外壁塗装のイノセンス塗料(ジャパンホームワンド社)とは?特徴、費用相場
外壁塗装で使用する塗料には種類ごとにさまざまな機能や性能があって耐用年数も異なるため、外壁塗装の際にどのような塗料を使用するのかが非常に重要なポイントになります。
なるべく長持ちする塗料が良いと思う方が多いと思いますが、そのような方に紹介したい塗料のひとつがジャパンホームワンド社のイノセンス塗料です。
外壁塗装の営業を受けた際に聞いたことがあるという方や、ご自身で長持ちする塗料を調べていてイノセンス塗料に行き着いたという方も多いのではないでしょうか。
今回はそんなイノセンス塗料についての特徴や費用相場、採用する際の注意点などについて紹介します。
目次
ジャパンホームワンド社から販売されているイノセンス塗料とは
※出典: INNOCENCE JAPAN株式会社
イノセンス塗料はログハウス用接着剤のトップメーカーである米国企業STUC-O-FLEX社が開発した外壁塗装用の塗料で、日本ではジャパンホームワンド社が独占販売しています。
耐久・耐候性、弾力性、伸縮性に優れているのが特徴で、メーカー公式サイトでは期待耐用年数が約20~30年超と発表されています。
ただしジャパンホームワンド社が取り扱っているのは、日本国内向けに企画開発された塗料になるようです。
原材料に100%のピュアアクリル樹脂とピュアカルシウム砂を使用
イノセンス塗料は、不純物をまったく含まない純度100%のピュアアクリル樹脂と真っ白なピュアカルシウム砂を配合したものを原材料としています。
アクリル樹脂塗料と聞くと安価で耐久性の低い塗料と思われがちですが、それは不純物が多く含まれているアクリル塗料のことです。
ピュアアクリルには添加剤や可塑剤(柔軟性や弾性を与えるために添加される物質)などの不純物が含まれていないため、一般的なアクリル塗料とは違って段違いの耐候性を持つことで知られています。
そして骨材であるピュアカルシウム砂が塗膜を強靭にするだけではなく、通気性や壁材への付着力の向上に貢献しています。
イノセンス塗料のアメリカでの実績・評判
イノセンス塗料は日本での実績は少ないものの、アメリカでは30年以上の耐用年数の実績があるといわれています。
また極寒のロシア、中近東やメキシコ、南米等の砂漠地帯、フロリダ州湿地帯、そして塩害被害に常に悩まされているアメリカ西海岸ワシントン州シアトルでも外壁塗装に使用されています。
また、イノセンスのルーツにあたる土壁風塗り壁材STUC-O-FLEXは、アメリカの複数の保険会社によってクラック訴訟の際の補修指定材料として採用されています。
イノセンス塗料の特徴
この章では、ジャパンホームワンド社が販売しているイノセンス塗料の特徴を詳しく紹介します。
イノセンス塗料には61種類の外壁用塗料がある
ジャパンホームワンド社のイノセンス塗料の色は61種類ありますが、薄い色が多く、グレーはあるものの黒色はありません。
黒で塗装したい場合にはイノセンス塗料以外の塗料を選ぶ必要があります。
屋根塗装用のカラーは6色展開
イノセンスは外壁塗装用の塗料です。
そのため、ジャパンホームワンド社では屋根の塗料には水谷ペイントと協業して開発したワンドルーフと呼ばれる塗料を使用しています。
ワンドルーフは、ダーク系の6色の中から選択できるようになっています。
伸長率500%を超える弾性性能でひび割れや剥がれに強い
イノセンス塗料はアメリカのログハウス用接着剤メーカーにより企画開発されたものです。
ログハウスに使用する接着剤には乾燥収縮による木の激しい動きに追随する高い弾力性が求められます。
その技術を駆使して作られたイノセンス塗料は伸長率500%超と塗膜が伸縮するため、塗膜のひび割れや剥がれを最小限に抑えることができます。
水性塗料なので人体に悪影響が少ない
イノセンス塗料は有機溶剤を使用していない水性塗料なので、塗装する際に溶剤が揮発する不快な臭いが発生しません。
また、環境省がシックハウス症候群の原因になるとして規制しているホルムアルデヒド放散量試験で最も影響が少ないとされるF☆☆☆☆(フォースター)を取得しています。
環境適応力抜群で凍害・塩害地域でも影響を受けない
イノセンス塗料は前述したように、アメリカだけではなく世界中のさまざまな厳しい気象条件の中で採用されている塗料です。
しかしそのような気象条件の中でも性能を発揮し、耐用年数が他の塗料よりも格段に長くなっています。
イノセンス塗料は環境適応力に優れ、凍害・塩害地域でも影響を受けにくい塗料といえます。
耐久・耐候性能に優れている
イノセンス塗料は耐久・耐候性能に優れているのがメリットで、メーカーによる期待耐用年数は前述したように約20~30年超です。
しかし実際の塗料の耐用年数は周辺環境によっても異なるので、必ず20年以上もつとは言い切れませんが、少なくともフッ素塗料並みの耐久性(15~20年)があると考えて良いでしょう。
また、メーカーによると2,500時間の促進耐候試験(サンシャインウェザー試験)を行った結果、膨れ・剥がれ・割れなどが発生することがなく、色の変化もほぼ見られなかったと発表されています。
促進耐候試験とは専用の装置内で光の照射、降雨(水スプレー)、温湿度の制御等を行って、屋内外の条件を人工的に再現するものです。
イノセント塗料の促進耐候試験結果である、「2,500時間光沢保持率80%以上」はJISの中でも最も耐候性が高い1級の基準です。
イノセンス塗料の費用相場
イノセンス塗料の価格や施工単価は公表されていませんが、シリコン塗料よりも高額でフッ素塗料と同等の金額といわれています。
費用相場については以下の表を参考にしてみてください。
坪数(延床面積) | シリコン塗料の相場 | フッ素塗料の相場 |
20坪 | 50~80万円 | 60~100万円 |
30坪 | 60~90万円 | 70~110万円 |
40坪 | 70~100万円 | 80~120万円 |
50坪 | 80~110万円 | 90~130万円 |
※横にスクロールしてください。
塗膜性能に関してはジャパンホームワンドが10年保証を行っているので、10年以内に塗膜に不具合が生じた場合には対応してもらうことができます。
イノセンス塗料を選択する際の注意点
さまざまなメリットがあるイノセンス塗料ですが、デメリットあります。
この章ではイノセンス塗料の注意点を紹介します。
弾性塗料であるため汚れが付きやすい
イノセンス塗料の最大のデメリットは、埃を吸着しやすく汚れがつきやすいことです。
イノセンス塗料は弾性塗料なので、その名の通り塗膜が伸びてゴムのような粘着性を持つため、どうしても空気中のホコリやチリ、排気ガスなどが付着しやすくなります。
そのため、他の塗料よりも汚れやすく汚れが目立つ可能性があります。
汚れが気になるという方におすすめなのがセルフクリーニング機能を持つ光触媒塗料です。光触媒塗料については、以下の記事を参考にして下さい。
他の塗料と比べて実例や実績が少ない
イノセンス塗料が国内で販売が開始されたのは2017年のため、まだ5年程度しか経っていません。
そのため、他の国内大手塗料メーカーの塗料よりも圧倒的に施工実績が少なく、実際に塗装した戸建住宅で20年以上経過したものはありません。
また、メーカーが公表している期待耐用年数はあくまでも期待値なので確証はありません。
大前提として塗料の耐用年数は施工精度や周辺環境にも左右されるので、外壁塗装で絶対に失敗したくないのであればフッ素塗料などの信頼性があって耐久性の高い塗料を使用することをおすすめします。
ジャパンホームワンド1社のみが独占販売している
イノセンス塗料は、国内ではジャパンホームワンド株式会社のみが独占販売しているため、イノセンス塗料を使用する場合はジャパンホームワンド社以外の業者に依頼することはできません。
また、使用したいと思っても、近くにジャパンホームワンド社の営業所がなければ使用できない可能性があります。
価格交渉がしづらい
イノセンス塗料はジャパンホームワンド社の独占販売であることから、ほかの業者に相見積もりを依頼して金額を比較することができません。
そのため、価格交渉を行うのは難しいといえるでしょう。
イノセンス塗料と同じ特性を持つピュアアクリル塗料
イノセンス塗料を採用したいと思っても、地域にイノセンス塗料を取り扱っている営業所がないなどの理由で採用できない場合には、似たような特性を持つピュアアクリル塗料を検討することをおすすめします。
ピュアアクリル塗料の代表的な塗料としては、アステックペイント社の塗料があります。
アステックペイント社のピュアアクリル塗料は、促進耐候性試験において期待耐用年数15年相当が経過しても光沢保持率80%以上を保持しています。
期待耐用年数ではイノセンス塗料よりも若干劣りますが、それでもフッ素塗料と同等の耐候性を持っているといえます。
なお、アステックペイントにも加盟店制度があるため加盟店でなければアステックペイントの塗料を扱うことができませんが、ジャパンホームワンド社の営業所が全国に11か所しかないのに対して、アステックペイントの取り扱い企業は1200社以上あります。
この章では、アステックペイントのピュアアクリル塗料について紹介します。
株式会社アステックペイント:EC-5000PCM
一般的な塗料では外壁にヒビが入ると塗膜も一緒に裂けてしまい、建物内に雨水が侵入してしまいます。
対してピュアアクリル塗料EC-5000PCMは、伸縮する塗膜(600%の伸縮率)が追従するため水の侵入をブロックします。
また、一般的な弾性塗料は塗膜を柔らかくするために樹脂に可塑剤が含まれていますが、その場合には3~5年程度で気化してしまい弾性を失ってしまいます。
ピュアアクリル塗料EC-5000PCMは樹脂そのものが弾性を持つため、長期にわたって伸縮性を保持することができます。
株式会社アステックペイント:EC-5000PCM-IR
※出典:株式会社アステックペイント:EC-5000PCM-IR
IRとは遮熱塗料のことを指し、EC-5000PCMの優れた防水性・耐候性に加え遮熱効果を持ち、アステックペイントの中でも最高ランクの機能性を持った塗料がEC-5000PCM-IRです。
特殊遮熱無機顔料の使用により温度上昇の主要因となる近赤外線を効果的に反射する塗膜を形成し、室内温度の上昇を抑えて快適な生活環境を作ります。
まとめ
イノセンス塗料は、伸縮性や耐久性に優れた非常に高性能な塗料といえます。
しかし国内での歴史が浅く施工実績が少ないため実際のところどの程度の耐久性があるのかはいまだに未知数で、採用する際にはその点をきちんと理解しておく必要があります。
また、価格についても公表されておらず、業者から見積もりを取るまでははっきりとしたことは言えません。
使用を検討する際には、同じような特性を持つピュアアクリル塗料やフッ素塗料、無機塗料などの高機能、高価格帯の塗料と比較検討することをおすすめします。
外壁塗装 人気の記事ランキング
外壁塗装おすすめカラーシミュレーション9選
外壁塗装の失敗例でよく聞かれるのが、事前に想像していたイメージと仕上がりが違う・カラーが希望色ではなかったとというものです。 そこでおすすめなのが、外壁塗装のカラーシミュレーションです。 無料で利用できるものがほとんどで...
外壁塗装のイノセンス塗料(ジャパンホームワンド社)とは?特徴、費用相場
外壁塗装で使用する塗料には種類ごとにさまざまな機能や性能があって耐用年数も異なるため、外壁塗装の際にどのような塗料を使用するのかが非常に重要なポイントになります。 なるべく長持ちする塗料が良いと思う方が多いと思いますが、...
【最新】外壁材メーカー人気ランキング!特徴、主力商品を紹介
外壁材を選定中の方の中には、人気のある外壁材メーカーを知りたい方も多いと思います。 日本で外壁を販売する外壁材メーカーはたくさんあり、それぞれのメーカーがさまざまな趣向を凝らした外壁材を販売しています。 メーカー側では外...
サイディング外壁の重ね張りとは?メリット・デメリット、費用を解説
サイディング外壁の重ね張りという補修方法をご存知でしょうか? 既存のサイディング外壁に新しい外壁材を重ねて補修する「重ね張り」はサイディングの補修の中でもよく使われている方法です。 この記事では、サイディング外壁の重ね張...