外壁塗装で模様・パターンをつける方法!施工例も紹介

外壁塗装では外壁に模様をつけ、家の印象やイメージを変えることができます。

しかしどんな模様があるのか、どのような塗料を使うのかなどわからない方も多いと思います。

そこで今回は外壁塗装で仕上げられる模様の種類をはじめ、外壁に模様をつける際の費用相場や注意点を解説します。

外壁塗装で外壁に模様・パターンをつけることができる!

ガルバリウムの壁

外壁塗装では単に着色するだけではなく、外壁に模様やパターンをつけることができます。

外壁につける模様やパターンによって家の印象を大きく変えることができるため、外壁に模様やパターンをつける方も多いようです。

近年ではあらかじめ工場で模様がつけられたサイディングボードを外壁に採用するケースが主流になっていますが、外壁がモルタルの場合には、塗装する際に現場で凹凸のパターンをつけて着色することで外壁塗装が完成します。

また、単に模様をつけて個性を演出するだけではなく模様の種類によって埃や汚れを付着しにくくし、外壁を長持ちさせることが可能です。

サイディングボードの外壁

レンガ調窯業系サイディングの壁

サイディングボードは既製品の外壁材です。

サイディングボードの種類には、現在最も多く普及している窯業系サイディングのほか、金属系サイディングや木質系サイディング、樹脂系サイディングがあります。

サイディングは一部現場で塗装するものもありますが、あらかじめ工場で模様付けと着色が施されているものがほとんどであるため、製品の品質にバラツキがないことがメリットのひとつです。

モルタルの外壁

モルタルの外壁は、左官職人が現場でモルタルを塗りこんで仕上げた下地にパターンをつけて着色して完成させます。

職人の腕の差によって仕上がりに差が出る恐れがありますが、外壁のデザインや意匠性にこだわりを持つ方にはおすすめです。

外壁に模様・パターンをつける方法と模様の例

この章では外壁に模様やパターンをつける方法と、模様やパターンの例を紹介します。

意匠性塗料で模様をつける

塗料にはさまざまな種類がありますが、一般的な単色塗料とは異なり、柄や模様をつけることができる塗料のことを意匠性塗料といいます

意匠性塗料は外壁を本物そっくりのタイルや石、木などに見えるように、基材そのものに凹凸をつけるフルカラー印刷技術を応用しています。

ジョリパット(砂壁状塗材)、水性ペリアートUV(多彩模様塗料)、エレガンストーン(自然石調塗材)、インターナショナルペイント水性高彩色塗料、水性ファインメタリック(メタリック塗料)などのほかに、黒板塗料、マグネットペイント、蛍光塗料などの特殊な塗料があり、好みの仕上がりを選択することが可能です。

このような理由から、住まいに対するこだわりが高い方ほど意匠性塗料を選ぶ傾向があります。

意匠性塗料でつけられる模様の例

意匠性塗料でつけられる模様の種類は塗料によって異なりますが、代表的なものとして次のようなものがあります。

■FDハイブリット漆(三基物産株式会社)

FDハイブリット漆は、漆の質感や肉持ち感(乾燥した塗料の厚みのこと)があり、常湿においても乾燥するため、付着性、作業性に優れています。

本漆を取り扱う塗装業者は多くありませんが、FDハイブリット漆は非常に扱いやすい商品なので、漆の質感を保ちながら塗装を行うことができます。

色は漆よりも鮮明で、金箔などで加飾することも可能です。

■グラナートSP(株式会社アステックペイント)

参照:グラナートSP(株式会社アステックペイント)

グラナートSPは、クリア塗料に多彩な塗膜チップを混入させることで独特の凹凸感が生まれ、天然石を思わせる立体感と落ち着いた風合いを再現することができます。

塗装本来の目的である塗装面の保護機能はもちろん、デザイン性の高い高級感を演出できることが特徴です。

■水性ペリアートUV(日本ペイント株式会社)

参照:水性ペリアートUV(日本ペイント株式会社)

水性ペリアートUVは水性シリコン系多彩模様塗料です。単一色ではなく、さまざまな複合色が自然本来の優しい彩りを創り出します。

耐候性、意匠性、防藻・防カビ性、低汚染性にも優れていて、美しい外壁を長く維持することができます。

意匠性塗料を用い、職人の手仕事で模様をつける

足場

付けることができる模様は職人の腕や意匠性塗料の種類によって異なるものの、意匠性塗料と職人の技術により、外壁にさまざまな模様をつけることができます。

職人の手仕事でつけられる模様の例

ここでは職人の手仕事でつけられる模様の例を2つ紹介します。

■ジョリパットネオJQ-700(アイカ工業株式会社)

参照:ジョリパットネオJQ-700(アイカ工業株式会社)

ジョリパットは約50年にわたる実績をほこる壁面仕上げ用の塗材で、色やデザインの組み合わせ方次第でさまざまな表情を楽しむことができます。

性能面でもほかの塗装仕上げと比べて色あせしにくいのが特徴で、耐候性にも優れています。

また、親水性が高いため汚れがつきにくく低汚染性であることから、汚れやひび割れに強いという特徴があります。

■ベルアート(エスケー化研株式会社)

参照:ベルアート(エスケー化研株式会社)

ベルアートはアクリル樹脂系多意匠装飾仕上塗材で、デザインローラー、ガン、コテ、刷毛などそれぞれの作業方法によりさまざまな仕上がりパターンがあります。

また、塗膜に柔軟性があるため、下地の微細なひび割れにも追従して雨水の侵入を防ぎます。

ステンシルシール工法や手描きで模様をつける

外壁にステンシルシールやフリーハンドによる手描きでさまざまな模様をつけることもできます。

ステンシルシールによる方法では、レンガやタイル、石目調などの模様がつけられたステンシルシール(型紙)を敷き、その上から塗装することで模様を描くことができます。

一方、手描きは職人の手作業によって模様を付けていく方法なので、どんな模様でも外壁に描くことができます。

吹き付け工法で模様をつける

吹き付け工法とはスプレーガンなどの専用の機械を使用して、塗料を霧状にして壁に吹き付けて着色する工法のことをいいます。

ここでは、吹き付け工法で模様をつける方法を紹介します。

吹き付けタイル仕上げ(ボンタイル)

吹き付けタイル仕上げ

吹き付けタイルとは、スプレーガンなどを使って吹き付けた塗装を施した複層仕上げ材のことです。

ボンタイルとも呼び、主材に粘度の高い塗料を使用することでさまざまな模様をつくることができます。

下塗り後に主材のベースを吹き付け、模様吹きの上塗りをしてから最後にローラーなどを使用して表面に凹凸模様を付けて仕上げる方法で外壁に模様をつけることができます。

吹き付けタイルは凹凸のある仕上がりになるものの、表面は陶器のような光沢のある仕上がりになるのが特徴です。

リシン仕上げ(砂壁状模様)

リシン仕上げ

リシン仕上げとは、細かく砕いた石や砂などの骨材に樹脂やセメント、着色剤などを混ぜたものを吹き付けて施工するモルタル外壁の表面化粧材のことをいいます。

表面がざらざらとした仕上がりになり比較的安価な仕上げ材なので、1980年代までは最も一般的なモルタル下地外壁の仕上げ材として普及しました。

リシン仕上げの特徴などについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

スタッコ仕上げ

スタッコ仕上げ

スタッコ仕上げとは、セメントや砂などの骨材に塗料を混ぜたもので外壁を仕上げていく工法です。

スタッコ仕上げの塗膜は厚く、表面には凹凸があって重量感があるのが特徴です。

スプレーガンやコンプレッサーなどを使って塗材を吹き付けて仕上げる吹き付け塗装が一般的ですが、ほかに職人がコテや刷毛などを使って手作業で模様を付けていくコテ塗りがあります。

スタッコ仕上げの特徴などについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

ローラー工法で模様をつける

塗り壁ローラー仕上げ

ローラー工法は職人が手塗りで塗装する施工方法です。

塗膜が厚くなって塗料の飛散が少ないというメリットがあるので、近年では機械の騒音や塗料の飛散などのリスクを回避するために住宅密集地などではローラー工法が主流になっています。

一方では職人による手作業で行うため、吹き付け工法と比較すると施工に時間がかかり工期が長くなるというデメリットもあります。

ここでは外壁塗装用のローラーの種類ごとの特徴を紹介します。

ウールローラー仕上げ

ウールローラーは羊毛ローラーとも呼ばれ、ウールのようにフワフワとした外観をしていますが、素材は必ずしもウールではありません。

サラサラした粘度が低い塗料に適していて、平滑な塗膜をつくる場合や下地の凹凸のデザインを最大限に活かしたい場合に使用します。

また、ウールローラーは毛足の長さによって短毛ローラー、中毛ローラー、長毛ローラーに分けることができます。

マスチックローラー仕上げ

マスチックローラーは砂骨ローラー、多孔質ローラーなどと呼ばれることもあり、ウールローラーのような起毛性のローラーではなく、円筒状の部分がスポンジ状になっています。

ドロドロとした粘度が高い塗料に適していて、分厚い塗膜をつくる場合や新たに凹凸模様をつけたい場合に使用します。

塗膜が厚くなるので外壁の耐久性が高くなりますが、塗料のコストパフォーマンスが悪く、既存の模様を残すことはできません。

コテ工法で模様をつける

塗り壁コテ並み

左官職人がコテを使って手作業で模様をつける方法なので、どんな模様でもつけることができ、デザインの幅が広いのがメリットです。

意匠性が高いことが特徴ですが、仕上がりの程度には職人の腕が問われるため、施工費も高くなりがちです。

外壁材につけられた模様・パターンを活かすクリア塗装もおすすめ

多くの住宅の外壁に使用されている窯業系サイディングボードには、もともとレンガ調や石目柄、砂壁調などの模様がつけられていることが多いので、そのような模様を活かす目的で無色透明のクリア塗装を行う人が多いようです。

クリア塗料は色がついた通常の塗料と同じように紫外線や雨風、ホコリ、汚れなどから外壁を守ってくれますが、顔料入りの塗料とは異なる注意点があるので、これらを知っておくことが大切です。

外壁にクリア塗装を行う場合の注意点

クリア塗料も通常の塗料と同じように主成分となる樹脂の違いによって耐久性が異なり、グレードが高いクリア塗料の方が耐久性が高くなります。

また、無色透明のクリア塗装はサイディングボードの色や柄を残したまま塗装することができますが、劣化して色あせしたサイディングボードにクリア塗料を使って塗装しても、劣化した部分をカバーすることはできません。

そのため、外壁が劣化して色あせしてしまう前にクリア塗料を使って塗装することが大切です。

また、クリア塗料には適している外壁と適さない外壁があるため、塗装する外壁との相性を事前に調べておく必要があります。クリア塗装については、以下の記事でも詳しく紹介しています。

 

外壁塗装では模様だけではなく色選びも重要

外壁塗装で満足度が高い外壁に仕上げるためには、模様だけではなく塗料の色選びも重要です。

模様を選ぶよりも色選びの方が建物のイメージや見た目の印象を左右するといわれているので、決して自分の好き嫌いだけで色を選ばないことが大切です。

特に白や黒は汚れが目立ちやすいので、どうしてもこれらの色を選択したい場合には、防汚効果やセルフクリーニング効果などを備えた高機能な塗料を選択すると良いでしょう。

色選びのポイントや配色については、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

外壁の模様つけに失敗しないための注意点

外壁の模様つけに失敗しないためには単に模様が綺麗なだけではなく、耐久性を備えていることが大切です。

せっかく綺麗な模様をつけても、すぐに剥がれてしまったりひび割れが発生してしまったりしては何の意味もありません。

そこでこの章では、外壁の模様つけに失敗しないための注意点を解説します。

模様つけを行う業者に過去の施工事例を見せてもらう

外壁につけることができる模様には前述したようにさまざまな種類があり、現場で職人の手作業によって行うものが多いといえます。

手作業で模様をつける場合は職人の技術によって仕上がりに差が出ることが多いので、事前に依頼を検討している業者の過去の施工事例を見せてもらっておくと安心です。

施工実例の写真や実際の現場を見せてもらうことができれば、ある程度は業者の技術力をチェックすることができるでしょう。

模様の選定を入念に行う

外壁塗装でつけられる模様にはさまざまな種類がありますが、中には吹き付け塗装でしかつけられない模様や、左官工事が必要になるものもあります。

模様の種類によって工法や作業手順が異なることもあるため、事前に模様の選定を入念に行っておくことが大切です。

外壁の模様つけは信頼できる業者に依頼する

外壁塗装工事では各工程ごとに守るべき作業ルールがあり、これらを遵守しなければ施工後に不具合が発生する可能性が著しく高くなります。

特に外壁塗装で模様をつける場合には、塗装前の下地処理などを丁寧に行うことが大切です。

また、外壁塗装工事では下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが基本ですが、悪質な業者の中には必要な工程を省略してしまうこともあります。

模様をつける場合には通常の外壁塗装工事以上に3回塗りが重要になると共に、元から模様がある場合には補修した部分と元の塗装面との模様を合わせる「肌合わせ」の作業が必要になるので、こうした作業をしっかりと行うことが求められます。

外壁塗装の際の2回塗り、3回塗りについては、以下の記事で詳しく解説しています。

 

まとめ

外壁塗装では外壁にさまざまな模様をつけることができ、模様をつけることによって建物のイメージチェンジを図ることができます。

この記事では、外壁に模様やパターンをつける方法を紹介すると共に、つけられる模様の種類や模様をつける際の注意点などを紹介しました。

また、既存の模様を活かすための方法なども紹介しているので、外壁の塗り替えを検討する際には是非本記事を参考にしていただければ幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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