外壁塗装で得られる効果とは?メリット・デメリットをプロが徹底解説
外壁塗装は単に外観をきれいにするだけでなく、建物を保護して長く住み続けられるようにする重要な役割があります。
しかし「外壁塗装って本当に必要なの?」「外壁塗装を行わないとどうなるの?」と疑問に思っている方も少なくないと思います。費用がかかるものなので、どのような効果やメリットがあるのかを具体的に知っておきたいと思うのは当然のことでしょう。
そこで今回は、外壁塗装が住まいに対してどのような効果があるのか、外壁塗装を行うことによるメリット・デメリット、について詳しく解説したいと思います。
目次
外壁塗装って本当に必要?
建物の外壁塗装は定期的に行う必要があるとされていますが、見た目は多少悪くなってもそのまま放置しておく方も少なくないと思います。
そこでこの章では、外壁塗装の役割や効果について紹介します。
外壁塗装には住宅を保護する効果がある
外壁塗装を行う最大の目的は、建物を保護することにあります。
外壁塗装の塗膜には、太陽光などの紫外線や雨風から建物を保護する鎧のような役割があります。
しかし、塗膜も徐々に経年劣化してしまうので、次第に防水機能が低下します。このような状態のまま定期的に塗り替えを行わずにいると、少しずつ外壁が痛んでしまいます。
やがて雨水が建物内部にも侵入して雨漏りやシロアリ被害が発生し、建物の構造躯体にも悪影響を及ぼすようになる恐れがあります。
外壁塗装を行うことでさまざまなメリットが得られる
外壁塗装に使用する塗料の中には、防カビ・防藻機能があるものや、セルフクリーニング機能が備わっている塗料があります。
また、断熱・遮熱機能に優れた塗料などもあり、このような塗料を外壁塗装に用いることによって外壁全体を保護し、経年劣化を遅らせることができます。
このように、外壁塗装工事を行うことによって住宅にとって良い効果を得ることができます。
外壁塗装を定期的に行うことで得られるメリットとは
この章では外壁塗装を定期的に行うことで得られるメリットについて詳しく紹介します。
1.住まいの外観を向上させることができる
外壁塗装を行うメリットとして誰にもわかりやすいのが、住まいの外観(見映え)を向上させることだといえます。
新築してから10年以上が経過すると経年劣化により塗料が色褪せ、外壁の汚れやコケ、カビ、ひび割れなどが目立つようになります。住まいの外観は当然古びてしまい、新築時の美しさが失われてしまいます。
しかし外壁塗装を行うことで新築当時の外観を取り戻すことができ、いつまでも綺麗な外観を保つことができるようになります。
また新築時とは異なる色で塗装したり2色以上の色で塗り分けたりすることで住まいを手軽にイメージチェンジすることができることが、外壁塗装のメリットのひとつといえます。
2.住宅や外壁の耐久性を維持することができる
外壁塗装を行う最大のメリットといえるのが、住まいの外壁を保護して建物の耐久性を維持するということです。
屋根や外壁は常に紫外線や雨風に晒されているため、徐々に劣化が進んでいきます。
新築時に使用された塗料の耐用年数は7~10年程度のものが多いので、10年以上経過すると外壁を保護している塗膜の劣化が進み、紫外線や雨風の影響を建物が直に受けるようになります。
そうなってしまうと外壁のダメージはますます大きくなり、住まいの耐久性の低下につながります。そのため、住まいの耐久性を維持するためには定期的な外壁のメンテナンスが不可欠といえます。
また塗り替えにあたっては、新築時または前回の外壁塗装で使用した塗料よりも耐久性の高い塗料を選択することができます。
3.雨風や紫外線による経年劣化を遅らせることができる
住まいの耐久性の維持と関連しますが、外壁塗装の目的のひとつには「住まいの経年劣化を遅らせること」があります。
住まいが劣化する原因には、塗膜が紫外線や雨風の影響を受けて経年劣化することにより外壁にひび割れや塗膜の剥がれなどの不具合が発生して、雨水が建物内部に侵入してしまうことがあります。
そしてやがては室内への雨漏りやシロアリ被害が発生し、建物に重大な悪影響を及ぼすことになります。
外壁塗装工事では塗装前にひび割れ補修やシーリングの打ち替えなどを行うので、このような適切な処理を行うことで外壁の経年劣化を遅らせることができます。
4.防水機能や遮熱効果などさまざまな機能を外壁にプラスすることができる
外壁塗装に使用される塗料には、単に外壁を保護して見た目を美しくする以外にもさまざまな機能を持っているものがあります。
外壁塗装の際にどんな塗料を使用するのかによって、付加できる機能が異なります。ここでは塗料に付加されているさまざまな機能の中で代表的なものを紹介します。
■防水機能
外壁から雨水が建物内に侵入すると、雨漏りや構造躯体の腐蝕、シロアリ被害の発生など深刻な被害を引き起こします。
一方、外壁塗装を行うサイディングやモルタル、ALCなどの外壁材は吸水性が高く防水性能がないため、これらの外壁材の防水性能は塗装をすることで付加する必要があります。
したがって外壁塗装の目的には雨水の建物内への侵入を防止することがあり、外壁塗装に使用する塗料には防水機能が欠かせません。
また、たとえ外壁がひび割れしたとしても塗膜が伸びて塗装表面にひび割れが発生しないように、弾性塗料などの伸縮性の高い塗膜が使用されることもあります。
■遮熱機能
塗料の中には、太陽光を効果的に反射して塗装表面の温度上昇を軽減する遮熱機能を持った特殊な塗料があります。このような塗料を遮熱塗料と呼びます。
遮熱塗料は室内温度の上昇を抑えることができるため、夏になると部屋に熱がこもってしまう住宅などにはおすすめの塗料といえます。また、冷房費用の削減にも高い効果を発揮します。
遮熱塗料のメリットやデメリット、選び方やおすすめ商品などに関しては、以下の記事を参考にして下さい。
■セルフクリーニング機能
防汚効果に優れている塗料のひとつとして、光触媒塗料があります。
光触媒塗料は、太陽光が外壁に当たることにより発生する活性酸素が塗膜表面の汚れを分解することにより汚れの付着を防ぎ、雨などにより汚れが洗い流される機能を持っています。このような機能を、セルフクリーニング機能といいます。
光触媒塗料について、詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
■防カビ・防藻機能
建物の北面や日当たりの悪い部分の外壁には、カビや藻が繁殖しやすくなります。
カビや藻が繁殖した外壁は見た目が悪くなるばかりでなく、建物の耐久性にも悪影響を与えかねません。このような外壁には、防カビ・防藻機能をもつ塗料が効果的です。
防カビ効果に優れている塗料として、ラジカル制御型塗料があります。ラジカル制御型塗料については、以下の記事を参考にして下さい。
5.住宅の資産価値を保つことができる
外壁塗装による定期的なメンテナンスを行うことによって美観の維持につながり、住宅の資産価値を保つことができます。
たとえ転居して家を売却する予定がなかったとしても、資産を守る上で定期的な外壁塗装が不可欠といえます。
外壁塗装は10年を目安にメンテナンスを
外壁塗装の塗膜の耐用年数は使用する塗料によって異なりますが、約10年を目安に塗り替えを行うようにすると良いでしょう。
また既存の塗料の種類と塗装した時期がわかっている場合には、それに応じて次の外壁塗装の時期を決めるのが良いと思います。
塗料別:耐用年数と費用相場
外壁塗装に使用される主な塗料の種類別耐用年数と費用相場は次のようになります。
塗料の種類 | 耐用年数 | 費用相場 |
アクリル塗料 | 5~8年 | 1,000~1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 | 7~10年 | 1,500~2,500円/㎡ |
シリコン塗料 | 10~15年 | 1,800~3,500円/㎡ |
ラジカル(制御型)塗料 | 12~15年 | 2,200~4,000円/㎡ |
光触媒塗料 | 12~20年 | 3,800~5,500円/㎡ |
フッ素塗料 | 15~20年 | 3,500~5,000円/㎡ |
無機塗料 | 20~25年 | 4,500~5,500円/㎡ |
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尚、現在使用されている塗料と異なる塗料を使用して塗装することも可能です。
詳しい塗料の選び方については、以下の記事を参考にして下さい。
外壁塗装を行うことにデメリットはあるの?
定期的に外壁塗装を行うことのデメリットは、ほとんどないといえます。あえてデメリットをあげるとすれば、コストと手間がかかるということくらいでしょう。
信頼できる外壁塗装業者を探すのにも手間と時間がかかりますが、そこを惜しんでは絶対にいけません。
一方で定期的に外壁塗装を行わなければ建物にさまざまな弊害が起きる可能性が高く、外壁塗装を行わずに放置しておくことのデメリットの方が圧倒的に大きいといえます。
外壁塗装をしない場合の危険性について知っておこう
この章では、外壁塗装を行わずに放置し続けた場合や外壁塗装を先延ばしにした場合に起こり得る危険性について紹介します。
1.外壁塗装を先延ばしにすると住宅の構造躯体に悪影響を及ぼす
適切な時期に外壁塗装によるメンテナンスを行わなかった場合にはさまざまな場所に不具合が生じて、最終的には外壁塗装工事費用では賄えなくなるほどの補修費用がかかってしまうことにもなりかねません。
中でも建物の構造躯体が傷んでしまうと、高額な補修費用が必要になります。
塗膜の劣化による構造躯体の不具合事例には次のようなものがあります。
- 外壁の塗膜が劣化したことでひび割れが発生し、ひび割れを起こした部分から雨水が侵入、構造躯体に湿気が付着して柱や梁、土台などが腐食してしまう
- 建物内に湿気がこもるとシロアリが好む環境になるため、構造材が繁殖したシロアリの食害を受けて強度不足になる
- 結果的に地震に弱い建物になって、大きな地震が発生した際には倒壊してしまう恐れがある
- 壁内に湿気がこもるため防水シートや外壁材自体にも悪影響を及ぼし、ボロボロになってしまうことがある
2.断熱効果が下がり部屋内部の温度が外気に影響される
外壁と内壁の間には断熱材が充填されていますが、雨水が侵入して断熱材が濡れてしまうと断熱効果が著しく低下してしまいます。
そして最終的には断熱効果がほとんどなくなってしまうので、外気の影響を直接受けるようになります。
このような状態になってしまうと省エネ効果が得られず、家の中が過ごしにくい環境になってしまうので注意が必要です。
3.ヒビが発生しコーキングが劣化する
外壁塗装の塗膜には、外壁のひび割れを抑えたり外壁材の継ぎ目のコーキングを保護したりする役割があります。
塗膜が劣化するとこれらの機能も低下してしまうので、外壁のひび割れやコーキングの劣化が目立つようになります。
4.外壁塗装をしないままでいると大損害を被ることがある
外壁塗装工事にはまとまったお金がかかるので、どうしても工事を先延ばししてしまう方が多いようです。
しかし外壁塗装の塗膜が劣化すると、先に述べたようなさまざまな問題が生じるようになります。
その結果、サイディングの張り替えや断熱材の入れ直し、構造躯体の補強・交換などの大掛かりな工事が必要になってしまうことがあるので、適切な時期に外壁塗装工事を行うことが大切です。
外壁塗装を躊躇している人向け:工事に前向きになるポイント法
外壁塗装工事を行う際、業者探しや工事中の生活、近隣への配慮などが大変だと思って何となく躊躇している方が多いのではないでしょうか。
そこで気になる工事のポイントやその解決法について紹介します。
外観:見た目は劣化していなくてもメンテナンスは必要
雨漏りや塗膜の剥がれ、ひび割れなどの目に見える劣化事象が生じていなければ外壁塗装はまだ必要ないと思っている方が多いと思います。
しかし塗膜の劣化は少しずつ進行していて、雨漏りなどが発生した時にはすでに手遅れといえる状態です。
外壁塗装の目的は、大きな劣化事象が発生する前に適切なメンテナンスを行い、建物の被害を予防することにあります。
見た目はそれほど劣化していなくても、塗料の耐用年数が経過する前にメンテナンスを行うことで快適な生活を長く送ることができるようになります。
費用:早めのメンテナンスで出費を最小限に
外壁塗装などのメンテナンス工事には平均で100万円ほどのまとまった費用がかかりますが、前に紹介したように劣化が進行してしまうと塗装工事だけでは対応できなくなってしまうことがあります。
劣化が進行し外壁塗装工事だけでは対処できない場合、構造躯体の補強や断熱材の交換などを行います。この場合は解体工事や大工工事、内装工事などが必要になります。
そして最悪のケースでは、大規模な修繕工事や建て替えが必要になってしまうことにもなりかねません。
メンテナンス費用を最低限に抑えるためにも、早めに適切なメンテナンスを行うことが大切です。
また工事代金を一括で支払いできない場合には、ローンを利用する方法があります。
詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
工事:工期は短く騒音リスクも少ない
工事中の騒音や現場近隣への迷惑などを気にして、外壁塗装工事を躊躇してしまう方も少なくありません。
しかし外壁塗装工事で大きな音が発生するのは、足場の組み立てや解体作業時と高圧洗浄を行う際の高圧洗浄機の駆動音程度で、騒音が発生する期間も合計で3日間程度です。外壁塗装工事全体でも工期は10日~2週間程度となります。
また、現在の外壁塗装工事のほとんどが吹き付けではなくローラー工法でおこなわれているので、メインの塗装作業で大きな音が発生することはなく、騒音リスクは他の工事と比較しても少ないといえます。
外壁塗装工事を検討する際の注意点
先述した外壁塗装工事を行うことのメリットを享受することができるのは、適切な外壁塗装工事が行われた場合に限ります。
そのため、工事を行う塗装工事業者の選定が非常に重要になります。そこでこの章では、どのような業者に依頼すれば良いのかを紹介します。
複数の業者に見積もりを依頼し、信頼できる業者を選定する
優良な業者を探すためには、3社程度の複数の業者に同じ内容で見積もり依頼を行い、各社の見積もり書を十分に比較検討することが大切です。
その際には単に合計金額が安いというだけではなく、各社の提案内容や担当者の人柄、見積もり書の精度などさまざまな視点から良く比較して、最も信頼できそうな業者を選ぶことが重要です。
金額の安さだけで業者を選んでしまうと後悔することにもなりかねないので、注意をして下さい。
技術力や施工実績のある業者に依頼をする
外壁塗装工事ではたとえ耐久性の高い高額な塗料を使ったとしても、職人の技術や経験が不足している場合には塗料の性能を100%発揮させることができません。
そのため、一級塗装技能士などの有資格者の有無や、過去の施工実績などを業者のホームページや会社案内などで事前に確認しておくと良いでしょう。
信頼できる業者が保有する外壁塗装の資格や免許については、以下の記事を参考にして下さい。
保証やアフターサービスが充実している業者に依頼をする
建築工事では工事の完成引き渡し後に不具合が発生することがあり、外壁塗装工事も例外ではありません。
したがって万が一引き渡し後に不具合などが発生した場合に、十分な保証や無償での手直しが受けられるかどうかが非常に重要です。
工事保証書や社内にアフターサービスの体制があるかどうかを契約する前に必ず確認しておきましょう。
外壁塗装のアフターサービスや定期点検の重要性については、以下の記事を参考にして下さい。
適正価格で外壁塗装工事を行ってくれる業者に依頼する
一般的な建坪30坪前後の木造2階建住宅の外壁塗装工事費用は100万円前後ですが、実際の工事費用は建物の形状、仕様、立地条件、使用する塗料の種類、建物の劣化度などによって異なります。
したがってそれらの違いによってそれぞれに適正価格が存在するので、業者が見積もり書に提示している金額が適正なものなのかどうかを判断する際には注意が必要です。
外壁塗装の適正価格の見極め方については、以下の記事を参考にして下さい。
まとめ
本記事では外壁塗装を行うメリット・デメリットなどについて詳しく紹介しましたが、外壁塗装工事にはデメリットはほとんどなく、むしろ適正な時期にメンテナンスを行わないことのデメリットの方が圧倒的に大きくなります。
適正な時期に外壁塗装工事を行うことは、住まいを長持ちさせて快適な生活を長く送る上で欠かせないことです。本記事の内容を参考にして、早めに外壁の適切なメンテナンス工事を行って出費を最小限に抑えると共に、住まいの資産価値を長く維持していくようにしましょう。
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