外壁・屋根塗装のガイナ塗料とは?効果・デメリット、費用相場

株式会社日進産業が開発した塗料である「ガイナ」は、宇宙開発の技術を応用した断熱セラミック塗料として注目されています。

ガイナは、宇宙空間の過激な温度変化からロケットの機体を守るために開発された断熱塗料の技術を、一般家庭用の塗料に応用して作られたことがアピールポイントです。

今回はそんなガイナの特徴や費用相場、メリット・デメリットを詳しく紹介します。

一般的な塗料とは性能が異なるガイナとは?

株式会社日進産業は、独自に断熱塗料の研究・開発を長年続けていた中で、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発したロケット打ち上げ時の熱から機体を守るための断熱技術を応用して、「断熱セラミックガイナ」を開発しました。

ガイナを住宅の屋根・外壁・内装に塗ると断熱・遮熱効果を発揮するだけでなく、室内の空気質を改善して、マイナスイオンとプラスイオンのバランスのとれた心地よい状態になるといわれています。

一般住宅では冬は暖かく夏は涼しい快適な住み心地になり、空調コストの大幅な削減が期待されています。

ガイナ塗料の代表的な特徴や効果6選

ガイナの具体的な特徴や効果にはどのようなものがあるのでしょうか。

この章ではガイナの代表的な特徴や効果について具体的に紹介したいと思います。

断熱・遮熱効果

ガイナは特殊セラミックビーズとアクリルシリコン樹脂で構成されており、セラミック含有率は塗料の状態で60%、塗膜状態では80%になるといわれています。

セラミックビーズの含有率が高いことから、他の断熱塗料よりも高い断熱効果を得られることが期待されています。

ガイナが高い断熱・遮熱効果が得られるのには、次の4つの性能があるためです。

  • 高放熱性

塗膜表面の熱を遠赤外線にて約95%放射することにより、表面の温度を下げる効果があります。

  • 低熱伝導性

熱伝導性が低いことにより、熱の侵入を抑えることができます。

  • 高反射率

太陽光を反射することにより、塗膜表面の熱の発生を抑制します。

(白色の場合、太陽光を約90%反射)

  • 小比熱容量

熱を溜め込まないため、空気の流れによって熱が奪われて温度が低下します。

簡単にいうとガイナは、光を反射させて熱の発生を防ぐ「遮熱」と、熱が伝わらないようにする「断熱」の両方の機能を持ち合わせているといえます。

夏の強い日差しを効率よく反射して建物内の温度が上昇するのを抑え、反射できずに残って吸収した熱を遠赤外線として放射します。

一方、冬場には暖房機器の熱を外に逃がしにくくして、塗装した面の温度を一定に保とうとする性質があります。

したがって日本の四季に合わせた暑さ対策や寒さ対策ができるといえます。

遮音・防音効果

ガイナの塗膜は密度の高い特殊セラミックの中に、空気を含んだ球体の多層で構成されています。

音はこの特殊セラミックで反射し、空気で減衰を繰り返します。

さらに塗膜内で多層になった特殊セラミックの効果により、塗膜内部に侵入してきた音もその振動を軽減することで音を小さくするといわれています。

そのため高い遮音・防音効果を発揮することができ、住宅密集地などの住宅の騒音対策に適しています。

結露防止・防カビ効果

結露は、温度が急激に低下して水蒸気が水に変化することで発生します。

主に外気と室温に著しい温度差が生じると発生する現象です。

ガイナは周辺の温度変化に適応する性質があるため、塗膜表面の温度が室温に近づくことで結露の発生を抑えることができます。

空気清浄効果

ガイナに含まれているセラミックは、遠赤外線を放出します。

すると遠赤外線の作用でマイナスイオンが発生しやすくなって、空気中の臭い物質やホコリ、花粉などの浮遊を抑えて汚れを予防する効果が期待できます。

外壁に塗っても室内の壁に塗っても同じ効果があるため、室内に使用すると消臭効果や空気清浄効果があります

耐久性・安全性

ガイナは紫外線に強い特殊セラミックを多層化しているため、耐久性が高いのが特徴です。

また有機溶剤を使用しない水性塗料のため、現場周辺の住民に対する安全性が高く、作業する人にも優しいのがメリットです。

52色あるカラーバリエーション

ガイナの基本色は52色あります。

しかし全てが淡彩色であり、濃い色や原色に近い鮮やかな色はありません。

それはガイナの塗膜表面を形成するセラミックは透明であり、光を受け乱反射すると白く見えるためです。

ガイナは、白が基本色です。通常の塗料と比べると決して色数が多くはありませんが、ローラーや刷毛、吹き付け、コテ仕上げなど、さまざまな工法に対応しているので、自分の好みに合った仕上がりにすることができます。

ガイナの費用相場、他の塗料との違い

ガイナと他の塗料の耐用年数と工事費用の相場は下の表のようになります。

塗料の種類 耐用年数の目安 工事費用の相場(㎡)
アクリル塗料 5~8年 1,000~1,800円/㎡
ウレタン塗料 7~10年 1,500~2,500円/㎡
シリコン塗料 10~15年 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 12~15年 2,200~4,000円/㎡
光触媒塗料 12~20年 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 15~20年 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 20~25年 4,500~5,500円/㎡
ガイナ塗料 15~20年 3,800~5,500円/㎡

※横にスクロールしてください。

他の塗料と比べて耐用年数が長い

ガイナ塗料は他の一般的な塗料と比較して耐用年数が長く、無機塗料よりも若干劣りますがフッ素塗料と同程度になります。

ただし塗料の価値は耐用年数だけで決まるものではなく、解決したい家の課題や塗装で実現したい要望によって最適な塗料を選択することが大切です。

フッ素塗料や無機塗料よりも安いか同程度

ガイナの価格は決して安くはなく高級塗料の部類に入りますが、最も高いとされる無機塗料よりは若干安く、耐久性の高いフッ素塗料や光触媒塗料と同程度となります。

ガイナの価格は1缶56,000円

株式会社日新産業のホームページによると、ガイナの1缶(14㎏)あたりの製品価格は白色で56,000円(税抜)、着色タイプで58,000円(税抜)と記載されています。

そしてガイナを取り扱う施工店には加盟店制度をとっていて塗装業者によって仕入れ価格が変わるため、価格などを事前に確認しておくと良いでしょう。

30坪の住宅をガイナで塗装する場合の費用相場は150万円前後

延べ床面積30坪の一戸建住宅をガイナで外壁塗装した場合には、足場代、高圧洗浄代などを含めて、概ね130~150万円程度になります。

外壁塗装工事の金額には、塗料代のほかに塗装職人の手間賃となる施工費や足場代、シーリング工事費などが含まれるため、業者によって価格差が生じます。

30坪の住宅の外壁塗装費用相場については、こちらの記事を参考にして下さい。

ガイナのデメリットとは?

ガイナ塗料にはメリットばかりではありません。デメリットも存在するので、よく把握しておく必要があります。

この章では、ガイナのデメリットを紹介します。

施工費用が他の塗料と比べて高額

ガイナは他の塗料と比較して、費用が高いことがデメリットです。

近年よく外壁塗装に使用されているシリコン塗料と比較すると、コストが2倍以上になってしまうこともあります。

しかしガイナ塗料は耐用年数が長いため塗り替え周期を延ばすことができるので、コストパフォーマンスを考慮するとお得ともいえます。

外壁塗装を行う職人の技術力が必要

ガイナにはセラミックビーズが多く含まれているので、塗りにくいのがデメリットになります。

塗装業者にとっても、他の塗料と比較した場合扱いにくくて塗りにくい塗料のひとつといわれています。したがって、ガイナを使用した塗装の経験が豊富な職人に塗装してもらうと良いでしょう。

ツヤ感のある仕上がりには出来ない

ガイナには、濃い色や原色に近い鮮やかな色はありません。

また、塗装後にはマットで上品な仕上がりになりますがツヤのある仕上がりにはならないので、光沢感のある仕上がりを希望する場合にはオススメできません。

またガイナの塗膜の表面には細かい凹凸ができてしまいます。そのためフラットな塗膜を好む方には不向きな塗料といえます。

塗料のストックが出来ない

ガイナは基本的に3か月以内に使い切る必要があるので、ストックしておくことができません。

また受注生産品なので、注文してから納品するまでに時間がかかります。

万一工事途中で塗料が不足してしまった場合には、工期が長くなってしまうことがあるので注意が必要です。

ガイナを使用する際の注意点

ガイナを使用するかどうかを決定する際には、デメリット以外にも事前に知っておいた方が良いことがあります。

この章では、ガイナを使用する際の注意点を紹介します。

ガイナは断熱材ではない

ガイナは前述したように断熱・遮熱効果の高い塗料ですが、あくまでも塗料の一種であって「断熱材」ではありません。

そのため断熱材として求められる機能を持っているわけではないので、注意が必要です。

ガイナには他の塗料よりも明らかに高い断熱性・遮熱性があるものの、ガイナで塗装したことにより夏暑かった家が劇的に涼しくなるようなことはありません。

しかし現在断熱性能が低い家や、気密性の低い家であるほど、効果が実感できやすいと思います。

また化粧スレートの屋根などをガイナを使用して塗装すると、最上階の部屋ではだいぶ暑さを軽減できると思います。

これらのことを十分考慮した上で、塗料として採用するかどうかを決定することが大切です。

塗料としての歴史は浅い

現在国内には数多くの塗料メーカーがありますが、その多くが古くから存在している会社です。国内三大塗料メーカーといわれている日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研などは140~66年の歴史があります。

一方、ガイナの製造元である株式会社日進産業はまだ非常に歴史の浅い会社なので、そのあたりの事情は知っておいた方が良いでしょう。

ガイナが発売されてからはまだ15年程度しか経過しておらず、ガイナの耐用年数とされる15年を実証できる物件は今のところまだほとんどありません

ガイナをこれから使用するにあたっては、そのあたりのことも検討しておく必要があります。

まとめ

ガイナにはさまざまなメリットがありますが、中でも断熱・遮熱効果が高いことがガイナが採用される一番の理由でしょう。

しかしその特性をよく理解して適切な施工を行わなければ、塗料が持つ高い効果を発揮させることはできません。そのため塗装の際の精度がとても重要で、塗装職人の腕次第で効果が変わってしまいます。

また中にはガイナの性能を過大評価して営業トークをする業者もいるので注意が必要です。決して安い塗料ではないので、ガイナを使用して塗装を行う際には、慎重に施工業者を選ぶようにしてください。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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