前に知っておく必要があります。
■コテ仕上げのデメリット:工期が長く費用が高い
コテ仕上げは職人が直接自分の手で模様をつけていくため、その分工期が長くなります。
そのため人件費などの施工にかかる費用も高額になる傾向があります。
■吹き付けスタッコ仕上げのデメリット:デザインのバリエーションが少なく耐久性が低い
吹き付けスタッコ仕上げは、コテ塗りと比較するとどうしてもありきたりなデザインとなってしまうことがデメリットです。
デザインのバリエーションが少ないため、外観のデザインにこだわりを持つ方にはあまりおすすめできない工法です。
また、他の仕上げ方と比較すると耐久性が低くひび割れや割れ欠けなどが発生しやすいということもデメリットといえるでしょう。
スタッコ仕上げにかかる費用相場と耐用年数
スタッコ仕上げにかかる費用相場は30坪の住宅の場合で通常80万円〜150万円ほどとされています。
また一口にスタッコ仕上げの費用といっても、工法によってそれぞれ費用相場は異なります。この章では、工法ごとの費用相場と耐用年数について紹介します。
コテ塗りスタッコ仕上げの場合
コテ塗りスタッコ仕上げの場合の費用相場は7000円/㎡とされています。
またこれらの料金に足場代金(10万円から20万円)や養生代・諸経費(5万円から30万円)などが加算されていくため、施工箇所が広ければ広いほど料金は高額になります。
吹き付けスタッコ仕上げの場合
吹き付けスタッコ仕上げの場合の費用相場は以下の通りです。
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これらの料金は住宅の構造や使用する材質、料金などによっても変動します。
またコテ塗りスタッコ仕上げ・吹き付けスタッコ仕上げの耐用年数は、どちらもおよそ10年ほどとされています。
スタッコ仕上げで起きやすい劣化症状と対処方法
スタッコ仕上げの外壁は耐用年数に限らず劣化症状が起きる場合があり、劣化症状が発生した場合はメンテナンスを行う必要があります。
この章ではスタッコ仕上げの外壁に発生する劣化症状とその対処方法を紹介します。
外壁表面の凹凸に入り込んだ汚れ
スタッコ仕上げの外壁は凹凸が多く、外壁表面の凹凸の隙間に汚れが溜まりやすいといわれています。
また、表面が平らではないため、汚れが雨などで落ちにくいというデメリットがあります。そのためスタッコ仕上げの外壁の美しさを保つためには、定期的な洗浄を行う必要があります。
チョーキング
チョーキングとは外壁の表面にチョークの粉のような白い粉が付着する劣化現状です。
チョーキング現象が起きているかどうかは、実際に外壁を触ることで判別することができます。
このチョーキング現象は外壁の劣化症状の一つで、チョーキング現象は起きている外壁の塗膜の耐久性が落ちているというサインになります。
チョーキング現象が起きている場合は、再塗装によるメンテナンスを行う必要があります。
ひび割れ(クラック)
スタッコ仕上げでは、地震の衝撃など建物に強い力が加わることでひび割れ(クラック)が発生してしまうことがあります。
細長いクラックの場合はその後すぐに外壁の劣化へと繋がる可能性は低いですが、小さなクラックであっても放置をしておくと隙間から水分が浸透し、内部が腐食してしまうこともあります。
一度外壁の内部に水分が侵入してしまうと、大規模な補修工事が必要となってしまうこともあり、工事を行う際も高額な費用がかかってしまう可能性もあるでしょう。
スタッコ仕上げを行った外壁にクラックが発生してしまった場合は、再塗装を行う前にまずはシーリング材を充填し補修を行うようにしてください。
塗膜の膨れや剥がれ
スタッコ仕上げを行った際、塗材と空気を一緒に閉じ込めてしまうことで、一定の時間が経過した後に塗膜の膨れや剥がれといった劣化症状が起きることがあります。
もしもこれらの劣化症状が塗装後3年以内に起こった場合は施工不良である可能性が高いため、施工を依頼した業者に問い合わせて補修を依頼して下さい。
これらの症状を放置しておくと、剥がれた塗膜からひび割れやクラックなどが起きてしまい建物自体の耐久性が低下してしまう原因となります。
劣化症状を発見した際はなるべく早く業者に点検を依頼し、場合によってはすぐに補修工事を行うようにして下さい。
コケやカビ、藻の発生
スタッコ仕上げは表面が平らになっている他の外壁と比べると、凹凸部分にコケやカビ・藻などが発生しやすくなります。
コケやカビ・藻の発生は外観を損なうだけでなく塗膜の剥がれやひび割れの原因となってしまうため、日頃から点検を行うなどの注意が必要です。
また、汚れなどを定期的に掃除をするように心がけましょう。
スタッコ仕上げの注意点
スタッコ仕上げを行う際は、「下地補修をしっかり行う」「十分な乾燥時間をとる」「技術力が高い業者に依頼をする」などの注意点があります。この章ではそれぞれの注意点について詳しく解説します。
下地補修をしっかり行う
スタッコ仕上げを行う際は、下地補修が最も重要なポイントとなります。
下地補修をしっかり行わなかった場合は外壁の劣化スピードが早まってしまったり、すぐに再塗装を行わなくてはならなくなってしまう原因となってしまうため、大規模なダメージや劣化が起きてしまうことを未然に防ぐためにも下地補修をしっかり行うことが大切です。
またスタッコ仕上げの再塗装を行う際は、使用する塗料の量も他の仕上げ方法に比べると多くなることを事前に把握しておきましょう。
十分な乾燥時間を取る
スタッコ仕上げは表面上の凹凸が多いため、塗装を行う際は充分な乾燥時間を取る必要があります。
乾燥時間を十分に取らないと塗膜の膨れや剥がれの原因となるため、他の仕上げ方よりも多く乾燥時間を確保する必要があります。
技術力のある優良業者に依頼する
スタッコ仕上げは、作業を行う職人の手によって仕上がりが大きく左右します。
希望通りの外壁に仕上げるためには、高度な技術を持ち、豊富な経験がある優良業者に依頼を行うことをおすすめします。
優良業者を見極める際は、「適正価格で見積もり料金を出しているか」「対応が丁寧で寄り添っているか」 「営業をしつこくしてこないか」などの点に注目して、安心して依頼できる業者を見つけるようにしましょう。
優良業者の見極め方や悪徳業者の特徴などは、以下の記事を参考にして下さい。
スタッコ仕上げはこんな方にオススメ!
スタッコ仕上げはモルタル外壁に適している仕上げ方法になります。
そのためご自宅がモルタル外壁の方や外観のデザイン性を重視される方、平面ではなく凸凹した外壁に仕上げたい方はスタッコ仕上げをおすすめします。
ただしスタッコ外壁はおしゃれな反面、費用が高額であったり耐久性が低かったりといったデメリットも複数存在します。
スタッコ仕上げを検討されている方は、それらのデメリットを考慮した上でスタッコ仕上げを選択して下さい。
まとめ
スタッコ外壁の特徴や耐用年数、またどのような形にスタッコ外壁をお勧めしているかなど、 スタッコ外壁に関する様々な知識を紹介しました。
スタッコ仕上げの外壁は、そのデザイン性の高さから人気が高く、現在さまざまな場所で取り入れられています。
しかし施工を行う職人の腕次第で仕上がりが大きく変わるため、スタッコ仕上げの外壁を希望する際は慎重に職人選びを行い、自分の理想の外壁に仕上げてくれる業者を選ぶことが最も大切です。
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