外壁塗装のオリジナル塗料に要注意!おすすめできない理由を解説

外壁塗装の際に使用する塗料のメーカーとしては、国内で三大メーカーと呼ばれているエスケー化研、日本ペイント、関西ペイントが良く知られていますが、他にもさまざまなメーカーが機能性のある塗料を製造・販売しています。

一方、外壁塗装業者の中にはオリジナル塗料を使った営業をしている業者もいて、この記事をご覧いただいている方の中にも業者からオリジナル塗料を勧められた方もいるのではないでしょうか。

しかし塗装業界の中では、オリジナル塗料の評判は決して良いものではありません。

そこで今回の記事では、「オリジナル塗料とはどのようなものなのか」「オリジナル塗料をおすすめできない理由」などについて詳しく紹介します。

外壁塗装業者が扱うオリジナル塗料とは?

外壁塗装業者が扱うオリジナル塗料には、塗料メーカーに製造を委託した「OEM商品」と「既存の商品のラベルを貼り換えただけの塗料」の2つのパターンがあります。

塗料選びで失敗しないためにも、それぞれの商品について知っておく必要があります。

塗料メーカーに製造を委託した「OEM」塗料

OEMとは「OriginalEquipmentManufacturing(Manufacturer)」の略で、メーカーが他社ブランドの製品を製造すること、または自社で製造した製品を自社ブランドではなく他社のブランドで販売するメーカーのことをいいます。

したがってオリジナル塗料といっても塗装業者が自社で製造しているわけではなく、塗料メーカーに製造を委託した塗料になります。

塗料を開発したり製造したりするためには、たくさんの資金や設備が必要になるため、一般的な塗装業者が塗料を新規に自社で開発・製造することはできません。

そのため、塗装業者が塗料メーカーに塗料を発注しオリジナルラベルを貼って使用しているケースがほとんどです。

また外壁塗装工事を斡旋しているハウスメーカーでもOEM商品を「自社開発商品」として扱っているケースがあり、「当社の家の外壁にはこの塗料しか塗装できない」などと言っていることがありますが、決してそんなことはありません。

このため、OEM商品には必ず塗料メーカーが販売している同様の塗料があると思って良いでしょう。

他社の塗料に無断で商品ラベルを貼っただけの塗料

もう一つのパターンが、他者が販売している塗料のラベルだけを貼り換えてオリジナル塗料として扱っているケースです。

これはOEM商品と違ってかなり悪質なケースなので行なっている業者はそれほど多くはありませんが、中身は安価な塗料や耐久性の低い塗料だったりすることが多いので注意が必要です。

しかし実はこのような方法は悪徳業者がよく用いる手法なので、こうしたオリジナル塗料と呼ばれる塗料を提案された場合には、その塗料のカタログなどを見せてもらうようにしましょう。

商品ラベルを貼り換えただけの塗料には、カタログが存在しないことがほとんどです。

外壁塗装業者のオリジナル塗料をおすすめできない理由

足場での塗装作業

前章で外壁塗装業者が扱っているオリジナル塗料について紹介しましたが、これらの塗料はあまりおすすめすることができません。

この章では、その理由について詳しく説明します。

大手メーカー製造の塗料を超える品質の塗料を開発できる可能性は低い

国内には大手三大塗料メーカーの他にもさまざまな塗料メーカーがありますが、大手メーカーほどの研究開発力や施設を持った塗料メーカーは国内にはほとんどなく、ましてや外壁塗装業者にそのような設備があるはずがありません。

したがって自らの力で、大手メーカーの塗料と同等以上の塗料を開発できることはほとんどないといえます。

塗装業者がどんなに自社のオリジナル塗料の耐久性や機能性をアピールしても、その信頼性は極めて低いといえるでしょう。

塗料の耐用年数や機能が信用できない

オリジナル塗料は、たとえ塗料メーカーが製造しているOEM商品であったとしても、耐用年数や機能が塗料メーカーの自社製品よりも優れていることはほとんどなく、塗料の成分などについても不透明な部分が多いといえます。

塗装業者が「この塗料は30年以上もちます」などといったところで、そもそも30年以上の耐久性を持つ塗料など現時点ではありません。

よって塗装業者がいう塗料の耐用年数や機能は、信頼度が非常に低いといえます。

他製品との値段の比較ができない

塗料

塗料は一般的に、耐用年数が長いものほど価格が高くなります。

しかしオリジナル塗料と呼ばれているものにはどのような成分が含まれているのかがわかりにくく、塗料の価格が妥当なものなのかどうかを判断することが難しいといえます。

塗料メーカーが販売している通常の塗料であればインターネットなどで標準的な価格を調べることができますが、オリジナル塗料ではそれもできないことがほとんどです。

そのため自分で価格を調べることができず、他の同等の塗料と価格を比較することもできません。

高耐久塗料だからといわれて高い費用を支払いながらも、実際は安い塗料だったということにもなりかねないといえます。

施工実績が少ない

一般的に流通している大手塗料メーカーの塗料であれば、全国的に数多くの施工実績があるので、その評判や施工実例などをインターネットで検索して調べることができます。

一方、オリジナル塗料は他の業者が扱っていないので施工実績が少なく、情報を得るのも難しいといえます。

そのため、万が一オリジナル塗料でクレームや不具合などが発生していたとしても、それを知ることは難しいといえるでしょう。

オリジナル塗料を使うこと自体にメリットがない

ではオリジナル塗料を使うとどんなメリットがあるのでしょうか。

大手塗料メーカーが製造している塗料であればOEM製品だからといって必ずしも品質が悪いという訳ではありませんが、あえてそれを選ぶ理由が見当たりません。

塗料メーカーが自社製品として販売している塗料は全国のさまざまな住宅に合わせて研究開発されたものなので、オリジナル塗料を採用すること自体にほとんどメリットはないといえます。

強いていえば、塗料メーカーの塗料にはない特殊な色味がオリジナル塗料には標準色としてある場合くらいではないでしょうか。

このようなことから、塗装業者からオリジナル塗料をすすめられたとしても避けた方が無難といえます。

ご自宅の外壁と相性が良いかは分からない

塗料にはシリコン塗料やラジカル制御型塗料、フッ素塗料など価格や耐用年数、機能の違いによってさまざまな種類があります。

また外壁にも窯業系サイディングや金属系サイディング、モルタルなど数多くの種類があり、塗料の種類によっては外壁材との相性が悪いこともあります。業者が提案するオリジナル塗料が必ずしも自宅の外壁と相性が良いとは限りません。

外壁の種類に応じて業者に最適な塗料を選定してもらった方が、結果的に耐用年数が長くなるといえるでしょう。

オリジナル塗料を営業に使う悪徳業者も多い

オリジナル塗料を扱っている塗装業者の全てに該当するわけではありませんが、悪徳業者が使う手口の中にはオリジナル塗料を扱ったものがあるので注意が必要です。

この章では、オリジナル塗料を使った悪徳業者の手口を紹介します。

有り得ない性能がつけられたオリジナル塗料

オリジナル塗料は通常の塗料のように価格や耐用年数、機能などが広く一般の人に知れ渡っていないため、それを悪用してセールストークに使っている悪徳業者が存在しています。

「大手塗料メーカーの塗料よりも高性能」「30年の耐用年数があるので今後のメンテナンスは不要」「他社にはない新技術」などといった営業トークを使って消費者を勧誘するのが悪徳業者による営業の常套手段です。

そしてそれを聞いた方がオリジナル塗料の名前をインターネットで検索して調べてみても、本当のことは何もわかりません。

また、大前提として大手の塗料メーカーは長年研究開発を行っているので、実際にはメーカーの塗料の性能を超える塗料などは存在しないといえるでしょう。

価格が安い塗料に名前をつけただけのオリジナル塗料

悪徳業者が提案するオリジナル塗料は、大手塗料メーカーの一般的な塗料の数倍の金額で見積もりされていることがあります。

塗装工事が終わってしまうと、たとえ安価な塗料や粗悪な塗料が使われていたとしてもすぐに剥がれてしまうことはないので、一般の人がそれに気付くことはほとんどありません。

気付いた時にはすでに工事代金は全額支払い済で、施工した業者とは連絡がつかないといったことも珍しくありません。

このようにして安価な塗料のラベルを付け替え、オリジナル塗料として販売し詐欺まがいの外壁塗装工事を行なっている悪徳業者も存在しているため、注意が必要です。

外壁塗装にはメーカーが製造した塗料を使うのが無難

塗料

外壁塗装業者を選択する際には、塗料メーカーが販売している商品を提案してくれる業者を選ぶのが無難です。

また提案がなかったとしても、インターネットで価格や機能を容易に検索することができる塗料を使用している業者に依頼するようにしましょう。

さらに1社だけでなく、複数の塗料メーカーの塗料を提案してもらえれば安心です。

自宅の外壁の種類や劣化状態に合った塗料を提案してくれる業者を選ぶようにしましょう。

塗料で騙されないための業者の選び方

悪徳業者の手口には、オリジナル塗料と称して安価な塗料を高額な価格ですすめてくるケースが少なくありません

多額な費用を請求されるだけでなく、安価な塗料を使用した工事になるので、施工品質にも問題があります。

こうした悪徳業者に騙されないようにするためには、業者の選定が非常に重要です。

この章では、外壁塗装業者を選ぶ際の注意点について紹介します。

優良業者に外壁塗装を依頼する

大前提として、優良業者に依頼すればこのようなトラブルを防ぐことができます。

また外壁塗装業者には訪問営業を行なっている業者も存在しますが、訪問業者の中には悪徳業者が多いといわれているため、契約の際は細心の注意が必要です。

訪問営業を行うすべての業者が悪徳業者というわけではありませんが、決してその場で契約してしまうことがないようにしましょう。

外壁塗装業者で最も信頼できるのは、住まいのある地域で長年営業している地域密着の塗装業者です。

地元の業者であれば近隣での施工実績も多く、さまざまな方から評判を聞くことができます。

口コミやインターネットでの評判、施工実績、会社情報なども参考にしましょう。

また、見積もり書の内容や保証の有無、保証内容なども重要な判断基準となります。

見積もり書の内容をわかりやすく説明してくれる業者であれば、作業内容も熟知しているので信頼度が高いといえるでしょう。

このような優良業者を見極める方法については、以下の記事を参考にして下さい。

 

相見積もりを複数の業者に依頼する

業者を選定する際には、1社ではなく複数の業者に相見積もりを依頼して各社の見積もり書の内容を比較検討することが大切です。

同じ条件であっても、複数の業者から見積もりを取ればどれくらいの金額が適正価格なのか、どういった工事が必要になるのかがだいたいわかります。

その上で優良業者を見極めることが大切ですが、その際には決して価格の安さだけで業者を選ばないことが大切です。

相見積もりの正しい取り方などについては、以下の記事を参考にして下さい。

 

外壁塗装工事の適正価格を事前に調べる

どんな工事にも適正価格というものが存在しますが、外壁塗装工事であっても例外ではありません。

塗装工事のそれぞれの項目(足場、高圧洗浄、養生、下地処理、シーリング、外壁塗装等)には費用相場があるので、業者に見積もりを依頼する前にある程度事前に調べておけば、悪徳業者に騙されることはありません。

外壁塗装の適正価格については、以下の記事を参考にして下さい。

まとめ

外壁塗装工事は比較的高額になるため、依頼主にとって業者選定が重要になります。

外壁は室内のリフォームとは異なり、周辺道路や敷地外からも劣化状況が容易に確認できるので、悪徳業者の目に付きやすいといえます。

こうした悪徳業者の手口を理解しておくことも、外壁塗装工事を行うにあたっては非常に重要になります。

今回は外壁塗装のオリジナル塗料について紹介しましたが、悪徳業者がすすめることが多いオリジナル塗料を選ぶメリットはほとんどないことを知っておくと良いでしょう。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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