【部位別】外壁塗装時の外壁以外の塗装について場所ごとに解説!

住まいの外壁塗装工事を行う際には単に外壁だけを塗装するのではなく、屋根や軒天、破風板、雨樋、雨戸、鉄部なども併せて塗装しておくことで住まい全体の美観を向上させて家の寿命を延ばすことができるようになります。

そして塗装が必要な範囲は、現在の住まいの仕様や劣化状況等によって変わります。

そこで今回の記事では、外壁以外の塗装について知りたいという方に外壁以外のそれぞれの部位の塗装や補修方法について詳しく紹介します。

外壁塗装では外壁以外の場所も塗装する

外壁の塗装作業

外壁塗装工事では、基本的に外壁以外の場所の補修も業者から提案されます。

外壁塗装業者に外壁塗装工事の見積もり依頼をした場合、軒天や破風板、雨樋、雨戸などの付帯部分や、必要に応じて屋根や玄関ドアの塗装などが見積もりに含まれてくることがほとんどです。

外壁塗装のみでは見栄えが悪いばかりか、ほかの部分の劣化が進んでしまい家の寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。そのため、外壁以外の場所も必ず補修を行う必要があります。

また、外壁塗装工事を行う際には足場を架設します。足場代は最低でも10万〜20万円の費用がかかるため、足場が必要になる部分は同時に塗装をしてしまうのが合理的といえます。

外壁以外の劣化が雨漏りにつながることも

外壁だけを補修したとしても、屋根や軒天、破風板などの劣化が進行し雨漏りの原因になってしまう恐れがあります。

また、ベランダやバルコニーがある場合には外壁塗装工事と併せて防水工事や防水層を紫外線や摩耗から保護するトップコートの塗り替えを一緒に行うのが一般的です。

ベランダやバルコニーのように放置しておくと後々雨漏りに繋がるような場所については、外壁塗装工事の際に同時にメンテナンスを行います。

部位別に解説:外壁塗装と一緒に塗装を行うのはどの場所?

この章では、外壁塗装と同時に塗装や補修工事を検討した方が良い場所を部位別に紹介します。

屋根

屋根は常に紫外線や雨風に晒されているため、外壁以上に劣化しやすい場所といえます。

しかし屋根は高所にあるため傷み具合を自分で直接確認することができず、メンテナンスの必要性を見落としてしまいがちです。

そのため、外壁塗装を行う際には事前に外壁塗装業者によく点検してもらう必要があります。

屋根修理が必要なタイミングや劣化症状については、以下の記事を参考にして下さい。

 

玄関ドア‌

玄関ドアは家族全員が毎日頻繁に使う場所であることや、外壁や屋根と同様に外気に晒されているため、非常に傷みやすい場所といえます。

しかし普段から見慣れてしまうため、意外と劣化しているのを見逃してしまいがちです。

玄関ドアも素材や劣化具合によっては塗装や調整、部品交換などのメンテナンスが必要になるので、外壁塗装と同様に点検をしてもらうようにしましょう。

玄関ドア塗装の基礎知識や費用相場については、以下の記事を参考にして下さい。

 

ベランダ(バルコニー)‌

ベランダやバルコニーは壁面を塗装するだけでなく、床の防水層のメンテナンスが非常に重要になります。

防水層も外壁の塗膜と同様に経年により劣化をするので、劣化をそのまま放置してしまうと室内への雨漏りの原因になります。

そして雨漏りが進行すれば構造躯体の腐蝕やシロアリの繁殖などに繋がり、建物の資産価値にも大きな影響を与えかねません。

そのため、雨漏り予防の観点からも定期的な壁面や防水層のメンテナンスが必要になります。

ベランダ(バルコニー)のメンテナンス方法や費用相場については、以下の記事を参考にして下さい。‌

 

雨戸・シャッター・戸袋‌

古くなった雨戸やシャッター、戸袋なども外壁と一緒に塗装することで、新築時のような美観を回復することができます。

せっかく外壁を綺麗に塗装しても、雨戸やシャッターがそのままの状態では汚れや劣化が逆に目立ってしまう恐れがあります。

また、スチール製の雨戸やシャッターのサビをそのまま放置してしまうと、サビを含んだ雨水で外壁を汚してしまうことにもなりかねません。

そのため、外壁を塗装する際には雨戸やシャッターなどの塗装を併せて行うようにしましょう。ただし素材によっては塗装ができない場合もあるので注意が必要です。

雨戸塗装の基礎知識や費用などについては、以下の記事を参考にして下さい。‌

 

雨樋

外壁塗装を行う際には、雨樋の塗装も併せて行うのが一般的です。

雨樋の塗装は単に美観を向上させるためだけではなく、耐久性を高めることも期待できます。

ただしひび割れや破損が生じている場合などには塗装を行うだけでは対応できず、破損部分の交換が必要になります。

雨樋塗装の方法や費用相場などについては、以下の記事を参考にして下さい。

 

軒天

軒天を塗装する際には足場が必要になりますが、単独で軒天のみを塗装するとなると足場代がかかってしまうため、一般的に軒天も外壁塗装と同時に行います。

また、外壁塗装が必要になる時期には軒天にも塗膜の剥がれや膨れ、カビ・藻の発生、ひび割れ等の劣化症状が発生していることがほとんどです。

ただし軒天に雨染みがある場合には雨漏りが発生している可能性が高いため、塗装するだけでは補修できません。きちんと原因を究明して、必要な雨漏り対策や補修を行うことが大切です。

軒天塗装の詳細や費用相場、軒天塗装におすすめの塗料については、以下の記事を参考にして下さい。

 

アルミサッシ(サッシ)

アルミサッシは傷が付くと目立ちやすく、白い斑点状の汚れが発生することがあります。

これは白サビといわれるもので、アルミサッシに穴が開いてしまうようなことはないものの、見た目が非常に悪くなってしまいます。

このような場合は塗装によるメンテナンスを行なったり、サビがひどい場合はアルミサッシの交換を行います。

アルミサッシは以前は塗装ができないと言われていましたが、近年ではアルミサッシ用の塗料が開発・販売されています。

しかし耐久性が高くない塗料もあるため、塗装を行う際には塗料選びをしっかり行う必要があります。

アルミサッシ塗装の注意点やメンテナンスのタイミング、費用相場については以下の記事を参考にして下さい。

 

幕板

外壁に幕板がある場合には、外壁塗装と同時に幕板の塗装を行います。

幕板が雨漏りの原因になることは珍しくなく、塗膜の膨れ、剥がれ、ひび割れなどが進行すると雨漏りの発生リスクが一層高まるようになります。

また、幕板周囲のシーリングの劣化が雨漏りの原因になることも多いので、メンテナンスが不可欠な部位といえます。

ただし幕板の劣化が著しい場合には塗装するだけでは補修しきれないため、幕板自体の交換が必要になります。

破風・鼻隠し

破風、鼻隠しの塗装も、外壁や屋根を塗装する際に同時に行うのが一般的です。

破風や鼻隠しは屋根の先端部にあるため外部環境の影響を大きく受けやすく、非常に劣化しやすい場所といえます。

破風、鼻隠しが木製の場合には腐食していることも珍しくなく、その場合には交換が必要になります。

庇・換気フード

庇の屋根や換気フードはスチール(鉄板)でできていることが多いので、経年と共にサビが発生します。

そのまま放置し続けると腐食して穴が開いてしまうので、そうなる前に塗装が必要になります。

また、庇を塗装する際には足場が必要になることが多いので、外壁塗装を行う際に一緒に塗装するのが一般的です。

その際には下地として錆止め塗料をしっかりと塗り、サビの再発を防ぐことが大切です。

エアコンのダクトカバー

エアコン室外機の配管カバーは、業者によって一旦取り外してから外壁塗装を行う業者と、ビニールシート等でマスキングを行ってから塗装する業者に分かれます。

取り外してから塗装を行った方が塗り残しがなくなりますが、配管カバーが劣化している場合は取り外しの際に破損してしまう恐れがあります。

また、配管カバーを塗装するかどうかも業者によって判断が異なります。

塗装した場合には塗料によって配管カバーを固定しているビスが外しにくくなるなどの弊害があるので、事前に外壁塗装業者とよく打ち合わせをしておく必要があります。

部位別:外壁以外の塗装にかかる費用相場

付帯部分の塗装にかかるおおまかな費用(材工価格)を表にまとめると次のようになります。

尚、下記の金額は外壁塗装工事費に加算して発生する金額になります。

付帯部 費用相場
屋根 200,000~300,000円(足場代別途)
玄関ドア 50,000~100,000円/箇所
雨戸 2,000~5,000円/枚
シャッター 1,500~3,000円/㎡
雨樋 800~1,200円/m
軒天 800~1,500円/㎡
幕板 850~1,400円/㎡
破風・鼻隠し 650~1300円/㎡
庇、換気フード 2,000~3,000円/箇所
アルミサッシ 40,000~60,000円/箇所
エアコンの配管カバー 1,000~1,200円/台
バルコニートップコート 20,000~80,000円

塗料の種類別・耐用年数と費用相場

各部位ごとの塗装費用の相場は先述した通りですが、実際には使用する塗料のグレードによって費用が異なります。‌塗料の種類別耐用年数と費用相場は次のようになります。

塗料の種類 耐用年数の目安 工事費用の相場
アクリル塗料 5~8年 1,000~1,800円/㎡
ウレタン塗料 7~10年 1,500~2,500円/㎡
シリコン塗料 10~15年 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 12~15年 2,200~4,000円/㎡
光触媒塗料 12~20年 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 15~20年 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 20~25年 4,500~5,500円/㎡

※横にスクロールしてください。

‌外壁塗装に使用される塗料にはそれぞれ耐用年数があり、グレードが高いものほど耐用年数が高くなります。

また、耐候性を高めた塗料やセルフクリーニング機能を備えた塗料などがあり、塗料の種類に応じてさまざまな特徴があります。‌

塗料の選び方や各塗料の特徴・メリットやデメリットなどは、以下の記事を参考にして下さい。‌

外壁以外の塗装に失敗しないための注意点

この章では、外壁塗装と同時に付帯部分の塗装を行う際に注意すべき点について紹介します。

見積もり書の項目に部位別に記載されているかを確認する

まずはじめに、見積もり書の項目に付帯部分の塗装箇所が具体的に記載されているかどうかを確認します。

「付帯部一式」とだけ記載されていても、どの部分をどんな塗料を使って塗装するのかがわかりません。

「工事に含まれていると思っていた箇所が塗装されなかった」ということがないように、見積もり書に具体的な塗装箇所や数量、使用する塗料の種類などを明記してもらうようにしましょう。

外壁以外の色選びも外壁の色と同じく重要視した方が良い

付帯部分をどんな色で塗装するのかは、外壁の色決めと同じくらい重要になります。

外壁の色をどんなに慎重に決めたとしても、付帯部分の色との相性が悪いと見栄えが悪くなってしまう可能性があります。そのため、付帯部に使う色も慎重に選ぶことが大切です。

また、色決めの際には塗料メーカーのカラーシュミレーションなどを活用すると良いでしょう。

外壁塗装の塗料で人気のある色や色選びのポイント、組み合わせ方については、以下の記事を参考にして下さい。

 

付帯部の特徴・劣化症状を部位別に覚えておく

外壁塗装工事を検討する際には、工事内容を決めるにあたって付帯部分の特徴や劣化症状についてある程度の知識を持っていた方が望ましいといえます。

そこで付帯部分の特徴や劣化症状を部位別に紹介します。

軒天(のきてん)

軒天とは軒先の裏側にある天井部分を指し、軒天の材質にはべニア板などの木材やケイカル板などの不燃材のほかに金属製のものが使用されていることがあります。

主な劣化症状にはシミや塗膜の剥がれ、カビや藻の発生などがあり、中には軒天井自体が剥がれていたり、穴が開いていたりすることがあります。

雨樋(あまどい)

雨樋は屋根などに落ちた雨水を集めて地上に落とすためのものですが、その多くは塩化ビニール製になります。

経年により色褪せ、ごみの詰まり、ずれ、ゆがみ、割れ、勾配不良などの不具合が発生します。

雨戸(シャッター)・戸袋

窓の外側に設置されるもので、雨水の建物内への侵入防止や防犯の役割があります。

鋼板製のものは、経年劣化により塗膜の剥がれ、チョーキング、サビなどが発生します。

幕板(まくいた)・帯板(おびいた)

幕板とは、外壁の1階と2階の境界部分や外壁と基礎の境界部分に設置されることが多い横長の板のことをいい、帯板とも呼ばれています。

経年劣化による塗膜の剥がれや、木製のものは腐食してしまっている場合があり、雨漏りの原因となることがあります。

破風板(はふいた)・鼻隠し

破風板とは切妻屋根を横から見た時に三角形の部分の先端に取り付けられている板材のことをいい、鼻隠しとは三角形ではない面の屋根の先端部にある板材のことをいいます。

以前は木材が使われていましたが、現在はほとんどがセメントや繊維質を原料とした窯業系の素材となっています。

幕板と同様に、経年劣化による塗膜の剥がれや、木製のものでは腐食などが生じることがあります。

庇(ひさし)

庇は窓の上部に取り付けられている小さな屋根状のもので、雨よけや日よけの役割を持っています。

屋根がスチール製(カラー鋼板)のものは、経年劣化でサビが発生します。

笠木(かさぎ)

ベランダの手すりや、陸屋根(平らな屋根)のパラペットなどの頂部に被せるように取り付けられている部材のことを笠木と呼び、腰壁を雨風から守り雨水の侵入を防ぐ役割があります。

以前は素材としてカラー鋼板が使用されており、カラー鋼板の場合は経年劣化によるサビが発生していましたが、近年ではアルミ製やステンレス製のものがほとんどになっています。

水切り

水切りとは外壁材と基礎の境目やサッシの下端などに設置されている部材で、雨水の侵入を防ぐ役割があります。

アルミやスチール(カラー鋼板)などの金属製のものがほとんどですが、スチール製の場合には経年によりサビが発生することがあります。

基礎巾木(きそはばき)

地面から出ている建物の基礎立ち上がり部分のことをいいます。

一般的にモルタルを塗って仕上げてありますが、稀に塗装して仕上げられていることがあり、この場合は経年劣化で塗膜の剥がれや膨れなどが発生します。

まとめ

外壁塗装の際には一般的に、軒天、破風板、鼻隠し、雨樋、庇、雨戸、戸袋、シャッターボックス、鉄部などは同時に塗装されることがほとんどです。

他にも塗装するかどうかの判断をする必要がある部位がいくつかあり、それによって塗装工事費用が異なります。

また付帯部分の材質の違いによって、適正な塗料の種類も異なります。

したがって複数の業者から相見積もりを取得すると、塗装する部位や使用する塗料が異なることが少なくありません。

外壁塗装を行う際には、付帯部分の扱いについても事前によく確認しておくことが大切です。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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