外壁塗装で大注目の塗料・ピュアコートとは?メリット・デメリット、費用相場
外壁塗装の中で現在にわかに注目を浴びている塗料のひとつに「ピュアコート」があります。
「ピュアコート」は光触媒塗料の中のひとつですが、光触媒+高耐候フッ素樹脂を配合した塗料ということで業界からも注目されている塗料です。
今回はピュアコートの特徴やメリット・デメリット、費用相場などを紹介します。
光触媒塗料であるピュアコートとは?
ピュアコートの特徴は、光触媒効果のある塗料の中では珍しい塗膜の柔軟性の高さにあります。
尚、光触媒塗料は日本ペイント、エスケー化研などの国内の大手塗料メーカーでは製造・販売されていません。
代表的な光触媒塗料には他に以下の2つがあります。
- ハイドロテクトコート
大手住宅設備機器メーカーTOTOのグループ企業であるTOTOエクセラ株式会社が販売していた光触媒塗料です。
光触媒塗料の先駆けになった商品で、国内において圧倒的なシェアを誇っていましたが2017年に販売を中止しています。
- エヌティオ
日本特殊塗料株式会社が販売している光触媒塗料で、汚れを防ぐだけでなく、抗菌・脱臭機能も備えています。
光触媒塗料の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
光触媒で汚れを分解する
ピュアコートでコーティングされた建物の外壁に汚れがつかないのには、次の理由があります。
光触媒に太陽の紫外線があたると化学反応が起こり、活性酸素が発生します。
この活性酸素が塗装面に付いた有機物の汚れを分解し、付着力を弱めます。
そして雨が降ることで、この汚れが洗い流されやすくなるという仕組みです。
フッ素樹脂の親水性により汚れを防止する
ピュアコートは塗膜の表面を親水性にします。
親水性とは付着した水が玉のようにならず、表面になじむ状態のことをいいます。
親水性になることで塗膜に付いた水が膜のように広がるため、雨水などが壁に付着した汚れの下に入り込み、浮き上がらせて洗い流します。
ピュアコートの費用相場
ピュアコートの施工費はいくら位になるのでしょうか。
販売元である株式会社ピュアレックス・テクノロジーズによると、施工面積300㎡以上の場合の参考設計価格は、ピュアコート水性の場合で2,800円/㎡(材工共、1層コート)、ピュアコート溶剤の場合は3,200円/㎡(材工共、1層コート) となっています。
ただしこれはあくまでも1層コートの場合の参考価格で、実際の施工方法や施工費用は施工業者によって変動します。また下の塗膜が劣化している場合には、下の塗膜を塗り替える費用がかかります。
一方、塗料の市場価格は3㎏缶で4万円前後、8㎏缶で8万円前後になっているようです。
尚、光触媒塗料の材工価格相場は3,800~5,500円/㎡となっていて、一般的な塗料を使用する場合と比べて約1.5~2倍の費用がかかります。
ピュアコートを使用する場合であっても、他の光触媒塗料と同等と思っていて良いでしょう。
ピュアコートのメリット
ピュアコートにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ピュアコートのメリットを紹介します。
耐候性が高い
ピュアコートは、フッ素樹脂が骨格になっているため耐候性に優れています。
メーカーの促進耐候試験結果では、20年以上の耐候性があるといわれています。
しかし現在はまだピュアコートの販売開始から耐用年数以上の年数が経過していないため、寿命を実証できる物件はありません。正確な耐用年数はこれから明らかになっていくでしょう。
紫外線に強い
ピュアコートは一般的な光触媒塗料よりも塗膜の厚みがあるため、紫外線吸収剤を含有することができるようになりました。
その結果、UVカット機能を追加して外壁の色あせを防ぐことができる塗料となっています。
柔軟性がある
光触媒塗料は塗膜が固くなる傾向があり、大きな地震や素材の収縮などで塗装下地が動くと塗膜にひび割れが発生しやすいのがデメリットでした。
しかしピュアコートは光触媒効果のある塗料の中では珍しく塗膜に柔軟性があるため、下地塗装の柔軟性を損ないません。
これによって塗膜のひび割れを防ぎ、高い耐用年数を実現しています。
汚れがつきにくい
光触媒塗料の最大の特徴は外壁の汚れを浮かして流す「セルフクリーニング機能」です。
セルフクリーニング機能とは、塗装面に光があたると活性酸素が発生し汚れを浮かすことにより汚れの吸着を防ぎ、雨などにより洗い流される機能のことです。
ピュアコートはさらに塗膜自体がイオン伝導性を持っているため、静電気を防いで乾燥状態であってもチリや埃、黄砂などが付きにくくなっています。
施工しやすい
ピュアコートは一般的な塗装機にも対応しているので施工しやすく、また他の光触媒塗料とは異なり乾燥後すぐに親水性を発揮します。
そのため均一に施工することができたかどうかの施工管理が容易なのもメリットといえます。
ピュアコートのデメリット
ピュアコートには様々なメリットがある反面で、デメリットも存在します。
この章ではピュアコートのデメリットというよりも、光触媒全般に共通するデメリットを紹介します。
施工価格が高い
光触媒塗料は他の一般的な塗料と比較して初期費用が高くなる傾向があります。
光触媒塗料を使用する場合、現在もっとも人気のあるシリコン塗料と比較して、約2倍の初期費用がかかってしまいます。
耐用年数が伸びることで長期的に考えればメンテナンスコストを抑えることができますが、初期費用を安く抑えたい方にとっては、費用面で採用を決断するハードルが高くなるでしょう。
新しい塗料であるため耐用年数が正確かは未知数
光触媒塗料は比較的新しい塗料であるために、実際の耐用年数がどれくらいあるのかがまだ実証されていません。
また施工時の現場状況が施工品質に大きな影響を与えるため、品質管理が非常に重要になります。
品質管理が悪いと、他の塗料以上に耐用年数が短くなってしまう恐れがあります。
効果が発揮されないこともある
光触媒塗料のセルフクリーニング機能は、太陽光と雨にあたる場所で効果が発揮されます。そのため、太陽光や雨にあたらない場所では付着した汚れを落とすことができません。
よく日が当たる場所とそうではない場所があると、汚れが余計に目立ってしまうことがあります。
落ちない汚れもある
光触媒塗料のセルフクリーニング機能は、どんな汚れにも効果があるわけではありません。
砂や土埃、サビなどの無機質な汚れが付着した場合や、鳥の糞などの強い汚れは分解することができません。
これらのことは、ピュアコートの注意事項の中にも記載されています。
屋根用の光触媒塗料がない
光触媒塗料には屋根用の塗料がないので、外壁と屋根を同時に塗装する場合には、それぞれの塗料の耐用年数の違いによって次回のメンテナンス時期にズレが生じやすくなります。
ピュアコートを塗料に選ぶ際の注意点
ピュアコートは、建築用塗料の中でも特殊な塗料といえます。
十分に理解しないままに選んでしまうと、施工後に後悔してしまうことにもなりかねません。
そこでこの章では、ピュアコートを選んで塗装工事を行う際の注意点を紹介します。
実績のある外壁塗装業者を選ぶ
ピュアコートは、他の一般的な塗料とは施工方法が異なる点があります。
施工に不備があると、せっかく耐用年数の長い塗料を選んだとしても十分な効果を発揮することができません。
そのためピュアコートの施工実績が豊富な業者に依頼することが大切です。
業者を選ぶ際には、過去の施工実績について質問してみると良いでしょう。
また、業者のホームページなどで必ず施工実績を確認するようにしましょう。
複数の業者から相見積もりを取る
光触媒などの特殊な塗装はまだ多くを知られておらず、業者から見積もりをとるとどうしても金額が高くなりがちです。
適正な価格で発注するためには、複数の業者から相見積もりを取り、それぞれの見積もり書の内容を十分に比較検討することが大切です。
価格は必ずしも安い方がいいとは言えませんが、極端に高すぎる業者や安すぎる業者には注意が必要です。
また金額の高い安いだけでなく、工事内容をわかりやすく説明してくれる、こちらの質問にもわかりやすく答えてくれるといった点を重視することをオススメします。
相見積もりに関しては、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
自分でも外壁塗装の知識を事前につけておくことが大切
外壁塗装工事には専門的な知識が必要になるため、ある程度は信頼できる業者に任せることが大切です。
また、出来る限り自分でも情報を集めておくと失敗するリスクを低減できます。
特にピュアコートは価格が高く、全体の工事費用も他の塗料と比べて高額になるので、できるだけ失敗は避けなければなりません。
また施工上の注意点なども多いので、事前に外壁塗装工事費用の相場や注意事項などを知っておくことにより、業者の過剰請求や施工ミスなどを防ぐことができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
光触媒は数多くのメリットがある比較的新しい塗料です。
しかし光触媒にはメリットばかりでなく、デメリットも存在しています。
かつて国内で圧倒的なシェアを誇っていたTOTOの光触媒塗料ハイドロテクトコートが販売中止になったのは、品質管理が困難なためにクレーム・リコールが増えたことによるものといわれています。
塗装工事で光触媒を使用する際には、特に風や気温、湿度などの影響を強く受ける現場での塗装には、十分に注意する必要があります。
この点については、ピュアコートも例外ではないでしょう。
塗料を選ぶ際には、単に塗料の性能や価格だけでなく、施工の容易さや考えられるリスクなど、多方面から検討することが大切です。
そして検討した結果ピュアコートを採用するのであれば、信頼できる業者に依頼するようにしましょう。
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