木質系サイディングとは?特徴、費用相場、おすすめメーカー

木質系サイディングは、自然の風合いや木の温もりを感じることができることで定評のある外壁材です。

しかし、木質系サイディングを採用するにあたり「メンテナンスの費用はどれくらい?」「木材なので耐用年数が短いのでは?」と疑問や不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、木質系サイディングについての基礎知識や特徴、メリットやデメリットについて紹介します。木質系サイディングの採用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

木質系サイディングとは?

木質系サイディングにはサイディングボード・パーティクルボード・MDF系の3種類があります。サイディングボードは木材(無垢材)を使用したもので、パーティクルボードは小さな木材同士を接着したもの、MDF系は木の繊維を固めたものを指しています。

木質系サイディングは、使用する木材を場所ごとに使い分けることができ、木材ならではの独特な雰囲気を感じることができるのが特徴です。

また外観にこだわりを持つ方に人気が高いのも特徴の一つとなっています。

外観にこだわる方に人気が高い

木質系サイディングには、木材ならではの温かみや木の自然な風合い天然の木材ならではのランダムな木目などがあり、外観に高いこだわりを持つ方に人気の外壁材となっています。

もしも周辺の住宅と同じ材質を使用したとしても、木目はそれぞれ異なるため同じデザインになることがないのも特徴です。

木質系サイディングのメリット

木質系サイディングには「木の風合いが感じられる」「断熱性が高い」などのメリットがあります。

次の項ではそれぞれの特徴を詳しく説明します。

木の風合いが感じられるデザイン

木質系サイディングのメリットとしてまず初めに挙げられるのは、木の風合いを感じることができるという点です。

他の金属系サイディングや窯業系サイディングでも木目を施すデザインに仕上げることはできるのですが、人工的でリアルではない仕上がりになってしまうことも多くあります。

しかし木質系サイディングの場合は天然の木材を使用しているため、より自然で高級感のある仕上がりにすることが出来ます。

また、木材の特徴として年数を重ねると色合いが変化していくのですが、人によっては味わい深く感じられるため、木材の温かみや自然を感じる仕上がりを求めている方におすすめです。

断熱性が高いので室温を一定に保つことができる

木質系サイディングで使用している木材には、断熱性が高いという特徴があります。

また、四季の変化に左右されることなく外気の影響を受けにくいので、室温を快適な状態で保つことができるのが特徴です。

断熱性能が備わっていない材質と比較するとエアコンの使用頻度も少なくなることから、省エネ効果も期待できる外壁材でもあります。

木質系サイディングのデメリット

木質系サイディングのデメリットは「費用が高額である」「経年劣化の影響を受けやすい」「施工できる業者が少ない」「地域によっては取り扱いができないこともある」などが挙げられます。

それぞれ詳しくみていきましょう。

他の外壁材よりも費用が高い

木質系サイディングは天然木を使用しているため、他の外壁材と比較すると費用が高くなってしまいます。そのため、施工を行うにあたりできるだけ低コストを求めている方には不向きの外壁材であると言えるでしょう。

また木材にもさまざまな種類がありますが、上質な木材であればその分価格も高くなることが特徴です。

他の外壁材よりも経年劣化の影響を受けやすい

木質系サイディングは、他の外壁材と比較すると経年劣化の影響を受けやすいという特徴があります。

素材が木材でできているため水分に弱くこまめにメンテナンスを行う必要があり、その頻度は7年〜10と他の外壁材よりも短くなっています。

メンテナンスを怠ると外観が劣ってしまうだけでなく、建物の安全性が低くなったり災害の危険性も高まってしまうため、木質系サイディングを採用する際は事前に心得ておく必要があります。

施工できる業者が少ない

木質系サイディングの取り扱いをするには、高い技術力を必要とします。そのため施工できる業者も多くはなく、工事を依頼することができる業者もまだ日本では少なくなっています。

無理に技術力が未熟な業者に依頼を行おうとすると、仕上がりが雑になってしまったりトラブルのもととなってしまうため注意が必要です。

施工業者を探す際は、事前に施工実績や口コミ・評判などを確かめておきましょう。

準防火地域では使えない可能性がある

木質系サイディングは木材でできているため、耐火性が他の外壁に比べて低いことが特徴です。

そのため、住宅が密集している地域などの準防火地域では使えない可能性があります。

お住まいの地域で木質系サイディングが使用できるかどうかは、専門業者に一度相談してみましょう。またお住まいの自治体でも確認することが出来ます。

他の外壁材との費用相場やメンテナンス周期の違い

サイディング材には木質系のほかに、窯業系サイディングや金属系サイディング、樹脂系サイディング存在します。

それぞれの費用相場やメンテナンス周期は以下の通りです。

外壁材の種類 単価(㎡) メンテナンスの頻度
木質系サイディング 6,000円〜8,000円 7年〜10年
窯業系サイディング 3,500円〜5,000円 7年〜10年
金属系サイディング 4,000円〜6,000円 10年〜15年
樹脂系サイディング 7,000円〜9,000円 10年〜15年

※横にスクロールしてください。

窯業系サイディングと金属系サイディングは木質系サイディングよりも費用が安価で、樹脂系サイディングよりは費用が安いのが木質系サイディングの特徴です。

樹脂系サイディングは耐用年数が最も長い外壁材なのですが、値段が高価なことから日本ではあまり普及していない外壁材となっています。

また木質系サイディングと同じく、樹脂サイディングを扱うことができる業者も少ないため、外壁材を決定する際はどの外壁材を扱うことができる業者なのかを事前に調べておく必要があります。

木質性サイディングは塗装によるメンテナンスが必要

先述したとおり、木質系サイディングは水に弱い性質を持っています。

そのため、メンテナンスの時期を迎えたら必ず塗装を行わなくてはいけません。

次の項では、木質系サイディングのメンテナンスに関する注意点をご紹介します。

木質性サイディングは、他の外壁材と比べメンテナンス頻度が高い

木質系サイディングは、他の外壁材と比較してもメンテナンス頻度が高い外壁材です。

施工時の初期費用も高価な木質系サイディングですが、メンテナンスの頻度が高いことから、メンテナンス費用も決して安くはありません。

木質系サイディングを採用する際は、他の外壁材を比べて施工費や維持費が高くなることを心得ておきましょう。

7年に1度は塗装によるメンテナンスを

木質系サイディングの耐用年数は7年〜10ほどですが、雨風に晒され続けると傷みの進行も早くなってしまいます。

特に日本は雨が多いので、少なくとも7年に一度は木質系サイディングの傷み度合いをチェックしたり、メンテナンスを行う必要があります。

また日本国内でも特に雨が多く降る地域や台風による影響を受けやすい地域では、メンテナンス周期をさらに短く5年ほどに設定した方が良い場合もあります。

うっかりメンテナンス周期を忘れ木質系サイディングに水が染み込んで劣化が進んでしまった場合は、元の状態に戻すことはできないので注意しましょう。

木質系サイディングの塗装工事の流れ

木質サイディングの塗装工事の手順は他の外壁材の工事の手順と何ら変わりはありません。

まずは塗装を行うにあたり必要不可欠な足場を組み立てるところから始まり、養生や下地処理を行っていきます。

養生が完了したら実際に下塗り、仕上げ塗りと塗装の過程を重ねていき、最後に足場の解体を行い周辺の片付けを済ませたら作業終了です。

施工を行う現場の大き際にもよりますが、ほとんどの場合は5日〜2週間程度で作業は完了します。詳しい工程や詳細については、こちらの記事をご覧ください。

木質性サイディングによく起きる劣化症状

木質系サイディングには「カビや苔」「剥がれ」「ひび割れ」「外壁の反り」などの劣化症状が主に見受けられます。

それぞれの劣化症状についてさらに詳しくみてみましょう。

カビや苔

木質系サイディングは水に弱い性質ですが、湿気も例外ではありません。

天然木で作られている木質系サイディングは、湿気が木材に入り込むことでカビや苔などの被害を受けやすくなります。

また、すでに目でわかるほどのカビや苔が生えてしまっている場合は内部まで侵食している可能性が高いため、早急に業者による点検や補修工事を行う必要もあります。

剥がれ

木質系サイディングに発生しやすい劣化症状の一つに剥がれがあります

もしも木質性サイディング表面の塗装が剥がれている場合は、塗装による部分補修で対応できます。

しかし木質性サイディング自体が剥がれている場合は、外壁を交換しないといけない可能性があるため、こちらも早急な修復を行うことが重要です。

ひび割れ

色味が濃い木質系サイディングの場合、つい見落としてしまいがちなのがひび割れです。

ひび割れは木目に隠れてしまうことも少なくはないので、日頃から用心深くチェックをしておく必要があります。

塗装自体がひび割れを起こしている場合は部分補修による対応が可能ですが、外壁材そのものがひび割れてしまっている場合やダメージが激しい場合は、外壁材を丸ごと交換しなくてはならない可能性もあります。

外壁材の交換となると再び高額な費用がかかってしまうため、塗装工事による補修で済むタイミングで劣化を見つけられるように気を配りましょう。

外壁の反り

木質系サイディングは天然木を使用していることから材質上水分を含みやすく、他の外壁材よりも反りやすいという特徴があります。その理由は、木は水分を含むことにより変形するという性質を持っているためです。

外壁の反りが起きてしまうと、シロアリの被害やカビ・苔などが発生しやすくなってしまいます。また外壁全体を交換しなくてはいけない可能性もあるため、定期的なメンテナンスを怠らないようにしましょう。

木質性サイディングを製造販売しているメーカーと商品の特徴

木質系サイディングを製造販売しているメーカーは「ニチハ」「ナガイ」「高広木材」などがあります。

それぞれのメーカーが製造販売している商品を次の項で紹介します。

ニチハ:オフセットサイディング

※出典:ニチハ「オフセットサイディング」

木材チップを使用した木材チップを使用したニチハオリジナルの外壁材です。成形性・耐凍害性に優れており、補強繊維を木質系材料として使用しています。

また木材としては珍しく耐火性にも優れていることが特徴です。

ナガイ:ウエスタンレッドシダー外装材

※出典:ナガイ「ウエスタンレッドシダー外装材」

ナガイが製造販売しているウエスタンレッドシダーは、真っ直ぐで美しい木目が特徴的な外壁材です。

耐久性や防腐性に優れており、木材ならではの透湿性や通気性もしっかりと備わっています。また、外壁材の他にラティス・ウッドデッキ用の資材も展開されている外壁材です。

高広木材:本実サイディング

※出典:高広木材「本実サイディング」

高広木材が製造販売している本実サイディングは、レッドシダーと呼ばれる材料から作られて外壁材です。

レッドシダー特有の色の濃淡が大きな特徴で、スッキリかつ上品な印象を与えることができる仕上がりになります。またカナダ産のレッドシダーは腐朽や虫害にも強いという特徴があります。

費用面で木質性サイディングに出来ない時は

費用の関係から木質系サイディングを採用することが出来ない場合には、木質系サイディングの部分使用や金属系サイディング・窯業系サイディングを採用するという対処法があります。

それぞれの対処法について詳しく解説します。

木質性サイディングの部分使用も可能

木質系サイディングは建物全体に採用すると高価になってしまうため、どうしても木質系サイディングを取り入れたい方は部分使用を行うのも一つの方法です。

部分使用をすることで全体的なコストを下げることが出来ますし、建物の一部のみで木質性サイディングを使用することで建物のデザイン性にメリハリがつき、よりおしゃれで上品な印象に仕上げることが出来ます。

一例では、建物のテラス部分にのみ木質系サイディングを採用することにより、ナチュラルかつしっかりと木のあたたかみを感じるデザインに仕上げることができるでしょう。

また、他の部分に金属系サイディングや窯業系サイディングを取り入れることにより、木質系サイディングならではの水や火に弱いというデメリットを緩和することもできます。

木質系サイディングの部分使用を行う場合は、それぞれの外壁材のメリットやデメリット、特性をしっかりと理解した上で、どの部分にどの外壁材を使用するかを検討していきましょう。

窯業系サイディングや金属系サイディングでも木目調デザインを選ぶことができる

木質系サイディングの採用に不安を感じている方は、金属系サイディングや窯業系サイディングを選ぶのも一つの方法です。

もしも木目調の外壁材を希望しているということであれば、金属系サイディングや窯業系サイディングでも木目調のデザインに仕上げることが出来る外壁材があります。費用単価も安く木質系サイディングよりも耐用年数が長いなどさまざまなメリットもあるため、金属系サイディングや窯業系サイディングの採用を検討している方は一度業者に木目のデザインを見せてもらうと良いでしょう。

まとめ

木質系サイディングの特徴や費用相場、メリットやデメリットなど紹介しました。

一見するとデメリットの方が多いように感じる木質系サイディングですが、天然の木材を使用していることから自然を感じたい木材ならではのあたたかみのある住宅を作りたいとお考えの方にとっては、唯一無二の素材ともいえるでしょう。

木質系サイディングはメンテナンスや施工にお金がかかるものの、完成された家は上品で住み心地の良い住まいになること間違いなしの外壁材です。

外壁材の選択に悩んでいる方、木質系サイディングの採用を検討中の方は、専門業者と念入りに話し合いを重ね「思っていたのとイメージが違った」などのトラブルが発生することのないように気をつけましょう。

この記事のライター:外壁エージェント編集部
こんにちは、外壁塗装エージェント編集部です。「安心の外壁塗装」をコンセプトに、外壁塗装をトータルでサポートする外壁塗装エージェント。コラムでは、何を基準に業者を選べばよいかわからない、外壁塗装の注意するべきポイントが知りたいなど、外壁塗装にまつわる皆さまのさまざまな疑問にお答えします。外壁塗装アドバイザーによる有益で信頼できる情報をお届けしますのでぜひ参考にしてください。

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