外壁塗装時は雨樋も塗装を行った方が良い?メリット、費用相場
外壁塗装工事を行う際には、雨樋も同時に塗装をした方が良いのかどうか悩んでいる方も多いでしょう。
雨樋とは屋根の周りに設置されている部材で、降ってきた雨を流したり雨漏りを防水する重要な役割を担っています。
通常は塩ビなどの素材で出来ていることが多く、劣化しにくいといわれています。しかし雨樋も外壁塗装と同様に、必要に応じて塗装によるメンテナンスを行った方が良いといわれています。
そこで今回は、雨樋の基本知識のや雨樋塗装の必要性、塗装することで得られるメリットについて解説します。また雨樋塗装におすすめの塗料や費用相場なども合わせて紹介します。
目次
外壁塗装時は雨樋も必要に応じて塗装を行った方が良い
雨樋は基本的に塗装の必要がない部位であるといわれています。
雨樋を塗装する目的は美観の向上や維持のためといわれていますが、それでも経年劣化による傷みや割れなど雨樋本来の役割が果たせなくなるようなトラブルが発生する可能性があり、外壁塗装時に雨樋の塗装を同時に行うことがあります。
ここでは、美観の向上や維持以外に外壁塗装時に雨樋塗装を行った方が良い理由を解説します。
雨樋塗装は美観保持だけが目的ではない
雨樋塗装は、美観保持だけが目的で行われるわけではありません。雨樋は頑丈な素材でできているため塗装は必要ないという業者も少なくありませんが、雨樋塗装には雨樋の素材を紫外線から保護する役割があります。
また、雨樋の耐用年数は20年〜25年といわれていますが、経年劣化による不具合を引き起こすことで本来の機能を果たさなくなってしまうことがあります。
そのため、雨樋の耐久性を保つためには外壁塗装と同時に雨樋塗装を行なった方が良いでしょう。
雨樋が劣化すると雨漏りの原因になる可能性がある
雨樋が劣化を起こすと雨樋の亀裂やコケや藻の発生し、雨水がうまく排出されなくなります。
雨水が雨樋に詰まるとゆがみや変形を起こし、雨漏りの原因となります。
雨樋についての基礎知識
雨樋は塩ビやガルバリウム鋼板などの素材であることが多く、基本的に頑丈であるといわれています。ここでは、雨樋についての基礎知識を解説します。
雨樋の素材:塩ビなどを含め5種類
雨樋の素材は塩ビなどを含めて5種類あります。ここでは各素材の特徴を紹介します。
素材 | 特徴 |
塩化ビニール樹脂 | もっとも普及している、安価で手に入れやすい、劣化しにくい |
ガルバリウム鋼板 | 錆びにくく軽量、費用は高い、劣化しにくい |
アルミニウム・ステンレス | 錆びない、劣化しない、費用はかなり高い |
銅 | 古い建物や和風建築で使用、費用は高い、劣化しにくい |
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■塩化ビニール樹脂(塩ビ)
住宅に使用する雨樋の中でもっとも普及している雨樋が、塩化ビニール樹脂で造られた雨樋です。塩ビの雨樋は、劣化しにくく燃えにくい特徴を持っています。
また、プラスチックの一種で価格が安く手に入れやすいメリットがありますが、経年劣化によってひび割れや欠けが発生しやすいデメリットもあります。
■ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は外壁や屋根にも使われる金属素材で、軽量で錆びにくいことが特徴です。塩ビの雨樋と比較すると耐久性が高いため、外壁や屋根と揃えて雨樋にもガルバリウム鋼板を採用する住宅が増えています。
■アルミニウム・ステンレス
アルミニウムやステンレスで造られた雨樋は、錆びにくく劣化しにくい特徴があります。外部からの衝撃以外で劣化や破損することはほとんどないため、塗装によるメンテナンスの必要がありません。
ただし、他の素材の雨樋よりも高額であるというデメリットがあります。
■銅
銅は古くからお寺や神社などで使用されている金属です。耐久性の高さや錆びにくいことが特徴ですが、経年劣化により緑青が発生し変色を起こします。
また、酸性雨などにより穴が空いてしまうこともあります。
雨樋の形:丸型と箱型の2種類が基本
雨樋の形は丸型と箱型、その他の3種類あります。基本的には丸型や箱型が採用されることが多いですが、デザイン性や地域の気象条件によってその他の雨樋が採用されることもあります。
また、軒先や屋根の一部と一体化させることでデザイン性を高めた雨樋もあります。ここでは一般的な丸型と箱型について紹介します。
■丸型(半丸型)
丸型や半丸型の雨樋は多くの住宅で使用されていて、価格も安価で手に入れやすいのが特徴です。しかし、塩化ビニール樹脂の丸型の雨樋は雨水の流れる量があまり多くないので、降水量の多い地域ではあまり採用されません。
また、ひねり方向への耐久性が高くないため、雨樋が詰まってしまった場合には変形やひび割れなどを起こすことがあります。
■箱型
箱型の雨樋は、都市型の住宅で多く採用されています。丸型に比べて流れる雨水の量が多いため、降水量の多い地域で採用されています。
また、箱型の雨樋はひねり方向への耐久性も高いため、丸型よりも変形やひび割れなどが起こりにくいといわれています。
雨樋のパーツ:8つのパーツから構成されている
雨樋は軒樋や竪樋の他にも、8つのパーツから構成されている部材です。ここでは雨樋の8つのパーツについての特徴を解説します。
■竪樋(たてどい)
竪樋は垂直方向に設置された雨樋で、屋根から軒樋に流れた雨水を地下に流す役割を持っています。通常は建物の角に設置されることが多いようです。
■横樋(よこどい)
軒樋とも呼ばれ、水平方向に設置された雨樋です。屋根に降った雨を竪樋に集めて流す役割を持っています。竪樋が設置された場所に向かって効率的に雨水が流れるように、勾配をつけて設置されています。
■集水器
集水器は横樋に流れた雨水を竪樋に効率的に流すために設置されていて、横樋に流れてきた雨水が溢れない形状になっています。
■エルボ
エルボは竪樋のジョイント部分に使用するパーツです。集水器から外壁に固定された竪樋までエルボを使い1本の筒状にしていきます。
■でんでん(樋持ち金具)
でんでんは、竪樋を外壁に固定するために設置するパーツです。
形状は竪樋と同じ形状ですが、でんでんにはステンレスなどの劣化しにくい素材が使われています。
■呼び樋
呼び樋は、横樋から竪樋までのつなぎの部分の雨樋で、エルボと組み合わせて使用します。
■結束線
結束線は、屋根に設置した雨樋や軒樋の固定などに使われる針金を指します。結束線が劣化してしまうと固定していた雨樋が動いてしまうため、劣化しにくい銅線やステンレス製が使われています。
■カバー(落ち葉除け)
雨樋が詰まる原因のひとつに、落ち葉などが横樋に溜まってしまうことが挙げられます。
カバーや落ち葉除けは、横樋に設置することで雨樋の詰まりや詰まりによる破損を防止するためのパーツです。
外壁塗装時に雨樋塗装を行うメリットとは
外壁塗装と同時に雨樋塗装を行うことで得られるメリットには、耐久性の向上や美観の保持、メンテナンスなどがあります。ここでは、外壁塗装と併せて雨樋塗装を行うことで得られるメリットを紹介します。
雨樋の耐久性が向上する
雨樋塗装を行った方が良い最大の理由はとして、耐久性の向上が挙げられます。雨樋に使われている塩ビなどの素材は紫外線によって劣化を起こしますが、塗料による塗膜を形成することにより、雨樋のひび割れや破損などを防ぐことができます。
雨水の通りを良くし、雨漏りを事前に防ぐ
外壁塗装時に雨樋塗装をすることで雨水の通りを良くし、雨漏りを事前に防ぐことにつながります。
雨樋が経年劣化することで、雨樋の勾配が変わってしまうことがあります。軒樋の勾配は集水器へと雨水を効率的に流すために設計されているため、劣化によって勾配が変わってしまうと雨水の流れが悪くなってしまいます。
雨樋の中に雨水が溜まってしまうと想定以上の重みが雨樋にかかりひび割れや破損に繋がるため、常に雨水の通りを良くしておく必要があります。
美観を保つことができる
雨樋は耐久性の高い塩ビが素材に多く使用されていますが、塩ビは紫外線による経年劣化を起こしやすく、色褪せや変色を起こします。
色褪せや変色を起こしてしまうと外観も損なわれるほか、資産価値も下がる可能性があります。これらを防ぐためにも、定期的な雨樋塗装をおすすめします。
外壁塗装時の雨樋塗装工事の費用相場
外壁塗装時に行う雨樋塗装工事の費用相場は使用する塗料によっても異なりますが、1m当たり600~1,000円前後といわれています。
また、雨樋塗装にも足場の設置が必要です。外壁や屋根の塗装をしない場合であっても、建物全体に足場が必要になります。
雨樋塗装のみでも工事を依頼することは可能ですが、外壁塗装や屋根塗装と併せて行なった方が良いでしょう。
雨樋塗装に使われる代表的な塗料と特徴・費用相場
雨樋塗装に使われる代表的な塗料とその特徴や費用相場を紹介します。
塗料の種類 | 費用相場 | 耐用年数 | 塗料の特徴 | 代表的な塗料 |
アクリル・ウレタン系塗料 | 1,300~1,800円/㎡ | 7年~10年 |
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シリコン系塗料 | 1,800~2,400円/㎡ | 10年~15年 |
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フッ素系塗料 | 2,500~3,500円/㎡ | 15年~20年 |
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雨樋塗装には通常、アクリルやウレタン系塗料のほか、シリコン系塗料やフッ素系塗料が使用されます。
それぞれ費用相場や特徴が異なりますが、最近では安価でありながらも耐久性が高いシリコン系塗料が使用されることが多いようです。
また、耐用年数を重視される方に人気なのがフッ素系塗料です。塗料の中でも費用が高くなるものの、他の塗料よりも長い耐用年数を有しています。
外壁塗装時の雨樋塗装の色選びのポイントは2種類
外壁塗装時の雨樋塗装の色選びには、2種類のポイントがあります。ここでは、色選びのポイントについて紹介します。
■雨樋を目立たせたくない場合
雨樋を目立たせたくない場合には、雨樋が設置されている周辺の色に合わせて塗装すると良いでしょう。
屋根や破風、鼻隠しが黒系の場合には軒樋も黒系の色で塗装することで、雨樋を目立たせなくすることができます。
また、竪樋を外壁の色に合わせることも可能です。軒樋と竪樋で色を変えることで、さらに雨樋の存在感をなくすこともできます。
■雨樋をアクセントにしたい場合
雨樋をアクセントにしたい場合には、建物のデザインに合わせて色を選ぶと良いでしょう。
建物全体で使われる色が多くなりすぎるとチグハグとした印象を与えやすくなってしまうので、アクセントとして色を選ぶ場合には注意が必要です。
また、原色に近い色の場合には変色や色褪せが起こりやすいことも考慮したほうが良いでしょう。
雨樋塗装にはウレタン塗料がよく使われている
雨樋塗装には、ウレタン塗料がよく使われています。雨樋は塩ビ素材から作られていることが多く、塩ビ素材は表面がフラットに仕上がっています。
そのため、ウレタン塗料のような伸びの良い塗料が塗装に適しています。しかし最近ではウレタン塗料以外にも伸びの良い塗料が開発されているので、必ずしもこの限りではありません。
外壁塗装時に雨樋塗装を行う際の注意点
雨樋塗装を行う際は下地処理がとても重要で、下地処理は最終的な仕上がりや耐久性にも影響します。
また、下地処理以外にも塗装回数などをしっかり守る必要があります。ここでは、雨樋塗装を行う際の注意点を紹介します。
必ずケレン(下処理)をしてもらう
雨樋塗装を行う際には、必ずケレン作業を行う必要があります。
ケレン作業とは下地調整のひとつで、雨樋の塗装面にサンドペーパーを使い細かな傷を付けます。細かな傷がついた状態で塗装することで、塗料の密着力を向上させる効果が期待できます。
また、金属製の雨樋の場合はケレン作業の際にサビ落としを丁寧に行います。
塗装は必ず2回以上行う
雨樋塗装も外壁塗装と同じように、下塗りをした後に中塗り、上塗り塗装が必要です。2回以上の塗装を行うことで、雨樋塗装の塗りムラや塗膜の劣化を防止することができます。
外壁塗装や屋根塗装と同じグレードの塗料を使用する
雨樋塗装に使用する塗料は、外壁塗装や屋根塗装と同じグレードの塗料を選択するようにして下さい。
例えば、外壁塗装の際にシリコン塗料で外壁塗装をしたのであれば雨樋塗装にもシリコン系の塗料を使う方が良いでしょう。
外壁塗装で使用した塗料と同じレベルの耐久性を持った塗料を使用することで、劣化時期などを同時期にすることができます。
塗料の色はサッシか屋根の色に合わせる
雨樋塗装で使用する色をサッシか屋根の色に合わせることで、自然な仕上がりにすることができます。
雨樋塗装では、目立たせたくない場合やアクセントにしたい場合を除いては、建物にすでに使われている色で塗装をすることが一般的です。
雨樋塗装で対処できない場合は交換などによる補修が必要
雨樋塗装で対処できないひび割れや破損がある場合には、部分交換や全体交換による補修を行います。
雨樋の交換
雨樋の経年劣化が進んでしまっている場合には、雨樋の交換を行います。強度がなくなってしまった雨樋に塗装を行なっても耐久性は戻らないため、このような場合は新しい雨樋に交換する必要があります。
部分交換
雨樋のひび割れや破損などは、部分的な交換で補修することができます。
ジョイント部分やエルボ部分は接着剤で固定しているため力が加わりやすく、ひび割れや破損につながることがあります。
このような場合には部分交換により対処することができるため、新しい雨樋にするよりも安価で補修を行うことができます。
まとめ
雨樋塗装は雨樋の劣化を遅らせるためにも、外壁塗装工事の際に一緒に依頼をした方が良いでしょう。
外壁塗装と同時に行うことで足場の設置費用などを抑えることができるほか、耐久性の向上や美観の維持にもつながるでしょう。
また、使用する塗料は外壁に使用する塗料と同じグレードの塗料を使用するようにして下さい。同じグレードの耐久性を持った塗料を使用することで、メンテナンスの時期を合わせることができます。
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