玄関ドア塗装の基本知識、費用相場|外壁塗装と一緒に行うのがおすすめ
外壁塗装工事を行う際に、玄関ドアも一緒に塗り替えたいと考えている方も少なくないのではないでしょうか。
玄関ドアはそれ一枚で住まいの印象がガラリと変わってしまうほど住まいの顔としての重要な役割を持っています。
また使用頻度が高く常に外気に晒されていることから、少しずつ経年劣化が生じるため定期的なメンテナンスが必要です。
そこで本記事では玄関ドアのメンテナンス方法や費用、またDIYで補修可能なのかなどについて詳しく紹介します。
目次
外壁塗装工事に玄関ドアの塗装・修理を組み込む人も多い!
外壁塗装工事に玄関ドアの工事を組み込んでメンテナンスを行う方も少なくありません。
しかし玄関ドアの塗装やメンテナンスには、屋根や外壁の塗装とは異なる知識や技術が求められるため、外壁塗装業者の中には玄関ドアの塗装には不慣れな業者も数多く存在しています。
外壁塗装のついでに塗装するといった安易な考えで塗装してしまうと、数年も持たずに塗膜が剥がれてしまうことにもなりかねません。
そうなってしまうと、結局玄関ドアのメンテナンスの専門知識を持つ人に塗り直しを依頼する羽目になってしまいます。
また、費用を節約するためにDIYで安く済ませようとするのも避けた方が良いでしょう。
この章では、外壁塗装の際に玄関ドアの塗装も検討する場合に知っておきたい基礎知識について解説します。
玄関ドアには木製と金属製の2種類がある
玄関ドアには主に木製ドアと金属製ドアの2種類があります。
木製ドアは米松や杉、檜、唐松などが素材に使われており、金属製ドアはスチール、アルミ、ステンレスなどから作られています。
素材によりそれぞれに特徴があるので、玄関ドアのメンテナンスを行う際にはご自宅のドアの材質を知っておくことが大切です。
■木製玄関ドアの特徴やメリット・デメリット
木製玄関ドアの特徴は素材自体が重厚感や温かみを持っているため非常に意匠性が高いことです。
ただし定期的なメンテナンスを欠かすことができず、これを怠ってしまうと10年後には古びて見た目も悪くなり、ドアそのものが腐食してしまうことにもなりかねません。
木製玄関ドアのメリットとデメリットをまとめると次のようになります。
メリット | デメリット |
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金属製玄関ドアの特徴やメリット・デメリット
金属製玄関ドアは木製玄関ドアと比較してメンテナンスが容易で、雨や紫外線の影響を受けて素材自体がすぐに腐蝕してしまうこともありません。
また、防火性能に優れているため、アパートやマンションの玄関ドアはほとんどが金属製になっています。
金属製玄関ドアのメリットとデメリットを表にまとめると次のようになります。
メリット | デメリット |
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玄関ドアの材質が違っても塗装・補修方法は同じ
玄関ドアは木製であっても金属製であっても、補修方法は変わりません。どちらもいずれは塗装または部品交換を行う、ドア自体を交換するといったメンテナンスが必要になります。
ただしアルミ製の玄関ドアを塗装する場合には注意が必要です。アルミを塗装する場合は、外壁や屋根と同じ塗装方法ではすぐに剥がれてしまうからです。
アルミ製の玄関ドアを塗装する場合は外壁に使用する塗料と同じものは使用せず、硬度が出るように強溶剤塗料を吹き付けて塗装する必要があります。
また、吹き付けは周囲に塗料が飛散しやすいことから養生に気をつける必要があることから、アルミ製の玄関ドアの塗装には高い技術が必要とされています。
玄関ドアの塗装・補修にかかる日数は約半日~4日が目安
玄関ドアの塗装や補修工事に要する期間は、修理・交換で約半日~2日、塗装工事で2日~4日間程度になります。
塗装の場合には一般的に外壁塗装と同じく下塗り~中塗り~上塗りの3工程が必要になり、それぞれの工程の後には使用する塗料のメーカーにより定められた乾燥期間を設ける必要があるため、修理や交換よりも工事期間が長くなることがあります。
木製玄関ドアの補修方法と費用相場
木製玄関ドアの補修方法には、塗装と修理・交換があります。この章では木製玄関ドアの補修方法や費用相場について紹介します。
塗装する場合の工程・ポイント
玄関ドアを塗装する際には、新しい塗料を密着させるために塗装に先立ち古い塗膜を剥がす必要があります。
この作業をケレン作業と呼びますが、ケレン作業を怠ってしまうと数年後には塗膜が剥がれてしまうことにもなりかねないので、とても重要な作業といえます。
また、古い塗膜を剥がす際にはドア本体を傷つけてしまわないように注意して剥がす必要があり、職人の技術と経験が求められます。
■木製玄関ドアの塗装方法は2種類
木製玄関ドアを塗装する際には、下記の2つの方法を用います。
お好みでどちらの塗装方法を選択するのかを事前に決めておく必要があります。
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一般的なペンキで塗装すると木目が無くなってしまいますが、専用の塗料を使用することで木目を活かして塗装することができます。
■木製玄関ドアを塗装する際の注意点
玄関ドアの塗装はそれぞれの塗装方法によって使用する塗料が異なり、木目を活かす場合には玄関ドアの木材に塗料を浸透させて着色します。
そのため着色しただけでは保護膜を形成することができず、ドアを着色した後にクリアー塗料と呼ばれる透明な保護塗料でドアの表面を塗装する必要があります。
一方、木目を消して塗装する場合には着色塗料がそのまま保護塗料となります。
どちらの方法の場合も塗装を行う前にケレン作業を行い、旧塗膜をきれいに取り除くことが重要です。
電動サンダー、サンドペーパー等を使用して旧塗膜を落とすほかに、必要によっては剥離剤を使用して古い塗膜を剥離します。
剥離剤は非常に毒性が高いので、取り扱いには十分注意が必要です。
■木製玄関ドア塗装の流れ
木製ドアの一般的な塗装工事の作業工程は下記の通りです。(木目を活かす場合)
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修理・交換する場合の工程・ポイント
ここでは木製玄関ドアの修理・交換を行う際の工程やポイントについて紹介します。
部分修理の場合は部品交換などの簡単な修理で済んでしまうケースがほとんどですが、玄関ドア本体を交換する場合には次の2つの方法があります。
■玄関ドアの交換を行う場合
玄関ドアを交換する際には周囲の養生を行って玄関ドアを取り外し、さらにドア枠周囲の壁を壊して既存のドア枠を撤去します。
その後新たなドア枠を取り付けて、ドア枠周囲の壁の補修工事を行います。
乾燥したら新しい玄関ドアを取り付けて完成です。
現在では玄関ドアを交換する場合「カバー方法」が主流になっていますが、玄関ドアの大きさや種類(袖なしから片袖付き、片袖から両袖に変更する場合など)を変更したい場合には、今もこの方法で行います。
■玄関ドアをカバー工法で改修する場合
既存のドア枠を残して、その上に新しいドア枠を被せて設置する工法をカバー工法といいます。壁を壊さないため工事費用を抑えることが可能で、工期も1日程度で終了します。
時間とコストを掛けずに工事が完了するのがカバー工法のメリットですが、既存のドア枠の上に新たなドア枠を被せる工法なので、玄関ドアのサイズが若干小さくなったり下枠と床面との間に段差が生じてしまったりする場合があります。
修理方法別:費用相場
次に木製玄関ドアの修理方法別費用相場を紹介します。
木製玄関ドアの塗装費用は劣化度合いや使用する塗料の種類によって大きく異なりますが、部分的な補修程度であれば3~5万円程度、全体的な塗り替えが必要な場合には10万円以上かかってしまうこともあります。
塗料の種類には木目を活かす浸透タイプ(オイルステイン)の塗料と木目を塗りつぶす造膜タイプの塗料があり、浸透タイプの塗料を使って高級感を出す場合には何度も塗装が必要になるため、より高額な費用がかかります。
また、部分修理の場合はドアノブやドアクローザーなどの部品交換や調整で済むことが多く費用は1~5万円程度ですが、カバー工法による改修工事を行う場合は総額25~35万円程度、従来の工法で交換工事を行う場合には総額で30~50万円程度かかってしまうこともあります。
金属製玄関ドアの補修方法と費用相場
この章では金属製玄関ドアの補修方法や費用相場について紹介します。
金属製玄関ドアの補修方法には木製玄関ドアと同様に、塗装もしくは修理や交換する方法があります。
それぞれの方法について順番にみていきましょう。
塗装する場合の工程・ポイント
金属製玄関ドアの塗装方法は木製玄関ドアと基本的には同じですが、注意すべきポイントがあります。
金属製玄関ドアを塗装する前にはサビをきれいに落としたり、傷をしっかりと修復しておいたりするなどの下地処理が大切です。
特にサビが残ったままでは塗装してもすぐにサビが再発してしまったり、塗料が密着しなくなったりしてしまいます。
塗料がしっかりと密着できるように塗装面に細かな傷をつける目荒らしを行い専用の研磨剤を使用して磨くなどの下地処理をしっかりと行う必要があります。
また、金属製玄関ドアは刷毛やローラーで塗装すると塗りムラが残ってしまう恐れがあるため、スプレーガンで塗料を吹き付けて塗装することが多いようです。
金属製玄関ドアにはこれらの2つの塗装方法があるので、どのような方法で塗装するのかを事前に業者に確認しておきましょう。
修理・交換する場合の工程・ポイント
金属製玄関ドアを修理・交換する場合の工程は基本的には木製玄関ドアの場合と同じですが、木製玄関ドアよりも傷が付くと目立ちやすいため、より慎重に作業を行う必要があります。
ドアノブ交換などの部品交換だけで済む場合にも、工具などをドアにぶつけて傷を付けてしまわないように注意が必要です。
症状別:修理方法
金属製玄関ドアにはアルミ製やスチール製のものがあり、それぞれの材質によって劣化症状が異なります。
スチール製のドアはサビが付着していることや腐食して穴が開いていることなどがあり、アルミ製のドアには傷や凹みが生じているケースが多く見られます。
塗装を行うことで補修できるケースや、部品の交換・調整を行えば修理できるケースもありますが、大きな凹みがある、サビによる腐食が著しく発生しているといった場合にはドア交換が必要になります。
ドア交換の方法には木製玄関ドアの場合と同様に、既存のドアを枠ごと撤去して交換する工法とカバー工法があります。
修理方法別:費用相場
金属製の玄関ドアは、傷や凹みがつきやすい、サビが発生しやすいといった欠点があるので、痛みの度合いによって修繕費用が大きく異なります。
塗装工事であれば5~10万円程度、部品交換や調整で済む場合は1~5万円程度が一般的ですが、玄関ドアの交換が必要な場合には総額で20~50万円程度かかってしまうこともあります。
ドアの価格や工法によっても修理費用は異なりますが、劣化が著しく進行してしまう前に補修を行った方が費用を安く抑えられるので、早めに修繕を行うことが大切です。
玄関ドアを交換する場合の詳細な工法
この章では、玄関ドアを新しくしたい場合の交換工事について紹介します。
玄関ドアを交換する方法には、すでに紹介した在来工法とカバー工法のほかに持ち出し工法という工法があります。
それぞれの工法についてそれぞれ説明をします。
玄関ドアを全て撤去する在来工法
古い玄関ドアを全て撤去して新しい玄関ドアを取り付ける昔ながらの工法で、最も大掛かりな工事になります。一度ドア枠まで撤去するため、大工工事(壁下地の造作)や左官工事、外壁仕上げ工事などが必要になります。
しかしこの工法は従来よりも玄関の間口や高さを広げることもできるので、車いすを使用する家族のためのリフォームにも最適です。
新しいドア枠を取り付けるカバー工法
カバー工法は近年主流になっている補修方法です。既存の壁を壊すことなく、玄関ドアをドア枠ごと新しいものに交換できます。
半日から1日ほどで工事が終了するため手軽に玄関ドアのリフォームができるのがメリットで、現在はカバー工法に対応するさまざまなデザインの玄関ドアが商品化されています。
しかし一方では、既存のドア枠の内側に新たなドア枠を取り付けることから、従来よりもドアの大きさが小さくなるというデメリットがあります。
玄関の間口の広さが気になる場合には、事前に良く玄関ドアの大きさを確認しておくと良いでしょう。
新しいドア枠を既存のドア枠にずらして取り付ける持ち出し工法
持ち出し工法は、新しいドア枠を既存のドア枠の室外側に設置する方法です。
カバー工法と少し似ていますが、ドア枠が外壁よりも外にせり出す形になります。間口の広さを変えずに玄関ドアを新しくすることができるのがメリットです。
玄関ドアはDIYで塗装や修理ができるの?
玄関ドアをDIYで塗装するのはあまりおすすめできません。
玄関ドアの塗装は、木製ドアの場合には古い塗膜の除去作業が、金属製ドアの場合には下地処理となるケレン作業が極めて重要です。
これらの作業に不備があると、塗装してすぐに塗膜の剥がれなどの不具合が発生してしまいます。
そのため、はじめから経験豊富な職人が在籍している塗装業者に依頼することをおすすめします。
玄関ドアの塗装や補修は外壁塗装との同時施工がオススメ!
玄関ドアの塗装や補修は、外壁塗装工事と同時に行うのがおすすめです。
外壁と合わせて住まいの顔となる玄関ドアの塗装や補修を行うことでより住まいの外観が一新し、別々に業者選びをする手間も省くことができます。
ただし、先述の通り必ずしも外壁や屋根の塗装業者が玄関ドアの塗装についても熟知しているとは限らないので、その点にはくれぐれも注意が必要です。
玄関ドアの塗装や補修を依頼する際は、過去の施工実績などを必ず確認しておくようにしましょう。
まとめ
玄関ドアは「住まいの顔」といって良いほど、道路などの敷地外からも目立つことが多いです。
せっかく外壁塗装工事を行って住まいの外観を一新しても、玄関ドアが古いままでは台無しになってしまいますが、玄関ドアは塗装するのが難しく状況によっては交換してしまった方が良いケースもあります。
ほぼ毎日使う場所でもあるので、本記事を参考にして事前に良く補修方法を検討しておきましょう。
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