3階建ての外壁塗装費用を知ろう!失敗しないためのポイントも解説

「2階建ての外壁塗装についてはすぐに調べられるが、3階建ての外壁塗装については情報が出てこない」

「3階建ての外壁塗装の費用はどれくらい?坪数ごとの相場はあるの?」

と、気になっている方も多いと思います。

3階建ては2階建てよりも外壁の塗装面積が広いことが多いため、その分外壁塗装の工事費用も高くなります。

また、失敗しないために気をつけるべきポイントもあります。

そこでこの記事では3階建ての住宅に外壁塗装を検討されている方に向けて、3階建ての外壁塗装の費用相場や失敗しないための注意点、外壁塗装業者の選び方などを紹介します。

3階建ての外壁塗装の坪別費用相場

外壁塗装の工事費用は建物の階数からではなく、あくまでも外壁の塗装面積から算出します。

しかし3階建ての住宅は塗装面積が大きくなる傾向があるので、結果的に2階建ての住宅よりも費用が若干高めになることが多いようです。

また、足場の設置費用も足場の面積(足場の外周の長さ×足場の高さ)を元に計算するため、3階建て住宅の方が高額になる傾向があります。

そして全体の外壁塗装費用は、2階建て住宅と同じように塗料の単価が大きく影響します。

3階建て住宅の外壁のみを塗装する場合と外壁塗装と屋根塗装を同時に行う場合の建物の延べ床面積別費用相場は、下記の表のようになります。

<3階建て住宅の外壁塗装費用>

建物の坪数(延べ床面積) 外壁塗装費用の相場 外壁塗装+屋根塗装の費用の相場
20坪 70~110万円 85~125万円
30坪 100~140万円 120~160万円
40坪 115~170万円 140~195万円
33坪 140~190万円 170~220万円

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外壁塗装に使用する塗料の費用相場

外壁塗装費用は外壁塗装に使用する塗料の種類によって異なり、耐用年数が長いハイグレードな塗料を使用するほど塗料の単価や工事費用の総額が高額になります。

また、2階建て住宅よりも3階建て住宅の方が塗装面積が大きくなる傾向があるため、その分工事費用が高くなります。

尚、塗料の種類ごとの費用相場(単価)は、次のようになります。

塗料の種類 費用の相場
アクリル塗料 1,000~1,800円/㎡
ウレタン塗料 1,500~2,500円/㎡
シリコン塗料 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 2,200~4,000円/㎡
光触媒塗料 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 4,500~5,500円/㎡

その他の作業の費用相場

足場での外壁塗装作業

外壁塗装では3階建て住宅の場合でも2階建て住宅の場合の工事内容と変わりません

しかし3階建ての住宅の場合は2階建ての住宅よりも外壁の塗装面積や足場の設置面積などが増える傾向があるので、その他の作業の費用も高くなる傾向があります。

外壁塗装におけるその他の作業の費用相場は次のようになります。

作業内容 費用の相場
足場代(単管ブラケット足場) 700~1,000円/㎡
高圧洗浄(100~150㎏/㎠) 150~250円/㎡
養生 250~350円/㎡
コーキング(シーリング)打ち替え 900~1,500円/m
コーキング(シーリング)増し打ち 500~1,000円/m
ケレン作業 600~800円/㎡
破風板、鼻隠し塗装 800~1,200円/m
軒天塗装 1,000~1,500円/㎡
雨戸塗装 2,000~3,000円/枚
戸袋塗装 2,500~3,000円/箇所
シャッターボックス塗装 1,500~2,000円/箇所
霧除け、出窓屋根塗装 600~1,000円/m
雨樋塗装 800~1,500円/m
換気フード塗装 500~1,000円/箇所
水切り塗装 200~250円/m
ゴミ処理費・その他雑費 10,000~30,000円

上記の費用(単価)は、2階建て住宅の場合と同じになります。

3階建ての屋根塗装の費用はどうなる?

屋根の塗装も外壁と同様に塗装面積から費用を算出するので、3階建てだからという理由で塗装費用が高額になることはありません。

ルーフバルコニーがある場合には費用が変動しますが、これも3階建てだからという訳ではありません。

したがって屋根の高さを理由に平米単価が変動することはないといえます。

3階建ての外壁塗装では足場費用と塗装費用に注意!

3階建て住宅の足場代は、2階建て住宅の足場代と基本的には同じ単価になります。

ただし同じ坪数であっても足場の面積(足場の外周の長さ×足場の高さ)が増える場合には、2階建ての家よりも足場代が増えてしまいます。

また、業者によっては3階建ての場合にはくさび式足場(ビケ足場)やビルの建築を行う際に使用する枠組足場を採用することがあり、この場合には単価が1㎡あたり100~200円程度プラスされることがあります。

一方で外壁塗装費用は建物の階数ではなく外壁の塗装面積によって決まるので、3階建てだからという理由で塗装費用が高くなることはありません

ただし3階建ての住宅にはルーフバルコニーなどを設置していることが多いので、そのような場合には塗装面積に比例して塗装費用が高くなります。

足場:隣の家との距離の近さは問題ない?

足場は隣の家との境界線までの距離が30cm以上あれば設置することができますが、作業する職人の安全性や塗装工事の作業効率を考えると、建物から隣地境界線までの距離は最低でも50cmは必要です。

そのため、足場を設置するにあたって自宅の敷地だけではスペースを確保できない場合には、隣の家の敷地を借りて足場を設置することがあります。

ただし隣の家の承諾なしでは勝手に足場を設置することができないので、事前に事情を説明して許可をもらうことが大切です。

3階建ての外壁塗装で知っておきたい4つの注意点

この章では、3階建て住宅の外壁塗装を行ううえで知っておきたい4つの注意点を紹介します。

3階建ての屋根や建物上部も必ず点検してもらう

屋根の洗浄作業

3階建ての建物は、2階建ての建物のように事前に梯子で屋根に上って点検したり、外壁の上部を確認したりするのが困難です。

また、住宅密集地などでは地上から屋根が見えないこともあります。

しかし点検を行わずに工事に着手すると、工事着工後に補修が必要な箇所が見つかって追加工事が発生する可能性が高くなります。

最悪のケースでは、業者が本来必要な補修作業を行わずに工事が終わってしまうことにもなりかねません。

このような事態を防止するためにも、業者側にドローンや高所カメラなどを使った事前調査の有無を事前に確認しておくことが重要です。

また、事前に点検することが難しい場合には、工事着手後の屋根の状態などを写真に撮って見せてもらいましょう。

足場代節約のため他の工事も一緒に行うと良い

3階建て住宅の外壁塗装では、2階建ての住宅よりも足場代が高額になる傾向があります。

また、屋根の塗装や破風板、軒天、雨樋などの付帯部分の塗装を別々に行うとその都度足場代がかかるので、足場が必要になる工事は一緒に行なっておくことをおすすめします。

屋根修理と外壁塗装の同時施工については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

軒天塗装

軒天とは軒の天井部分のことをいいます。

劣化をすると非常に見た目が悪くなることから外壁と同様に定期的に塗り替えを行う必要がありますが、塗り替えの際には足場の設置が欠かせません。

そのため、メンテナンス周期を合わせるためにも軒天塗装は外壁塗装と同時に行うのが良いといわれています。

軒天塗装の基礎知識やおすすめ塗料、費用相場などは、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

雨樋塗装

雨樋は必ずしも塗装する必要はないものですが、時間の経過と共に汚れが付着して経年劣化が進行するので、美観の向上や紫外線からの保護目的で塗装を行うことがあります。

また、雨樋を塗装する際にも足場が必要になるので、外壁を塗装する際には雨樋の塗装も同時に行っておくことをおすすめします。

雨樋塗装の基礎知識や費用などは、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

その他塗装が必要な付帯部には、戸袋、雨戸、霧除け、出窓屋根、幕板、シャッターボックス、水切り、換気フード、鉄部、濡れ縁、ウッドデッキ、門扉などさまざまなものがあります。

これらの付帯部を塗装する際に足場が必要な場合も多いため、外壁塗装の際に同時に行うことで足場代を節約することができます。詳しくは以下の記事で紹介しています。

 

2階建ての外壁塗装よりも工期が必要

3階建て住宅の外壁塗装では、2階建ての建物よりも作業時の足場の昇り降りや高所での作業に時間がかかるため、工期が2~3日長くなる傾向があります。

全体の工期は2週間ほどかかるのが一般的ですが、天候によってはさらに延びる可能性があり、屋根塗装や付帯部分の塗装を同時に行う場合にはさらに工期が長くなることがあります。

雨樋補修やひび割れ対策は入念に

軒天

3階建ての住宅は地価が高い都心や市街地などの狭小地に建っていることが多く、軒の出が少なくて庇や霧除けなどの凸部の設置が省かれていることが多いので、雨がそのまま外壁に流れ落ちる構造になっていることがほとんどです。

さらに雨樋が劣化して雨水の流れが悪くなってしまうと雨樋から溢れた水が外壁に悪影響を与えるため、外壁からの雨漏りが発生しやすくなります。

このような理由から、外壁塗装を行う際には雨樋の点検、補修を必ずおこなっておくことが大切です。

また、建物は高くなるほど地震の揺れによる負荷を受けやすくなるので、3階建ての住宅は2階建ての住宅よりも外壁がひび割れしやすくなります

そのため、3階建て住宅では外壁のひび割れ対策をより入念に行う必要があります。

特に外壁がひび割れしやすいモルタル塗りの住宅や鉄筋コンクリート造の住宅の場合には、塗膜がひび割れしにくい「弾性塗料」を使って塗装することをおすすめします。

3階建ての外壁塗装で削ってはいけない2つの工程

3階建て住宅の外壁塗装は、2階建て住宅と比べて費用が高額になる傾向があります。

しかし外壁塗装では、たとえ予算が足りないからという理由であっても決して削ってはいけない作業があります。

どんなに費用が安くなっても品質が低くては工事を行う意味がありません。

そこでこの章では、絶対に削ってはいけない工事項目を紹介します。

塗装工程:3回塗りがマスト

塗料

外壁塗装には、塗膜の性能を最大限に発揮するために塗料メーカーが定めた塗装回数があります。

この塗装回数を減らしてしまうと、どんなに高性能な塗料を使用したとしても、本来塗料が持っている性能を100%発揮させることはできません。

外壁塗装に使用する塗料の多くは下塗り~中塗り~上塗りの3回塗りが基本で、これは3階建て住宅であっても変わりません。

そのため、どんなに費用が安くなったとしても塗装回数を減らすのは絶対にやめましょう。

4回塗りは塗料が剥がれやすくなるので注意

塗装業者の中には、「当社では4回塗りが標準です」といって4回塗りをすすめてくる場合があります。

しかし4回塗りももあまり好ましくはなく、塗り重ねの回数が多くなると塗料が剥がれやすくなってしまう可能性があります。

そのため、塗装業者が提示する塗り重ねの回数とメーカーが定めている回数が合っているかどうかを必ず確認しておくことが大切です。

外壁塗装の塗り重ねの回数に関する基本的な知識については、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

養生:養生シートの削減はNG

外壁塗装では、周囲に塗料が飛散してしまうのを防ぐために養生を行います。

特に3階建ての場合には塗料が飛び散りやすいので、養生をしっかりと行う必要があります。

養生は一見品質には関係ないように思われがちですが、工事中の近隣からのクレームを防止したり、窓や扉などの塗装しない部分に塗料が付着したりするのを防ぐために非常に重要です。

工事費用を削減するために養生費用を削るのは絶対にNGで、雑な養生を行う業者にも注意が必要です。

3階建ての外壁塗装を依頼する業者の選び方

点検作業

この章では、3階建て住宅の外壁塗装を発注する際の業者選びの重要なポイントを紹介します。

3階建ての立ち合い調査は2階建てよりも時間がかかる

塗装業者に外壁塗装の見積もり書作成を依頼した場合、業者ははじめに建物の現況を確認するための調査を行います。

外壁塗装では工事着工前の建物調査・診断が非常に重要ですが、3階建て住宅は2階建ての住宅よりも調査に時間がかかり、60~90分程度かかってしまうことも決して珍しくありません。

また、3階建て住宅の屋根や外壁の高い部分は業者でも目視では確認しにくいため、梯子やドローン、高所カメラなどを使ってしっかりと点検してくれるかどうかが大切です。

30分程度で調査・点検を終了してしまう業者は、工事着工後に追加工事が発生したり工事内容が変更になったりすることが多いので、注意が必要です。

見積もり書に工程や単価の記載があるかは非常に重要

見積書

建物の調査・点検後には業者から見積もり書が提出されますが、見積もり書の確認が非常に重要になります。

単に工事総額の高い、安いだけでなく、見積もり書に工程や作業項目、数量、単価などが分かりやすく記載されているかどうかが大切です。

「外壁塗装 一式 ○○円」と大雑把に記載されただけの見積もり書は決して信用できないので、そのような業者への発注は避けた方が無難です。

見積もり書のチェック方法や良い例、悪い例については、以下の記事で紹介しています。

 

保証やアフターサービスの有無の確認も忘れずに!

業者に工事を発注する前には、外壁塗装終了後に保証書の発行やアフターサービスが受けられるかどうかを必ず確認しておきましょう。

外壁塗装には保証書の発行がないことも珍しくありませんが、その場合には万一施工に不備があったとしても、工事引き渡し後には無償で補修してもらえるとは限りません。

外壁塗装の保証やアフターサービスの重要性については、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

まとめ

本記事では3階建て住宅の外壁塗装について紹介しました。

3階建ての場合の主な注意点は、足場費用が高くなる傾向がある、屋根や外壁の上部が施工前に確認しにくい、工期が長くなるという点です。

その他は2階建て住宅の場合と大きく変わることはありませんが、業者の現地調査の際には業者によって調査の精度に差が生じやすいことが挙げられます。

2階建てでも3階建てでも施工業者の選定が重要なことは変わらないので、業者選びは慎重に行うようにしてください。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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