外壁塗装の期間は約10日!各工程や塗装の流れも紹介

はじめて外壁塗装工事を行おうとしている方の中には、どれくらいの期間がかかるのかが気になっている方も多いと思います。

そこで本記事では、外壁塗装工事にかかる工期や工程ごとの所要日数、工事の確認事項や工事期間中の過ごし方、注意点などを詳しく紹介します。

是非外壁塗装工事を検討する上で参考にしてみてください。

外壁塗装にかかる期間は約10日

一般的な戸建住宅の外壁塗装にかかる期間は10日前後

工事期間は建物の大きさ(広さ)や形状、劣化状態、立地条件、季節や天候など様々な要因によって変動しますが、余程小さな家でない限り1週間以内で終了することはほとんどありません。

業者の中には1週間で終了するという業者もいますが、そのような業者には注意が必要です。

外壁塗装工事の期間を短縮することはできない

外壁塗装工事にはさまざまな工程がありますが、それぞれの工程には一定の作業時間が必要になり、各工程間においても塗装面や塗料の乾燥時間を確保する必要があります。

例えば、塗装作業前に高圧洗浄を行った後は塗装面が完全に乾燥するのを待つ必要がありますが、下塗りや中塗り作業を行った後も同じように塗料が乾燥するのを待たなければ次の工程に進むことができません。

そのため「工事は1週間以内に終了する」という営業トークを行っている業者は何かしら本来必要な工程を飛ばしていたり、塗料の乾燥時間を守らなかったりしている可能性が高いといえるでしょう。

正しい作業手順を守らずに工期を短縮してしまった場合には、塗膜の耐久性が著しく低くなってしまう恐れがあります。

外壁塗装工事の流れと各工程の所要時間

冒頭で外壁塗装にかかる期間は10日前後と説明しましたが、大きくは以下の工程に分けることができます。

ここでは、工程ごとに必要な日数やどのような作業を行うのかを紹介します。

近隣への挨拶・事前の工事準備:1日

外壁塗装工事中には足場の設置や工事車両の駐停車、塗料の臭い、騒音の発生などで近隣住民に迷惑をかけることが予想されます。

そのため、工事を始める前にあらかじめ近隣住民に対して挨拶をしておくことが大切です。塗装業者が代わりに挨拶してくれることが多いのですが、できる限り自分でも挨拶を行っておくことをおすすめします。

足場の設置・飛散防止シート(ネット)張り:1日

外壁塗装工事開始に先立ち、作業床を確保するための足場の設置と高圧洗浄水や塗料が周囲に飛散してしまうのを防ぐための飛散防止シート(ネット)張りを行います。

通常は半日~1日で終了しますが、狭小地や前面道路と敷地との高低差がある場合などの立地条件によっては2日以上かかってしまうこともあります。

高圧洗浄:1日

塗装前に外壁の塗装面に付着している汚れや埃、カビ、コケなどを高圧洗浄水で洗い流します。汚れが酷い場合には、薬剤を使用して洗浄を行うこともあります。(バイオ洗浄)

基本的には1日かけて洗浄を行いますが、その後十分に乾燥させることが必要になるので、天候によっては2日以上かかってしまうこともあります。

下地処理・養生:1日~

下地処理は塗装を行う前の重要な工程で、剥がれかけた古い塗膜を綺麗に剥がしたり(ケレン作業)、ひび割れ補修やシーリングの打ち替え・打ち増し、パテ処理(凹んだ部分を埋めて平らにする作業)などを行ったりします。

通常は1日で作業が終了しますが、外壁の劣化が酷い場合やサイディングの外壁の場合には2日以上かかる場合があります。

養生は塗装しない部分(玄関ドアやサッシ、エアコン室外機、給湯器など)に塗料が付着しないようにビニールシートや養生テープなどを使って覆う作業のことをいい、下地処理と同時に行うのが一般的です。

 

塗装工程:3日~

メインである塗装作業は通常では下塗り~中塗り~上塗りの3工程に分けて行われます。

それぞれ1日ずつかけて行われるのが一般的で、塗装の最後には軒天(屋根の軒裏の天井部分)や雨樋、雨戸、戸袋などの付帯部分の塗装が行われます。

また、塗装工程では手抜き工事が行われる可能性が最も高いので、きちんと3回塗りが行われているかどうかを必ず確認しておきましょう。詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

 

下塗り

下塗りには中塗り・上塗りで使用される塗料と下地との間の接着剤としての役割があります。下塗り塗料は中塗り・上塗り塗料とは異なり、「シーラー」や「プライマー」、「フィラー」などと呼ばれています。

また、塗装面の状態や経年劣化の進行具合によっては塗料の吸い込みが激しくなるため、下塗りを2回以上行うことになるケースもあります。

中塗り・上塗り

中塗りと上塗りは基本的に同じ塗料を使用して塗装しますが、下塗りから中塗り、中塗りから上塗り作業に移る際には、前の塗料をしっかりと乾燥させなければなりません。

乾燥が不十分のまま次の工程に移ってしまうと塗膜の剥がれなどの不具合が発生したり、仕上がりのイメージが異なってしまうことがあります。

 

塗装後の点検・補修:1日

塗装工事が終了したら、まだ足場があるうちに塗装業者と一緒に仕上がりの点検(検査)を行います。

塗り残しや塗りムラなどの気になる点があったら、この時に指摘して直してもらいましょう。塗りムラかどうかの判断基準ややり直してもらえるケースについては、以下の記事で紹介しています。

 

足場を解体してしまうと塗り直しなどの作業が困難になってしまうので、注意深くチェックすることが必要です。尚、点検・補修作業に1日は見込んでおく必要があります。

足場の解体・撤去や片付け:1日

全ての工程が終わったら、足場を解体して敷地内の清掃を行い工事完了となります。

足場の解体作業は半日~1日で終了しますが、足場を解体する際に外壁を傷つけてしまうこともあるので、念のため足場を解体した後にも外壁をぐるっと回って確認しておくと良いでしょう。

また、工事が終わった際には近隣の方に工事完了の挨拶をしておくことをおすすめします。

外壁塗装と屋根塗装を同時に行う際の所要日数

屋根の点検修理

外壁塗装をする際には足場の設置が不可欠です。

そのため、同じく工事を行う際に足場の設置が必要になる屋根の塗装工事を同時に行うことで1回分の足場の設置費用(15万円~20万円程度)を節約することができます。

この場合の工期はプラス3日~4日程度を見込んでおく(外壁塗装と併せてちょうど2週間程度)と良いでしょう。

屋根修理と外壁塗装の同時施工については、以下の記事を参考にして下さい。

アパートの外壁塗装にかかる期間

アパート

アパートの外壁塗装にかかる期間は2週間から3週間前後です。

戸建てとアパートの外壁塗装で行う作業の工程は同じですが、アパートの場合には建物が50坪から60坪程度の大きさになることが多く、戸建ての外壁塗装よりも工期が必要になります。

またアパートの大きさや形状によって外壁塗装が必要な外周の面積が異なるため、足場の設置や解体に通常よりも日数がかかることもあります。

外壁塗装を依頼する業者や実際に施工する職人の数によっても工期は異なることがあるので注意が必要です。

アパート、マンションの外壁塗装についてはこちらの記事を参考にしてください。

外壁塗装工事期間中の過ごし方や注意点

外壁塗装を計画する際には、工事期間がどれ位かかるのかが気になると共に、塗装工事期間中の過ごし方について不安に思っている方も多いと思います。

そこで外壁塗装期間中の生活について紹介します。

ずっと在宅している必要はない

外壁塗装工事中は終始在宅している必要があるかどうかが心配な方も多いと思います。

しかし外壁塗装工事は基本的に屋外での作業になるため、工事期間中にずっと在宅している必要はありません

ただし着工前の近隣挨拶の際や、塗装工事が終了して足場を解体する前の完了検査の際には立ち合いが必要です。

また、高圧洗浄作業を行う際にも建物の状態によっては室内に水漏れが発生してしまうことがあるので、できるだけ在宅していた方が良いといえます。

それ以外にも塗装業者から工事の立ち合いを求められることがありますが、そのような場合以外は留守にしていても問題ありません。

洗濯物は部屋干しにする必要がある

外壁塗装工事中は基本的に屋外に洗濯物を干すことはできないと思っていた方が良いでしょう。

もちろんベランダに干すこともできません。洗濯物は部屋干しにするか、乾燥器がある場合にはそちらを利用することになります。

窓の開閉が自由にできなくなる

外壁塗装工事中は、玄関ドアやサッシなどはビニールシートなどで養生されます。

一部のドアや窓は出入りや開閉ができるように養生が行われますが、全ての窓がいつでも自由に開閉できるわけではありません

また、作業箇所によっては開閉可能な窓でも開閉できない時間帯があるので、塗装業者と事前に綿密な打ち合わせを行っておく必要があります。

外壁塗装工事の期間が長引くケースとは

塗装作業

外壁塗装工事の期間を必要以上に短縮することはできませんが、逆に予定よりも長引いてしまうことは決して珍しくありません。

工事が長引くのには以下の3つの理由があります。

気象条件によって塗装工事を行うことができない場合

外壁塗装を行うためには条件があり、下記のうちひとつでもあてはまる場合には、外壁塗装工事を行うことができません。

  • 気温が5℃未満の場合
  • 湿度が85%以上の場合
  • 強風、降雨、降雪、結露が発生している場合、予想される場合

これらを満たさない条件下で塗装作業を行った場合には、塗膜の膨れや剥がれなどの施工不良につながる可能性が大きくなります。

気象条件を満たさない場合は作業を中止せざるを得ず、結果的に工期が予定よりも遅延してしまうことになります。

外壁塗装の気象条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。

外壁の劣化が激しい場合

外壁塗装を行う前の塗装面の下地処理は、塗膜の性能を確保する上で非常に重要な工程です。

下地処理は通常は1日で終了しますが、外壁の劣化が著しく進行している場合には2日以上かかることもあり、この場合には工期が長引いてしまいます

天候により塗料の乾燥が遅い場合

外壁塗装工事では、高圧洗浄時の水や下塗り、中塗り時の塗料が乾燥しなければ次の工程に進むことができません。塗料メーカーが定めた乾燥時間を待たずに次に進んでしまうと施工不良の原因となります。

しかし気温が低い場合や湿度が高い場合には想定している以上に水分や塗料の乾燥に時間がかかり、工期が長引いてしまうことがあります。とくに梅雨時期や台風の時期、真冬などは塗料の乾燥が遅くなりがちです。

まとめ

今回の記事では、外壁塗装工事の一般的な工期や各工程について紹介しました。

外壁塗装の工期は基本的には10日前後ですが、それよりも極端に短い工期で提案する業者には注意が必要です。

中には手抜き工事や塗料の乾燥時間を無視した不良工事を行う悪質な業者もいるので、業者を決める際には複数の業者から相見積もりを取り、各社の意見をしっかりと聞いて判断することが大切です。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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