外壁コーキングのはがれ!欠落の原因、補修方法、費用を解説
外壁のコーキングがはがれてしまい隙間ができても、対処方法がわからず不安に思う方が多いのではないでしょうか。
築年数が経過すると、このような状態になった家をたびたび見かけます。コーキングのはがれをそのまま放置しておくと、外壁の劣化の進行を早めたり、雨漏りしてしまう可能性があります。
この記事では、外壁コーキングのはがれの原因や補修方法、補修費用についてご紹介します。
目次
外壁塗装におけるコーキングとは?
外壁のコーキングとは、サイディングボードや軽量気泡コンクリートパネル(ALC)の外壁などの場合に、継ぎ目部分に施工される弾力性のある樹脂製の充填剤のことをいいます。
この章では、コーキングの役割や種類、施工方法などについて詳しく解説します。
コーキングには2つの役割がある
外壁のコーキングには、主に次の2つの役割があります。
壁材の防水性や気密性を高める
サイディングやALCなどのパネル類は、どうしてもパネル同士の継ぎ目部分に隙間ができてしまいます。
この隙間から雨水や外気が建物内に侵入するのを防ぐために、隙間を塞いで防水性や気密性を高めるのがコーキングの主な役割といえます。
壁材を保護して建物に発生する揺れを吸収する
サイディングボードやALCは、気温の変化によってほんのわずかな膨張と収縮を繰り返しています。
そのため隙間のない状態だと、膨張した際にパネル同士が押し合って破損してしまう恐れがあります。
また、地震等の揺れで外壁材に負担がかかった場合にも、これと同じようなことが起こる可能性があります。
このためコーキングは、パネルが膨張したり揺れて動いたりした時に、力を吸収して外壁のひび割れや破損を防ぐ緩衝材としての役割を担っています。
コーキング材の種類と耐用年数
コーキング材には主に5つの種類があり、それぞれに特徴があります。
コーキング材の種類による特徴と耐用年数は以下の通りです。
アクリル
水性系で施工しやすいため、外壁コーキング材として以前は非常に普及していましたが、現在ではあまり使用されていません。
耐久性が低く経年により硬化しやすいため、ひび割れが発生しやすいという欠点があります。
耐用年数:10年
ウレタン
弾力性と密着性に優れているので、外壁のひび割れ補修によく使用されています。
一方、紫外線に弱いので、外壁に使用する場合には上から塗装して塗膜で保護する必要があります。
耐用年数:10~15年
シリコン
耐久性、耐候性、耐熱性、耐水性に優れ、浴室やキッチンなどの水回りによく使われています。
価格が安く、クリアー色、グレー、ブラウン、ホワイト、アイボリーなどカラーも豊富です。
ただし上から塗装してもすぐにはがれてしまうので、塗装が必要な箇所への使用は原則としてできません。
耐用年数:10年
変性シリコン
上から塗装することができるので、主に外壁の目地などによく使われています。
また耐久性が高いのがメリットですが、価格は高めになります。
耐用年数:10~15年
ポリウレタン
柔軟性があり、防水性や耐久性にも優れています。
また汚れにくいのがメリットですが、紫外線に弱いため耐用年数は短めです。
耐用年数:5~10年
コーキング材の1液型・2液型
コーキング材には1液型と2液型があります。
1液型はそのまますぐに使うことができるのがメリットで、準備に手間がかからず、部分的な補修や施工箇所が少ない場合に適しています。
一方2液型は主剤と硬化剤に分かれていて、使用する際には専用の撹拌機でしっかりと混ぜ合わせなければなりません。
用途に合わせて分量を増減できるのがメリットですが、専門知識や技術がないと硬化不良を起こす可能性があるので注意が必要です。
コーキングの先打ち・後打ち
コーキングの施工には、塗装する前に行う「先打ち」と塗装してから行う「後打ち」があります。
「先打ち」はコーキングの上から塗装するので、塗膜が紫外線による劣化を防いでくれるメリットがありますが、塗膜がひび割れしやすいのがデメリットになります。
塗料メーカーでは、基本的に「後打ち」を推奨しています。
コーキングとシーリングの違いって?
コーキングは、建築の専門家や施工業者の間ではシーリングと呼ばれることが多く、見積書の表記などもシーリング工事となっていることがあります。
しかしコーキングとシーリングは基本的に同じものと考えて問題ありません。
外壁コーキングのはがれの原因・対策
外壁コーキングのはがれはコーキングの劣化症状の一つですが、寿命により硬化して弾力性や接着性がなくなってしまった場合に発生します。
また、プライマー(コーキング材の密着性を高めるための下塗り材)の施工不良やコーキング材の選定ミスなどが原因で発生することもあります。
すでにコーキングの役割を果たせなくなってしまった状態なので、そのまま放置しておくと雨漏りしてしまう可能性があります。
したがって早急にコーキングの打ち直しが必要な状態と言えますが、その際には必ずプライマーで下地処理を行い、耐久性の高いコーキング材を使用することが大切です。
その他の劣化症状についてはこちらの記事のをご覧ください。
外壁コーキングのはがれはDIYで補修できる?
防水・コーキング工事には、「防水施工技能士」という国家資格があるほど専門性の高い技術が必要とされています。
したがって本格的な修繕を行う場合には、専門知識を持たない一般の人にはおすすめできません。
外壁塗装の際に行うコーキング工事は一般的に塗装業者が行うことが多いのですが、コーキング工事にはより専門性の高いコーキング(シーリング)業者が存在しています。
サイディングやALCの外壁は、目地やサッシ廻りなどコーキングを施工する箇所が多いので、コーキング専門業者に依頼すると安心です。
またどうしてもDIYで済ませたいという方は以下の記事を参考にしてください。
外壁コーキングがはがれた場合の補修の流れと費用相場
外壁コーキングの修繕方法には、既存のコーキングの上から新たにコーキング材を充填する「増し打ち」と、既存のコーキングを撤去してコーキングを打ち直す「打ち替え」の2つの方法があります。
打ち替えの方が補修費用は高額になりますが、耐久性の面では増し打ちよりも打ち替えの方が優れているので「打ち替え」がおすすめです。
またコーキングがはがれている場合には「打ち替え」になるので、ここでは打ち替えの流れとその費用相場をご紹介します。
補修の流れ
コーキング打ち替え作業の流れは以下の通りです。
- 劣化している既存のコーキングを剥がして清掃する
- マスキングテープで養生する(汚れ防止のため)
- プライマーを塗布する
- コーキングガンを使用してコーキングを充填する
- ヘラでコーキングを平滑に均す
- マスキングテープを剥がす
- コーキングが乾燥するのを待って、必要に応じてコーキングの上から塗装する
補修の費用相場
コーキング打ち替えの費用相場は1mあたり900~1200円程度で、家の大きさによって異なりますが、一件あたりでは20~30万円程度になることが多いです。
ただしこの他に、15~20万円程度の足場の設置費用がかかります。
補修は雨の日でもできる?
コーキングは乾燥してしまえば水を弾きますが、施工中は雨で流れてしまうので、コーキング工事は雨の日に行うことはできません。
したがって工事中に雨が降ってきた場合には、作業を中断する必要があります。
またコーキングの乾燥時間は最低でも2、3日以上かかり、湿気が多い時期や寒い時期には5日から1週間ほどかかってしまうこともあります。
外壁塗装を併せて行う場合には、コーキングが完全に乾いてから塗装工事に着手しないと劣化しやすくなってしまうので注意が必要です。
外壁コーキングを長持ちさせる方法
外壁コーキングを長持ちさせるために必ず以下の3点に気をつけるようにしましょう。
- 年に一度の定期点検
- 定期的な再塗装
- 耐用年数が長いコーキング材の使用
早期に傷みを発見するために年に一度は点検が必要です。また塗膜にはコーキングを保護する役割もあるので、塗膜が劣化する前に定期的な外壁塗装でコーキングも一緒に守るようにしましょう。
そしてコーキング材を選ぶ際は耐用年数にも気をつけて選ぶことが重要です。
詳細は以下の記事を参考にしてください。
まとめ
外壁のコーキングは、外壁材と外壁材の隙間を埋めて雨水の侵入を防いでいるだけでなく、建物の揺れを吸収して外壁材の破損を防ぐ緩衝材としての役割を担っています。
そのため、劣化してしまうと建物に様々な悪影響を及ぼすことになります。
また劣化を放置し続けることにより、補修費用も次第に膨らんでいってしまうので、定期的に点検を行ってこまめに修繕するようにしましょう。
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