冬場の外壁塗装は施工条件を守れば実施可能!冬場ならではのメリットも!

冬は気温が低く雪が降ったり霜が降りたりするので、外壁塗装するには不向きだと思っている方が多いのではないでしょうか。

しかしいくつかの条件をクリアすることができれば作業に制限はつくものの冬でも外壁塗装することが可能で、冬に外壁塗装を行うメリットもあります。

そこで本記事では冬に外壁塗装工事を行う際に注意すべき点や、冬に行うメリット・デメリットなどについてわかりやすく紹介したいと思います。

目次

冬場の外壁塗装は気象条件を守れば施工可能

冬場は気温が低く日照時間も短くなるため、多くの方が冬場に外壁塗装工事を行うことに不安を感じるのではないでしょうか。

実際に豪雪地帯や日照時間が極度に少ない地域では、冬の外壁塗装工事を行わない傾向にあります。しかし一定の気象条件さえ守れば、冬でも外壁塗装工事を行うことは可能です。

守らなくてはいけない3つの気象条件

冬場に外壁塗装を行うためには守らなければならない条件があり、その中に気象条件があります。

外壁塗装ができない気象条件は以下の3つです。

  • 気温が5℃未満の場合
  • 湿度が85%以上の場合
  • 降雨、降雪、結露が生じている場合または予想される時

※日本建築学会の資料でも塗料の硬化には気温5℃以上、湿度85%未満が必要と定められています。

気温が5℃未満、湿度が85%以上の環境で塗装工事を行うと塗料が乾燥・硬化しにくくなり、硬化不良を起こして塗膜が脆弱になってしまいます。

また、降雨や降雪、結露が生じている時に塗装すると水分が塗膜の密着を妨害し、塗料が流れ落ちてしまう恐れがあります。

これらはすべて塗料の乾燥や硬化・密着に関係するものであり、このような条件下で塗装した場合には施工不良となってしまうので、絶対に塗装工事を行ってはいけません。

また、これらの気象条件は冬だけに限らず、年間を通しての条件になります。

冬場に外壁塗装工事を行う際の注意点

冬場に外壁塗装工事を行う際には、業者の施工管理が極めて重要です。

冬の外壁塗装工事の注意点には、次のようなことがあります。

天候・気温に注意する

冬場の外壁塗装工事では天候や気温の変化などに特に注意が必要で、場合によっては作業途中にも関わらずその日の工事中止の判断をしなければなりません。

また、一度雪が積もってしまうと晴れても数日間は作業ができなくなってしまうこともあります。

そのため冬場の施工管理では、品質管理だけでなく工程管理にも普段以上に気を使わなければなりません。

■午後から降雪予想がある場合

午後から降雪予想がある日の午前中にできるだけ作業を進めておくという考えは、あまりおすすめできるものではありません。

外壁塗装工事では塗料の乾燥が極めて重要で、塗料がしっかりと乾燥していない状態で雨や雪が降ると、施工不良の原因になってしまいます。

そのため午後から降雪が予想される場合には、その日の作業を中止とするのが適切な判断といえます。

■午前中は雪で午後から雪が止む場合

塗装面が濡れた状態で塗装を行うことはできません。塗料が水分に邪魔されてしっかりと下地に密着しないため、施工後に塗膜が剥がれる原因になってしまうからです。

したがって雪や雨が降ったあとは、外壁をしっかりと乾燥させてから塗装作業を行うことが大切です。

夜露に注意して塗装を行う

外壁塗装工事は、通常は朝8時過ぎくらいから夕方17時過ぎくらいまでの間に作業が行われます

しかし冬には夜露がおりて外壁に水滴が付着し塗膜の密着が妨げられるため、午前中は作業ができないことがあります。そのため冬の塗装開始時間は、夜露の発生状況を見て判断する必要があります。

しかし業者によっては夜露の発生の有無に関係なく塗装工事に着手してしまうこともあるので注意が必要です。

余裕を持った工程スケジュールを組む

冬場は日照時間が短くなるため、現場での作業時間も短くなります。また、工事中に積雪があった場合には数日間作業することができなくなることもあります。

そのため余裕を持った工程スケジュールを立てることが不可欠で、注文主(施主)もその点を十分に理解しておく必要があります。

さらに職人の体調管理や材料・道具などの管理も業者側でしっかりと行わなければいけません。尚、天候不順による工期のズレは工事費用には影響しません。

冬場の外壁塗装工事のメリット

足場

冬場の外壁塗装にはリスクが存在するのは明らかですが、メリットも少なくありません。

この章では冬場の外壁塗装のメリットを紹介します。

晴れの日が多く乾燥しているため、塗料の乾燥時間が早い

地域にもよりますが、冬は晴れた日が多くて湿度が低いため塗料の乾きが早く、スムーズに塗装作業を進めることができます。

一方、夏や梅雨の時期は気温が高いものの湿気が多く、塗装の条件である湿度85%を上回ってしまう恐れもあるので、塗装作業ができなくなる可能性があります

このような面においては、夏よりも冬に外壁塗装を行った方が良いといえます。

他の季節よりも工事中に室内で快適に過ごすことができる

外壁塗装工事中には窓に塗料が付着しないようにビニールシートなどで養生が行われ、居住者が窓を自由に開閉することができなくなってしまいます。

さらに足場も養生シートで覆われてしまうので、夏場の外壁塗装工事中は非常に暑苦しさを感じます。

しかし冬場であれば窓を開閉して部屋の換気を行ったり窓を開けっ放しにして外気を取り入れたりすることも少ないので、生活にはほとんど影響がなく工事中も過ごしやすいといえます。

また塗料の臭いに悩まされたり、近隣に迷惑を掛けたりする可能性も低いといえるでしょう。

優良業者の予約が取りやすい

冬場の外壁塗装工事は敬遠する人が多く需要が減るので、普段は人気の高い優良業者でも工事の予約が取りやすくなります。

また、腕の良い職人も冬場には手が空くことが多いので、冬場の閑散期に工事を依頼すれば希望の職人に担当してもらう可能性が高くなります。

費用が安くなる可能性がある

業者によっては閑散期になる冬場にキャンペーンや割引などを行っていることもあるので、こうした特典を上手く利用すれば格安な価格で工事を依頼できる可能性があります。

しかし過度の値引きを行っている業者は悪徳業者の恐れがあるので注意が必要です。

冬場の外壁塗装工事のデメリット

塗料

冬場の外壁塗装工事のデメリットは、主に日照時間が短くなることや気温が低いことなどが挙げられます。

この章では冬に外壁塗装を行うデメリットを紹介します。

日照時間が短いため作業時間が少ない

冬は日照時間が短く日没が早い季節なので、1日の作業時間が短くなってしまいます。他の季節よりも工期が長くなってしまうので、余裕を持ったスケジュール調整が欠かせません。

また、周囲が薄暗くなった状態で塗装作業を続けてしまうと塗り残しや塗りムラが発生しやすくなり、工期だけではなく品質面にも悪影響を与えてしまいます。冬場には無理に工期短縮をしないことが大切です。

気象条件により作業が中断する可能性がある

外壁塗装には気象条件による制約があるので、急な天候の変化や気温の低下によって塗装作業を途中で中断しなければならなくなることがあります。

特に雪が積もってしまうと安全面でも弊害があるので、工期の遅延につながる恐れがあります。

朝霜が降りる地域では霜が乾くまで作業が出来ない

冬は霜にも注意が必要です。

特に朝霜が降りる地域では、霜が乾く前に塗装してしまうと水分が塗料の乾燥を阻害し、塗膜の剥がれや膨れなどの不具合の原因になります。

そのため霜が降りている場合は霜が乾くまで作業を待つ必要があり、作業効率が悪くなる可能性があります。

冬場の外壁塗装工事で起こる生活への影響とは

足場での外壁塗装作業

この章では、冬場の外壁塗装工事が日常生活に与える影響について紹介します。

工事中にあわててしまうことがないように、事前に対策を立てておくことが大切です。

暖房器具が一時的に使えなくなる可能性がある

外壁塗装工事中にはエアコンの室外機が撤去されたり、室外機や給湯器がビニールシートなどで養生されたりして一時的に使用できなくなることがあります。

ガス給湯器が使用できなくなると温水式の床暖房なども使用できなくなってしまうので、事前に塗装業者と使用制限がある機器などについて打ち合わせをしておくことが大切です。

業者によっては塗装作業中でも暖房機器が使用できるように養生を工夫してくれることもあるので、事前の打ち合わせが非常に重要になります。打ち合わせ次第では、電気式の暖房器具やホットカーペットなどの準備が必要です。

工期が他の季節と比べて長くなる

冬の外壁塗装工事は日照時間が少ないため、他の季節と比較してどうしても作業可能時間が短くなってしまいます。

また、夜露や朝霜による影響を考慮して工事開始時間が通常よりも1時間程度遅くなることも珍しくありません。そのため普段の工期よりも2~3日長くなってしまう傾向があります。ただし、工事費用に影響することはありません。

また、外壁塗装工事中には足場に飛散防止用の養生シートを掛けて建物全体を覆うためその間部屋の中が薄暗くなりがちで、日中でも照明器具を点灯しておく必要が生じることがあります。

季節ごとの外壁塗装工事の特徴・メリットとデメリット

塗料

外壁塗装工事は春と秋に需要が多くなりますが、どの季節に行なったとしてもそれぞれにメリットとデメリットがあります。

そこでこの章では、季節ごとのメリット・デメリットを紹介します。

春の外壁塗装工事:天候が安定しているため工事が予定通りに行われやすい

春は外壁塗装工事を行う人が非常に多くなる季節です。

比較的気候が安定していて工事が予定通りに進みやすく、工事中にエアコンが使えなかったり窓が開閉できなかったりしても日常生活への影響が少ないことが理由です。

しかし一方では塗装業者も繁忙期を迎えるため、契約してもなかなか工事が着工しないということにもなりかねません。また、春雨前線の影響で工事が予定よりも長引いてしまうこともあります。

春に希望の日程で工事を行いたい場合には早めに業者選定を行い、繁忙期が来る前までに契約して工事日程を決めておくことが大切です。

春の外壁塗装工事については、以下の記事を参考にして下さい。

 

夏の外壁塗装工事:意外と穴場?希望通りにスケジュールが組みやすい

夏場の外壁塗装工事は工事中の生活に不安を抱く人が多く、何かと敬遠されがちです。

しかし日照時間が長いため作業時間が確保しやすい(工期短縮が可能)、塗料が乾燥しやすい、需要が少ないため多くの塗装業者から業者を選択することができる、希望の工期で塗装工事を行うことができるなどのメリットがあります。

その反面、工事中の暑さ対策が不可欠になる、夕立が多くスケジュールにズレが生じやすい、工事日程が盆休みと重なると工期が長くなるといったデメリットもあるので、事前にメリットとデメリットをよく検討しておく必要があります。

夏の外壁塗装工事については、以下の記事を参考にして下さい。

 

秋の外壁塗装工事:天候が安定していることから外壁塗装工事には人気の季節だが、デメリットも

秋も春と同様に気候が安定しているのでスケジュール通りに工事が進みやすく、外壁塗装工事の人気シーズンとなっています。

過ごしやすい気候のため、夏や冬に比べて工事中のストレスを感じることが少なくなるのが大きなメリットといえるでしょう。

一方で秋は台風や秋雨前線の影響を受ける可能性があるので、工事が長引くこともあります。

また春と同様に塗装業者のスケジュールが立て込んでいるため、なかなか自分の希望のスケジュール通りに工事を行ってもらえないことが多くなります。

秋の外壁塗装工事については、以下の記事を参考にして下さい。

 

梅雨の外壁塗装工事:予約が取りやすく価格も安めだが天候に左右される

梅雨の時期は週5日ほど雨が降ることも珍しくないので、多くの方が外壁塗装工事を行うのを敬遠します。

しかし実際には梅雨の時期でも施工上の注意を怠らなければ、外壁塗装ができない訳ではありません。

外壁塗装業者の中には閑散期になるこの時期に、キャンペーンなどを行って特別価格で外壁塗装工事を請け負っている業者もいます

また、普段は多忙な業者でも梅雨の時期であれば希望の日程で工事を依頼できる可能性が高いといえます。

梅雨の時期ということで工期が遅延するのを覚悟の上でなら、この時期に工事を依頼するのもひとつの方法です。

梅雨の時期の外壁塗装工事については、以下の記事を参考にして下さい。

冬の外壁塗装工事を成功させるには業者選びが大切

外壁塗装工事を成功させるためには工事の実施時期に関わらず業者の選定が非常に重要ですが、特に工事の制約が多い冬場や梅雨の時期になるほど優良業者に依頼することがより大切になります。

優良業者を見極める方法として、以下の5点に気をつけるようにしてください。

  1. 見積もり金額が費用相場とかけ離れていないこと
  2. 見積もり書の工事内容が細かく記載されていること
  3. 見積もり書作成前の診断および診断結果の説明がわかりやすく行われていること
  4. 塗装工事終了後の保証制度やアフターサービス体制が整っていること
  5. 工程管理や職人の管理がしっかりと行われていること

これらの項目がクリアできていれば比較的信頼度の高い業者といえます。

優良業者の見極め方や見積書の確認方法については、以下の記事を参考にして下さい。

まとめ

外壁塗装工事は、作業条件や塗料メーカーが定めた基準をしっかりと守って施工すれば冬でも施工することができます。

また、どの季節に行うにしてもメリットとデメリットがあるので、いつ行うのが良いとは一概にはいえません。したがって塗装する時期にこだわって業者を選ぶよりも、施工管理や品質管理をしっかりと行っている業者を見極めることが最も重要といえます。

業者選定さえ間違わなければ、冬場に外壁塗装を行っても問題はありません。

本記事の内容を参考にして、外壁塗装で後悔しないようにしていただけたら幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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