外壁塗装で詐欺被害があるって本当?怪しい業者の見分け方

外壁塗装の業界には残念ながら、詐欺のような手口で勧誘したり怪しげな見積書を提示したりして不具合だらけの工事を行う業者が存在しています。

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターによると、外壁塗装を含むリフォームの相談件数は毎年約 20,000 件にも及び、こうしたトラブルは今後も減りそうにありません。

またトラブルの内容別でも上位には外壁工事が多く含まれており、詐欺に関連するものも決して少なくありません。

そこで今回は、怪しい外壁塗装業者に騙されないための様々な情報を詳しくご紹介します。

外壁塗装で詐欺に遭わないためにこの2つに注意!

外壁塗装でのトラブルや国民生活センターへの相談が発生する事例の多くが「訪問販売」に関するものです。

そしてそれと同じように、「点検商法」によるトラブル事例も後を絶ちません。

外壁塗装で詐欺に遭わないためにまず注意しなければならないのが、訪問販売と点検商法だといえます。

もちろんこれら全ての業者が怪しいという訳ではありませんが、疑ってかかった方が良いでしょう。

そこで、訪問営業と点検商法それぞれについてご紹介したいと思います。

訪問営業

訪問営業の手口で最も代表的なのが、いきなり訪問してきて「外壁がかなり傷んでいるので、このまま放置しておくと大変なことになる」などといって建物所有者の不安を煽り、外壁塗装工事などの契約を迫るケースです

独立行政法人国民生活センターによると、訪問販売によるリフォーム工事(屋根工事、塗装工事、増改築工事など)の相談件数の推移は以下になります。

年度 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年
相談件数 7,223 件 8,000 件 8,757 件 ※1,864 件

独立行政法人国民生活センター:訪問販売によるリフォーム工事・点検商法
※2021 年は 6 月 30 日現在(前年同期1,464 件)
※横にスクロールしてください。

点検商法

点検商法は、無料で点検させて欲しいなどといって敷地内や建物内に入り込み、点検後「至急工事をしないと危険」などといって不安を煽って契約を迫る方法です。

外壁塗装以外のリフォーム工事(屋根工事、シロアリ駆除工事、耐震補強工事など)でも多くの被害が発生しています。

そもそも専門家が点検をしているとは限らず、中には素人が適当に点検後に契約、しかし工事代金を支払っても工事が始まらなかったというケースもあります。

国民生活センターによると、点検商法による相談件数の推移は以下になります。

年度 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年
相談件数 5,684 件 5,759 件 7,009 件 ※1,424 件

独立行政法人国民生活センター:訪問販売によるリフォーム工事・点検商法
※2021 年は 6 月 30 日現在(前年同期1,149 件)
※横にスクロールしてください。

外壁塗装の訪問営業・点検商法の詐欺の手口とは?

外壁塗装の訪問営業、点検商法の詐欺の手口とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

トラブルに巻き込まれて騙されないようにするためにも、そのポイントを良く理解しておきましょう。

契約を迫ってくる

とにかく不安を煽って、「早くなんとかしなければ・・・」という気持ちにさせるのがこうした業者の常套手段です。

別の業者に相談したり、相見積もりを依頼したりするのを極力避けようとするので、今だけの特別価格だと言ったり大幅な値引きをしたりして、考える時間を与えてくれません。

業者のペースに乗せられて、勢いだけで契約してしまわないようにすることが大切です。

見積書や契約書が雑に書かれている

詐欺の手口として、見積書や契約書に細かいことまで記入しないという方法があります。

細かい点まで記入してしまうと、後で言い逃れができなくなってしまうからです。

また、そもそも詐欺行為を行う営業マンは実は素人であることが多く、営業マンの能力的に詳細な見積書を作成することができないということもあるでしょう。

いずれにしても、使用する塗料の名称や数量などの内訳のない見積書や契約書は信用できません。

この様な見積書や契約書で契約するのは絶対にやめましょう。

見積書の確認の仕方についてはこちらの記事を参考にしてください。

 

工事金額の前払いを要求される

契約時に工事代金の全額前払いを要求するのも、悪質な業者の常套手段といえます。

代金を全額支払ってしまうと、後から怪しいと気付いてもなかなか解約することができません。

またいつまで待っても工事に着手しないというケースもあります。

外壁塗装工事に限らず建築工事・リフォーム工事においては、一時金として代金の一部(工事代金の 1/3~1/2 程度)を分割して契約時に支払うことはあっても、全額前払いを要求されることはまずありません

したがって全額前払いを要求する業者との契約は、控えた方が良いでしょう。

外壁塗装の怪しい業者を見抜くポイント

訪問販売や点検商法以外にも、外壁塗装業者による詐欺の被害が報告されています。

しかし外壁塗装の基本的な知識や工事費用の相場を知っていれば、簡単に詐欺の被害に遭うことはありません。

そこでこの章では、怪しい業者を見抜くポイントをご紹介します。

通常ではあり得ない値引きをする

塗装業者は、現場ごとに適正な利益を確保していかなければ会社の経営が成り立ちません。

外壁塗装工事の適正粗利益率(請負金額-材料費-人件費-外注費/請負金額)は、会社の規模や営業の形態によっても多少異なりますが、概ね 30%前後といえます。

一般的な住宅の外壁塗装工事は 100 万円前後(粗利益 30 万円前後)になるので、見積もりの段階で 200 万円程度の金額を提示し、50万円以上の値引きをする業者は怪しいといえます。

適正な業者であれば、値引きの限度額は見積金額の10%以内と考えておいて良いでしょう。

また、外壁塗装には必ず足場が必要になります。

通常であれば30坪程度の2階建住宅の場合の足場代は15万円程度かかります。足場代無料や足場代をサービスするという業者も、同じ理由から信用できません

足場代についてはこちらの記事を参考にしてください。

 

オリジナル塗料の使用を勧める

塗装業者の中には、25~30年持つといってオリジナル塗料を勧め、高額な見積金額を提示する業者がいます。

国内を代表する日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研などの大手塗料メーカーの商品ではなく、自社で開発した塗料や大手メーカーと共同開発した塗料などといって説明するのが常套手段です。

しかしオリジナル塗料とはいってもほとんどが塗料メーカーに特注でつくらせたOEM商品で、塗料メーカーが一般的に販売している商品とほとんど変わりません。

全てが怪しいとまではいえませんが、このような営業トークには十分に注意が必要です。

モニター募集やモニター価格の提示をする

「現在モニターキャンペーンを実施中なので、特別価格で工事可能です」などや「地域内で、割引価格で提供するキャンペーンを実施中」といった営業トークで勧誘してくる業者にも注意が必要です。

値引きや特別感を持たせることで勧誘するのも悪質な業者の常套手段のひとつなので、このような誘い文句に惑わされることがないようにしましょう。

見積書の請求費用が高額である

悪質な業者が提示する見積書は、相場よりも高いものがほとんどです。

安くして手抜きをするよりも、高くして儲けを増やす方が効率よく稼ぐことができるためです。

そのためこちらが相場を知らなければ、容易に騙されてしまいます。

現在はインターネットなどで簡単に相場を調べることができるので、契約する前には必ず相場を調べて、疑問があれば別の業者にも相談するようにしましょう。

外壁塗装の費用相場についてはこちらの記事を参考にしてください。

なぜ、外壁塗装の詐欺が起きるの?

外壁塗装の詐欺に遭う人は、年間でかなりの数にのぼります。また悪質な業者も後を絶ちません。

なぜこれほどまでに外壁塗装の詐欺が多いのでしょうか。その理由をまとめてみましたので参考にしてください。

素人には外壁塗装の知識がほとんどない

一般の方で外壁塗装の費用相場や工事内容などを知っている方はほとんどいないでしょう。

そのため一見親切そうな人から専門用語を交え外壁塗装をすすめられると、だんだんその気になってしまいがちです。

悪質な業者にとっては、外壁塗装の知識がほとんどない相手ほど簡単に手玉に取りやすいといえます。

工事の手抜きがわかりにくい

素人には工事の知識がほとんどないので、業者が手抜き工事をしても気付かれることがありません。

3 回塗るべきところを2回塗りで仕上げたり、塗料を薄めて使用したり、本来必要な下地処理を省いたりしても注文者から指摘される可能性は非常に低いといえます。

しかしこの様な工事を行えば、当初予定していた塗膜の性能を発揮することはできません。

外壁塗装工事では、仕上がってしまえば手抜きをしても一定期間が経過するまではわからないということも悪質な業者が存在する原因になっています。

定価が存在しない

外壁塗装では、塗料メーカーが設定して公表している価格や費用相場はあっても、塗装業者の見積金額が適正なのかどうかは一般の人には非常にわかりにくくなっています。

業者ごとに見積書の単価が異なり現場ごとに施工条件などもさまざまなので、業者に言い値で押し切られてしまうことも少なくありません。

また見積書の単価自体は安くても、色々な項目を付けて過剰請求されてしまうケースもあります。

中には外壁塗装工事一式〇〇円といった、単価や数量を記載しない一式表示のみの見積書を提示する業者も存在しています。

したがって見積書の内容に疑問が残る場合には、絶対にそのまま話を進めてはいけません。

不安を煽られ契約をしてしまう人も多い

見知らぬ業者が突然訪問してきて、「外壁の塗装が劣化しているのでこのままでは大変なことになる」などと言われたら、ほぼ悪質な業者の手口といえます。

こうした業者は口が達者で一見親切そうに見えるので、多くの人が騙されてしまいがちです。

そのまま聞いているとだんだん不安になって契約しないといけない気になってしまうので、話を聞く前にはっきりと断ることが大切です。

心配であれば自分で別の業者を探して相談する様にしましょう。

外壁塗装の詐欺に引っかからないようにするためには

では外壁塗装の詐欺に引っかからない様にするためにはどうすれば良いのでしょうか。

この章では、詐欺を避けるポイントをご紹介します。

訪問販売では契約しない

悪質な業者の多くは、突然訪問してくる傾向があります。

訪問販売業者の全てが悪質な業者だとは言い切れませんが、いきなり訪問してきて不安を煽り、至急工事が必要だというのはほぼ 100%悪質な業者の手口と言っても間違いありません。

したがってこのような業者と外壁塗装工事の契約をするのは絶対にやめましょう。

見積もりにかける時間をチェックする

通常の外壁塗装工事では現地調査を行った上で、調査結果を元に必要な工事項目の選定を行います。

そして図面を元に外壁の面積を計算し工事単価を掛けて見積書を作成、図面がない場合には現場で外壁の面積を実測します。

こうした手順をきちんと踏めば、最低でも現地調査と見積書の作成に2時間程度は必要になります。

したがって30分などの短時間でその場で見積書を作成するような場合は、見積書の信憑性が薄いでしょう。

また、工事内容の根拠を示す診断書や現場写真などがない場合にも注意が必要です。

見積書の項目を必ず確認する

業者から見積書が提出されたら、その内容を必ずチェックしましょう。

数量や塗装する箇所が細かく記載されておらず「○○工事 1 式  ○☓円」となっていたり、使用予定の塗料名やメーカー名が記載されていなかったりする場合は、全く信用できません。

こうした見積書で契約してしまうと手抜き工事が発生しやすくなるばかりでなく、何かトラブルになっても第三者に対して証明できなくなりがちなので、絶対に避けなければなりません。

見積書の確認方法についてはこちらの記事を参考にしてください。

 

営業マンの態度をチェックする

業者と契約書を取り交わす際には、営業マンの態度も事前に十分チェックしておく必要があります。

営業マンが以下の項目に該当する場合には、契約するのを見送った方が良いでしょう。

  • 質問に対して的確な回答が得られない
  • 断ろうとすると態度が変わる
  • 技術ではなく大幅な値引きなど費用面を売りにする
  • 工事代金を前払いさせようとする
  • 営業トークや訪問がしつこい

その他話していて違和感を感じた場合は、必ず断るようにして下さい。

信頼できる営業マンの見極め方についてはこちらの記事を参考にしてください。

外壁塗装の詐欺に遭ってしまった時の対処法

どんなに注意をしていても相手はその道のプロなので、言葉巧みに騙されてしまうことがあります。

また自分ではなくても、知人や高齢の親が詐欺に遭ってしまうこともあるでしょう。

万が一外壁塗装の詐欺に遭ってしまったらどうすれば良いのでしょうか。2つの対処方法を紹介します。

クーリングオフ制度の利用

契約書を取り交わしてしまった後に相手が悪徳業者だと気付いた場合には、クーリングオフが効果的です。

クーリングオフとは契約した日から8日以内であれば、無条件で契約を解除することができる法制度です。

ただし、内容証明郵便か書留郵便で相手方に解約を通知する必要があるなどの条件があります。

契約書が交付されていなかったり、契約書の内容に不備があったりする場合には、適用期間を過ぎていても(工事が着工していても)クーリングオフできる場合があります。

消費者生活センターに連絡をする

契約してから8日を超えてしまってクーリングオフ制度を利用できない場合には、消費者センター(局番無しの188)に連絡してみましょう。

何らかの対応方法のアドバイスがもらえる可能性があります。

また住宅リフォーム・紛争処理支援センター(0570-016-100)でも相談を受け付けています。

外壁塗装の詐欺に遭わないための業者の選び方

外壁塗装で詐欺に遭わないためには、地元で長く営業している業者に依頼することをオススメします。

その際には、地域の評判やインターネットの口コミなどをチェックすることが大切です。

また、過去の施工事例や施工実績なども忘れずにチェックしておきましょう。

詳しくはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。

外壁エージェント(当サイト)でも利用者の口コミが確認できるのでぜひ参考にしてみてください。

まとめ

外壁塗装では業者選定が重要であるとはいうものの、悪質な業者はある日突然訪問してくるので、まずは悪徳業者が多数存在していることを認識しておくことが大切です。

悪質な業者の特徴やよくある手口をあらかじめ頭にいれておくことで、被害に遭うことを回避することができます。

本記事でご紹介したことを参考にして、信頼できる業者とそうでない業者を見分けられるようにしましょう。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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