外壁塗装に使用される塗料・レベルフロンとは?メリット・デメリット、費用相場
「レベルフロン」は新たな配合バランスにより、従来のフッ素樹脂塗料では実現できなかった光沢のある仕上がりと平滑性(レベリング)を実現した塗料として外壁塗装業界で注目の塗料です。
しかし一般の方には、まだほとんど知られていません。
そこで今回はレベルフロンの特徴やメリット・デメリット、費用相場、採用する際の注意点などを詳しく紹介します。
外壁塗装に使用される塗料・レベルフロンとは?
フッ素樹脂塗料は優れた耐久性や耐候性を持つ塗料として、頻繁に塗り替えができない高層ビルや大型の商業施設、鉄塔などの塗装に数多く使われています。
一方、塗膜の厚みがなく、下地を覆い隠す能力に欠けるところがあるのが欠点でした。
株式会社トウペが製造販売している「レベルフロン」は従来のフッ素樹脂塗料の欠点を克服し、塗膜は下地を限りなくカバーリングして、濡れているかのようなツヤを保ちます。
外壁や屋根をはじめ鉄部にも塗装可能で、窯業系サイディングボード、コンクリート、モルタル、ALC板、金属屋根、化粧スレート、セメント瓦などあらゆる外壁や屋根に適用できます。
レベルフロンの具体的な特徴は以下の通りです。
カバー力・膜の平滑性を高め、濡れているかのようなツヤ感がある仕上がりに
レベルフロンは、株式会社トウペ独自の新たな樹脂配合バランスによって、従来のフッ素樹脂塗料では得られなかったカバーリング(隠ぺい力)とレベリング(平滑化)を実現しています。
カバーリングとは、下地を完全に覆い隠し美しい塗装面を作り出すことをいい、レベリングとは塗膜の平滑性が増すことにより、まるで濡れているような光沢感を作り出すことをいいます。
レベルフロンは現存するあらゆる塗料の中でも、卓越した仕上がりをアピールしています。
フッ素塗料の中でも最上級な耐候性を実現
そもそもフッ素樹脂塗料は耐久性や耐候性に優れた塗料として知られており、長期間に渡って色・ツヤの変化が少なく、現在最も人気の高いシリコン塗料の約1.5倍の耐用年数があります。
レベルフロンはフッ素樹脂塗料の中でも最上級の耐候性を実現しているので、長く美観を保ちメンテナンス回数を確実に減らすことができます。
塗装工程を簡略化することにより、コストパフォーマンスの向上を可能に
塗料には1液型と2液型があります。1液型はそのまま使用することができるのに対して、2液型は使用する前に主剤と硬化剤を混ぜ込み、使用中も撹拌し続けておく必要があります。
従来のフッ素樹脂塗料は2液反応型が主流だったので、施工に手間がかかりました。
レベルフロンは1液型塗料でありながら、2液反応型と同等の耐候性を実現しています。
またレベルフロンは、従来のフッ素樹脂塗料と比べて卓越したコーティング機能によって塗装工程を簡略化することもでき、2回塗り仕上げが可能です。
したがってウレタン塗料やシリコン塗料並みの塗装費に抑える「コストパフォーマンス仕様」で塗装することもできます。
レベルフロンの費用相場
フッ素塗料の平均的な単価の相場は、3,500~5,000円/㎡(材工価格)です。
レベルフロンの材料価格は取り扱う業者によって多少異なりますが、1缶(15㎏)あたり5~6万円程度となっています。(メーカー価格:82,500円)
※1缶当たりの塗り面積は2回塗りで44~68㎡です。
レベルフロンを採用する際には、見積書に記載されている塗装回数に注意することが大切です。
レベルフロンのメリット
「レベルフロン」は、従来のフッ素樹脂塗料の弱点であった塗膜に厚みがないことや下地を覆い隠す能力に欠けることなどを改善したものですが、基本的には弱溶剤1液型フッ素樹脂塗料に位置付けられます。
したがって基本的なメリットは、フッ素樹脂塗料のメリットと共通しています。
そこでここでは、フッ素樹脂塗料のメリットを中心に紹介します。
耐久性が高くメンテナンスの回数が少なくて済む
一般的なフッ素樹脂塗料の耐用年数は15~20年といわれ、シリコン樹脂塗料の約1.5倍となっています。
他に無機塗料や光触媒塗料などといった耐用年数が長い塗料もありますが、それらの塗料が販売されてからまだ20年も経っていないなど、やや信用性に欠ける部分があるのは否めません。
その点、フッ素樹脂塗料であれば安心できるといえます。
耐用年数の長さはメンテナンス回数に影響し、数年でメンテナンスを行う必要が生じればその分メンテナンスコストがかかってしまいます。
外壁の塗り替えでは塗装代のみでなく、足場代や高圧洗浄代、養生費、廃棄物の処分費などもその都度必要になるので、メンテナンス回数を減らすことができればそれだけコスト削減につながります。
そのため、メンテナンス周期をのばすことができるフッ素樹脂塗料はコスト削減効果が非常に高いといえます。
これまでフッ素樹脂塗料が高層ビルや大型商業施設などで使われてきたのには、このような理由があります。
耐候性や耐熱性が高い
耐候性とは気候の変化への耐性のことで、太陽光、紫外線、酸性雨、温度変化などによって変形・変色・劣化などを起こしにくい性質のことをいいます。
また耐熱性とは主に紫外線に対する性能のことをいい、外壁や屋根は常に太陽光で熱せられ続けているので、耐熱性が欠かせません。
したがって建物を保護する目的で用いられる塗料には、耐候性や耐熱性が非常に重要になります。フッ素樹脂塗料は、この耐候性や耐熱性に優れた塗料といえます。
美しいツヤのある仕上がり
フッ素樹脂塗料は耐摩耗性にも優れているので、光沢が長持ちして長期間美観を維持することができます。
特にレベルフロンの塗膜は、まるで濡れているかのようなツヤを長く保つのがメリットといえます。また防カビ性、防藻性にも優れ、カビや藻が付着しにくくなります。
レベルフロンのデメリットとは?
どんな塗料にもメリットばかりではなくデメリットも抱えています。
そのため、塗料として採用するにあたってはデメリットについても事前に十分に検討しておく必要があります。
ここではレベルフロンを含むフッ素塗料のデメリットを紹介します。
他の塗料と比べて価格が高い
レベルフロンは、塗料の中でも価格が高いことで知られているフッ素塗料に属しているため、価格は高くなります。
高級塗料といわれている光触媒塗料や無機塗料と並んで高額な塗料で、アクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料などと比較すると価格は2倍以上になります。
そのため、今まで住宅に使用される頻度は非常に低い塗料でした。
また外壁と同時に屋根の塗装も行う場合には、外壁にフッ素塗料を使用すると先に屋根が劣化してしまうことが多く、次回のメンテナンス時期が合わなくなってしまうという問題があります。
一般家庭への施工実績が他の塗料と比べて少ない
フッ素塗料は、身近なところではフライパンなどの調理機器に使われていることがよく知られています。焦げ付かないフライパンのように汚れを寄せ付けず、綺麗な状態を長く保ちます。
また建築物では、東京スカイツリーや明石海峡大橋、六本木ヒルズ、ナゴヤドームなどに使われていることが知られています。
高価ですが耐久性・耐候性が非常に高いため、大型の建造物で使われるケースが多いのが特徴です。
このようにレベルフロンが属しているフッ素塗料は、もともと一般住宅向けではなく、大型の商業ビルやタワーなどに使われてきました。
そのためフッ素塗料全体としてみた場合には、一般住宅への施工実績が他の塗料と比較して少ないのが現状です。
そして一般住宅におけるフッ素塗料を使用した施工実績が豊富な会社がいまだに多くはないのが、フッ素塗料全体のデメリットといえるでしょう。
レベルフロンを塗料に選ぶ際の注意点
レベルフロンを使用して塗装を行う場合には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
この章では、レベルフロンを使用して塗装を行う際の注意点を紹介します。
実績のある外壁塗装業者を選ぶ
どんな塗料でも同じですが、施工実績が豊富な業者に依頼することで、塗料の持つ性能を最大限に発揮させることができるようになります。
しかし高価な塗料になるほど豊富な施工実績がある業者が少なくなるので、施工業者の選定が極めて重要になります。
レベルフロンは1液型の塗料なので比較的扱いやすい塗料と思われますが、きちんと下地処理を行わずに塗装してしまうと、せっかく高価な塗料を使って塗装しても台無しになってしまいます。
そのため、業者の選定にあたっては業者のホームページなどで施工実績を確認したり地元の評判を聞いたりして、慎重に行うようにしましょう。
複数の業者から相見積もりを取る
レベルフロンは高額な塗料なので、他の塗料と比較して工事費用が高くなります。
また他の塗料のようにまだ相場があまり知られていないので、業者によって価格が大きく異なる可能性があります。
したがって適正な価格で発注するためには、必ず数社から相見積もりをとって、内容をよく比較検討することが重要になります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
自分でも外壁塗装の知識を事前につけておくことが大切
外壁塗装工事には専門的な知識が必要になるため、ある程度は信頼できる業者を探して任せることが大切です。
しかし信頼できる業者を見つけるためには、自分自身も可能な限り情報を集めておくことが非常に役立ちます。
特にレベルフロンは他の塗料に比べて高価で、施工経験が豊富な業者もそんなに多くありません。
事前に外壁塗装工事の価格相場や注意事項などを調べておくことにより、業者の過剰請求や施工ミスなどを防ぐことができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
レベルフロンが属するフッ素樹脂塗料は非常に耐久性の高い塗料ですが、価格が高いため、大型建築物や橋梁などには数多く採用されているものの、まだまだ一般住宅向けとはいえません。
しかし資産価値の高い家屋や、愛着のある家、家のメンテナンス回数を減らしたい場合などには検討すべき塗料といえます。
現在人気のシリコン塗料も10年程前までは非常に高価な塗料でしたが、技術の進歩と普及の拡大(需要の増加)によって、現在ではウレタン塗料とほとんど変わらない価格になりました。
同じ様なことがフッ素塗料にも起こる可能性は十分にあるといえます。
ただし屋根や外壁のシーリング目地の耐用年数とのバランスをよく考慮しないと、外壁のフッ素塗料はどんなに長持ちしても屋根やシーリングなどが先に劣化してしまって、結局足場を掛けて改修工事を行うことにもなりかねません。
塗料を選ぶ際には、建物全体の部位ごとの耐用年数も十分考慮することが大切です。
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