ニチハのサイディングが知りたい!特徴、おすすめサイディング材
1956年の創業以来、窯業系や金属系の外装材をはじめとしてハードボード、各種建築材料を製造・販売しているニチハ株式会社。
今や窯業系サイディング材の最大手メーカーの地位を確立しています。
ニチハのサイディングにはさまざまな種類があり、シリーズごとに特殊な機能がつけられています。
今回の記事では、住宅を建築する際、またはリフォームする際に外壁には何を使おうか悩まれている方向けに、ニチハの外壁材の特徴や具体的な商品などを紹介します。
目次
住宅資材製造メーカー・ニチハとは?
ニチハ株式会社は愛知県名古屋市に本社がある住宅建材メーカーで、1956年(昭和31年)に木材資源の有効利用を目的として「日本ハードボード工業株式会社」を設立し、1988年(昭和63年)に現在の社名に変更しました。
繊維質が原料の窯業系外壁材では国内最大手であり、外壁材のほかに住宅用屋根材や外観装飾部材などを製造・販売しています。
以前は「低層住宅向け」のイメージが強かった窯業系外壁材ですが、最新技術で一層の進化を遂げた施工法や機能性などにより、昨今では店舗や教育施設、中高層建築などにも用途の広がりを見せています。
外壁材では窯業系サイディングの他に、金属系サイディングなどがあります。
ニチハのサイディング材の特徴
サイディングはさまざまなメーカーから販売されていますが、ニチハのサイディングにはほかのメーカーのサイディングにはない特徴があります。
この章では、ニチハのサイディングの特徴を紹介します。
次世代インクジェット工法により木目調の質感や自然な風合いを表現
従来はサイディングに柄を付ける際には塗装で行っていましたが、どうしても色合いが不自然になってしまうのが避けられませんでした。
ニチハでは次世代インクジェット工法と呼ばれる工法を採用することで、本物の素材の質感を持ったサイディングを作ることに成功しました。
これは塗装ではなく印刷によってランダムな色合いにすることを実現し、より本物の素材に近い質感や風合いを表現できるようにしたものになります。
ドライジョイント工法により美しい外観を実現
従来のサイディングは継手部分に目地を設けてコーキング(シーリング)を施すのが一般的な施工方法でした。
ニチハのサイディング「Fu-ge(フージェ)」は「四方合いじゃくり仕様」とすることで4方向にさね(実)を設け、コーキング目地を大幅に減らすことができるようになりました。(ドライジョイント工法)
コーキングをほとんど使わないので仕上がりが美しくなるばかりでなく、コーキングの劣化を気にする必要もなくなるため、メンテナンス費用の節約にもなります。
豊富なバリエーションで住宅に個性を演出
ニチハのサイディングはバリエーションが豊富なことが特徴で、リアルな石柄や温かみのある木目調、高級感のあるタイル・レンガ調など多彩なラインナップがあります。
特に木目調のサイディングは本物の木と思わせるようなリアルな仕上がりになっており、木目調の外観を好む方にはオススメです。
プラチナコート技術により高い耐候性を維持
ニチハのサイディングの一部(プラチナコートシリーズ)には、紫外線に対応して高い耐候性を発揮するプラチナコートという表面加工を採用しています。
プラチナコートには紫外線エネルギーを上回る安定した結合力を持つSi-O結合を含んでいるため、分子結合が紫外線よりも強く、外壁をしっかりとガードすることができます。
これにより30年以上そのままの表面状態をキープすることができるようになり、メンテナンスフリーのサイディング材となっています。
ニチハのおすすめ窯業系サイディング材
この章では、ニチハが現在販売している窯業系サイディングを紹介します。
モエンエクセラードシリーズ
スギやヒノキなどの国産材の有効活用を目的として、国産木材チップを補強繊維とする乾式成型法を採用した「オフセットサイディング」(ニチハの登録商標)です。
尚、乾式成型法とは、木質系材料とセメントに少量の水を加えて混合し、プレス成型する製造方法のことをいい、「オフセットサイディング」とは木材の特性を活かした準不燃材料で、耐火性能に優れたサイディングのことをいいます。
優れた性能とリアルで再現性の高い柄表現を有し、多彩なバリエーションがあるのがメリットです。
モエンエクセラ―ドシリーズには以下で紹介するi-cube(アイキューブ)、オペリア・オペリア60シリーズ、ソルガードプラス、グラスペック60、Vシリーズなどがあります。
i-cube(アイキューブ)
※出典:ニチハ「モエンエクセラード」
16mm厚の窯業系サイディングボードで、微妙な色やリアルな質感を高いレベルで表現することで本物の風格を実現した次世代インクジェット塗装品のシリーズです。
エトフ(全4色)とアルモニ(全4色)の2つの柄があります。
オペリア・オペリア60シリーズ
※出典:ニチハ「モエンエクセラード」
16mm厚の窯業系サイディングボードで、次世代インクジェット工法が採用されているのでリアルな質感が楽しめます。
またオペリア60シリーズは耐火性が高く、準耐火60分に対応しています。
オペリアシリーズは12柄、オペリア60シリーズには3柄があり、それぞれに数種類ずつの色があります。
ソルガードプラス
※出典:ニチハ「モエンエクセラード」
表面塗膜+反射層の2つの層で太陽光を反射し、サイディング表面の温度上昇を抑えて室内への熱の侵入を低減する16mm厚の外壁材です。
日差しが強い地域などにおすすめのサイディングボードで、キャスティングウッドSP(全3色)、フラーグSP(全2色)、レンクストーンSP(全2色)の3つの柄があります。
グランスペック60
※出典:ニチハ「モエンエクセラード」
準耐火60分に対応し、住宅のほか事務所、低層マンション、商業施設などの高い意匠性が求められる建物にも使用することができる16mm厚のサイディングボードです。
8つの柄があり、それぞれに数種類ずつの色があります。
Vシリーズ
※出典:ニチハ「モエンエクセラード」
ニチハの他のモエンエクセラードシリーズのサイディングよりも価格が手頃でデザインも豊富なので、最も人気があり、新築物件の施工時にも数多く採用されています。
16mm厚で柄は20種類あり、それぞれ数種類ずつの色があります。(コンクリート打ちっ放しは1色のみ)
ただし、プラチナコートなし、変色・退色15年保証なしなど、機能面では他のサイディングよりも多少劣ります。
Fu-ge(フュージェ)シリーズ
Fu-ge(フュージェ)シリーズには上下左右に実(さね)がある「四方合いじゃくり」が採用されていて、サイディングの左右接合部にコーキング(シーリング)目地が入らず、一体感のあるフラットな壁面を演出できるようになりました。
また「ドライジョイント工法」にすることで、コーキングの打ち替え回数を削減し、メンテナンスコストを大幅に減らすことができます。
さらに色あせに強い超高耐候塗料「プラチナコート」を採用しているため、塗膜の変色・褪色15年保証に対応し、美しさが長持ちします。
COOL(クール)シリーズ
COOL(クール)シリーズには、窯業系サイディングでは不可能といわれた「鏡面仕上げ」を実現した「ミライア」、マット仕上げで多彩なカラーの「メモリア」、立体感を際立たせる目地デザインの「イルミオ」があり、2016年度グッドデザイン賞を受賞しました。
また「イルミオ」には18mm厚の不燃材商品もあり、使用範囲が広がります。
さらにCOOLシリーズは外壁同士の継ぎ目が目立ちにくい「四方合いじゃくり」仕様なので、一体感のある壁面を演出します。
板間にコーキング(シーリング)を使わないため、メンテナンスコストを低減することができます。
モエンサイディング
※出典:ニチハ「モエンサイディング」
モエンサイディングには、押出製法を採用して作られた18mm厚のSシリーズと、湿式抄造法で製造された14mm厚のMシリーズ、耐凍害性に優れた寒冷地向け14mm厚のWシリーズがあります。
それぞれの特徴を紹介します。
モエンサイディングS
※出典:ニチハ「モエンサイディングS」
モエンサイディングSは押出製法と呼ばれる製法で作られ、基材内の比重のばらつきが少なく、耐凍害性、寸法安定性、成型性などに優れています。
また不燃材認定の優れた耐火性により、建築関連法令の規定により不燃材料の採用が求められる大規模建築物や非住宅建築物にも使用可能です。
モエンサイディングM・モエンサイディングW
※出典:ニチハ「モエンサイディングM」
モエンサイディングMは、セメントと補強繊維などの原料と水を混合させたスラリーを脱水・積層し、プレスする湿式抄造法と呼ばれる方法で製造されます。そのため繊維が分散され、バラツキの小さい安定した品質が保持できます。
また高い靭性(材料のねばり強さ)を保っており、割れにくいのがメリットです。
モエンサイディングWは、寒冷地向けの商品になります。(一般地域でも、一部商品の使用が可能です)
ニチハのおすすめ金属系サイディング材
金属系サイディングは軽量で優れた断熱性・耐久性があることが知られており、新築住宅だけでなくリフォームにも最適な外壁材として人気があります。
ニチハの金属系サイディング材は、金属特有のライン柄や本物が持つ素材感を表現した柄など建物に合わせて選べる豊富なデザインがあり、センターサイディングシリーズとして販売されています。
表面材と断熱材(芯材)、裏面材(アルミラミネート加工紙)の三層構造で、耐久性能、断熱性能に優れています。
そこでこの章では、ニチハの金属サイディング材を紹介します。
iシリーズ
※出典:ニチハ「センターサイディング」
フルカラーインクジェット塗装を採用して陰影感のある細かい石積柄を表現したものや、温もりと安らぎが伝わるブリック調デザインなどがあります。
高耐候コーティングとマイクロガード(セルフクリーニング機能)をプラスした高機能外壁材です。
プレミアムSPシリーズ
※出典:ニチハ「センターサイディング」
表面材にフッ素塗装高耐候GLめっき鋼板を採用し、フッ素塗料の特性が紫外線による色あせを防ぎ、変色・褪色10年保証を実現しています。
また鋼板表面への2色仕上げにより単色では表現できない立体感があり、自然な質感と重厚感を演出しています。
プレミアムシリーズ
※出典:ニチハ「センターサイディング」
金属の質感を活かしたライン柄や素材感を表現した多彩な柄で、表面材にフッ素塗装高耐候GLめっき鋼板を採用しているので紫外線による色あせに強く、意匠性と耐候性を兼ね備えた外壁材です。
モノカラーシリーズ
※出典:ニチハ「センターサイディング」
光による多色感が豊かな細石組柄や、温もりのある木目柄などがあり、手頃な価格帯のサイディングです。
サイディング外壁のリフォーム方法や費用・工期など
サイディング外壁のリフォーム方法には、塗装・重ね張り(カバー工法)・張り替えの3種類があり、それぞれリフォーム費用や工期が異なります。
そして新しいサイディングにする場合には、重ね張りまたは張り替えが必要になります。
この章では、重ね張りと張り替えによるリフォームについて紹介します。
重ね張り(カバー工法)によるリフォーム
重ね張り(カバー工法)による外壁リフォームとは、既存の外壁材を撤去せずに上から新しいサイディング材を上張りする工法で、モルタルやALCなどの外壁リフォームの場合に採用されることが多い方法です。
工期は10~20日ほどで、費用は180~250万円(税別)程度になります。(延べ床面積40坪程度の場合)
また重ね張りによるリフォームでは建物の強度を考慮して、構造躯体への負担が少ない軽量な金属系サイディングを使用するのが一般的です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
張り替えによるリフォーム
張り替えとは既存の外壁材を全て撤去して、新しいサイディング材を施工する方法です。
現在雨漏りしている場合や建物の構造躯体の修繕が必要になる場合、金属系サイディング以外のサイディングを使用したい場合などに行う方法です。
工期は15~25日前後、費用は200~300万円(税別)程度になります。(延べ床面積40坪程度の場合)
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
サイディング外壁の種類別メリット・デメリット
サイディングの種類は大きく分けて窯業系・金属系・木質系・樹脂系の4つに分けられます。
この章では、それぞれのサイディングのメリットとデメリットを紹介します。
日本で一番人気な外壁材である窯業系サイディング
窯業系サイディングとはセメントに繊維質を混ぜて板状に成型した外壁材のことをいい、国内で使われているサイディングボードのほとんどが該当します。
メリットはデザインバリエーションが豊富なこと、初期費用が抑えられること、耐火性に優れていることなどがあり、デメリットにはメンテナンス頻度が高いこと、熱が蓄積しやすいこと、素材自体に防水機能がないことがあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
軽量で耐震性が高い金属系サイディング
金属系サイディングはガルバリウム鋼板や溶融亜鉛メッキ鋼板などの金属を成型したもので、軽量なため建物への負担を減らすことができ、新築のみでなく重ね張り(カバー工法)リフォームにもよく使用されています。
金属素材なのでひび割れに強く、水分を含まないので凍害を防ぐことができます。
また芯材に断熱材を使用することにより、建物の断熱性能を向上させることができます。
一方、塩害に弱い、衝撃により変形しやすい、費用が割高になるなどのデメリットがあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
天然木から作られている木質系サイディング
木材を使用した薄い板状の外壁材のことを木質系サイディングといいます。
天然木だけではなく、集成材の場合にも木質系サイディングに該当します。
断熱性が高く、ぬくもりがあるデザインが魅力で、窯業系や金属系のサイディングにはない自然で高級感のある質感を得ることができます。
一方、価格が高いこと、経年劣化の影響を受けやすいこと、施工できる業者が少ないことなどがデメリットといえます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
メンテナンスいらずな樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは国内でのシェアはわずか1%ほどですが、北米では50年も前から普及していて、シェア率は約50%といわれています。
塩化ビニル樹脂を主原料とし耐久性が高く凍害などにも強いことから、国内では北海道や秋田、新潟などの寒冷地で外壁の重ね張り(カバー工法)や張り替えリフォームの際に採用されることが多いようです。
樹脂サイディングの最大のメリットは凍害や塩害に強いことですが、約30年間メンテナンスがほぼ不要とされています。(30年のメーカー保証付きの製品もあります)
また素材同士を重ね合わせる「オープンジョイント工法」で施工するため、コーキング(シーリング)を使用する必要がなく、補修工事も不要です。
一方、他のサイディングと比較して費用が高額になる傾向があり、施工実績のある会社も多くありません。色やデザインの選択肢が少ないのもデメリットといえるでしょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
国内の大手建材メーカー「ニチハ」では、4種類あるサイディングのうち窯業系と金属系のサイディングを製造・販売しています。
窯業系サイディングは、リアルな石柄や温かみのある木目柄、高級感のあるタイル・レンガ柄などがあり、金属サイディングにはシャープなライン柄やリアルな素材感を表現した柄をラインナップし、それぞれにさまざまな機能を持たせています。
ニチハの外壁材は現在約800種類もあるといわれており、その中からそれぞれの要望にあったものを見つけて満足度の高い住まいづくりを実現するためにも、本記事を役立てていただければ幸いです。
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