外壁のサビの原因、落とし方・補修方法
なにげなくふと外壁を見上げた時に、サビが発生していてびっくりしたことがある方も多いのではないでしょうか。
サビは外壁の劣化のサイン。そのまま放置し続けると劣化がどんどん進行してしまうので、早めに対処する必要があります。
この記事では外壁にサビが発生する原因やサビが発生した時の対処方法についてご紹介します。
目次
外壁に発生するサビは赤・白・青・黒の4種類
サビにはいくつかの種類があり、それぞれ発生する場所や原因、特徴などが異なります。
主なサビの種類は次の4つです。
赤サビ
鉄が水や空気に触れて表面が酸化することで発生します。
一般的にサビというと赤サビを連想する人が多く、水に溶けやすくてもろいのが特徴です。
また赤さびは非常に早く進行するので、鉄製品の大敵といえます。
白サビ
アルミニウムや亜鉛などの表面に発生します。
アルミは薄くて強い酸化被膜に覆われていますが、この被膜に水がかかった時などに表面が膨れて発生した腐食物のことを白サビといいます。
青サビ
一般的に「緑青(ろくしょう)」と呼ばれるサビで、10円玉や銅像などの銅の表面に塩分や水分などが触れることによって発生する青緑色のサビです。
銅が酸化されることで生成され、銅製品の腐食を防ぎ、抗菌作用があります。
黒サビ
サビの発生に水を必要としないのが特徴で、鉄の表面を高温に加熱することで発生する酸化被膜のことをいいます。
硬くて鉄にしっかりと密着するため、黒サビに表面を覆われると赤サビが内部まで浸食しないなど鉄を保護する効果があります。
外壁にサビが発生する原因
外壁にサビが発生する主な原因は以下の通りです。
水分の建物内部への侵入
外壁塗装をしたばかりの外壁は、塗膜の防水効果によってサビが発生しにくくなっています。
しかし時間の経過と共に塗膜の防水効果が次第に弱まるようになると、クラックなどの不具合が発生する可能性が高くなります。
そして外壁のクラックから雨水が壁の内部に侵入してしまうと、モルタル壁のラス網(モルタルの剥落を防ぐためにモルタル下地として使用される金網)に水分が付着してラス網が錆びてしまいます。
その場合には、外壁の表面にラス網のさび汁が浮き出てくるようになります。
金属製の外壁の劣化
外壁に金属サイディングやカラー鋼板(トタン)などの金属製の建材が使用されている場合には、経年劣化でサビが発生します。
また、比較的新しい外壁材であっても、擦り傷やひっかき傷などをそのまま放置しておくと劣化が進行してサビやすくなるので、早めに補修することが大切です。
外壁の塗装ミス
金属製の外壁材に塗装工事を行った際に、ケレン作業などの下地処理がきちんと行われなかったり、下塗りの防錆剤が正しく塗布されなかったりすると、塗料の性能が発揮されずに早期にサビが発生してしまうことがあります。
したがって金属製の外壁の塗装工事では、サビの発生を抑えるための下地処理や下塗りが非常に重要になります。
もらいサビ
外壁の周辺にある金属製品に発生したサビが外壁に付着することで発生するサビのことをもらいサビといいます。
金属製でない窯業系サイディングやモルタル外壁の場合でも、サビを貰ってしまうことがあるので注意が必要です。
雨樋の受け金具、シャッター、バルコニーの手摺、照明器具、外壁に立てかけて置いてある脚立や自転車などがもらいさびの原因になることが多いようです。
もらいサビを防ぐためには、サビやすいものはなるべく外壁の近くに置かないようにすることが大切です。
外壁のサビを放置すると住まいの寿命が大きく縮まる
外壁にサビが発生した場合には、その発生原因を究明して適切な処置を行わない限り、サビは時間の経過と共に徐々に広がってしまいます。
そしてある程度進行してしまうと、住まいの寿命を大きく縮めてしまうことにもなりかねません。
またそうなってしまえば、プロによる本格的な補修以外に選択肢がなくなってしまうでしょう。
そこで、外壁のサビを放置した場合のリスクについてご紹介します。
サビの放置により外壁の張り替えが必要になる可能性も
サビの発生が部分的で見た目もさほど気にならない場合や、ちょっとしたもらいサビ程度であれば自分で応急処置を行ったり、しばらく放置しておいたりしても特に問題ありません。
ただし赤サビは思ったよりも進行が速いので、その後も注意深く経過観察しましょう。
一方、サビが大きく進行してすでに外壁の傷みが激しい場合には、金属製の外壁の場合には穴が開いてしまうことにもなりかねません。
そうなってしまえば、建物内部に雨水が侵入するようになるばかりでなく、柱や梁などの構造躯体にまで大きなダメージが及ぶようになります。
最悪の場合は外壁をそっくり張り替えることにもなりかねないので、サビが大きく進行している場合には早めに信頼できる業者に相談することが大切です。
外壁のサビの対処方法
外壁のサビは、その進行度合いによって対処方法が異なります。
この章では、サビの進行度合いによるそれぞれの対処方法についてご紹介します。
自分でする?プロにお願いする?判断方法
ここでは、外壁のサビ落としや補修工事を自分で行うか、プロに依頼するかをどう判断すれば良いのかを解説します。
外壁の表面にだけサビが発生している状態
この状態であれば、サビ専用の洗剤などを使用して、スポンジやブラシ等でこすりながら自分でサビを落とすことができる場合があります。
また、もらいサビの場合にもこの方法でサビを落とせる可能性がありますが、サビの発生源となっている部分も忘れずに補修しておく必要があります。
サビが大きく進行している場合
サビが大きく進行している場合は、自分で補修は行わず、必ずプロにお願いするようにしましょう。
サンドペーパーやワイヤーブラシなどを使って、サビが発生している部分をケレン(研磨)しながらサビを除去します。
ケレンした部分は塗装で保護されていない状態になってしまうので、補修を行って保護する必要があります。
高所にサビが発生した場合
この場合の補修作業には危険が伴うケースが多く、作業用の足場が必要になる場合もあります。
決して無理をせずに、プロに補修を依頼するようにしましょう。
自分でする応急処置の仕方
ここではDIYで簡単にできるサビの落とし方をご紹介します。
ただしこの方法で落ちない場合には、迷わずプロに補修を依頼するようにしましょう。
ホースで壁を洗浄
初めに家庭用のホースで洗浄して、外壁表面に付着したさびを落としてみましょう。
その際にはホースの先を指で潰して、勢いよく水を掛けることが大切です。
サビ用洗剤で洗浄
ホームセンターなどで販売されているサビ取り用の洗剤を使うと、水で洗うだけでは落ちなかったサビを落とすことができます。
変色を防ぐためにも、最後によく洗剤を洗い流すことを忘れないようにしましょう。
ブラシ・スポンジの選び方・使い方
ブラシやスポンジ等を使用する際には外壁を傷つけてしまうことがないように、なるべく柔らかい素材のものを選び、丁寧に洗い落とすことが大切です。
ただし、もらいサビなどの表面上のさびは綺麗になったとしても、外壁内部にまで浸食したサビはこれだけでは落としきれないので、根本的なサビ落としは専門業者に依頼する必要があるでしょう。
プロによるサビ落としの手順
著しくサビが発生している場合にはケレン作業が必要になるので、プロに依頼しましょう。
ケレンとは、ワイヤーブラシやサンドペーパー、ディスクサンダーなどの工具を使って、サビの発生箇所を研磨してサビを除去する作業のことです。
またサビを除去した後は塗膜の保護機能が失われた状態になってしまうので、必ず塗装による補修が必要になります。
サビは見つけた段階で専門業者に適切な処理を行ってもらえれば再発を防ぐことができるので、メンテナンス費用の面からもメリットがあります。
外壁のサビの補修・メンテナンスにかかる費用相場
専門業者に外壁に発生したサビの補修を依頼すると、専用工具を使用してケレン(サビ落とし)を行った後に、再度サビが発生することがないように必要に応じて適切なさび止め塗料を塗布します。
サビ止め塗料の価格はグレードによって異なり、安価なものであれば300~500円/㎡程度ですが、高価な変性エポキシ系サビ止め塗料の場合には、900~1,000円/㎡以上になってしまうこともあります。
しかし耐久性にも明らかな違いが出るので、重要な部分には多少価格が高くなっても高性能なサビ止め塗料を使用することをおすすめします。
外壁の防サビ対策
外壁の防サビ対策で最も重要なことは、サビの原因を明らかにして必要な対策を施すことです。
表面的なサビを綺麗に落とすだけでは根本的な解決とはいえず、時間の経過とともにサビが再発してしまいます。
外壁の防サビ対策をご紹介します。
サビに有効な塗料を塗る
前述したように、サビ止め塗料はグレードによって耐久性が異なります。
最もおすすめしたいのは、付着性や防食性、耐久性に優れ、防サビ効果が高いエポキシ樹脂系のサビ止め塗料です。
防サビ対策を検討する際には、信頼できる専門業者に外壁や建物全体の状態をよく調査してもらった上で、適正な塗料を適正な価格で提案してもらうことが最も重要です。
もらいサビが起こらないように防サビ対策を!
本来錆びるはずのない亜鉛メッキ鋼板やモルタルの外壁などが、錆びている鉄などに密着して錆びてしまうのがもらいサビです。
もらいサビを防ぐためには、錆びやすい自転車や脚立などの置き場所に注意すると共に、外壁に密着している雨樋の受け金具やバルコニーの手すりなどの防サビ対策をしっかりと行うことが大切です。
まとめ
外壁にサビが発生する主な原因は、経年劣化によるものと、もらいサビの2つです。
もらいサビなどで軽微なものであれば自分で落とすことができますが、ある程度サビが進行してしまった場合には、その原因を究明して根本的な修繕を行うことが不可欠になります。
また、サビ落としの作業には危険を伴うことが多いので、決して無理をせずに早めに専門業者に相談することをおすすめします。
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