人気のガリバリウム鋼板屋根の特徴!費用相場、おすすめ商品
ガルバリウム鋼板は、これまでに住宅や工場などの屋根素材として使用されてきたトタン板に変わる軽量の屋根材として人気があります。
メンテナンスの必要がなくサビびにくいなどというメリットも多いため、屋根のリフォームを行う際にトタン屋根からガルバリウム鋼板に変更する人も少なくはありません。
近年では日本で一番人気と言われているガルバリウム鋼板ですが、デメリットや気をつけておくべき点がいくつか存在します。
この記事では、ガルバリウム鋼板の基礎知識や種類、メリット・デメリットなどについて解説します。
ガルバリウム鋼板を取り入れようかお悩みの方、ガルバリウム鋼板について詳しく知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。
目次
ガルバリウム鋼板の基礎知識
ガルバリウム鋼板とは、ガルバリウムという合金でメッキされた鉄のことです。
この金属素材は1972年にアメリカで開発され、モダンでスタイリッシュな雰囲気が人気の理由となっています。
ガルバリウム鋼板と混同されがちなものでトタン板がありますが、トタンが亜鉛メッキ鋼板でできているのに対し、トタンにアルミを加えたものがガルバリウム鋼板になります。
耐用年数は25年〜35年と長く、サビなどに気をつけてメンテナンスを行うことで40年以上耐久性が持続するものもあります。
サビが発生してしまうと、穴が空いてしまう可能性が高まり雨漏りなどの被害が発生してしまうため、より長持ちをさせるには定期的なメンテナンスを行うことが最も重要です。
ガルバリウム鋼板のメリット
ガルバリウム鋼板には「サビが発生しにくい」「耐久性が高い」「加工しやすい」など多くのメリットがあります。
下記では、それぞれのメリットについて詳しく紹介します。
サビびにくい
ガルバリウム屋根は、トタン屋根と比較するとおよそ4倍の防サビ性があるといわれています。
トタン屋根に使用されている亜鉛メッキ鋼板は、一度サビが発生するとサビが次第にどんどん広がっていき、最終的には屋根本体に穴を開けてしまいます。
そうなってしまうと屋根自体の機能性が失われてしまい、大規模な補修工事が必要となってしまうことがあります。
一方でガルバリウム鋼板の場合、一度発生したサビを包み込みそれ以上進行させない働きをする「犠牲防食機能」というものが備わっているため、トタン屋根よりは劣化のスピードをはるかに抑えることができるのが特徴です。
耐久性が高い
ガルバリウム鋼板は従来のトタン屋根と比較すると耐久年数が高く、その差はなんと3〜6倍であるとされています。
先述したとおり従来のトタン屋根はサビが発生・侵食しやすく、およそ10年ほどでメンテナンスの塗装を行わなくてはなりませんでした。
しかしガルバリウム鋼板の場合、選ぶ種類によっては15年〜20年ほどの耐久年数があるものも多く、大雪にも耐えることができる強度が備わっています。
またガルバリウム鋼板の寿命は塩害地域で15年、それ以外で25年といわれていて、トタン屋根と比較するとはるかに長くなっています。
加工しやすい
ガルバリウム鋼板は柔らかなメッキ層でできているため、複雑な折り曲げなどの加工を行うことができます。
そのためさまざまな形状の屋根に柔軟に対応することができるというメリットもあります。
耐熱性・耐震性が高い
ガルバニウム鋼板には鋼板の上にさらに亜鉛・アルミ・シリコンの合金層があり、耐熱性があるアルミ素材が多く含まれているため、従来のトタン屋根よりも高い耐熱性が備わっています。
また素材が軽量のため建物に負担がかかりにくいことから、地震などが発生した際の家屋の揺れや建物に及ぼす影響が少ないことも特徴です。
このようなことから、ガルバリウム鋼板は耐熱性・耐震性を気にしている方にとってはぴったりの素材であるといえるでしょう。
ガルバリウム鋼板のデメリット
ガルバリウム鋼板には「防音性が低い」「断熱性が低い」「衝撃・アルカリ性に弱い」などのデメリットがあります。
下記では、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
防音性が低い
ガルバリウム屋根は瓦やスレート屋根と比較すると素材が薄く、防音性が劣ってしまう傾向にあります。
もしも防音性能を上げたい方は、屋根の工事を行う際にオプション機能として防音材を引くこともできます。
また、外壁の塗料を防音性の高い塗料にすることにより防音性を高めることも可能です。
防音性の高い塗料としてよく使われる塗料がガイナです。
ガイナについてはこちらの記事を参考にしてください。
断熱性が低い
ガルバリウム鋼板は金属製素材のため、断熱性能がついていません。
もしもガルバリウム鋼板を使用する際に断熱性能を追加した場合、下地に断熱加工をオプションとして施すことが一般的です。
その場合、通常の施工料金にプラスして断熱工事の費用がかかることになりますので注意しましょう。
衝撃に弱い
ガルバリウム鋼板は金属でできているため、割れたり破損する危険性は低いです。
しかし素材が薄いため、重いものを乗せたり強い衝撃が加わると凹んでしまう可能性があります。
アルカリ性に弱い
ガルバリウム鋼板はアルカリ性との相性が良くない傾向にあります。
そのため、枯葉・木屑・木材が長時間付着していると、ガルバリウム鋼板が変色したり変質するリスクが高まります。
住居環境が森林の近くにある場合、ガルバリウム鋼板にサビが発生してしまう可能性が高くなるので注意が必要です。
ガルバリウム鋼板製屋根の種類
ガルバリウム鋼板の屋根には「横葺き」「縦葺き」「差込葺き」の3つの屋根の形があります。
屋根の種類を決める際はこの3つの屋根の特徴を知っておくことが非常に大切なため、それぞれの屋根がどのような形状や特徴を持つのかを覚えておきましょう。
下記では、それぞれの屋根について詳しく解説します。
横葺き屋根
横葺き屋根は、屋根の流れに沿って横方向に張る金属屋根のことを指しています。
ガルバリウム鋼板が登場するまでは、横葺き屋根は今ほど主流ではありませんでした。
しかしトタンよりもガルバリウムが主流になってから横葺き屋根を採用する住宅が増加し、今では横葺き屋根が人気のガルバリウム鋼板製屋根となっています。
縦葺き屋根
屋根の流れに沿って縦方向に張られている屋根のことを縦葺き屋根と呼びます。
近年は横葺き屋根が増えていますが、30年〜40年ほど前はトタン板で作られた縦葺き屋根が主流でした。
昔は「瓦棒」と呼ばれる張り方が主流でしたが、近年の縦葺き屋根ではガルバリウム鋼板のみで屋根を作り上げる平葺きが主流となっています。
差し込み葺き屋根
差し込み葺き屋根は2010年に登場した比較的新しい屋根のリフォーム方法です。
この屋根はコロニアル専用のリフォーム方法でコの字型のガルバリウム鋼板をコロニアル接着剤で貼り付けて仕上げていく方法です。
板金加工の技術がなくても行うことができるため、現在はさまざまな会社で取り入れられています。
ガルバリウム鋼板製屋根に色選びは重要?
ガルバリウム鋼板は白・黒・ブルー・オレンジ・赤など、さまざまなカラーバリエーションがあります。
耐熱性を考慮している方は黒などの暗めの色を避ける傾向にありますが、断熱材を一緒に施工する場合は好きな色を選ぶことができます。
また屋根の中には、断熱材一体型とも呼ばれる元から屋根と断熱材が一体になっている屋根もありますので、そこまで深く断熱性を気に留める必要はないでしょう。
ガルバリウム鋼板の費用単価
ガルバリウム鋼板の費用単価は、保証期間が長いものや高品質なものであればそれだけ費用が高額になります。
また、ガルバリウム鋼板をどのように加工するかによっても費用は変動します。
下記では、それぞれのポイントに分けて紹介します。
保証期間が長く高品質なガルバリウム鋼板ほど高価である
ガルバリウム鋼板は、保証期間が10年・15年・20年などさまざまな種類に分かれています。
10年保証のものは6,000円/㎡~8,000円/㎡、20年保証のものは(フッ素鋼板)8,000円/㎡~10,000円/㎡、30年保証のものは(天然石粒金属)10,000円/㎡~13,000円/㎡と、保証年数が長くなればなるほど費用が高額になるのが特徴です。
どのように加工するかによっても価格は変動する
ガルバリウム鋼板にフッ素鋼板や天然石粒金属屋根材などのコーティングを施した場合や、横葺きか成型品かによって価格はさらに変動していきます。
ガルバリウム鋼板を製造加工している国内メーカーは、日鉄住金鋼板、JFE鋼板、淀川製鋼所の3社ですが、そこからさらに屋根材や外壁材に加工を行う会社も多く存在します。
ガルバリウム鋼板を製造している主要メーカーとおすすめ商品
ガルバリウム鋼板を製造している主要メーカーは「日鉄鋼板」「JFE鋼板」「淀川製鋼所」です。
それぞれのメーカーがどのような塗料を製造しているのか、またそれぞれの特徴を細かく知っておくことで鋼板を選ぶ際の参考にすることができます。
ここでは、それぞれのメーカーのおすすめ製品や特徴を紹介します。
日鉄鋼板:クロメートフリーガルバリウム鋼板R処理
クロメートフリーガルバリウム鋼板R処理は、加工性・経済性・退職性などさまざまな特徴をかねそなえている鋼板です。
耐久性も高く、海岸線沿いや工業地帯でも多く使用されています。
アルミニウムの含有率が高いため耐熱性が高く、その性能はアルミメッキ板に近いとも言われています。
その耐熱性を生かし、炊飯器やオーブントースターにも使用されているのも大きな特徴です。
JFE鋼板:JFE ガルバリウム鋼板
JFE ガルバリウム鋼板は、優れた耐熱性・熱反射性が最大の特徴です。
外観は銀白色の結晶のような模様になっており、複層構造メッキにより耐食性も高いです。
環境によってはメッキ寿命が25年と長く、長期間サビを防止することができます。
淀川製鋼所:ガルバリウムカラー萠(きざし)
ガルバリウムカラー萠(きざし)は特殊セラミックを使用しているため、表面が艶消しされたよう落ち着いた仕上がりになります。
塗膜は15年保証でカラーバリエーションも落ち着いた色が多いため、モダンな雰囲気を求めている方におすすめの屋根材といえるでしょう。
ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンス時期や費用の相場
ガルバリウム鋼板屋根のリフォーム方法には「塗装」「葺き替え」「重ね葺き」の3種類があります。
下記ではそれぞれのリフォーム方法の時期や費用相場について解説します。
塗装によるリフォーム
塗膜によるリフォームを行う場合の費用相場は、シリコン塗料の場合1,600円〜2,500円/㎡、フッ素塗料の場合は3,000円〜4,500円/㎡です。
ガルバニウム鋼板の耐用年数はほとんどの場合30年〜40年といわれていますが、海岸線に近い場所に立地している場合は潮風などの影響でさらに耐用年数が短くなってしまう可能性もあります。
この場合は定期的な点検を行い、耐用年数がきていなくても必要に応じて塗装によるメンテナンスをする必要があります。
葺き替えによるリフォーム
日本瓦からガルバリウム鋼板に葺き替えする費用は、約5〜9万円/坪が目安です。
またスレートからガルバリウム鋼板に葺き替えをする場合は、約3〜6万円/坪が相場とされており、日本瓦からの葺き替えよりも費用が安くなるのが特徴です。
葺き替えによるリフォーム方法にに関しては、こちらの記事を参考にしてください。
重ね葺き(カバー工法)によるリフォーム
スレート屋根の上に重ね葺き(カバー工法)をする場合は、費用相場が約2万5千〜3万円/坪とされています。
ガルバリウム鋼板屋根の上に葺き替えを行う場合は、かかる費用の合計金額が87万円ほどになったという実例もあります。
使用する鋼板によっても費用は変動しますが、おおよそ70万円〜200万円ほどを相場として覚えておきましょう。
重ね葺き(カバー工法)に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
ご自宅で出来るガルバリウム鋼板のメンテナンス方法
ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンスを行う際、自宅で簡単にできることがあれば実行したいとお考えの方も多いかと思います。
自宅でガルバリウム鋼板のメンテナンスを行うには、定期的な水かけ・目視チェックの二通りの方法がおすすめです。下記で一つずつ詳しく解説します。
定期的に水かけをする
一番簡単に行うことのできるメンテナンス方法は「水かけ」です。
これを行うことにより、日頃から溜まっている汚れを落とし、サビなどを発生させない効果が期待できます。水かけの頻度は3ヶ月〜1年に一度くらいの頻度でOKです。
サビることもあるので定期的に目視によるチェックを!
ガルバリウム鋼板は、サビびにくいというメリットはあるものの、絶対にサビが発生しないということではありません。
先述したとおり、アルカリ性の木屑や枯葉が多く発生する立地・気候の中に建設されている住居では、より一層サビが発生しやすい環境となってしまうため、定期的なメンテナンスや目視のチェックを欠かさず行うことが大切です。
まとめ
ガルバリウム屋根のリフォーム費用相場やそれぞれの特徴、おすすめ商品を紹介しました。
一口にガルバリウム鋼板といっても、メーカーごとにアルミの含有率やカラーバリエーションが異なるため、それぞれの特徴をしっかりと把握しておくと実際に施工を行う際によりスムーズに鋼板を決定することができるでしょう。
また葺き替え・塗装・重ね葺き、どの工法を採用するかどうかも、立地や環境、使用年数によって異なるため、リフォームを行う際は専門業者をしっかりと話し合いを重ね、慎重に決定しましょう。
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