外壁塗装にペンキは使える?塗料との違い、使わない方が良い理由
外壁塗装に使われる塗料とペンキでは何が違うのかをご存知でしょうか。
外壁塗装と聞いて、専用塗料ではなくてもペンキでも良いのではと思われる方もいるでしょう。しかし実は、外壁塗装の専用塗料とペンキは全くの別物です。
そこで今回は、外壁塗装の専用塗料とペンキの違いについて解説していきます。
また、外壁塗装にはペンキを使わない方が良い理由についても紹介していますので参考にしてください。
目次
塗料とペンキの違いとは?
外壁塗装に使われる塗装材は、年数が経つことにより起きる経年劣化によって、色あせや剥がれなどの症状が出ることがあります。
そのため、数年ごとに塗料を使った再塗装を行う必要があります。このメンテナンスの際に使われる塗料をペンキと呼んだり塗料と呼ぶ人もいますが、厳密に言うと全くの別物です。
外壁塗装で使われる塗料とペンキの違いを解説します。
塗料とペンキは全く異なる別物である
外壁塗装で使うのは、基本的にペンキではなく塗料です。塗料とペンキは全く異なる別物なので注意が必要です。
ペンキは色の元となる顔料と油を混ぜ合わせた物で、経年劣化に対する性能はほとんどなく、単純に色を付けることが目的になっています。
一方、塗料にはウレタン系やシリコン系、ラジカル系などのさまざまな種類の塗料があります。
塗料に顔料や樹脂・溶剤を混ぜることによって、ペンキとは全く異なった性能を持たせたものが塗料です。
塗料のことをペンキと表記して紹介しているサイトもありますが、外壁塗装ではペンキを使用しないことが一般的です。
外壁塗装で使うのはペンキではなく、機能性を付与された塗料です。
塗料とペンキは成分や役割が異なる
ペンキとは一般的に、植物油などで希釈されたオイルペイントや合成樹脂調合ペイントのことを言います。
塗料は、顔料や樹脂、溶剤などを混ぜて作られたものなので、色を付けるだけのペンキに比べて、塗料は耐候性や耐火性などの性能を持っています。
そのため外壁塗装で使用する場合には、塗料に付与されている性能をしっかりと把握しておくことが大事です。
また、外壁塗装用の塗料に使用されている樹脂の種類によっても耐用年数が異なります。
耐用年数が長いほど経年劣化しにくいとされていますが、耐用年数に比例して費用相場も上がっていくので注意が必要です。
外壁塗装に使われるのはペンキではなく塗料である
外壁塗装に使われるのは、ペンキではなく塗料が一般的です。
ペンキはホームセンターなどでも一般的に市販されていますが、外壁を保護するような性能がありません。外壁塗装を行う場合には、外壁塗装の専用塗料を使うことが大事です。
安価に手に入れることが出来るペンキですが、現在では建物の外壁や屋根塗装ではほとんど使われていません。
ペンキを使用するのは、室内のインテリアや紫外線などの影響を受けにくい場所での使用が一般的です。
ペンキを塗装することで美観を向上させることはできますが、耐候性などの性能を付与することはできないので、すぐに劣化してしまうこともあります。
耐候性が強いのが塗料、低いのがペンキである
外壁塗装で使われる塗料とペンキの一番の違いは、耐候性の違いです。
外壁塗装に使われる塗料は耐候性が高く、ペンキは耐候性が低いという特徴があります。
耐候性とは、紫外線や雨などによって外壁が受けるダメージを防ぐ力です。
耐候性の高い塗料を使用した方が、紫外線や雨などによる経年劣化を抑えてくれることが期待できます。
耐候性の低いペンキを使用した場合には、紫外線や雨などによる経年劣化が進みやすくなりますが、塗料の場合は親水性など他の機能を付与することも可能です。
含まれている樹脂の種類を変えることで、さらに耐候性の高い塗料にすることができます。
外壁塗装に使う塗料の種類は主に6種類
外壁塗装に使う塗料はペンキとは使用されている素材も性能も異なり、さまざまな種類があります。
塗料の場合は、塗料に使用されている素材によって費用相場や特徴も変わることが一般的です。
外壁塗装を検討する際には、ご自宅の外壁に合った塗料を選ぶことが大切です。
ここでは、それぞれの塗料の特徴や費用相場について解説します。
塗料の種類 | 耐用年数 | 施工価格 |
アクリル塗料 | 5~8年 | 1,000~1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 | 7~10年 | 1,500~2,500円/㎡ |
シリコン塗料 | 10~15年 | 1,800~3,500円/㎡ |
ラジカル(制御型)塗料 | 12~15年 | 2,200~4,000円/㎡ |
光触媒塗料 | 12~20年 | 3,800~5,500円/㎡ |
フッ素塗料 | 15~20年 | 3,500~5,000円/㎡ |
無機塗料 | 20~25年 | 4,500~5,500円/㎡ |
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アクリル塗料
アクリル塗料は、アクリル樹脂を主成分とした塗料です。
耐用年数は短いですが、重ね塗りしやすく塗装自体が簡単なことも特徴で、安価に手に入れることができる塗料です。
色の種類が豊富で発色の良さに定評がありますが、外壁塗装の塗料としては最近では使用されることは少なくなっています。
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ウレタン塗料
ウレタン塗料は弾力性があり既存の外壁への密着性が高いため、外壁のひび割れによる劣化を防ぐ性能に優れている塗料です。
昔は外壁塗装の塗料としてよく使用されていた塗料ですが、現在ではシリコン塗料が普及したため、使用される機会が減っています。
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シリコン塗料
外壁塗装で使用される塗料の中で、最も人気の高い塗料がシリコン塗料です。
耐用年数が9~15年と他の塗料に比べて長いことが特徴で、費用相場も同等の耐用年数の塗料に比べて安価なことが人気の理由です。
また、シリコン塗料は色落ちしにくく天気や気温の変化に強いため、外壁塗装に適した塗料といえます。外壁だけでなく、耐久性が求められる屋根にも使える塗料です。
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ラジカル塗料
ラジカル塗料は、紫外線などによって発生する劣化因子(ラジカル)を抑える機能が付与された塗料です。
塗料の種類の中でも比較的に新しい塗料ですが、どんな外壁でも塗りやすく、カビなどが付きにくい特徴があります。
費用相場は2,300円からとシリコン塗料と同等ですが、耐用年数はシリコン塗料よりも長いため、コストパフォーマンスの高い塗料といえます。
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光触媒塗料
光触媒塗料は、塗料に含まれている酸化チタンが日光に反応して汚れを分解する機能を持った高機能塗料です。
汚れを分解する機能を持っているので、住宅のメンテナンスが楽になります。耐用年数も15~20年と長く、高級塗料のフッ素塗料と同等の性能を持っています。
ただし光触媒塗料を外壁塗装に使用する場合には、選べる色が少なかったり塗膜が硬くなるなどの注意点もあります。
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フッ素塗料
フッ素塗料の原料は蛍石で、耐久性が高いことが特徴です。
費用相場は3,800円~4,800円と他の塗料に比べると高めですが、紫外線などの影響を抑えることができるため劣化しにくい塗料です。
費用相場も耐用年数もトップクラスの高級塗料といえます。
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無機塗料
無機塗料は、配合される有機物を極力減らすことにより耐久性が他の塗料に比べてかなり長いことが特徴の塗料です。
外壁の劣化症状であるチョーキングなどが起こりにくいため、塗膜が長持ちしやすくメンテナンス頻度も他の塗料と比べて格段に低くなります。
しかし出荷数が低くあまり流通していない塗料のため、高価であるというデメリットもあります。
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外壁塗装の塗料にはペンキにはない性能がある
ペンキには性能や機能を持たせることができません。しかし外壁塗装で使用する塗料には、ペンキには付与することができない様々な性能を持たせることができます。
塗料に含まれる樹脂などの素材や外壁に合わせたさまざまな機能を紹介します。
断熱・遮熱性が高い塗料
外壁塗装に使用されるシリコン系の塗料などでは、断熱性や遮熱性が高いという性能があります。
断熱性や遮熱性の高い塗料を使用した場合には、冬は暖かく夏は風通しが良い家になります。
外壁塗装を行う際には、塗料の性能や機能をしっかりと理解した上で選択することが大事です。
選択した塗料の機能を発揮することで、美観の向上だけでなく暮らしの中にも付加価値をつけることができます。
ヒビ割れを防ぐ塗料
弾性塗料と呼ばれる塗料には、塗料自体に弾性があり塗膜の伸縮に対応することが出来る性能があります。
ウレタン系の塗料にも弾性はありますが、さらに性能をアップさせた塗料が弾性塗料です。塗膜が伸縮することで、外壁のひび割れを防ぐ性能が期待できます。
ただし窯業系サイディング材を使用した外壁には使えないことや、他の塗料と比べて塗膜が膨らみやすいことなど使用する状況をしっかりと理解しておく必要があります。
光に反応して汚れを分解する塗料
光触媒塗料などの塗料には、光に反応して汚れを分解する性能があります。砂やほこりなどの汚れは雨で流れ落ちるため、綺麗な状態の外壁が長く続きます。
この性能により外壁にほこりが溜まりにくいので、苔や藻の発生を防ぐことも期待できます。
紫外線からの影響を受けにくく、耐久性が高い塗料
無機物を主成分にした塗料は紫外線による影響を受けにくく、劣化しにくい塗料として近年人気があります。
一般的な塗料に含まれている有機物は紫外線で劣化しますが、有機物を含まずに製造することで耐久性が高いな塗料にすることができます。
ただし塗膜が硬くなることが多く、ひび割れに繋がりやすいので注意が必要です。
外壁塗装にペンキを使わない方が良い理由
外壁塗装では、基本的にさまざまな性能を持った塗料が使われます。
塗料の代わりにペンキを使うことでコストを抑えることはできますが、近年では外壁塗装にはペンキを使わないのが一般的となっています。
ここでは、外壁塗装にペンキを使わない方が良い理由を解説します。
メンテナンスの頻度が高くなる
外壁塗装にペンキを使用した場合には、塗料のような耐久性が期待することはできません。
外壁塗装用の塗料を使用した場合は、10年前後の耐用年数があります。
しかしペンキを使用した場合は数年以内にすぐに再塗装が必要になることが多く、その都度メンテナンスの必要が出てくるため、費用や時間が無駄になってしまう可能性があります。
外壁塗装専用の塗料の方が乾燥時間が短い
外壁塗装専用の塗料の場合は速乾性を持たせているため、1日以内で乾燥させることができます。
しかしペンキの場合には、外壁塗装専用の塗料に比べて乾きにくいという特徴があるため、塗装後の乾燥に2~3日かかってしまうことがあります。
乾燥時間を重要視する外壁塗装の工事では、速乾性の低いペンキで塗装を行うよりも専用の塗料を使った方が良いといえるでしょう。
外壁塗装専用の塗料は外壁の劣化を防ぐ
外壁塗装専用の塗料には、外壁の劣化を防ぐ性能を備えたものが多くあります。
しかし、ペンキには外壁の劣化を防ぐ性能はありません。
ペンキは紫外線のダメージを受けやすく、塗装した塗膜がすぐに劣化してしまいます。紫外線の影響を受けやすい立地の住宅などでは、
短期間での再塗装が必要になることもあります。
外壁をペンキで塗装することはできるの?
外壁塗装専用の塗料に比べると、ペンキを使うことのメリットは少なくなります。
ここまではペンキを使うことのデメリットを紹介しましたが、実際に外壁塗装にペンキを使うことはできるのでしょうか。
ここでは、外壁塗装にペンキを使う場合や注意点について解説します。
合成樹脂調合ペイントなどで塗装可能
最近では合成樹脂調合ペイントと呼ばれるペンキがホームセンターなどで売られています。
通常のペンキに比べると乾燥時間はやや早くなりますが、外壁塗装専用の塗料よりは遅くなってしまいます。
ペンキに比べると耐久性や色ツヤも改良されていますが、あくまで使われているのは合成樹脂ですので、外壁塗装専用の塗料のような耐久性は期待できません。
塗装後の耐久性は、3~5年程度が目安となります。
総合的に判断すると外壁塗装専用の塗料を使った方が良い
ペンキの中は、合成樹脂ペイントなど耐久性などを改良したものがありますが、総合的に判断すると外壁塗装専用の塗料を使ったほうが良いでしょう。
外壁塗装専用の塗料はペンキに比べて価格は高いですが、その分耐用年数も長く、メンテナンスの頻度も少なくて済みます。
さまざまな性能を持たせた塗料をニーズに合わせて選択できるので、外壁塗装専用の塗料を使った方が良いでしょう。
まとめ:外壁塗装には専用の塗料を使った方がお得
外壁塗装ではペンキよりも、外壁塗装専用の塗料を使った方が良いでしょう。
室内の木部や庭などはペンキを使用することもありますが、塗膜に耐久性が求められる場合にはペンキは向いていません。
外壁塗装専用の塗料を使うことで塗料の価格は上がってしまいますが、メンテナンスの頻度や塗膜の耐久性などを考慮すると、トータルの費用を抑えることにも繋がります。
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