外壁コーキングのひび割れ!原因、補修方法、費用を解説

外壁のコーキングがひび割れしているのを発見して不安になっている方も多いのではないでしょうか。

「もしかして施工不良かも?」と心配になっている方もいることでしょう。

コーキングのひび割れは様々な原因で発生します。

そしてこの状態を放置しておくと雨漏りの原因になる恐れがあるので、ひび割れを発見した場合には注意が必要です。

この記事では、外壁コーキングのひび割れの原因、劣化症状の見分け方、DIYでの補修方法、プロに依頼した時の補修費用の相場などについてご紹介します。

外壁塗装におけるコーキングとは?

コーキングとは、建物の目地などの隙間を埋める弾性に富んだ樹脂系の充填剤のことをいいます。

外壁にサイディングボードやALCと呼ばれる軽量気泡コンクリートパネルを使用した場合には、その継ぎ目部分に必ずといっていいほどコーキングが使用されます。(近年はコーキング不要のサイディングなど一部例外もあります)

ここではコーキングの役割や耐用年数(寿命)などについてご紹介します。

コーキングの役割

コーキングには、次の3つの役割があります。

壁材の防水性や気密性を高める

サイディングやALC板は精密に敷き詰めたとしても、パネル同士の継ぎ目にはわずかな隙間が生じてしまいます。

この隙間を埋めて、雨水や外気の侵入を防ぐのがコーキングの主な役割です

壁材を保護する

サイディングやALC板は、気温の変化によってほんのわずかな膨張と収縮を繰り返しています。

そのため隙間なくパネルを敷き詰めた場合には、膨張した際にパネル同士が押し合って破損してしまう恐れがあります。

そこでパネルの継ぎ目には隙間をあけてコーキングを充填し、その弾力性で外壁材の膨張を吸収することで破損を防いでいます。

この様にコーキングは、緩衝材としての役割を持っています。

建物に発生する揺れを吸収する

コーキングには、地震等の揺れで外壁材に負担がかかった際にも、緩衝材としての役割を果たすことが期待されています。

揺れによる衝撃を吸収し、外壁のひび割れや破損を防止する役割を持っています

コーキングの寿命

外壁のコーキングの寿命は、受ける紫外線の量や寒暖差などの建物の立地条件により影響を受けますが、一般的には510年程度といえます。

寿命が近くなるとひび割れや剥離、硬化などが生じて隙間が目立つ様になるので、定期的に目で見て確認するようにしましょう。

コーキングの先打ち・後打ち

コーキングの施工には、塗装する前に行う「先打ち工法」と塗装後に行う「後打ち工法」があります。

先打ち工法はコーキングの上に塗装するので、塗膜が紫外線による劣化を防いでくれるメリットがある一方で、塗膜の方がコーキング材よりも硬いため、ひび割れしやすい欠点があります。

一方、後打ち工法は、塗膜がひび割れを起こす心配はないものの、塗膜の保護がないためコーキング材が劣化しやすいというデメリットがあります。

なお、一部の塗料メーカーを除いて、塗料メーカーはコーキングの後打ちを推奨しています。

コーキングとシーリングの違いって?

建築の専門家や施工業者の間では、コーキングのことをシーリングと呼ぶ場合があります。

したがって見積書の表記なども、業者によってはシーリング工事となっているケースが少なくありません。

またメーカーによっても呼び方が様々なので、市場にはシーリング材とコーキング材の他に、シーラント、シール材、コークと呼ばれるものも流通しています。

しかし基本的にはどれも同じものを指すと思って問題ないでしょう。

外壁コーキングの劣化症状と原因・対策

外壁コーキングには寿命があるので、寿命が近づくと劣化が進んで様々な症状を引き起こします。

そこでコーキングの劣化症状とその原因および対策についてご紹介します。

コーキングがひび割れる(破断)

施工後の年月が経過すると、次第にコーキングが硬化して真ん中が切れてひび割れが発生するようになります。

原因はコーキング材自体の劣化によることがほとんどです。

コーキングの打ち替えが必要になりますが、耐久性の高いコーキング材を選ぶことで次回のメンテナンス時期を先送りすることができます。

外壁とコーキングとの間に隙間ができる(剥離)

コーキング材が剥離して、外壁との間に隙間ができる症状です。

プライマー(コーキング材の密着性を高めるための下塗り材)の塗り忘れや塗りムラなどの施工不良の他に、3面接着による施工が原因で発生することが多いようです。

また、建物の振動にコーキングの接着部分が耐え切れなかった可能性もあります。

隙間から雨水が侵入する恐れがあるので、早急に補修が必要です。

コーキングの打ち替え時にはプライマーを正しく施工し、3面接着を防ぐため目地底にボンドブレーカーと呼ばれるテープを貼ってからコーキングを行うようにします。

コーキングがとれて下地が見える

コーキング材の下にあるバックアップ材やハットジョイナー(目地底に入れる金具)が見える様になる場合は、コーキング材の厚み不足が原因です。

コーキングの打ち替えが必要になりますが、打ち替えの際にはコーキングの厚みをきちんと確保できる工法で施工することが必要です。

コーキングが剥がれ落ちる(欠落)

コーキングが剥がれてしまう症状ですが、原因はコーキングの経年劣化のほかにプライマーの施工不良やコーキング材の選定ミスで発生することもあります。

すでにコーキングの役割を果たせなくなった状態なので、早急にコーキングを打ち直す必要があります。

施工時にはしっかりとプライマーを塗り、耐久性の高いコーキング材を選定することが大切です。

コーキングの剥がれについてはこちらの記事を参考にしてみてください。

外壁コーキングの塗装がひび割れる原因

外壁のコーキングを先打ちで施工した場合には、コーキング表面の塗膜のみがひび割れしてしまうことがあります。

塗膜表面のひび割れはコーキング自体のひび割れとは異なり、施工不良が原因で発生することはほとんどありません。

また雨漏りのリスクや建物の構造躯体への影響もないといえます。

コーキングが揺れを吸収するための役割を持っているのに対し、塗膜はコーキング材よりも硬いので、小さな振動を繰り返し受けるとコーキングに追従することができずにひび割れしてしまうのです。

したがって雨漏りの心配はなくても、そのまま放置しておくと美観を損ねてしまうという問題があります。

外壁コーキングのひび割れをDIYで補修する方法

外壁コーキングのひび割れをDIYで補修しようとする場合には、先打ちコーキングの塗膜のみがひび割れしている場合と、コーキング自体がひび割れしている場合とでは補修方法が異なります。

この章では、それぞれの補修方法をご紹介します。

コーキングの塗装がひび割れた場合

1階周りの地上脚立の上から手が届く範囲の塗膜のひび割れであれば、DIYで補修することができます。

事前に用意するものや補修の手順は以下の通りです。

用意するもの

  • 補修用の塗料(現在使用されている塗料と同色のもの)
  • ハケ

補修用塗料は外壁塗装完了時に施工業者からもらえることが多いのですが、塗料が古くなって使えなくなってしまった場合には、業者に相談してみましょう。

補修の手順

  1. 補修したい部分に付着したホコリや汚れを落とす
  2. 塗膜がひび割れしている箇所に補修用の塗料を塗る
  3. 2~3時間乾燥させて完成

なお、乾燥する前に塗装した部分に埃が付着することがないよう、強風の日には作業を避けるようにしましょう。

コーキング自体がひび割れた場合

コーキング自体がひび割れしている場合にはコーキングの打ち替えが必要になるので、かなり本格的な修繕になります。

用意するもの

  • コーキング材
  • コーキングガン
  • コーキングカッター
  • マスキングテープ
  • ヘラ
  • プライマー
  • ハケ

上記は、ホームセンターで購入することができます。

また、必要に応じて補修用の塗料を用意します。

補修の手順

  1. 既存のコーキングを剥がす
  2. コーキングを打つ部分の周囲にマスキングテープを貼って養生する(汚れ防止のため)
  3. コーキングの密着性を高めるため、プライマーを塗布する
  4. コーキングガンを使用してコーキングを充填する
  5. ヘラでコーキングを平滑に均す
  6. コーキングが完全に乾く前にマスキングテープを剥がす
  7. コーキングが完全に乾燥するのを待って、必要に応じてコーキングの上から塗装する

専門知識のない一般の方にとって、コーキングの補修は簡単そうに見えても実はとても難しく、失敗した時には雨漏りなどの原因になってしまうことがあります。

したがってDIYで補修する場合には、あくまでも応急処置として考えるようにしましょう。

外壁コーキングのひび割れ補修を業者に依頼する場合

業者に依頼する場合には、コーキングの増し打ちと打ち替えの2通りの補修方法があります。

それぞれの作業方法の違いや特徴などをご紹介します。

コーキングの増し打ち・打ち替え

コーキングの増し打ち

既存のコーキングをそのまま残して、上からコーキング材を充填する工法です。

サッシ廻りなどでは、既存のコーキングを100%撤去することが難しい場合が多く、無理に撤去しようとするとサッシを傷つけてしまうことにもなりかねません。

そういったケースでは増し打ち工法が採用されます。

増し打ちであっても、適切なコーキングの厚みを確保することが大切です。

コーキングの打ち替え

既存のコーキングを撤去し、新たにコーキング材を充填する工法です。

撤去費用がかかるので、増し打ちに比べて費用が割高になります。

また増し打ちよりも一般的に耐用年数が長くなります。

したがってコーキングのひび割れ補修を行う際には、基本的には打ち替えを行うことがほとんどです。

外壁コーキングのひび割れ補修にかかる費用相場

外壁コーキングのひび割れ補修の費用相場は、概ね以下の通りです。

補修方法 補修費用単価 補修費用の目安
増し打ち 約500~900円/m 約10~20万円
打ち替え 約900~1200円/m 約20~30万円

※足場の設置費用別途

また費用はコーキング材の種類によっても異なり、一戸建て住宅の外壁で主に使用されているコーキング材では、水性アクリル<ウレタン系<変性シリコンの順に高くなり、耐用年数も長くなります。

そして近年では、変性シリコンが採用されることが多くなっています。

またDIYであれば、費用は材料や道具の購入費以外にはかかりません(5~7万円程度で施工可能)が、作業には危険がともなうのでプロに任せた方が良いでしょう。

外壁コーキングを長持ちさせる方法

外壁コーキングを長持ちさせるためには、コーキングの傷みを早期に発見してすぐに対処することが不可欠です。

そこでこの章では、コーキングを長持ちさせる具体的な方法をご紹介します。

年に1度の定期点検

家は常に紫外線や熱、風雨などの厳しい環境に晒される共に、台風や地震などの自然災害が発生すると思わぬ損傷を受けてしまうことがあります。

その様な場合であっても、2階の外壁や屋根などは自分で点検するのが難しいでしょう。

気付かぬうちに、劣化がどんどん進行してしまうことにもなりかねません。

したがって、1年に一度は施工した業者に定期点検を行ってもらうと安心です。

早期に傷みを発見し、小まめに補修工事を行うことで、傷みの進行を最小限に抑えることができます。

定期的な再塗装

紫外線を長年浴び続けていると、コーキング部分だけでなく、外壁の塗膜も劣化します。

塗膜にはコーキングを保護する役割もあるので、塗膜の劣化はコーキングの劣化にも影響を及ぼします。

外壁塗装の耐用年数は使用されている塗料の種類によって異なりますが、一般的には7~12年程度です。

したがって定期的な外壁塗装に併せて、コーキング部分についても必要なメンテナンスをきちんと行うことが大切です。

耐用年数が長いコーキング材を使用

前述した様に、コーキング材も種類によって耐用年数が異なります。

一般的に外壁の塗料よりもコーキングの方が、寿命が短い場合が多く、そうなってしまうと外壁塗装が劣化する前に足場を掛けてコーキングの打ち替え工事を行うことにもなりかねません。

メンテナンスサイクルを合わせることで足場代を節約できる様になるので、多少値段が高くても耐用年数が長いコーキング材を使用することで、結果的にメンテナンスコストの削減につながります。

まとめ

コーキングは外壁の一部なので、どんなに外壁塗装の状態が良くてもコーキングが著しく劣化してしまうと、足場を掛けてコーキングの打ち替え工事が必要になってしまいます。

そのまま放置しておくと、雨漏りの原因になるばかりでなく、構造躯体の腐食にも繋がってしまうので、決して軽視できません。

さらには一般的に外壁塗装の塗膜よりもコーキングの劣化の方が早いので、コーキングの劣化に合わせて外壁の塗り替え工事を行う傾向があります。

したがって、耐久性の高いコーキング材を使用することで、外壁のメンテナンス周期を伸ばすことができ、コストの削減にも繋がるといえます。

コーキング材にはできるだけ耐久性の高いものを採用すると共に、こまめに点検を行い、万一ひび割れなどの不具合を発見した際には、そのまま放置せずに早期に応急処置を行うことが大切です。

本記事では、コーキングのひび割れの原因や補修方法をご紹介しましたので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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