外壁塗装で最高グレードの無機塗料!特徴、相場、おすすめメーカー

外壁の塗り替えを検討している際、

「塗装業者から無機塗料を使えば20年以上次の塗り替えが不要と聞いたけど、デメリットはないの?」

「無機塗料は高いって聞くけど費用相場はどれくらい?」

などと気になっている方も多いと思います。

この記事では、無機塗料のメリット・デメリット他の塗料との違い費用相場無機塗料を選ぶ際の注意点などについて詳しく解説します。

外壁塗装の無機塗料は耐用年数に優れた塗料

無機塗料とは、塗料の原料に無機物を配合した塗料のことをいいます。

無機物とは石やガラスなどの炭素を含まない物質のことをいい、紫外線で劣化することがないため半永久的な耐久性を持っています。

そのため無機物が配合された無機塗料はフッ素を超える耐久性を持ち、現在の塗料の中で最高グレードの塗料といわれています。

有機塗料との違いは樹脂成分が含まれていないこと

有機塗料とはアクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料などの一般的な塗料のことをいい、樹脂成分(アクリル、ウレタン、シリコン等)が含まれています。

一方、無機塗料はガラスなどの無機物が主成分となった塗料のことをいいますが、100%無機物というわけではありません。

100%無機物では固すぎて塗料としては使えないためです。

そのため無機塗料にも、塗料としての粘着性を持たせるために合成樹脂などの有機物が配合されています

無機ハイブリット塗料との違いは塗膜の柔らかさ

無機塗料と似た塗料に、無機ハイブリット塗料があります。

2つの違いは含まれている有機物の量です。

前述したように無機塗料にも有機物が含まれていますが、より多くの有機物を含むものが無機ハイブリット塗料と呼ばれているものです。

しかし、有機物がどれ位含まれていると無機ハイブリット塗料と呼ぶといった明確な定義があるわけではありません。

一般的には無機ハイブリット塗料の方が塗膜が柔らかくなる傾向がありますが、有機物の含有量が多くなるとそれだけ劣化しやすくなるので注意が必要です。

外壁塗装の無機塗料のメリット

無機塗料の最大のメリットは耐久性が高いことです。

耐久性が高いほど「外壁が長期間美しく保たれる」、「塗膜が劣化せずに住まいを守る」ということですが、主な5つのメリットを詳しく解説します。

耐候性に優れている

塗膜劣化の主な症状は色あせやチョーキング現象(塗料に含まれている顔料が塗膜の表面にチョークの粉のようになって出てくる現象)の発生ですが、これらの原因は顔料に有機物が含まれていることにあります。

無機塗料は紫外線に弱い有機物の含有量が少ないため耐候性に優れ、耐用年数が長くなります。

燃えにくい

無機塗料はガラスや鉱物などの無機物を主成分としているため、燃えにくいというメリットがあり、燃えにくい無機塗料を外壁塗装に使用することで、火災に強い家にすることができます。

ただし有機物も多少含んでいるため、全く燃えない訳ではありません。

セルフクリーニング機能がある

無機物は親水性が高いため、汚れが付着しても雨水で洗い流す特徴があります。

そのため定期的に雨が降ることで、セルフクリーニング機能を発揮します。

また静電気が発生しにくいため、埃などの汚れが付着しにくいのもメリットです。

カビ・コケ・藻が発生しにくい

無機塗料にはカビやコケ、藻が繁殖する際の栄養となる有機物の含有量が少ないため、カビ・コケ・藻が発生しにくくなります。

メンテナンス費用がかからない

無機塗料は価格が高いため初期費用はかかりますが、一度塗装すれば耐用年数が長いためメンテナンスサイクルを伸ばすことができます

結果的に塗装回数を減らすことができるので、長期的に見ればコストダウンが見込めます

外壁塗装の無機塗料のデメリット

無機塗料には様々なメリットがある一方で、デメリットも存在します。

この章では無機塗料のデメリットを6つ紹介します。

塗装費用が高い

無機塗料は耐用年数が長いため長期的に見ればお得な塗料といえますが、1回の塗装費用に関しては他の塗料と比較して割高になります。現在最も人気のあるシリコン塗料と比較した場合には、およそ1.5~2倍程度の費用がかかってしまいます。

ツヤが消せない

現在ツヤ消しの無機塗料は存在していません。

そのため、安っぽい・重厚感がないなどといった理由でツヤや光沢を好まない人にとってはデメリットになります。

無機塗料であってもある程度ツヤを抑えた商品(3分~5分ツヤ程度)を選択することは可能ですが、このような商品には添加剤が配合されているため、無機塗料が持つ耐候性の高さというメリットが損なわれてしまう恐れがあります。

ひび割れしやすい

無機塗料は塗膜が硬くて柔軟性に欠けるため、ひび割れしやすいのがデメリットといえます。

そのため地震や地盤沈下、乾燥収縮などが原因で外壁にひび割れが発生すると、塗膜も割れてしまいます。

ひび割れしやすい外壁の場合には、採用するのを避けた方が良いでしょう。

再塗装できない可能性がある

無機塗料は汚れが付着しにくい反面で上から新しい塗料で塗り直そうとすると新しい塗料が密着しにくくなり、剥がれやすくなってしまうことがあります。

このため再塗装が難しいケースがあるので注意が必要です。

塗装できない外壁材がある

無機塗料は木製の軒裏や木部など、素材や場所によって塗装できないものがあります。ガルバリウム鋼板にも無機塗料が向かない場合があるので、注意が必要です。

無機塗料を使用する場合には、塗装面との相性を事前に良く調べることが大切です。

無機塗料と他の塗料の違い

外壁の塗装に使用する塗料の中には、無機塗料のほかにもさまざまな塗料があります。

それぞれの塗料のおおまかな特徴は次の通りです。

アクリル塗料

軽量なので重ね塗りがしやすく光沢があって安価だが、耐用年数が短い

詳しくはこちら

 

ウレタン塗料

柔らかい素材なので密着性に優れているため、複雑な形状の外壁にも塗装しやすい

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シリコン塗料

耐用年数や価格などの総合的なバランスに優れているため、現在最も人気の高い塗料

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ラジカル(制御型)塗料

チョーキング現象の発生を抑えるために開発された比較的新しい塗料

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光触媒塗料

塗料に含まれている酸化チタンが太陽光から放出される紫外線があたって化学反応を起こすことで、壁面に付いた汚れを分解する効果がある

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フッ素塗料

あらゆる気候に対応できる上に耐用年数が長いので、高層ビルや陸橋、鉄塔などの塗装に多く使用されている

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次に塗料ごとの耐用年数と施工単価を表にまとめてみました。

塗料 耐用年数 施工価格(単価)
アクリル塗料 5~8年 1,000~1,800円/㎡
ウレタン塗料 7~10年 1,500~2,500円/㎡
シリコン塗料 10~15年 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 12~15年 2,200~4,000円/㎡
光触媒塗料 12~20年 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 15~20年 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 20〜25年 4,500~5,500円/㎡

※横にスクロールしてください。

無機塗料、おすすめメーカーの商品

無機塗料に含まれている有機物の含有量については明確な決まりやルールがないため、できるだけ有名メーカーの塗料を選んでおくと安心です。

そこで国内の代表的な塗料メーカーのおすすめ商品を紹介します。

日本ペイント:ダイヤモンドコート

日本ペイントは国内売上高とシェアが№1の塗料メーカーです。

建築物用だけでなく、自動車の補修用塗料などの製造・販売も行っています。

「ダイヤモンドコート」は、日本ペイントが製造・販売している無機塗料で、関東と愛媛県の限定販売となっています。

認定施工店制度があるため、限られた認定施工店のみが使用することができる塗料となっています。

エスケー化研:セラミタイトペイント

エスケー化研は建築仕上塗材に限れば国内№1の塗料メーカーです。

塗料のほかに、断熱材や耐火塗料などの開発・販売を行っています。

「セラミタイトペイント」は一液タイプの無機高分子を結合材として用いた水性艶消し塗料で、耐汚染性・乾燥性・作業性に優れ、長期に渡り建物を保護します。

関西ペイント:アレスダイナミックMUKI

塗装業界全体で国内売上高とシェアが№2の塗料メーカーです。
塗料のほかに、バイオ関連商品や電子材料関連の製造・販売を行っています。

「アレスダイナミックMUKI」は、「無機」と「有機」の特性を最大限に発揮させ、従来の最高位グレードであったフッ素樹脂塗料を超える超長期耐久性を実現しています。

塗料は日々開発されているため、大手塗料メーカーからは新しい塗料が次々と発売されます。

常に最新の情報を入手することが大切です。

無機塗料による外壁塗装の費用相場

一般的な2階建戸建住宅の外壁を無機塗料で塗装した場合には、費用はいくら位かかるのでしょうか。

おおよその塗装費用の目安建物の坪数別(延べ床面積別)にみてみましょう。

建物の坪数(延べ床面積) 無機塗料の塗装費用相場
30坪 53~65万円
50坪 89~109万円
70坪 125~152万円

※他に足場代、諸経費などがかかります。※実際に塗装する外壁面積=建物の坪数(延べ床面積)×1.2で計算しています。

次に以前に紹介した表をもとに、主な塗料のコストパフォーマンスを「1㎡あたりの施工単価」÷「耐用年数」で計算してみましょう。

  • ウレタン塗料 約150~360円/年
  • シリコン塗料 約120~350円/年
  • フッ素塗料  約175~330円/年
  • 無機塗料   約180~275円/年

無機塗料は他の塗料と比較して、必ずしもコストパフォーマンスが悪くないということがわかります。

無機塗料を選ぶ時の注意点

無機塗料は高価な塗料だけに、無機塗料を使用する外壁塗装の契約を行う前には十分に注意をしたいものです。

最後に契約前の注意点を2つ紹介します。

「無機塗料は30年以上持つ」はウソ

塗装業者の営業マンの中には、時々「無機塗料は30年以上持つ」と言う営業マンもいます。

しかし残念ながら、現在販売されている外壁塗料の中には30年以上持つものはありません。

こうしたトークを行って契約を持ちかけてくる業者は、悪徳業者である可能性が高いので注意が必要です。

無機塗料で豊富な施工実績を持つ業者を選ぶ

無機塗料は伸縮性が低くて塗りムラが生じやすいため、均等に塗装するためには職人の高い技術が必要になります。

また前述したように塗装できないものや、塗装に不向きなものもあります。

このような適切なアドバイスを受けるためにも、無機塗料を使った施工経験が豊富な業者や職人に依頼することが大切になります。

無機塗料はまだまだ使われる機会が少ないので、こうした業者を探すのは簡単ではありません。

契約する前には、必ず今までの施工実績を確認するようにしましょう。

まとめ

無機塗料は、光触媒塗料やフッ素塗料よりも耐久性の高い塗料といわれています。

現在の家に長く住み続けたい方や、美しい外観を長く保ちたい方、1回分の塗装費用は高くなってもメンテナンスサイクルを伸ばしたい方にはオススメの塗料といえます。

しかしデメリットもあるので、こうしたことまでしっかりとアドバイスできる業者に依頼することが大切です。

本記事の内容を業者の選定に役立てていただければ幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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