外壁塗装の相見積もりの正しい取り方!比較方法、注意点、断り方

外壁塗装工事を行う際には、事前に複数の業者から相見積もりをとる方が多いと思います。

しかしせっかく相見積もりを取得しても、それを正しく活用できている方は少ないのではないでしょうか。

そもそも相見積もりのとり方をきちんと理解していないケースも見られます。

そこで今回は、相見積もりをとった方が良い理由正しい相見積もりのとり方あらかじめ業者に伝えておいた方が良いことなどについて詳しく紹介します。

外壁塗装の相見積もりを必ずしたほうが良い理由とは?

相見積もりとは、何かを購入したり業者に仕事を依頼したりする際に複数の会社にあらかじめ同じ条件を提示して、見積もりを出してもらうことをいいます。

1社のみの見積もりだけではその金額や作業内容などが妥当なものなのかどうかを判断できないため、相見積もりが必要です。ただし、同じ条件の下で見積もりしてもらうことが非常に重要です。

外壁塗装の場合には費用相場というものがあるので、それを考慮した上で各社の見積もり内容を比較検討し、業者を絞り込むことが大切です。

また相見積もりをとることで、各業者の対応や企業姿勢、担当者の経験・知識などを見極めることができます。

そのためには、相見積もりを依頼する側も事前に外壁塗装工事の最低限の知識を身に付けておくことが大切です。

業者選定に失敗してしまうと、工事の不具合や連絡ミス、思い違いなどが発生し費用と時間の両面で大きなロスになるばかりでなく、精神的にも大きな痛手を受けてしまうことにもなりかねません。

それを防ぐためにも相見積もりが非常に重要になります。

相見積もりを取る前の重要ポイント

複数の業者から相見積もりをとる際には、注意すべき点がいくつかあります。

この章では、相見積もりをとる前に知っておくべき重要ポイントを4つ紹介します。

相見積もりを取る前に自分でも費用相場を調べておく

せっかく複数の業者から相見積もりをとっても、ある程度の費用相場を知っていないと、単に見積もり総額の高い安いだけで業者を判断するようになってしまいます。

外壁塗装工事業界では、見積もり総額が安いからといって必ずしも優良業者とはいえないので注意が必要です。

単に総額のみを比較するのではなく、見積もりの内容まできちんとチェックすることが大切です。

以前は外壁塗装の費用相場を自分で調べる手段がありませんでしたが、現在はインターネットなどで塗料や足場の単価などを詳しく調べることができます。

業者に見積もり依頼を行う前に自分である程度の費用相場を調べておけば、各社からの見積もり書取得後に業者を選定する判断材料になります。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

 

相見積もりを取るときは2~3社、多くて4社までにする

相見積もりをとる際には、できるだけたくさんの業者に依頼したいと思いがちです。

しかし相見積もりを依頼する業者は2~3社、多くても4社程度に絞るべきです。

多くの業者に依頼すれば、それだけ現場での立ち合いや提出された見積もり書の説明を受けるのに時間がかかってしまいます。

2~3社に依頼するだけでも、かなりの手間と時間がかかるのは避けられません。

こうしたことを考えれば、必要以上に多くの業者から見積もりをとるのが決して効率の良い方法とは言えないでしょう。

また、人気のある優良業者の担当者ほど常に多くのお客様を抱えており、忙しいものです。

見積もり書の作成には最低でも1~2時間程度の時間がかかってしまうほかに、見積もり書を作成するための現場調査や見積もり内容の説明にも時間がかかります。

6社も7社も相見積もりをとっていると知れば、他のもっと受注できる可能性の高いお客様に時間をかけようとするのが自然です。

相見積もりは多くても4社から取れば大まかな費用相場がわかり、どの業者が良いのかの判断がつきます。

相見積もりを取得する業者は、はじめに絞り込むことが大切です。

外壁塗装業者に相見積もりであることを伝える

建築業界では日常的に相見積もりが行われており、外壁塗装工事も例外ではありません。

相見積もりを取得することはマナー違反と思う方もいるかもしれませんが、決してそのようなことはなく、業者の方でも承知しています。

ただし相見積もりをとる際には、必ず相手側に相見積もりであることを伝えておきましょう。

相見積もりであることを伝えておくことにより、業者同士の競争心を引き出すことができる、契約を急かされたりせずに比較検討する時間を持つことができるなどのメリットがあります。

また、万一お断りする際にも断りやすくなります。

外壁塗装業者に対するマナーという面でも、事前に相見積もりであることを伝えておくことが大切です。

相見積もり時には同じ工事内容で見積もりを出してもらう

業者に相見積もりを依頼する際の重要なポイントは、見積もりを依頼する全業者に同じ希望条件(工事内容、工事時期、工事箇所、全体の予算、工事代金の支払い方法等)を伝えておくことです。

同じ希望条件を満たす見積もり書でなければ見積もり内容を比較することが出来ず、たとえ金額や工事内容が違ったとしてもその妥当性を判断することはできません。

また、使用する塗料の種類(メーカー名、商品名)まで指定することができればベストですが、一般の方には難しいと思われるので、その場合には最低でも希望耐用年数などをしっかりと伝えておくことが大切です。

外壁塗装業者に伝えておきたい5つの条件

外壁塗装業者に見積もりを依頼する際には、自分がどのような工事を希望するのか、その目的や完成時のイメージ、重視する点などをできるだけ具体的に相手に伝えておくことが大切です。

この章では、見積もり依頼時に業者に伝えておくべき5つの条件について紹介します。

予算

相見積もりをとって業者を比較するにも、そもそも使用する塗料や工法、工事時期などが違えば同じ業者であっても価格が変わってしまうので、良し悪しを判断するのが難しくなってしまいます。

外壁塗装では使用する塗料の種類や工法によって費用相場があるので、あらかじめ予算が決まっている場合にはその費用相場の中で予算に近付けるための工夫が必要になります。

したがって予算面に関する強い希望がある場合には、あらかじめ業者に予算を伝えた上で塗料や工法の選定をしてもらい、その上で見積もり書を作成してもらった方が近道になります。

特に塗料は同じ種類の塗料であってもメーカーや商品によって単価が異なるので、最も予算に影響しやすい部分です。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

 

希望する外壁の色

希望する外壁の色柄によって、使用する塗料や工法が変わることがあります。塗料の中には濃い色が向きな塗料もありますが、色に強いこだわりがある場合には事前に塗装後のカラーシミュレーションが必要です。見積もり金額にも影響する可能性があるので、希望する外壁の色やイメージがある場合には最初に業者に伝えておいた方が良いでしょう。

自宅の築年数

各部位の経年劣化の状態は、住まいの築年数によって異なります。

塗装業者は見積もり書作成前には必ず現地調査を行って建物の劣化具合の調査をしますが、足場がないので見にくい部分や傷みがわかりにくい部分は築年数で判断しています。

したがって正確な築年数がわかっている場合には業者にそれを伝えておくことにより、必要な工事の提案などが受けられることがあります。

塗装してほしい箇所

外壁塗装と同時に塗装してもらいたい箇所がある場合には、必ず事前に業者に伝えておくようにしましょう。

屋根や軒天、木部、鉄部、雨樋などは業者の方から提案があることが一般的ですが、各社の見積もり条件を合わせる上でも塗装箇所は細かく指定しておいた方が、後で各社の見積もり書を比較する際に役立ちます。

家の図面や面積など

外壁塗装の見積もり書を作成するに当たり、塗装業者はまず塗装する外壁の面積(窓などの開口部を除いた面積)を正確に把握する必要があります。

事前の現地調査で採寸・計測などを行いますが、家の図面があれば計測する時間が省け、図面を元により正確な面積を算出することができます。

家の立面図があればベストですが、平面図しかない場合であっても必ず業者に渡すようにしましょう。

外壁塗装の見積もりを取る際の手順

この章では、実際に業者に外壁塗装工事の相見積もりを依頼する時の手順を紹介します。

1-1 業者からのヒアリング

業者に見積もりを依頼すると、最初に業者からのヒアリングが行われます。

「どの様な外壁にしたいのか」

「築年数または前回外壁塗装を行ってからどれくらい経つのか」

「希望の色や外壁以外に塗装したい箇所はあるのか」

「現在雨漏りしているか」

「予算はどれ位なのか」

など、希望予算などを尋ねられます。

現地調査の時に聞かれるのが一般的ですが、見積もり依頼時に聞かれることもあるので、事前に要望をまとめておきましょう。

1-2 現地調査による外壁のチェック

次に業者と依頼主の間でスケジュールを合わせ、依頼主立会いの下で業者による現地調査が行われます。

この時、業者は外壁の劣化状況や外壁以外に塗装すべき箇所はないかなどの確認を行いながら塗装面積を計測し、必要に応じて依頼主にヒアリングを行います。

現地調査には最低でも1~1.5時間程度を要することが多く、正確な見積もり書を作成する上で絶対に欠かせない作業になります。

1-3 工事内容の説明と見積もりの提示

現地調査の数日後には、業者から見積もり書の提出と見積もり内容の説明があります。

この時に対面で現在の劣化状況や必要な補修工事の内容の説明を受け、質問事項があれば業者の担当者に伝えます。

見積もり書はただ受け取るだけでなく、きちんと内容の説明を受けることが大切です。

工事金額に関しては現地調査当日に概算で伝えてもらえることはありますが、正式な金額は見積もり書に記載された金額になります。

1-4 業者の選定

各社から提出された見積もり書の内容や担当者の対応などを良く比較検討した上で業者の選定を行い、施工業者を決定します。

見積もり書でチェックすべき5つの項目

数社から相見積もりをとったものの、「そもそも合計金額以外に何を比較したら良いのかわからない」と思う方が多いのではないでしょうか。

そこでこの章では、見積もり書でチェックすべき5つのチェック項目について紹介します。

見積もり書の合計金額

見積もり書の合計金額は、業者を選定する上で大切なポイントのひとつです。

しかし単に総額が安いからという理由だけで業者を決定してしまうと、後で後悔することにもなりかねません。

ある程度費用相場と各社の単価を比較した上で、相場と極端に異なる業者以外は、見積もり書の各項目を細かくチェックすることが大切です。

足場代

足場代や各工事費についてそれぞれいくらかかるのかをチェックします。

足場代の数量が記載されておらず一式で計上されていたり、サービスになっていたりする場合は要注意です。

足場代は15~20万円以上かかるのが一般的なので、これをサービスすることなど通常ではあり得ません。

足場代の計算方法については、こちらの記事を参考にしてください。

 

工事費(材料費や塗料代)

次に工事費について細かく見ていきます。

使用する塗料の種類によって、費用はもちろん耐久性や機能が異なります。

業者によって取り扱っている塗料メーカーが異なることが多いため、同じ希望条件を伝えても提示された塗料のメーカー名や商品名が業者ごとに異なることが少なくありません。

見積もり書に記載されている塗料の耐用年数などを必ず確認しておきましょう。

また塗装工事の見積もりでは、塗装工事の単価は塗料代と工事費を合わせた材工単価で提示されているのが一般的です。

したがって、使用する塗料のメーカー名と商品名、1㎡あたりの材工単価がしっかりと記載されていた方が良い業者といえます。

塗装する場所や塗装面積など

自分が塗装を希望していた箇所が全て見積もり書の中に記載されているかどうかを必ず確認しておきましょう。

後で塗り残しが発生しないように、外壁や屋根だけでなく、軒天や破風板、雨樋、木部、鉄部などの付帯部分についてもきちんと確認しておくことが大切です。

また、見積書に記載されている外壁の塗装面積や塗装費用は、建物の坪数(延べ床面積)がわかればある程度は自分で計算してチェックすることができます。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

 

詳細な工事工程などの記載

最後に詳細な作業工程がきちんと記載されているかどうかを確認しておきましょう。

塗装工事には通常は下塗り、中塗り、上塗りの3工程があります。

また、下塗りと中塗り・上塗りとでは使用する塗料が異なるので、これらについてもわかりやすく記載されていた方がより信頼できるといえます。

良い見積もりの例や悪い見積もりの例など、見積もりの見方に関してはこちらの記事をご覧ください。

相見積もりを取る際にやってはいけないこと

相見積もりは業者を選定する上で非常に有効な手段のひとつといえますが、注意すべき点があります。

相見積もりを取る上で気を付けることや、やってはいけないことを紹介します。

条件を業者によって変更する

前述したように、相見積もりをとる際には全ての業者に同じ工事内容、同じ要望を伝えておくことが大切です。

各社に見積もりを依頼するまでに、どのような工事を行いたいのか、工事範囲はどこまでなのか、希望の耐用年数はどの程度なのか、などといった要望事項を全て洗い出し、書面等にまとめて全ての業者に渡す等の工夫が必要です。

何度も条件を変更する

見積もりの条件が変わると、場合によっては現地調査のやり直しが必要になるなど業者の手間も増えてしまいます。

条件変更は多くても1度程度で済むように、業者に見積もりを依頼するまでには工事内容を十分に検討しておくことが大切です。

全ての業者からの見積もりを待たずに契約する

見積もり依頼した全ての業者から見積もり書が提出される前に、1社に絞って契約してしまうのはマナー違反です。

約束した全ての業者の見積もり書の提出期限を待ってから契約するようにしましょう。

費用総額だけで決める

金額の安さは業者の選定基準のひとつですが、それだけでは決して良い業者であるとは限りません。

見積もり時の対応や提案内容、担当者の人柄・専門知識の有無、工事後の保証アフターサービス体制など、様々な面から検討して業者を選ぶようにしましょう。

相見積もりを取った後の断り方

複数の業者から相見積もりを取って工事を発注する業者を決定した後は、他の業者に断りの連絡を入れなくてはいけません。

その際には、電話やメールなど(できれば電話で担当者に直接伝えることをおすすめします)で、できるだけ早くはっきりと伝えることが大切です。

その際に値引きを打診されたり、契約しない理由を聞かれたりすることがありますが、無理して答える必要はありません。

自分の意思を相手にはっきりと伝えるだけで良いでしょう。

また断りの連絡をしないままでいると、業者が工事の準備を始めたり後から催促の電話がかかってきたりするので、きちんと断りの連絡を入れておくことが相手に対する礼儀です。

まとめ

外壁塗装工事を行う際には複数の業者から相見積もりを取ることをお奨めしますが、ただやみくもに取得しても意味がありません。

見積もりの条件が違えば、業者によって使用する塗料や工法、工事内容、工程などが異なります。また一般の方には見積もり金額の比較や工事の妥当性の判断が出来ません。

せっかく相見積もりを取るのであれば、それを有効に活用して欲しいと思います。

本記事では相見積もりの取り方を詳しく紹介しましたので、記事の内容を是非役立てていただければ幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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