50坪の外壁塗装にかかる費用相場!内訳、安くする方法

外壁塗装工事費用は建物の大きさが大きくなるほど高額になるので、50坪の住宅の場合には100万円を超える金額がかかってしまうことがほとんどです。

また50坪を超える住宅の外壁塗装工事費用の情報は非常に少ないので、業者から見積もりを取って適正価格かどうかを判断しようとしても難しいのが現状です。

そこで本記事では、50坪の家の外壁塗装工事費用の目安や費用の内訳、自分で出来る費用の計算方法、費用を安くする方法などを解説します。

50坪住宅での外壁塗装にかかる費用相場は?

50坪の家とは、延べ床面積(各階の床面積の合計)が50坪の家のことをいいます。

1坪は約3.3㎡(1間×1間)なので、延べ床面積が約165㎡の家を指します。

外壁塗装費用は外壁の面積から算出しますが、外壁面積は一般的に建物の延べ床面積が大きくなるほど増え、同じ延べ床面積であったとしても建物の形状や階数、窓の数、窓の大きさによって変わります。

したがって一概にはいえませんが、一般的には外壁面積の目安=延べ床面積×1.2~1.4になるといわれおり、50坪の家の外壁面積は198㎡~231㎡の範囲内になることが多いようです。

一方、50坪の家の外壁塗装費用の相場は100~150万円程度といわれていますが、費用は使用する塗料の種類(使用する塗料のグレードが高くなるほど高額になる)や建物の劣化状態、周辺環境などのさまざまな条件によって変動します。

50坪住宅での外壁塗装の費用の内訳

外壁塗装の費用の内訳は、主に「材料費」「足場代」「人件費」「諸経費」の4つに分けられます。

費用の比率は材料費と足場代がそれぞれ約20%、人件費(手間賃)と諸経費がそれぞれ約30%といわれています。

費用の内訳について詳しく見ていきましょう。

材料費

外壁塗装に使用される塗料代のほかに、シーリング材、養生に使用される養生テープ、ポリフィルムシート、マスキングテープなどの費用が含まれます。

塗料は種類によって金額が大きく異なるため、高額な塗料を使用する場合には材料費の比率が高くなります。

足場代

足場は外壁塗装工事を行う際に不可欠なものですが、工事が完成すると解体されてなくなってしまう仮設物です。

そのため、できるだけ安価にしたいと思われがちです。

しかし品質の高い作業を安全に行うためには必要なものなので、足場の組み方が悪いと作業に危険が伴うばかりでなく、工事の仕上がりにも悪影響を及ぼすことがあります。

人件費

現場で作業を行う職人の手間賃のことです。

工事に関わる職人の人数と日数により算出されます。

腕の良い熟練の職人の場合には、人件費が高くなるのが一般的です。

諸経費

現場までの交通費や工事車両の駐車料金、労災保険料、電話代、工事会社の経費などのことをいいます。

決して安くない費用なので、疑問があれば事前に費用の内訳を確認しておくと良いでしょう。

50坪住宅の工事費用相場を左右する条件とは?

この章では、実際に50坪の住宅の外壁塗装工事費用に影響を与える要因について詳しく紹介します。

使用する塗料

外壁塗装に使用する塗料にはアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などといったさまざまな種類があり、どんな塗料を使用するのかによって価格が異なるばかりでなく、耐久性も異なります。

一般的には耐用年数が長い塗料ほど価格が高くなるので、安い塗料を選べば塗装費用を抑えることができますが、塗り替え周期が短くなります。

塗料の種類ごとの耐用年数と施工単価(1㎡あたりの材工価格)は以下の通りです。

塗料の種類 耐用年数 施工価格
アクリル塗料 5~8年 1,000~1,800円/㎡
ウレタン塗料 7~10年 1,500~2,500円/㎡
シリコン塗料 10〜15年 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 12~15年 2,200~4,000円/㎡
光触媒塗料 12〜20年 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 15~20年 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 20~25年 4,500~5,500円/㎡

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上の表からもわかるように、フッ素塗料はウレタン塗料の約2倍の価格になりますが、耐用年数も約2倍になるので、メンテナンスサイクルを長くすることができます。

外壁の塗装面積

外壁の塗装面積が広くなるほど、前の章で説明した工事に使用する材料費(塗料の量など)や職人の人件費が増えるので、塗装費用がかかります。

外壁塗装面積の目安は建物の延べ床面積のおよそ1.2~1.4倍になるため、一般的な50坪の住宅の場合には、198~231㎡になります。

足場代

外壁塗装工事を行う際には高所作業が必要になるので、足場の設置・解体が不可欠になります。

足場代は足場面積に単価を掛けて計算しますが、足場面積=(建物の外周の長さ+4.8m)×(建物の軒の高さ+1m)で算出します。

50坪の2階建住宅の足場代の目安は25~30万円前後で、この他に飛散防止ネット(養生シート)代がかかります。

築年数

建物は新築してから築年数が経過するにつれ経年劣化が進行して、建物が受けるダメージは徐々に大きくなります。

そのため、築10年目での外壁塗装工事では特に必要のなかった補修工事であっても、築20年、築30と築年数を重ねるごとに広範囲にわたる補修工事が必要になって費用がかさむようになります。

したがって、単に50坪だからという理由だけで外壁塗装費用が決まることはありません。

50坪住宅:費用相場の例

50坪の家といってもどの程度の大きさの家なのかなかなかイメージできない方が多いと思います。

一例をあげると、総2階建の住宅であれば各階の床面積は25坪になります。

そして平面が正方形の家であれば、一辺の長さが5間(約9m)の家ということになります。かなり大きな家になるので、郊外の二世帯住宅をイメージしてみると良いでしょう。

この章では、上記の50坪の住宅の塗装費用の相場について紹介します。

外壁塗装のみの費用相場

上記の外壁サイディングボード張りの家を、シリコン塗料で外壁塗装を行う場合の費用相場の例は、以下の表のようになります。

項目 数量 単価(円) 合計(円)
足場 300㎡ 900 270,000
飛散防止ネット 300㎡ 200 60,000
高圧洗浄 200㎡ 250 50,000
養生 200㎡ 200 40,000
シーリング打ち替え 250m 1,000 250,000
外壁シリコン塗装(3回塗り) 200㎡ 2,500 500,000
下地補修 1式 35,000
廃棄物処分 1式 30,000
諸経費 1式 123,000
合計 1,358,000

※横にスクロールしてください。

外壁塗装と屋根塗装を行う時の費用相場

外壁塗装と同時に屋根塗装も行った場合の費用相場の例は次のようになります。

ただし屋根は勾配の緩い寄棟のスレート(カラーベスト)屋根とします。(屋根足場無し)

項目 数量 単価(円) 合計(円)
足場 300㎡ 900 270,000
飛散防止ネット 300㎡ 200 60,000
高圧洗浄(屋根、外壁) 300㎡ 250 75,000
養生 200㎡ 200 40,000
シーリング打ち替え 250m 1,000 250,000
外壁シリコン塗装(3回塗り) 200㎡ 2,500 500,000
タスペーサー 100㎡ 300 30,000
外壁下地補修 1式 35,000
屋根下地補修 1式 20,000
屋根シリコン塗装(3回塗り) 100㎡ 2,500 250,000
廃棄物処分 1式 30,000
諸経費 156,000
合計 1,716,000

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外壁塗装と屋根塗装・ベランダなどの工事を行う時の費用相場

外壁・屋根塗装工事に併せて付帯部分の塗装及び修繕工事を行う場合の付帯部分の工事費の目安は次のようになります。

項目 数量 単価(円) 合計(円)
軒天塗装 23㎡ 1,200 27,600
破風板塗装 41m 1,000 41,000
軒樋塗装 41m 600 24,600
竪樋塗装 30m 600 18,000
ベランダFRP防水 5.5㎡ 6,000 33,000
諸経費 14,000
合計 158,200

※横にスクロールしてください。

したがって上記の付帯部分の工事まで全て行う場合の工事金額は、前述の費用とあわせて1,874,200円(消費税別途)になります。

費用相場には定価がない

外壁塗装に使用する塗料には塗料メーカーによって設計価格と呼ばれる材工価格の目安が定められていますが、見積もり書に記載される単価自体には定価というものがありません。

これは塗装する家の劣化状態立地・周辺環境などの施工条件が一軒一軒異なるためで、それらの条件次第で施工手順や施工の難易度などが変わってしまうからです。

したがって価格(施工単価)は施工業者が自由に定めているのが現状です。

そのため塗装工事では、事前にしっかりと現地調査や建物診断を行い、建物の劣化具合や周辺環境などを細かく調査した上で一軒ごとに見積もり書を作成することが重要になります。

外壁塗装の費用算出に必要な単価相場

外壁塗装を行うにあたって業者の見積もり書をチェックする際には、工事に必要な塗料や資材及び、ひとつひとつの工程にかかる単価の相場を事前に知っておくことが大切です。

単価相場とは、外壁面積1平米(1㎡、1m×1m)あたりの価格や、1箇所補修するためにかかる費用のことです。

これを知っておくことで自分でも大まかな費用を計算することができるようになるので、悪い業者に騙されてしまうこともなくなります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

50坪住宅の費用相場を自分で計算する方法

業者の見積もり書に記載されている数量や金額が適正なものなのかどうかを確かめる際に、自分でも塗装面積を計算することができると非常に便利です。

自宅の延べ床面積や1階の面積がわかっていれば、そこから大まかな屋根や外壁の塗装面積を計算することができます

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

50坪住宅の外壁塗装費用を安くする4つのポイント

50坪の住宅の外壁塗装には100万円を超える費用がかかるので、できるだけ工事の品質を落とさずに費用は安く抑えたいと思うものです。

そこでこの章では、費用を安くする方法や資金を調達する方法を紹介します。

相見積もりをとる

工事費用を安く抑えるためには、複数の業者から相見積もりを取ることが欠かせません。

塗装業者ごとに単価の設定が異なるので、相見積もりを取得することで複数の業者の中から自分の要望や予算に合う業者を選択することができるようになります。

また相見積もりを取ることをあらかじめ各業者に伝えておくことで、業者間で価格競争が起こり、各社の見積もり提示価格を引き下げることが期待できます。

さらには各社からの提案を引き出すこともできるでしょう。

ただし各社が提案する塗料のグレードや工事範囲が違うと見積もり書の比較が難しくなってしまうので、相見積もりを取る時には各社に耐用年数などの同じ要望事項を伝えておくことが大切です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

補助金や助成金を利用する

自治体から出る補助金・助成金を利用して工事を行うのもおすすめの方法です。

全国の自治体の中には住民が自宅のリフォームを行う際に費用の一部を補助・助成する制度を設けていることがあり、外壁塗装もその対象になっていることがあります。

まずは自分が居住している自治体にそのような補助金・助成金制度があるかどうかを事前に確認してみましょう。

ただしほとんどの自治体が工事金額や施工業者、申請を行う時期、遮熱・断熱塗料を使用すること(省エネのため)などといった条件を設けているので、条件面も併せて確認しておくことが大切です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

リフォームローンを使用する

外壁塗装工事代金が不足してしまう場合や手元に現金を残しておきたい場合には、金融機関のリフォームローンを利用して工事を行う方法があります。

さらにリフォームローンを利用する際に「住宅借入金等特別控除」を使い、ローン残高に応じて所得税の控除を受けることができます。

ただしリフォームローンは通常の住宅ローンと比較して金利が高い返済期間が短いなどといったデメリットもあるので、事前にメリットとデメリットを十分に検討しておく必要があります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

火災保険を使用する

台風や大雪などが原因で屋根や外壁が破損してしまった場合には、火災保険の保険金を使って修理を行うことができます。

また工事に足場が必要な場合は、足場代も保険で賄うことができます。

ただし火災保険を適用させるためにはいくつかの条件があり、保険会社への申請や保険会社の審査が必要になります。

保険会社の審査の結果、修繕が必要になった原因が経年劣化によるものと判断されてしまうと保険金がおりないので、火災保険を使う場合には必ず外壁塗装工事の契約前に審査結果を確認しておく必要があります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

外壁塗装の費用を支払うタイミングで注意した方が良いこととは?

業者と外壁塗装工事の契約を締結する際に注意すべき重要なことがあります。

それは工事代金の支払い方法に関することです。

工事完了後に代金を一括で支払うのであれば特に問題はありませんが、中には工事着工前に代金を全額支払うことを要求してくる業者がいます。

悪質な業者の場合によく見られる支払い方法ですが、この場合にはお金だけ受け取って実際にはいつ工事を行うのか分からないといったことにもなりかねません。

したがって着工前に工事代金を全額支払うような契約は絶対に行わないことが大切です。

最も多い支払いパターンは3回払い

外壁塗装工事では工事着工前(契約時)に1/2、工事完成後に1/2支払う方法や、着工前・着工後・完成後の3回に分けて代金を支払う方法が最も多いパターンです。

着工前に代金の一部を支払うことに抵抗のある方もいると思いますが、塗装業者の方でも職人の手配・段取りをしたり、工事に必要な塗料を購入したりする都合があるので、その点を良く理解しておくことが大切です。

まとめ

50坪の家では外壁塗装だけでも100万円を超える費用がかかってしまうので、業者の見積もり書のチェック業者選定工事内容の精査など、より慎重に行う必要があります。

見積もり書をチェックするにあたっては塗装費用をある程度は自分で算出することもできるので、本記事の内容を参考にしてぜひ積極的にチャレンジして頂きたいと思います。

できるだけ品質は落とさずに、コスト面でも満足度の高い工事を行っていただければ幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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