夏場は外壁塗装のチャンス!?夏場に行うメリット・デメリット

1年の中で、外壁塗装工事をいつ頃行ったら良いのかわからないという方が少なくないのではないでしょうか。特に夏の暑い時期の工事は、「エアコンが使えなくなる」「窓を開けて換気することができない」「職人が嫌がる」などの理由から躊躇してしまう方が多いと思います。

しかし外壁塗装工事は真夏でも行うことが可能で、メリットも決して少なくありません。

今回の記事では、夏場に外壁塗装工事を行うメリットとデメリット、注意点などを詳しく紹介します。

目次

夏場でも外壁塗装工事は可能です!

「夏場(7~9月)に外壁塗装工事を行うと工事中の生活が不便」という理由から、多くの方がこの時期の工事を敬遠してしまいがちです。

しかし多少の制限はあるものの夏場でも問題なく工事を行うことは可能で、むしろ都合の良いこともあるといえます。

そこで初めに、外壁塗装を行うための条件について紹介したいと思います。

外壁塗装工事が行える気象条件

外壁塗装を行うためには、一定の気象条件を満たしている必要があります。これらの条件を満たさないで塗装した場合には、施工不良につながるので注意が必要です。

外壁塗装が可能な気象条件を詳しく解説します。

①強雨、降雨、降雪などがないこと

塗料は一度完全に乾燥すれば水に濡れても問題ありませんが、塗装工事中は液体なので、雨や雪の影響を受けて薄まったり流れたりしてしまいます。

また、塗装面が濡れたままの状態で塗装してしまうと下地にしっかりと密着できなくなるので、ひび割れや塗膜の剥離が発生しやすくなります。

このような理由から塗装面はしっかりと乾燥していることが求められるため、塗装工事中に強雨、降雨、降雪などがないことが外壁塗装を行うための大切な条件になります。

②湿度が85パーセント以下であること

塗装工事中には雨や雪などの目に見える水分だけでなく、空気中に含まれている水分までしっかりと管理する必要があり、湿度が85パーセントを超える場合には塗装工事を行うことができません

基本的に晴れていれば夏場でも湿度が85パーセントを超えることはほとんどありませんが、雨が降ると湿度は85パーセントを超えてしまうこともあります。

湿度が高いにもかかわらず強引に塗装してしまうと空気中に含まれている水分で塗料の乾燥が阻害され、施工不良の原因になります。

また、結露が発生していないことも外壁塗装を行うための重要な条件となります。

③気温が5度以上であること

気温が5度未満の場合には塗料が伸びにくくなるため塗装作業の効率が悪くなり、塗りムラや塗り残しが発生しやすくなります。

施工不良につながる可能性があるため、冬場の工事などでは徹底した気温管理が求められます。

夏場の外壁塗装工事には業者による徹底した施工管理が必要

夏は夕立などの急な雨が発生しやすいため、外壁塗装工事のスケジュールが狂いやすい季節といえます。

一方、一年を通じて最も日照時間が長いので、一日で行うことができる作業量は他の季節よりも多くなります。夏場の外壁塗装工事においては、業者の施工管理の重要性が非常に高くなるといえるでしょう。

夏場に特に注意したい業者による施工管理能力には、次のようなものがあります。

■天候の確認

外壁塗装工事は屋外での作業になるため天候の確認が重要ですが、夏場には突然雨が降り出すこともあるので、その場での適切な判断が極めて重要であるといえます。

また、夏は塗料の乾燥にかかる時間が他の季節よりも短くなります。早く乾燥しすぎてひび割れが発生したり、表面だけ乾燥して中は乾いていなかったりしないように管理することが大切です。

このように、夏場の外壁塗装工事では天候の変化に応じた適切な対応が求められます。

■職人の体調管理

夏は熱中症に注意する必要があり、職人の体調管理が欠かせません。

職人の体調が悪いままの状態で施工すると、施工ミスや施工忘れなどの不具合が発生してしまうことにもなりかねません。

作業中は水分や塩分を適切に補給する、また適切な休憩時間をしっかり取るなど、職人の体調管理に十分留意することが大切です。

■スケジュール管理

外壁塗装工事は屋外での作業なので、作業スケジュールは天候に左右されます。

そのため事前にある程度は作業ができない日を見込んでスケジュールを組みますが、天候不順で作業のできない日が予想以上に続くと、作業に大幅な遅れが生じてしまいます。

そうした状況の中で、いかにスケジュールや作業員数を調整して工期遅れを最小限に抑えることができるかは業者のスケジュール管理能力次第といえます。

■塗料の希釈量と乾燥時間

外壁塗装に使用する塗料は水やシンナーで薄めて使用しますが、その割合を希釈量(希釈率)といい、希釈量は塗料ごとに塗料メーカーによって定められています。

現場の施工管理においては、塗料の希釈量をしっかりと管理して塗装後の乾燥時間を確保することが大切です。希釈量を間違ってしまうと、塗料の耐久性が確保できなくなってしまうためです。

特に夏場は気温が高いために塗料に含まれている水分やシンナーが蒸発しやすく、途中から希釈の割合が変わってしまうことがあります。

そのためその都度希釈し直して、常に正しい希釈量を保つことができるように管理することが大切です。

夏場は外壁塗装工事のチャンス!?

夏場は春や秋に比べて外壁塗装工事を行うのを敬遠してしまう方が多いため、スケジュールに余裕のある塗装業者が数多く存在しています。

そのため、夏は希望時期に予約が取りにくい業者の予約が取りやすい時期といえるでしょう。

また、夏場であれば何か起きた際に臨機応変に対応してもらえる可能性が高いといえます。そのため、夏場は外壁塗装工事のチャンスといえるでしょう。

夏場に外壁塗装工事を行う際のメリット

外壁の塗装作業

多くの人が敬遠する夏場に外壁塗装を行うメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。

この章では、夏場に外壁塗装を行うメリットを具体的に紹介します。

1日照時間が長いため作業時間が多く取れる

夏に外壁塗装工事を行う最大のメリットとして、1日の日照時間が長いため作業時間を十分に確保できるということが挙げられます。

また、作業時間が長く確保できることから工期のズレが起こりにくい時期ともいえます。

日没で暗くなったために途中で作業を中断せざるを得ないといったことはなく、あらかじめ計画していた作業をしっかりとその日のうちに終わらせることができます。

2乾燥時間を十分に確保できるので塗膜が安定する

夏場は気温が高いために塗料の乾燥時間が短く、乾燥不良による塗膜の早期剥がれなどのリスクが少ない時期といえます。

一般的な外壁塗装は、下塗り→中塗り→上塗りの3工程が基本になりますが、それぞれの工程には塗料ごとに適切な乾燥時間が設けられています。気温が低すぎる場合には塗膜が上手く硬化してくれないことがあり、塗膜の不具合の原因になります。

しかし気温が高ければそうした心配はなく塗料もよく伸びてくれ職人が作業しやすく、安定した塗膜を形成することができます。

3希望のスケジュールが通る可能性が高く、値引きできる可能性もある

前述したように、一般的に外壁塗装を行う時期としては春と秋が人気です。

一方夏場はどちらかといえば閑散期にあたるので、業者によってはキャンペーンなどを行い、さまざまな特典をつけてくれることがあります。

またキャンペーンを行っていなくても、この時期は値引き交渉にも応じてもらいやすい傾向があります。どうしても人気のある特定の業者に工事を依頼したい場合などにはおすすめの時期といえます。

夏場に外壁塗装工事を行う際のデメリット

一方では、夏場に外壁塗装工事を行う際のデメリットも存在しています。後で後悔することがないように、デメリットについても事前によく知っておきましょう。

この章では、夏場に外壁塗装工事を行う際のデメリットについて紹介します。

1天候が変わりやすく夕立により作業が中断する可能性がある

夏場は突然夕立が発生することが少なくありません。雨が降ると外壁塗装工事は出来なくなるので、途中で作業を中断することになります。

梅雨の時期ほどではありませんが、あらかじめ夕立の発生によるスケジュールの変更の可能性があることを考えておく必要があります。

2お盆時期にかぶると工期が長くなることがある

お盆期間中は多くの外壁塗装業者が盆休みを取るため、その間は工事休止になります。そのため工事期間がお盆の時期に重なると、その分だけ工期が長くなります。

工事途中で工事休止になるのを避けたい場合には、業者に依頼して盆休み前までに工事が終了するようにするか、盆休み明けに着工するように工程を組んでもらうようにしましょう。

3エアコンの不具合が起きる可能性がある

外壁塗装工事では、塗装の際にエアコンの室外機を一度取り外して塗装する方法と、室外機を取り外さずにビニールシートなどで養生して塗装する方法があります。

室外機を一度取り外した場合にはその間エアコンを使用することができず、古いエアコンなどの場合は再度設置した後にエアコンに不具合が生じてしまうことがあります。あらかじめ外壁塗装業者に

工事中にもエアコンが使用できるように養生してもらうことも可能ですが、その場合には外壁を完全に塗り直すことができない場合や、室外機の真裏の外壁等塗り残しが発生する場合があります。

夏場の外壁塗装工事の際には、エアコンの扱いについて事前に外壁塗装業者とよく打ち合わせしておくことが大切です。

4暑さで職人の作業効率が低下する

夏場の外壁塗装工事は日照時間が長いため余裕をもって計画的に工事しやすい反面で、炎天下での作業では職人の作業効率が低下して、塗り残しや塗りムラなどの施工ミスが発生しやすくなります。

また、職人が熱中症になることも考えられるので、夏場の外壁塗装工事は職人の健康管理や暑さ対策などをきちんと行っている業者に依頼することが大切です。

外壁塗装に適している人気の季節はいつ?

塗料

外壁塗装工事を行う際に人気の高い季節は「春」と「秋」です。いずれも比較的天候が安定している傾向にありますが、それぞれにはデメリットも存在しています。

この章では、夏以外の季節に外壁塗装を行うデメリットについて紹介します。

春の外壁塗装工事:外壁塗装業者が見つからないというデメリットも

春は天候が安定しているため、スケジュール通りに工事が進みやすいというメリットがあります。

しかし一方で、まだ乾燥していない塗膜に砂埃や黄砂などが付着してしまい、外壁が汚れやすくなるというデメリットがあります。

また工事の繁忙期にあたるため業者の予定が立て込み、希望通りのスケジュールで工事を行ってもらえないことが多くなります。

春の外壁塗装工事については、以下の記事を参考にして下さい。

 

秋の外壁塗装工事:台風や秋雨前線の影響を受けることも

秋は春と同様に天候が安定しているためスケジュール通りに工事が進みやすく、また湿度が低いことから塗料が乾きやすいというメリットがあります。一方で、

台風や秋雨前線の影響を受けて工期が長引いてしまう恐れがあります。さらに工事中に台風が発生した場合、強風により足場が倒壊してしまうことにもなりかねません。

また、秋も春と同様に業者の繁忙期にあたるので、希望通りのスケジュールで工事のスケジュールを組めない可能性があります。

秋の外壁塗装工事については、以下の記事を参考にして下さい。

 

冬の外壁塗装工事:気温や降雪の影響を受けることも

冬は養生のために窓を覆われてしまっても、それほど生活に支障がないのがメリットといえます。

しかし日照時間が短くなるため1日の作業時間が短く、工期が他の季節よりも長くなる傾向があります。

さらに気温が低いことから塗料の乾燥時間も長くなり、作業ができない日が生じる可能性があります。また、年末年始などは工事が一時ストップしてしまいます。

冬の外壁塗装工事については、以下の記事を参考にして下さい。

 

梅雨時期の外壁塗装工事:万全の対策や湿度管理が必要だが必ずしも工事が出来ないわけではない

梅雨時期は施工品質を確保するのが難しく、一般的には避けた方が良い時期といわれていますが、必ずしも施工できないわけではありません。

業者の閑散期であるため業者から値引きしてもらえる可能性が高く、万全の雨対策や湿度管理をしっかりと行うことで施工自体は問題なく行うことができます。

梅雨時期の外壁塗装工事では、余裕を持ったスケジュール設定を行うと共に常に湿度をチェックし、湿度が85パーセントを上回ったら作業を中断するなどの対策が必要です。

梅雨時期の外壁塗装工事については、以下の記事を参照して下さい。

夏場の外壁塗装工事期間中を快適に!契約前の確認事項

気温や湿度が高い夏は、エアコンを付けたり窓を全開にしたりして少しでも室内で快適に過ごせるように工夫しますが、外壁塗装工事期間中にはこれらも制限を受けるようになります。

そこでこの章では、夏場に外壁塗装を行う際の工事中の過ごし方について紹介します。

養生中の換気対策についての確認

外壁塗装工事中には、玄関ドアやサッシに塗料が付着しないようにビニールシートなどで覆って養生がおこなわれます。

また、外部の足場にも養生シートが掛けられるため、建物の風通しが非常に悪くなってしまいます。

養生は塗料の下塗り、中塗り、上塗りの全ての塗装工程が終了するまでは撤去することができず、最低でも1週間ほどはこの状態の中で生活しなければなりません。

そのため暑くても窓を開けて換気することができず、工事中の生活は非常に息苦しくなることを覚悟しておく必要があります。

しかし事前に塗装業者と打ち合わせをしておくことにより、特定のドアやサッシだけは開閉可能な状態にしてもらうことができるので、日中の塗装作業中以外には窓を開けて換気することも可能です。

エアコンの使用条件の確認

外壁塗装工事ではエアコン室外機裏側の外壁を塗装するため、室外機を一旦取り外したり、室外機にビニールシートを掛けて養生したりします。

そのため、塗装工事中はエアコンが使えなくなってしまうことがあります。

施工業者によっては養生中にもエアコンが使えるような方法をとってくれることもあるので、塗装工事期間中のエアコンの使用については事前によく塗装業者と打ち合わせしておくことが大切です。

もっと知りたい!夏場の外壁塗装工事のお悩み・疑問点を解決Q&A

ここでは夏場の外壁塗装工事の疑問点についてQ&A方式で回答します。

夏場の外壁塗装工事中にはエアコンは使えるの?

夏場の外壁塗装工事中には、エアコンが使用できるように対応してくれる業者が多いと思いますが、全ての業者がそうではないので事前に確認しておく必要があります。

外壁塗装工事の工程によっては一時的にエアコンが使用できなくなることもあるので、塗装業者とよく打ち合わせしておきましょう。

夏場の外壁塗装工事中には窓を閉めておく必要があるの?

窓の開閉については、一部の窓を開閉できるように養生してもらうことが可能です。窓を開閉したい場合は、事前に外壁塗装業者と打ち合わせしておくと良いでしょう。

また、塗装工事終了後にすぐにサッシの養生を撤去してもらうこともできます。

塗料の臭いは気にならないの?

塗料は塗装中や塗装した直後には臭いますが、乾くにつれて臭いは軽減します。特に夏場は塗料の乾燥が早いので、他の季節よりも臭いが早くなくなる傾向があります。

また塗料の臭いがきになる場合には、臭いが強いといわれている油性塗料を避け避け、比較的臭いが少ないといわれている水性塗料の使用をおすすめします。

油性塗料と水性塗料については、以下の記事を参考にして下さい。

 

夏場の外壁塗装工事の際に台風が来たらどうするの?

国内では毎年夏から秋にかけて台風が数多く発生しているので、この時期に外壁塗装工事を行なった場合は工事中に台風が接近してくる恐れがあります。

台風が接近してきたら当然塗装工事は中断しますが、併せて足場の倒壊などに注意する必要があります。

足場に掛けた養生シートを事前に撤去しておくか、養生シートを丸めて風で煽られないように足場に固定するなどの対策が必要なほか、足場の上には飛散する恐れのあるものを絶対に置かないようにするなどの対策が必要です。

台風シーズンの外壁塗装工事の注意点や安全対策については、以下の記事を参考にして下さい。

 

職人さんの暑さ対策はどうするの?

猛暑日が予想される場合には、職人の熱中症対策が非常に重要になります。

最近では業者の方でもさまざまな熱中症対策や職人の健康管理を行っているので過度に心配する必要はありませんが、休憩時間に良く冷えたスポーツドリンクや氷などを差し入れすると喜ばれことが多いです。

室内の暑さを抑えてくれる塗料はあるの?

施工とは直接関係ありませんが、真夏の室内の暑さを抑えてくれる塗料として「遮熱塗料」がおすすめです。

正式名称は「高日射反射率塗料」といい、屋根や外壁に塗布することで太陽光を反射し、建物内部に太陽の熱が入り込むのを防ぎます。

室内の暑さが気になる場合は、白色の遮熱塗料がおすすめです。他の色よりも太陽光を反射するため、室内の暑さがより軽減されます。

遮熱塗料についての基礎知識やメリット、デメリットなどは以下の記事を参考にして下さい。

まとめ

一般的には春や秋など、気温が極端に高温や低温にならずに安定している時の方が外壁塗装に適しているといわれており、実際に多く方がこの時期に工事を行っています。しかし一般の方からは敬遠されがちな真夏の外壁塗装にも、多くのメリットがあります。

今回の記事では、夏場に外壁塗装工事を行うメリットとデメリットについて紹介しました。真夏に外壁塗装を行う上での安心感につながれば幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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