金属系サイディングについて知りたい!特徴、費用、おすすめメーカー
住宅の外壁には、窯業系・金属系・木質系・樹脂系の4種類のサイディングが使用されています。
その中でも金属系サイディングは、コストパフォーマンスが高いサイディング材として近年人気を集めています。
しかし中には金属系サイディングについて詳しくご存知でない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は金属系サイディングの特徴やメリット・デメリット・費用相場や塗装方法について解説します。
目次
金属系サイディングとは?
金属系サイディングとは、金属板・断熱効果のある板によって作られた外壁材のことを指しています。
断熱効果のある素材で作られているため、断熱性や耐熱性に優れており、メンテナンスの周期も窯業系サイディングに比べて長いことが特徴です。
また断熱性が優れていることから寒暖差の大きい地域に適しており、窯業系サイディングに次いで人気が高いサイディングになっています。
金属系サイディングは他のサイディング材と比較すると軽く施工もしやすいことから、カバー工法によく使用されています。
金属系サイディングと窯業系サイディングの違い
金属系サイディングが金属板・断熱効果のある板で作られているのに対し、窯業系サイディングはセメントと繊維質によって作られています。
また、金属系サイディングはとても軽い材質であることが大きな特徴ですが、デザインの種類は窯業系サイディングの方がより豊富です。
材料価格は金属系サイディングが4,700~10,000円、窯業系サイディングが5,000~7,000円ほどとされています。
また防水性能については金属系サイディングの方が窯業系サイディングよりも高くなっています。耐用年数はどちらも同程度で30年〜40年ほどとされています。
金属系サイディングの種類
金属系サイディングは、「ガルバリウム鋼板」や「アルミニウム合金塗装版(アルミサイディング)」「ステンレス鋼板」「トタン」が主流となっています。
次の項では、それぞれの特徴や性質を説明します。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は1972年にアメリカで開発された素材で、耐用年数が長いという特徴があり、金属鋼板を亜鉛・シリコン・アルミニウムでメッキして作られています。
今現在は金属系サイディングの中でもガルバリウム鋼板が多く使用されており、サビに強い・耐震性に優れているという性質に加え、価格もそこまで高くはありません。
外壁材や屋根材で多く使用されているガルバリウム鋼板はシンプルでモダンな印象を与えるデザインが多く、見た目のシャープさに惹かれる人も多い素材です。
アルミサイディング
アルミサイディングはアルミ合金で作られた素材です。
鉄などの素材と比較すると三分の一程度と軽量で、その軽さから建物への負担が少なく耐震性に優れていることが特徴です。
またサビの発生を抑制する効果もあるので、沿岸部などの住宅にも使用することが出来ます。
ただし、耐久性を高めるためには4~5年に1度の頻度でメンテナンスを行うことが必要です。
ステンレス鋼板
ステンレス鋼板は合金ステンレスで作られており、大型建造物の屋根材で多く使用されています。メンテナンスがほとんど必要なく、耐久性も高いことが特徴です。
サビにくく加工が簡単であるというメリットがありますが、費用がかかるという難点もあります。
トタン
トタンは「亜鉛メッキ鋼板」とも呼ばれ、金属鋼板を亜鉛でメッキして作られています。軽量であるため耐震性が高く、費用も他の外壁材に比べて安価であることが特徴です。
しかし金属系サイディングの中でもサビやすく、修理やメンテナンスの頻度が高くなってしまうことも特徴であったため、この様な理由からサビ屋根などに使われていたトタンをガルバリウム鋼板にリフォームする方も増えています。
金属系サイディングとガルバリウム鋼板の違い
ガルバリウム鋼板は、鉄板にアルミニウムを55パーセント、亜鉛をおよそ43パーセント、ケイ素をおよそ2パーセントの割合で吹き付けてメッキ加工して作られています。
ガルバリウム鋼板は金属系サイディングの一種ですが、金属系サイディング=ガルバリウム鋼板ということではありません。外壁をリフォームする時は、これらの違いを十分に把握した上で検討することが大切です。
金属系サイディングのメリットとは?
金属系サイディングには「断熱性・耐震性に優れている」「施工が簡単」「ひび割れしにくい」「サビに強い」など、さまざまなメリットがあります。
次の項では、金属系サイディングの持つメリットをそれぞれ詳しく紹介します。
施工が簡単、他の外壁からのリフォームもできる
金属系サイディングは、窯業系サイディングなどの他の外壁材よりも軽く加工性に優れているため、リフォームなどの施工を簡単に行うことが出来ます。
施工が簡単なためその分手間もかからず、短期間の工期でリフォームを行うことができます。
また他の外壁材を使用している場合であっても、金属系サイディング材を既存の外壁材の上から重ね張りで取り付けることができるので、張り替えるよりも安い費用でリフォームをすることが出来ます。
断熱性に優れている
金属系サイディングはサイディングボードの中心に断熱材を使用しているため、モルタル・ALC・窯業系サイディングよりも遥かに断熱性に優れています。
そのため、寒さが厳しい地域でも外気温の影響を受けにくく、室内温度を快適に保ち続けることが出来ます。
また冷暖房の効率を上げることができるため、節電効果だけでなく環境にも優しい外壁材といえるでしょう。
耐震性に優れている
金属系サイディングは、外壁材の中でも圧倒的に軽量です。
その軽さはモルタルの十分の一、窯業系サイディングの四分の一ほどとされており、住宅にかかる負担を最小限に抑えることが出来ます。
また軽量であることから耐震性に優れているため、地震などの影響による家屋のダメージなども防ぐことが出来ます。
ひび割れしにくい
金属系サイディングは強度が高く、ひび割れしにくいという性質を持っています。
このためメンテナンスの周期が長くなり、長期的な目で見るとコストパフォーマンスが良くなります。
防音性に優れている
金属系サイディングは断熱材が一体型であるため、断熱性だけでなく防音性に優れていることも特徴の一つです。
また金属系サイディングはカバー工法に適している外壁材ですが、既存の屋根に重ねるリフォームを行うことで防音性を高めることが出来ます。
小さなお子様がいる家庭やペットを飼育しているご家庭、家庭内で楽器の使用などをしたいという方に適している外壁材であるといえるでしょう。
凍害に強い
金属系サイディングは凍害に強く、寒冷地の建物に適しています。
外壁内に侵入した雨水が寒い時期に凍結し膨張することによって引き起こされるひび割れや外壁材の剥がれのことを凍害と呼びますが、このようなことが起きたまま放置を続けると外壁が資材に劣化していき、建物の劣化が進行してしまうのです。
金属系サイディングを使用した場合、水滴や雨水の侵入を防ぐことができるため、寒冷地の住宅であっても凍害によるひび割れや外壁の剥がれなどの症状が発生しにくくなります。
金属系サイディングのデメリットとは?
金属系サイディングのデメリットは「サビが発生しやすい」「傷がつきやすい」「酸性雨や塩害で劣化を進行させてしまう」などが挙げられます。
それぞれのデメリットについて、次の項でさらに詳しく説明します。
サビやすい
金属系サイディングは素材が金属で出来ているため、サビが発生しやすいというデメリットがあります。
中でもガルバリウム鋼板については、サビが発生しにくい材質ではあるものの傷がついてしまうことによりサビが出来てしまうこともあるので、サビの発生を防ぐために定期的なメンテナンスを行う必要があります。
また、錆が発生しているのを見つけた場合は放置せず、できるだけ早く補修工事を行うようにしましょう。
傷がつきやすい
金属系サイディングは耐久性は高いものの、金属で出来ているため表面に傷がつきやすいという特徴があります。
先述したとおり、傷がついた場所から空気や水に触れるとサビを発生させてしまうため、金属系サイディングに傷を発見した際はすぐに修理を行いましょう。
酸性雨や塩害により劣化する
金属系サイディングは、金属の性質上、酸・塩分に弱いのが特徴です。
酸性雨を長いこと浴び続けてしまうと材質が溶け出してしまい、住宅全体の劣化の原因となってしまいます。
また潮風を浴び続けることもサビの発生原因となってしまうため、酸性雨濃度が高い地域や沿岸地域の住宅には不向きな外壁材といえるでしょう。
デザインの種類が少ない
金属系サイディングは、そのほかの外壁材と比較するとデザインのバリエーションが少ない傾向にあります。
そのため、外観に強いこだわりをお持ちの方にとっては理想通りのデザインを叶えることが出来ない場合もあるでしょう。
金属系サイディングはデザインの種類は少ないですが、金属素材特有のモダンな雰囲気を作り出すことが出来ますので、シックで落ち着いた雰囲気を求めている方にとっては良い外壁材といえます。
金属系サイディングの費用相場
金属系サイディングの費用相場や工期について、よくご存知でない方も多くいらっしゃるかと思います。
次の項では新築・塗装やカバー工法によるリフォームなど、さまざまなパターンごとの費用相場を紹介します。
新築の外壁を金属サイディングにする場合
新築の外壁を金属サイディングにする場合、費用相場は110万円〜200万円ほどとされています。
リフォームと比較すると外壁の撤去作業などが不要となるため、施工費用は最も安くなる傾向にあります。
塗装によるリフォームを行う場合
塗装によるリフォーム工事を行う場合の費用相場は、1平方メートルあたり1,500~4,500円とされています。
上記費用相場はあくまでも目安のため、使用する塗料やメーカーによって費用は変動します。先述したとおり、金属系サイディングは傷やサビなどが発生しやすい材質のため、より長持ちさせるためには塗装によるメンテナンスが非常に重要です。
塗装によるリフォームを行った方が良い場合の劣化症状などについては、こちらの記事をご覧ください。
金属系サイディングの塗装手順
金属系サイディングを塗装する際は、以下の手順で行っていきます。
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詳しくはこちらの記事をご覧ください。
重ね張り(カバー工法)によるリフォームを場合
重ね塗り(カバー方法)とは、既存の外壁の上にに新しく外壁材を塗り重ねる工法です。
この工法によりリフォームを行う場合の費用相場は3000円〜9000円/平方メートルで、全体の費用相場は120万円~250万円になります。
重ね張りの詳しい工事方法などについてはこちらの記事をご覧ください。
張り替えによるリフォームを行う場合
張り替えとは、既存の外壁を全てはがし新しい外壁を取り付ける工法です。
費用相場は150万〜300万円で、他の工法とは異なり工期も10日〜25日と長くなります。
張り替えによるリフォームの詳しい工事方法などについては、こちらの記事をご覧ください。
金属サイディングを製造・販売している代表的なメーカー
金属系サイディングの製造・販売を行なっているメーカーは「ニチハ」「旭トステム外装」「アイジー工業」などが挙げられます。
それぞれのメーカーが製造・販売を行なっている金属サイディングを詳しくご紹介します。
ニチハ:センターサイディングシリーズ
※出典:ニチハ「外壁材施工事例」
ニチハは、愛知県に拠点を構える外壁材の大手メーカーになります。
センターサイディングシリーズは軽量かつ断熱性・耐久性に優れている外壁材です。またバリエーションも豊富で、金属の質感や素材感を生かしたデザインが人気となっています。
「塗装高耐食GLメッキ素材」というガルバリウム鋼板で作られていて、ブロック調やタイル調などのデザインにすることも可能です。
旭トステム外装 :Danサイディング
旭トステム外装は、東京都に拠点を置いている住宅外装材メーカーです。
旭硝子とトステム(現LIXIL)が統合して設立され、金属系サイディングだけでなく窯業系サイディングや樹脂サイディングなども取り扱っています。
Danサイディングは次世代ガルバリウム鋼板・アルミ・スチールなどの素材を使用して作られており、デザインのバリエーションが豊富で耐震性に優れています。
モルタル風・レンガ調・錆石調など、さまざまなデザイン展開があるため、外観にこだわりを持つ方にもおすすめの外壁材です。
アイジー工業:アイジーサイディング
※出典:アイジー工業「施工例詳細」
アイジー工業は山形県に拠点を置く日本でトップシェアを誇る金属建材メーカーです。
「スパン系サイディング」を広めたことでも知られており、金属系サイディング以外にも金属屋根の取り扱いを行っています。
アイジーサイディングは「SF–ガルスパンJ」とも呼ばれており、アイジー工業が手がけている金属系サイディングの中でも一番人気の外壁材です。
ネオブラック・モスグリーン・オータムレッドなど、豊富なカラーバリエーションとクールなデザインが特徴となっています。
YKK AP :アルカベール
※出典:YKK AP「アルカベール 」
YKK APは1957年に設立され、東京都に本社を置くアルミ建材メーカーです。
アルカベールはアルミ系の外壁材で、とても軽量な特徴から耐震性にとても優れています。
またサビ・塩害などに強く、デザイン性も豊富で「クオリティジェット」による天然素材のような高い再現性も大きな特徴となっています。
まとめ
金属系サイディングの特徴や費用相場、おすすめのメーカーや商品について紹介しました。
外壁工事を行う際に金属系サイディングを検討している方は、そもそも金属系サイディングにはどんなメリットやデメリットがあるのか、費用相場はどれくらいなのかを知っておくことで、よりご自身の理想に近づけるためのサイディング選びをすることができるでしょう。
外壁は住宅のイメージを大きく左右するいわば「住宅の顔」ともいえる部分ですが、その性能や特徴、また住宅の環境や立地によって選ぶべきサイディングが変わることを心得ておきましょう。
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