30坪の外壁塗装にかかる費用相場!内訳、安くする裏ワザ

自宅の外壁塗装を検討する時には、ほかの同じくらいの広さの家では工事費用がどれ位かかったのかが気になるものです。

事前に費用相場を知っておくことは、工事後に後悔しないために大切なことです。

そこで今回は延べ床面積30坪前後の家にお住まいの方に向け、工事費用の相場や適正価格の見分け方、具体的な費用の内訳、費用を安くする方法などを解説したいと思います。

30坪の住宅の外壁塗装にかかる費用相場は?

一般的に30坪の住宅とは、延べ床面積(各階の床面積の合計)が30坪の家のことをいいます。

1坪は約3.3㎡になるので、約99㎡の家が30坪の住宅です。

30坪の家の外壁塗装工事費用の相場は60~90万円程度といわれていますが、工事費用は使用する塗料の種類などによって変動します。

また実際には塗装する部分の外壁の面積によって費用が決まるので、同じ30坪の家であっても建物の形状や窓の数・大きさなどにより費用が異なります。

さらに塗装業者によっても価格が変わるので、一般の方にとっては非常にわかりにくいものになっています。

外壁塗装の費用相場は各条件によっても変動する

前述したように、外壁塗装工事費用は様々な要因により変動します。

この章では、外壁塗装工事費用に影響を与える要因について詳しく紹介します。

使用する塗料

外壁塗装の費用相場は、使用する塗料の種類によって大きく変わります。

塗料にはアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などのたくさんの種類がありますが、種類によって耐用年数が異なり、一般的には耐用年数が長い塗料ほど価格が高くなります

塗料の種類ごとの耐用年数と施工価格(1㎡あたりの材工価格)は下の表のようになります。

塗料の種類 耐用年数 施工価格
アクリル塗料 5~8年 1,000~1,800円/㎡
ウレタン塗料 7 〜10年 1,500~2,500円/㎡
シリコン塗料 10年〜15年 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 12年〜15年 2,200~4,000円/㎡
光触媒塗料 12年〜20年 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 15年〜20年 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 20年〜25年 4,500~5,500円/㎡

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表からもわかるように、フッ素塗料はウレタン塗料の約2倍の耐用年数がありますが、価格も約2倍になっています。

したがって、同じ業者に全く同じ2つの住宅の外壁塗装の見積もりを依頼したとしても、使用する塗料が違えば見積もり金額も異なります。

ただし価格の高い塗料を選べば耐用年数が長くなるため、その分メンテナンスサイクルを伸ばすことができるメリットがあるので、その点も考慮にいれて塗料選びをすることが大切です。

築年数

新築してから築年数が経過するほど劣化が進行して建物へのダメージが大きくなるため、その分外壁を塗装する際には広範囲に渡って補修が必要になります。

特に外壁以外の部分である木部や鉄部、シーリングなどの付帯部分の状態が酷くなっていくことが多く、築年数が経過すると費用がかさむようになります。

築10年目での外壁塗装では特に必要のなかった工事でも、築20年、築30年と経過するにつれて広範囲に渡る補修工事が必要になり、次第に費用が膨らんでいきます。

したがって、単純に30坪だからという理由だけで外壁塗装費用が決まるわけではありません

建物の階数

同じ延べ床面積が30坪の住宅であっても、2階建の住宅よりも3階建の住宅の方が外壁面積が大きくなる傾向があります。

30坪の住宅の平均的な外壁の面積は、2階建の家が120㎡前後であると言われているのに対して、3階建になると140㎡前後になることが多いようです。

そのため、実際に塗装する外壁面積から工事費を算出する外壁塗装工事においては、2階建よりも3階建の方が金額が多少高くなる傾向があるといえるでしょう。

また3階建の住宅の場合には、外壁塗装の際に必要となる足場の単価も2階建よりも若干高くなることがあります。

高さがある分、足場にも強度が必要になるためです。

建物の建築方法

同じ30坪の住宅であっても家の形状によって外壁の面積が変わるので、この様な場合も外壁塗装工事金額が変動します。

正方形に近いシンプルな形状の家は四辺の長さの合計が短いため、最も費用が安くなる傾向にあります。

しかし長方形の家や凹凸のある家などの複雑な形状の家は、外壁の面積が増えるため、足場を設置する面積も広くなります。

また、窓の数や大きさによっても外壁面積が変わります。

さらにデザイナーズ住宅などの場合は、一般的なローコスト住宅や建売住宅よりも塗装費用が高額になることが多いようです。

その他では、狭小地や全面の道路との高低差などといった建物の立地条件や周辺環境によっても費用が変わることが多いので注意が必要です。

30坪の住宅:費用相場の例

30坪の家といってもどの程度の家なのか、なかなかイメージできない方もいるのではないでしょうか。

30坪の家とは一例をあげると、1辺の長さが7m前後の総2階建住宅で、間取りは3LDK~4LDK、家族構成は親子4人程度の郊外のファミリー向け住宅をイメージすると良いでしょう。

この章では30坪の住宅の塗装費用の相場について紹介します。

外壁塗装のみの費用相場

30坪の外壁サイディング張り2階建住宅に、シリコン塗料を使って外壁塗装を行った場合の費用相場の例は、以下の表のようになります。

項目 数量 単価 合計(円)
足場 230㎡ 900 207,000
飛散防止ネット 230㎡ 200 46,000
高圧洗浄 120㎡ 250 30,000
養生 120㎡ 200 24,000
シーリング打ち替え 200m 1,000 200,000
下地補修 1式 25,000
外壁シリコン塗装(3回塗り) 120㎡ 2,500 300,000
廃棄物処分 1式 20,000
諸経費 1式 85,000
合計 937,000

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外壁塗装と屋根塗装を行う時の費用相場

同じ家を、外壁塗装すると同時に屋根塗装を行った場合の費用相場の例は次のようになります。

項目 数量 単価 合計(円)
足場 230㎡ 900 207,000
飛散防止ネット 230㎡ 200 46,000
高圧洗浄(屋根、外壁) 180㎡ 250 45,000
養生 120㎡ 200 24,000
シーリング打ち替え 200m 1,000 200,000
外壁下地補修 1式 25,000
外壁シリコン塗装(3回塗り) 120㎡ 2,500 300,000
タスペーサー 60㎡ 300 18,000
屋根下地補修 1式 15,000
屋根シリコン塗装(3回塗り) 60㎡ 2,500 150,000
廃棄物処分 1式 20,000
諸経費 1式 105,000
合計 1,155,000

※横にスクロールしてください。

外壁塗装の費用の内訳

外壁塗装の費用を左右する主な要素は、次の4つになります。

➀外壁の塗装面積

外壁の塗装面積が広くなるほど使用する塗料の量や職人の人件費がかかるため、費用がかかります。

外壁塗装面積は建物の延べ床面積の1.2~1.4倍になるのが一般的なので、30坪の住宅の外壁塗装面積の目安は約118~139㎡になります。

➁足場代

外壁塗装工事には高所作業がともなうため、足場の設置が不可欠です。

30坪の住宅の場合には、15~20万円前後が足場代の目安になります。

➂使用する塗料の種類

使用する塗料の種類によって塗装費用が大きく変わりますが、安価な塗料になるほど耐久性が劣るので、メンテナンスサイクルが短くなります。

現在最も人気の高いシリコン塗料の場合には24~48万円(工事費共)程度かかりますが、耐用年数は10~15年です。

➃工事内容

外壁塗装と同時にシーリングの打ち替えや、軒天・破風板などの付帯部分の塗装、屋根の塗装、バルコニーの防水工事などを行うのが一般的ですが、追加費用が発生します。

費用相場に定価がない理由

外壁塗装に使用する塗料には、塗料メーカーによって設計価格と呼ばれる目安価格が設定されています。しかし塗装工事自体には定価設定されていません。

これは、塗装する家の劣化状態や立地条件や周辺環境などによって、施工内容や施工手順、工事の難易度などが変わるためです。

また、外壁塗装工事、屋根塗装工事、シーリング工事、防水工事、付帯部分の塗装工事などの必要な工事の組み合わせによっても、作業手順や工程、注意すべき点などが異なります。

したがって塗装工事では事前に現地調査を行い、建物の劣化具合や周辺環境などを細かく調査した上で、一軒一軒見積もり書を作成することが重要になります。

外壁塗装の費用算出に必要な単価相場

外壁塗装を行う際にはあらかじめ費用総額の相場を知っておくことも大切ですが、工事の際に必要な材料やひとつひとつの工程にかかる単価の相場を知っておくとさらに役に立ちます。

単価相場とは外壁の面積1㎡(1平米、1m×1m)あたりの価格や、1箇所補修するための金額のことをいいます。

単価にも一般的な相場があるので、これを知っておくことで業者に騙されることがなくなります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

自分で出来る費用相場の計算方法

業者から提出された見積書をチェックする際に、自分で塗装面積を計算することができれば業者の見積もり書に記載されている数量が正しいものなのかどうかをチェックすることができます。

実はご自宅の坪数(延べ床面積や1階の床面積)がわかっていれば、そこから大まかな外壁と屋根の塗装面積を計算することが可能です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

外壁塗装の費用を安くする裏技

外壁塗装にはまとまったお金がかかるので、工事の質は落とさずにできるだけ費用を安く抑えたいと思うものです。

そこで外壁塗装の費用を安くする方法を紹介します。

相見積もりをする

複数の業者から相見積もりを取ることで業者間で価格競争が起こり、各社の提示価格を全体的に引き下げることが期待できます。

また単に価格を下げるだけでなく、各社の提案を引き出すこともできるようになります。

複数の業者の見積もり書を比較した上で、その中から最も自分の予算に近くて要望に合った業者を選択することができれば、工事の満足度も高くなることでしょう。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

補助金や助成金を活用する

全国の市町村の中には、住民が自宅のリフォームを行う際に費用の一部を補助・助成する制度を設けている自治体があります。

外壁塗装を対象にしている自治体もあるので、自分が居住している自治体にそのような補助・助成制度があるかどうかを事前に確認しておくことをお奨めします。

尚、多くの自治体で工事金額や施工業者、申請を行うタイミングなどの条件を設けているため、必ず工事を行う前に確認することが大切です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

リフォームローンを使用する

リフォームローンを利用して外壁塗装を行えば、手元に現金を残したまま工事を行うことができます。

また「住宅借入金等特別控除」を使って、ローンの残高に応じて所得税の控除を受けることが可能になります。

しかしリフォームローンは通常の住宅ローンと比較して金利が高いなどのデメリットもあるので、事前にメリットとデメリットを良く知っておくことが大切です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

火災保険を使用する

台風や大雪などの自然災害が原因で外壁の補修や塗装が必要になった場合には、火災保険を利用して工事を行うことができます。

ただし保険会社への申請時の条件などがあるので、事前によく調べてから申請する必要があります。

また経年劣化による補修工事の場合は対象外になってしまうので、注意が必要です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

外壁塗装の費用を支払うタイミングで注意した方が良いこととは?

外壁塗装を行う際に意外と忘れられてしまうのが、工事費用を業者に支払うタイミングについてです。

支払い時期については非常に重要なことなので、以下の点に注意しましょう。

工事着手前に工事代金を全額支払うのは絶対に避ける

お金だけ受け取って工事を行わない業者も存在するので、このような支払い条件を提示する業者とは契約しないことが大切です。

工事着工前に50%、工事完成後に50%の支払い

最も多いパターンです。

地域密着型の比較的小規模な業者の場合には、工事に使う塗料などの資材を購入するために、着工前に受け取ったお金を使うことが多いようです。

このようなパターンは決して珍しくありません。

工事前、工事中、工事完了後の3回に分けて支払うケースや、工事完了後に全額まとめて支払うケース

比較的大手のリフォーム会社などに良く見られるケースです。

3回に分けて支払うケースは新築工事では一般的なので、比較的大手のリフォーム会社などがこの方式を採用していることがあります。

まとめ

30坪の家の外壁塗装にかかる費用相場や費用の内訳、費用が変動する理由などについて解説してきましたが、ご理解頂けましたでしょうか。

30坪の家の外壁塗装費用は60~90万円が相場になりますが、使用する塗料の種類によって塗装費用が大きく変わってしまいます。

また塗装費用はある程度は自分で計算することも可能なので、是非業者の見積もり書をチェックする際に参考にしていただきたいと思います。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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