サイディング外壁材のメリット・デメリットとは?種類や特徴を解説
住宅を建てる時に外壁材として多く使われる「サイディング」。外壁材には他にもたくさん種類があるため、どれを選べばいいか悩む方も多いのではないでしょうか。ひと口にサイディングといっても、複数の種類が存在します。
この記事では、サイディング外壁自体のメリット・デメリットから、サイディングの種類ごとのメリット・デメリットを紹介します。さらに、サイディング外壁の劣化症状やメンテナンスのタイミングについても解説します。
目次
そもそもサイディングとは?
サイディングとは、主に住宅などの外壁に使われる板状の素材のことをいいます。サイディングの他に外壁材としてよく使用されるものとしては、モルタルやALC壁(コンクリートパネル)、タイルなどがあります。
少し前までは外壁材の主流といえばモルタルでしたが、近年は施工が比較的簡単でデザインが豊富なサイディングが大きなシェアを占めています。4つの特徴について解説します。
日本の住宅の9割に使われている
現在、サイディング外壁は日本の住宅のほとんどに使用されています。モルタルやタイルなど他の外壁材と比べると軽量で施工が簡単なため工期が短く済み、住宅の外壁におけるシェアが広がりました。
また、サイディング材自体が比較的安価なため費用を安く抑えられる点も人気の理由のひとつです。
4種類に分けられる
サイディング外壁は使われる素材によって下記の4種類に分けられます。
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窯業系サイディングは、セメントに木質系の繊維を混合して作られる外壁材です。他のサイディング材よりも安価でデザインが豊富なため、最も多く使われています。
金属系サイディングは窯業系の次にシェア率の高いサイディング材です。断熱性が高く軽量というメリットがあります。
木質系サイディングは木材から作られたサイディング材です。木材独自の風合いを活かしたデザインが人気です。
樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂を使ったサイディング材です。他のサイディング材と比べて耐久性が高いという特徴があります。
耐用年数は20〜40年
サイディング外壁材の耐用年数は種類や商品によって異なるものの、約20年から40年程度だと言われています。
ただし、サイディング外壁には塗装が施されており、外壁の塗り直しが必要となる10年に1度はメンテナンスが必要となることが多いです。
定期的なメンテナンスが必要
サイディング材には定期的なメンテナンスが必要です。サイディング材自体の耐用年数は20〜40年程度ですが、塗装の剥がれや、板をつなぎ合わせる時に使われるコーキング(シーリング)部分の劣化は10年ほどで生じてしまいます。
外壁材自体のメンテナンスの他にも、塗り替えやコーキング(シーリング)の打ち直しといったメンテナンスを定期的に行う必要があります。
サイディング外壁のメリット
窯業系や金属系といった種類にかかわらず、サイディング外壁にはメリットとデメリットが存在します。住宅を建てた後に後悔のないように、外壁材の特徴を正しく理解しておくことが大切です。ここでは、費用や耐用性、デザインなどの観点からサイディング材のメリットをまず解説します。
サイディング外壁には主に以下のようなメリットがあります。
他の外壁材と比べて初期費用が安い
サイディングは、モルタルやタイルなど他の外壁材に比べて初期費用を安く抑えられるメリットがあります。工場で大量生産されるサイディング材には安価な商品が多く、板を貼り付けていく工法は他の外壁材に比べると簡単なため、施工費も安く済みます。
他の外壁材と比べて価格が安い
サイディング材は他の外壁材と比べると素材自体が安価というのもメリットのひとつです。中でも窯業系サイディングや金属系サイディングは価格が安く、費用を抑えられるため人気があります。
デザイン性が高い
サイディング外壁は他の外壁材と比べてデザイン性が高いです。中でも窯業系サイディングはデザインだけでなくカラーも豊富なため、住宅の外観をイメージ通りに仕上げることができます。
金属系サイディングは窯業系に比べるとデザイン性に劣りますが、近年はデザイン展開が豊富な商品も出てきています。
また、高級感のある外壁にしたい時は木質系サイディングを使う選択肢もあります。
防火性が高い
サイディングは防火性が高い外壁材です。
特に窯業系サイディングと金属製サイディングは防火性能に優れているため、住宅の外壁材として多く利用されています。
工期が短い
サイディング外壁の施工は、板状のサイディング材を組み合わせながら進めていきます。コテを使って全面を塗り上げていくモルタル外壁の施工などと比べ作業の難易度が低いため、工期が短く済むメリットがあります。
サイディング外壁のデメリット
サイディング外壁にはデメリットも存在します。
定期的なメンテナンスが必要
サイディング外壁は他の外壁材に比べ、定期的なメンテナンスが必要です。
サイディング材自体の耐用年数は約20〜40年だと言われていますが、板をつなげるためのコーキング(シーリング)材や釘などがそれまでに劣化するため、約10年に1度の頻度でメンテナンスを行う必要があります。
デザインの種類が少ない
レンガ調やタイル調、木目調などデザインの幅が広くカラー展開も豊富なサイディング材ですが、近年はほとんどの住宅で使用されているため外観に個性を出したい方には物足りないかもしれません。
また素材自体は安価なため、職人が丁寧に塗り上げる塗り壁や高級感のある外壁タイルに比べると見劣りする点もあるといえます。
外壁につなぎ目ができる
サイディング外壁は板状の素材を組み合わせて施工するため、板と板との間につなぎ目ができます。
特に窯業系・金属系サイディングを使った外壁はコーキング(シーリング)部が目立ちますが、タイル調などつなぎ目が目立たないデザインを選ぶことも可能です。
防水性能がない
基本的にサイディング材自体には防水性能がありません。そのため、外壁材自体に問題がなくても塗装やコーキング(シーリング)の劣化により雨水が侵入し、雨漏りの原因となることがあります。
これらを防ぐため、サイディングの工事の際に同時に防水処理を行う必要があります。
サイディングの種類別メリットやデメリット・他の外壁材との違いとは?
サイディングには、窯業系、金属系、木質系、樹脂系の4種類があります。それぞれのメリット・デメリットを解説します。
メリット | デメリット | 単価(㎡) | メンテナンス周期 | |
窯業系サイディング | ・安価 ・デザインが豊富 ・断熱性がある |
・防水性能がない ・夏は暑い可能性も |
4,000〜5,000円 | 8〜10年 |
金属系サイディング | ・軽量 ・安価 ・防音性が高い ・強度が高い |
・デザインが少ない ・錆びやすい |
4,000〜6,000円 | 10〜15年 |
木質系サイディング | ・断熱性が高い ・デザイン性が高い ・環境に優しい |
・メンテナンス費がかかる ・耐火性が低い ・劣化しやすい |
6,000~8,000円 | 3〜10年 |
樹脂系サイディング | ・耐用性が高い ・軽量 ・変色しにくい |
・施工費が高額 ・施工業者が少ない ・デザイン性が低い |
4,000〜9,000円 | 必要なし |
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窯業系サイディングのメリット・デメリット
窯業系サイディングのメリット
セメントと木質繊維から作られる窯業系サイディングは、サイディングのなかでも最も人気の高い外壁材です。
単価が安く施工が比較的簡単なため、初期費用が抑えられるメリットがあります。
木目調やタイル調、レンガ調などデザインも豊富なため、イメージ通りの外観を叶えることもできます。さらに安価でありながら、断熱性・耐火性にも優れています。
窯業系サイディングのデメリット
窯業系サイディングは費用面・機能性に優れている反面、メンテナンスの頻度がかさむ外壁材でもあります。
サイディング材自体の耐用年数は20〜40年ほどですが、外壁の剥がれやコーキング(シーリング)の劣化などで約10年に1度のメンテナンスが必要となります。
また、蓄燃性があるため熱を持ちやすく、夏場は室内が暑くなる可能性もあります。
金属系サイディングのメリット・デメリット
金属系サイディングのメリット
金属製サイディングは、ガルバリウム鋼板を素材とした外壁材です。他の外壁材と比べると非常に軽量で、強度が高いというメリットがあります。
断熱材一体型の商品は断熱性・防音性にも優れています。比較的単価も安く、窯業系サイディングに次いで人気があります。
金属系サイディングのデメリット
金属製サイディングのデザインの幅は以前より広がっていますが、窯業系に比べるとまだまだ少ない傾向にあります。
耐用性には優れているものの金属素材のため、表面の塗装やメッキが剥がれてしまうと錆びやすくなるデメリットがあります。特に海沿いなど潮風を受けやすい地域では、塩害によるサビが発生しやすくなります。
木質系サイディングのメリット・デメリット
木質系サイディングのメリット
木質系サイディングは天然木材を素材として使用しているため熱を吸収しにくく、断熱性に優れています。
木の温もりが感じられるデザインには高級感があり、木目調の窯業系サイディングにはない自然な質感に仕上げることができます。天然木のため環境にやさしい点も魅力のひとつです。
木質系サイディングのデメリット
独自の風合いが人気の木質系サイディングですが、外壁材としてよく使われる窯業系・金属系サイディングに比べると割高です。
また、防火処理が施されているものの、木材からできているため他の外壁材よりも防火性は劣ります。水分を吸水しやすいため劣化も早く、防水コーティングなどのメンテナンス頻度も高くなります。
樹脂系サイディングのメリット・デメリット
樹脂系サイディングのメリット
塩化ビニル樹脂からできた樹脂系サイディングは耐用性が高く、30年ほど持つとも言われています。素材に顔料が含まれていて変色もしにくいため、他の外壁材と比べてメンテナンス費用を抑えられるメリットがあります。
重量は窯業系サイディングの約1/10と非常に軽量で、耐震性に優れています。
樹脂系サイディングのデメリット
樹脂系サイディングは日本ではまだ珍しい外壁材のため、施工技術を持つ業者を探すのが難しいというデメリットがあります。
サイディング材自体は安価ですが、施工の難易度が高く工事費用がかさむことが多いです。日本国内では取り扱いが少ないため、デザインやカラーの選択肢が限られるのも現状です。
サイディング外壁の塗装の周期は10〜12年
サイディング材には定期的なメンテナンスが必要です。種類によって耐用年数は異なりますが、どの外壁材も雨風や気温差などによって徐々に劣化が生じます。
サイディングには基本的に防水性能がないため、雨漏りなどのトラブルを防ぐには塗装の塗り替えのタイミングを正しく見極めることが大切です。
塗り替えの周期は10〜12年が目安
サイディング外壁は10〜12年ごとの塗り替えが最適です。
サイディング材自体には20年以上の耐用年数がありますが、10年前後で塗装が剥がれてくることが多いです。剥がれが生じたタイミングで塗装をすることで、雨水の侵入などのトラブルを防げます。
ただし、直近に塗装をした塗料によって塗り替えの時期が異なります。具体的な塗装のタイミングは下記の表を参考にしてください。
塗料の種類 | 耐用年数 |
アクリル塗料 | 5~8年 |
ウレタン塗料 | 7~10年 |
シリコン塗料 | 10~15年 |
ラジカル(制御型)塗料 | 12~15年 |
光触媒塗料 | 12~20年 |
フッ素塗料 | 15~20年 |
無機塗料 | 20~25年 |
サイディング外壁塗装の流れ・工期・費用相場
サイディングの外壁塗装の一般的な流れを紹介します。
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雨の有無や気候によって異なりなすが、塗り替えの工期は7〜10日間ほどとなります。
30坪ほどの戸建て住宅の場合、外壁塗装の費用相場は60〜90万円ほどです。ただし使用する塗料や住宅の構造などによっても変わります。
サイディング外壁塗装の流れ・工期・費用相場の詳細は以下の記事を参照してください。
サイディング外壁塗装の劣化を見分けるポイント
サイディング外壁塗装の劣化をそのままにしておくと住宅の劣化が進み、外壁のひび割れや雨漏りなどのトラブルにつながります。
住宅内部の木材に劣化が生じると塗装だけでは補修ができず、大規模な工事が必要となってしまいます。
大切な住宅に長く住み続けるためにも、塗装の劣化の基準を正しく見極めて早めに補修を行うことが大切です。
外壁塗装の劣化の見極め方については、以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
サイディング塗装を依頼する業者の選び方
サイディングの外壁塗装は適切な塗装業者に依頼することが大切です。
業者を選ぶ際には施工の実績をはじめ、工事後の保証やメンテナンスを行なっているか、見積もりの内容は具体的かなどを確認し、信頼できる業者かどうか見極める必要があります。
インターネットの口コミを参考にしたり、複数の業者に見積もりを依頼したりするのもおすすめです。
サイディング外壁塗装を依頼する業者の選び方については、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
サイディング外壁には、価格が安い、工期が短い、デザイン性が高いといったメリットがある一方で、メンテナンス頻度が高い、防水性能がないといったデメリットもあります。
さらに、窯業系、金属系、木質系、樹脂系の4種類に分かれ、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
どんな住宅を建てるかによって適切な外壁材は異なります。サイディング材を選ぶ時は、費用やデザインだけでなく、耐用性やメンテナンス性も見極めることが大切です。
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