サイディングとは?サイディング外壁の種類や補修の目安、費用を解説

近年は外壁サイディング貼りの住宅が増えており、外壁塗装といえばサイディングの塗装を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

一方、サイディングには、多くの方が連想する窯業系サイディング(セメントに繊維質を混ぜて板状に形成したもの)以外にも様々な種類があります。

そこで本記事では、外壁に使用されるサイディングの種類や特徴、補修費用などについて詳しくご紹介したいと思います。

目次

外壁塗装に使われるサイディングとは?

サイディングとは建物の外壁材の一種で、以前はモルタル仕上げの外壁が主流でしたが、近年の新築住宅ではサイディングが最も多く使用されています。

サイディングの種類には、良く目にする窯業系の他に金属系、木質系、樹脂系などがあります。

家を長く使い続けるためには外壁材のメンテナンス・補修が非常に重要で、素材の特徴を良く知っておくことが大切です。

そこでこの章では、サイディングの特徴や耐用年数などをご紹介します。

サイディングの特徴・耐用年数

近年の住宅の外壁に最も多くサイディングが普及しているのには、下記の要因があります。

低価格で種類・デザインが豊富である

サイディングの最大の特徴は、価格が安くてデザインが豊富にあることといえます。

工場で大量生産するので、原価が抑えやすい点は大きなメリットです。

また低価格の割に、シンプルなものからレンガ調、タイル調、石積調、木目調などの様々な色柄があり、自分の好みとマッチするものを選ぶことができます。

耐水性、耐候性に優れている

サイディングの表面にはあらかじめ工場で耐水性・耐候性のある塗装が施されているので、初期の耐水性・耐候性は非常に高いといえます。

またサイディングの耐用年数(寿命)はおよそ40年前後といわれています。ただし年数を重ねると様々な経年劣化が進行してしまうので、耐水性・耐候性を維持していく上でも定期的なメンテナンスが不可欠になります。

品質が安定している

職人が現場で手作業によって仕上げていくモルタル壁(塗り壁)と違って、サイディングは工場で生産した板材(パネル)を現場で貼り合わせていくだけなので、品質が安定しています。

さらに施工に職人の特殊な技術は不要なので施工時間の短縮につながり、工事費も比較的安く抑えることができます。

また、塗り壁と比べて適切な厚みが確保され、経年劣化に伴い表面がひび割れしてしまうリスクも少なくなります。

サイディングと他の外壁材との違い

サイディングは他の外壁材であるモルタルやALC、タイルなどとはどの様な違いがあるのでしょうか。

まずモルタルはひび割れしやすいという欠点があります。クラック(ひび割れ)によって雨水が建物内部に侵入してしまうと、構造躯体が傷んでしまう恐れがあります。

また、ALC自体は吸水性の高い素材のため耐候性が低いのがデメリットで、定期的に塗装と目地のシーリングの打ち替えを行う必要があります。

そしてタイルは素材自体が水分をほとんど吸収しないのがメリットですが、施工は職人の手作業になるため、施工品質のバラツキが現場ごとに大きくなります。

この様にいずれの外壁材にもメリットとデメリットがありますが、サイディングは他の外壁材と比べて雨漏りの心配が少ないというのが1番の違いと言えるでしょう。

サイディングにはどんな種類があるの?

サイディングにはどのような素材が使われていて、それぞれの素材にはどういった特徴があるのでしょうか。

ここでは代表的な4種類のサイディングについてご紹介します。

窯業系サイディング

国内で最も見かけることが多いサイディングです。

現在の日本の住宅の約7割で使用されていると言われ、セメントをベースに繊維を配合して窯(かま)で仕上げたサイディングのことをいいます。

窯業系サイディングの特徴は次の通りです。

色柄のバリエーションが豊富

レンガ調、タイル調、石目調、木目調など色柄が豊富で、幅広い外観スタイルに対応できます。

様々な安心性能

セメントベースの硬い素材なので、衝撃や地震などの揺れに強く、耐久性が高いのが特徴です。

また防火性能にも優れているので、防火基準などが定められている都心の密集地などでも安心して使用することができます。

豊富な先進機能

紫外線などによる色褪せ・変色を抑える塗料や、汚れがつきにくい防汚機能など長期に渡って美しさをキープできる先進機能が備わっています。

素材自体に防水機能がなく蓄熱しやすい

素材自体に防水機能はなく、熱を吸収しやすいため、塗料などで補う必要があります。

金属系サイディング

国内では窯業系に次いで普及率が高く、スチール・アルミニウム・ステンレス・ガルバリウムなどの耐久性に優れた金属を成型して作られています。

金属系サイディングの特徴は次の通りです。

断熱性や防音性に優れている

断熱材と組み合わせて加工されているため、断熱性だけでなく防音性・遮音性も高いのが特徴です。

重量が窯業系サイディングの1/4

重量が窯業系サイディングの1/4程度なので、建物の総重量が少なくなり耐震性の向上につながります。

メンテナンス性に優れている

窯業系と比較して施工後のメンテナンスに手間がかからず、また軽量なので建物に負担がかかりにくいため、モルタル壁の上から重ね張りするカバー工法のリフォームによく使用されています。

価格が高い

他の素材のサイディングと比較して、価格が高くなります。

木質系サイディング

木質系サイディングは、天然木に塗装が施されているもので、木の質感を活かした温もりのあるデザインが最大のメリットといえます。

木質系サイディングの特徴は次の通りです。

断熱性が高いが吸水性も高くなる

熱を吸収しにくいため断熱性に優れていますが、木製なので吸水性が高く、再塗装などのこまめなメンテナンスが必要になります。

質感、デザイン性に優れている

天然木ならではの質感があり、カントリー風や山小屋風の住宅を希望している人におすすめで、何よりもデザイン性を優先させたいという場合には最適です。

施工可能な業者が少ない

取り扱っている工務店が少ないので、施工業者を探すのが大変です。

樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは耐久性を重視する北米で主流のサイディングで、国内ではまだあまり使用されていません。

しかし北海道や東北地方などの寒冷地を中心に、少しずつ需要が高まりつつあります。

樹脂系サイディングの特徴は次の通りです。

耐久性、耐候性に優れている

素材自体に顔料が練り込まれているため退色することがほとんどなく、基本的には再塗装のメンテナンスは不要です。

(ただし紫外線の影響で樹脂同士の結合が切れ、徐々に弾性が失われてしまうので、紫外線を遮る塗料を施工する必要があります。)

また施工する際にコーキング材をほとんど使用しないため、コーキングの補修工事も原則不要になります。

したがって他のサイディング材と比較して劣化しにくく、メンテナンスの必要性がほとんどないのが大きなメリットです。

軽量である

非常に軽量なため、重ね張りリフォームにも適しています。

施工できる業者が少ない

国内でのシェア率が1%程度と低いため、施工可能な業者が探しにくいというのが難点です。

サイディングは7〜10年を目安にメンテナンスを行おう

前述した様にサイディングには主に4つの種類がありますが、寿命はどれも3040年程度といわれています。

ただし、外壁塗装などの定期的なメンテナンスが不可欠で、その周期はサイディングの種類によって異なります。

一般的には710年を目安にメンテナンスを行う必要があるとされ、その際に必要なメンテナンスを行わなければ、住宅の評価額も下がってしまうことがあります。

また定期的に外壁塗装を行わないまま住んでいると、外壁塗装だけでなく建物内部にも影響する雨漏りやシロアリ被害につながってしまうことにもなりかねません。

そこでサイディングのメンテナンスを行うタイミングや費用の目安についてご紹介します。

サイディング補修時期の目安となる主な劣化症状

ここでは、メンテナンス工事を行うべきサイディングの劣化症状と補修が必要になる時期について詳しくご紹介します。

コーキング材(シーリング材)の劣化

コーキング材とはサイディングボードの継ぎ目の目地に充填するもので、シーリング材とも呼ばれています。

気温の変化で膨張したサイディングボード同士がぶつかり合って破損してしまうことがないように、サイディングボードの継ぎ目には隙間があります。

その隙間を埋めるのがコーキング材で、弾力性があって緩衝材としての役割を持つと共に、建物内に雨水や外気が侵入するのを防いでいます

しかしコーキング材は雨や紫外線の影響を受けて次第に劣化します。

劣化が進むと徐々に弾力を失い、緩衝材としての役割を果たせなくなってしまいます。

またひび割れや剥がれなどが発生してしまうので、気密性・防水性も低下します。

この様になると、コーキングの打ち替えが必要になります。

一般的なコーキングの寿命は約710といわれています。

チョーキング

チョーキングとは「白亜化現象」とも呼ばれ、外壁に触れると手に白い粉が付着する現象です。

塗料に含まれている顔料が、外壁の表面にチョークの粉のようになって出てきてしまうことをいいます。

塗膜の劣化を示すものなので、チョーキング現象が見られたら塗り替え時期の到来を示しています。

色あせ

色褪せは紫外線や酸性雨などの影響を受けて、塗膜の防水性が低下してしまったサインです。

色褪せが目立ちはじめたら、そろそろ塗り替えが必要な時期が迫っています。

カビ、コケ、藻の発生

外壁にカビやコケが付着するようになると、塗膜の防水機能が低下して外壁に水分が含まれるようになったことを示しています。

色褪せと同様に、そのまま放置しておくと雨漏りが発生してしまうことがあります。

外壁塗装は単に色合いやデザインといった役割を持つだけでなく、風雨や紫外線から建物を保護する役割を担っています。

また外壁塗装は一生のものではなく、定期的な修繕、塗り替えが欠かせません。

劣化症状が見られたら、早急に外壁の補修を検討しましょう。

サイディング補修の主な費用相場

サイディングのメンテナンス費用の相場はどれくらいなのでしょうか。

メンテナンスにかかるコストについて、コーキング工事と塗り替え工事に分けてそれぞれ見ていきましょう。

コーキング(シーリング)工事の費用相場

コーキングの打ち替えに必要な費用は、1mあたり約9001,200と、既存のコーキングの撤去費用約13万円程度です。

一般的な木造2階建住宅では、20万円前後になることが多いです。

(この他に足場代が約15~20万円ほどかかります)

尚、一般的な作業手順は、既存コーキングの撤去→バックアップ材、ボンドブレーカー設置→マスキング養生→プライマー塗布→コーキング材充填→コーキング均し→マスキングテープ剥がし→完成です。

外壁塗り替え(外壁塗装)工事の費用相場

サイディング外壁の塗り替え費用の相場は、一般的によく使用されるアクリルシリコン塗料を使って塗装した場合、2530坪程度の木造2階建住宅で、6090万円が目安です。(足場代別途)

ただしあくまでも目安の費用なので、住宅の形状や立地条件、使用する塗料のグレードなどによって費用が変動します。

一般的な作業工程は、足場設置、養生シート掛け→高圧洗浄→下地処理→養生→下塗り→中塗り→上塗り→付帯部分の塗装→足場解体→完成です。

サイディング補修を行うメリット

サイディング補修を行うメリットを解説します。

耐久性がアップする

サイディングの劣化に気付いていても補修せずにそのまま放置しておくと、サイディングの隙間から外壁の内側に雨水が侵入し、下地の腐食や建物内部に雨漏りが発生する可能性があります。

そして最悪の場合には、サイディングボードが落下してしまうことにもなりかねません。

したがってサイディングボードに劣化症状が見られた場合には、早急に補修工事を行うことが大切です。

早期に補修することで耐久性がアップし、防水性や耐候性を長く維持することができるようになります。

耐久性の高い最新のサイディングへ変更できる

サイディングは、以前は10年保証が一般的でしたが、近年は30年保証の商品も登場しています。(シーリングレス工法による塗膜の変色・退色保証など)

高耐久性をアピールする近年のサイディングは、塗膜の変色・退色やひび割れなどに強く、塗り替え費用を抑えることができます。

長期保証が業界のスタンダードになりつつありますが、保証期間中は何もしなくて良いという訳ではなく、メンテナンスが欠かせないことに注意が必要です。

外観を美しく保つことができる

また近年は塗装技術の進化でよりリアルな質感が実現できるようになりました。

外壁に付着した汚れが落ちるセルフクリーニング機能のあるサイディングが主流になりつつあり、外観を美しく保つことができます。

そしてきちんとメンテナンスを行えば、外壁補修をしない場合よりも住宅評価額が高くなる傾向があると言えるでしょう。

サイディングの施工事例

サイディング補修の業者選びのポイント

満足度の高いサイディング補修工事を行うためには、信頼できるサイディング補修業者に依頼することが一番です。

できるだけサイディングのリフォーム実績が多い業者に依頼するようにしましょう。

インターネット、ホームページなどで検索して、施工実績を調べてみるのもひとつの方法です。

そして複数の業者に見積もりと現地調査を依頼して、各社の提案内容を比較することが大切です。

決して見積金額の安さだけで業者を選ぶことがないように心がけましょう。

外壁エージェントでも利用者の口コミが確認できるのでぜひ参考にして下さい。

まとめ

以上、サイディングについての種類や特徴、補修時期・費用などについてまとめました。

サイディングには様々な種類があり、それぞれに特徴があります。

サイディングは常に進化していて、デザインや機能の選択肢が広がり、メンテナンスコストも抑えられる様になっています。どのサイディングにも共通していえることは、定期的に点検を行い、必要なメンテナンスをきちんと行うことで寿命を延ばすことができるという点です。

正しい知識を持ち、あなたにぴったりのサイディングを選ぶようにしましょう。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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