外壁塗装でリフォームローンは組める?注意点も解説

住宅は購入して終わりではなく、長く維持していくためには年月の経過とともにさまざまなメンテナンスが必要になります。

特に外壁塗装は定期的なメンテナンスが大切です。

しかしメンテナンスにはまとまったお金が必要になることから、分かっていてもなかなか実施できない方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、外壁塗装にローンを利用することができるのかローンを利用する場合にはどうすれば良いのかなどといった注意点や手続きの流れをご紹介したいと思います。

目次

外壁塗装にはローンが利用できる

新築してから10年ほど経過すると、経年劣化によりさまざまなメンテナンスが必要になるばかりでなく、増改築・リフォームが必要になることもあります。

特に外壁塗装の塗り替えの重要性は高く、そのまま放置しておけば外観の見た目の悪さだけでなく、建物の耐用年数にも悪影響を与えてしまうことになりかねません。

しかし、外壁塗装の塗り替えに必要な手持ち資金がない場合にはどうすれば良いのでしょうか。

そんな時に役立つのがリフォームローンです。

外壁塗装のメンテナンスをしたくてもお金がないと悩む人も多い

外壁塗装の重要性を良く理解していても、修繕費などのまとまったお金が捻出できずに悩んでいる人は決して少なくありません。

外壁の塗り替え工事には100万円前後かかってしまうのが一般的なので、毎月の生活費以外に住宅ローンを返済しながら修繕費を調達するのは簡単なことではないでしょう。

そこで新たにローンを組むことができれば、返済期間にわたって毎月少しずつ返済していくことが可能になります。

放置を続けると住宅に劣化が起こる

新築または前回塗装してから年月が経過すれば、どんな家でも外壁に劣化が生じてきます。

塗膜の劣化(色あせ、膨れ、剥がれの発生)、外壁のひび割れ、カビ・コケの繁殖、コーキング(シーリング)の劣化がその代表的な劣化事象です。

そして最悪の場合には建物内に雨水が侵入して、住宅内部の腐食シロアリの発生などに繋がってしまうことにもなりかねません。そうなってしまうと、膨大な修理費用がかかることになります。

これを防ぐためにも、適切な時期にメンテナンスが必要になるのです。

外壁塗装にローンを使うメリット

外壁塗装の工事代金の支払いは、工事完了後の一括払いや、契約時または着工時に一部を支払い完成引き渡し時に残金を支払う方法などがあります

外壁塗装を行う業者によって方法はさまざまですが、いずれにしてもまとまったお金が必要になります。

現金を用意できない場合にはローンを組む必要がありますが、ローンを使うメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。

まとまったお金が手元になくても外壁塗装を行うことができる

手元にまとまった現金がなくても、工事代金を毎月少しずつ支払っていくことができます。

適正な時期に修繕ができるので外壁の劣化を抑えられる

ローンを利用して最適な時期に修繕することにより外壁の劣化を抑え、結果的に余分な出費を抑えることができます。

好きな塗料を選べる

不足分の予算をローンで補うこともできるので、好きな塗料を自由に選択することができる様になります。

外壁塗装にローンを使うデメリット

ローンを使うことには当然ながらデメリットもあります。

金利がかかる

ローンには当然金利がかかります。

借り入れ金額や返済期間、金融機関によって金利が異なりますが、金利の分だけ余分な負担が増えてしまうことになります。

金融機関側の審査がある

ローンを利用する際には、返済能力があるかどうかの金融機関による審査が行われます。

金融機関によって職種や勤務先、収入(年収)、年齢、健康状態などさまざまな融資条件があるので、これをクリアしない限り融資を受けることはできません

 慎重に返済計画を立てる必要がある

ローンを組むことにより毎月の出費が増えるので、その分家計が圧迫される様になります。

将来の生活にも影響が出る可能性があるので、今後のライフプランを考えながら無理な返済計画にならないようにしなければなりません。

外壁塗装でローンを組む際の注意

外壁塗装でローンを組むメリットは前述した通りですが、ローンにはデメリットもあるので、その点についても事前に十分検討しておかなければなりません。

この章では、ローンを組む際の注意点についてご紹介します。

支払額が増える

ローンを組むとどんなに低金利のローンであったとしても必ず金利負担が増えるので、現金一括支払いよりも総支払額は増えてしまいます。

また借入額や返済期間や金融機関によっても金利が異なるので、事前に金利を計算して毎月の返済額をきちんと把握しておくことが大切です。

可能であれば多少無理をしてでも現金一括払いで支払った方が良いケースもあります。

銀行系ローンの審査は厳しく、その他の金融機関の場合は金利が高い

外壁塗装には専用のローンがないため、一般的にはリフォームローンを使用します。

そしてリフォームローンには銀行系のローン信販系(クレジットカードローン系列)のローンがあります。

銀行系のローンは金利が安いのがメリットですが、どれも審査が厳しくなります。

担保の有無に関わらず、収入や年齢、職業、現在の住宅ローン残高等が厳しく審査され、融資が受けられないことも少なくありません。

一方、信販系のローンは、銀行系のローンと比較して審査は厳しくありませんが金利が高くなります。

消費者金融よりは低いものの銀行系よりも高いのが普通なので、信販系のリフォームローンを利用する際には注意が必要です。

また、外壁塗装業者が紹介するリフォームローンは、ほとんどが信販系のリフォームローンなので金利が高くなります。

住宅ローンと合わせた返済額が増える

外壁塗装で新たにローンを組むと借入総額が増えるので、月々の返済額が増えてしまいます。

したがって、毎月無理なく返済できるかどうかを事前によく計算しておくことが大切です。

また現在住宅ローンを返済中の金融機関に、外壁塗装のローンを組み込んでもらえるかどうかを相談してみると良いでしょう。

借り入れ先をひとつにまとめることで返済や残債の管理がしやすくなるメリットがあり、金融機関によっては塗装工事代金と住宅ローンを合わせて借り換えローンが利用できる場合もあります。

外壁塗装、こんな場合にはローンがオススメ

外壁塗装の工事代金の支払いにローンが利用できることはあまり知られていない様です。

しかし次の場合には、ローンがオススメです。

手元にまとまった現金がない

手元に外壁塗装にあてる現金がない場合はもちろん、進学を控えた子供がいる、親の介護のために現金が必要などの理由で現金や預金を使いたくない場合は、ローン利用がオススメです。

予想以上に修繕費がかかる

外壁の劣化が思っていた以上に進行していたため予想以上にお金がかかる、業者に奨められて高価でも耐久性に優れた塗料を選びたい、などといった場合には、手持ち資金では不足してしまうことがあります。

このような場合にもローン利用を検討しましょう。

外壁塗装の資金をローンで調達して住宅ローンの控除を受けたい

住宅ローン控除とは、個人がローンを利用して住宅を新築またはリフォームする場合に、一定の条件を満たせば適用される控除のことです。

ただし条件の中には、工事費の合計額が100万円を超えることなどがあるため、国税庁のホームページなどで控除を受けるための条件をあらかじめ確認しておく必要があります。

外壁塗装のローンを申請する金融機関の選び方

リフォームローンを申請する際には、どの金融機関に申請するのかも重要なポイントになります。

金融機関によって金利やローンの内容などが異なるためです

そこでこの章では、金融機関の選び方についてご紹介します。

住宅ローンを組んでいる金融機関に相談

外壁塗装を検討している方は、すでに住宅ローンの返済中という方が多いのではないでしょうか。

その場合には金利優遇制度を受けられる可能性があるので、まずは同じ金融機関に相談してみることをオススメします。

場合によっては、住宅ローンとリフォームローンがセットになった「リフォーム一体型住宅ローン」へ借り換えることも可能になります。

また現在の住宅ローンを見直して金利の低いものに借り換え、浮いた資金を外壁塗装費用に適用できる場合もあります。

他の金融機関からの借り入れ

住宅ローンを組んでいる金融機関がリフォームローンを取り扱っていない場合や審査が通らなかった場合には、他の金融機関から借り入れすることも検討してみましょう。

ただしリフォームだけのためにローンを利用する場合には、住宅ローンの金利よりも高くなってしまうことがほとんどです。

また銀行融資には、金利の他に融資手数料や諸費用がかかります

そのため借入額が少額の場合(100~200万円程度)には、たとえ金利が高くても信販系のリフォームローンの方が総支払額を抑えることができる場合があります

したがって、住宅ローンとは別の銀行でリフォームローンを組む場合には、信販系のリフォームローンと比較して検討することをオススメします。

外壁塗装のローンの返済シミュレーション

ローンを利用する際には、あらかじめ月々の返済額や総支払額などのシミュレーションを行い、無理なく返済できるかどうかを確認しておく必要があります。

そこでこの章では、借入先やローンの種類ごとの金利相場や分割返済のシミュレーション事例をご紹介します。

金利相場:有担保型が12無担保型は25

リフォームローンには、銀行の「担保型(有担保型)」と銀行や信用金庫、クレジットカード会社などの多くの金融機関が取り扱っている「無担保型」があります。

有担保型の金利が12%程度なのに対し、無担保型では25%程度になることが多く、中には10%を超えるものもあります。

金利が低い場合は審査などが厳しくなる傾向があり、高すぎると審査は緩いものの返済が厳しくなってしまいます。

したがってあらかじめ返済シミュレーションを行い、余裕を持って返済できるローンを選ぶことが大切です。

分割返済のシミュレーションの例

外壁塗装工事の際に、金利3%で150万円の借り入れを行った場合(元利均等返済)の返済シミュレーション事例は以下の様になります。

返済期間 毎月の返済額 総返済額
3年 43,621円 1,570,367円
5年 26,953円 1,617,146円
10年 14,484円 1,738,030円

この様な分割返済のシミュレーションは、インターネットの各金融機関サイトの中の住宅ローンシミュレーション機能を使えば、誰でも簡単に行うことができます。

住宅ローン控除は適用される

外壁塗装には公的なサポート制度が設けられていて、その中のひとつが「住宅借入金等特別控除」です。

住宅借入金等特別控除とは、「住宅ローン控除」「住宅ローン減税」とも呼ばれており、住宅ローンの返済額や返済期間などが一定の条件を満たしている場合には、ローン残高の1%を所得税から控除できるという制度です。

住宅ローン控除を受けられる期間は基本的には10年間で、外壁塗装の場合には工事費用が100万円を超えていれば適用されます。

さらには前述した様に、年間の所得額が3,000万円以下であることや、ローンの返済期間が10年以上であることなどの条件があります。

したがって工事費用やローンの返済期間を条件に合う様に調節して控除を受けるよりも、工事費や返済期間を切り詰めて支払額や金利を抑えた方が得になる場合があるので、事前に良く検討することが大切です。

ローンに対応する外壁塗装業者の選び方

外壁塗装工事代金の支払い時期は、工事着工前(契約時)と完成引き渡し時の2分割払いや、工事完了後の一括払いなど施工業者によって様々です。

ローンを組む上では、工事完了後の一括払いに応じてくれる業者を選ぶようにしましょう。

また、ローンなどの相談にも応じてもらえるか(自治体の支援制度などを紹介してもらえるか)、インターネットの口コミや近所の評判が悪くないか、見積書の内容がわかりやすいか、質問にも丁寧に答えてもらえるか、などといった観点から判断することで、優良業者を見分けることができる様になります。

外壁塗装には補助金・助成金もある

自治体によってはリフォームの支援制度がある場合があり、外壁塗装の修繕にも補助金・助成金を出しています。

国内の全ての自治体で支給しているわけではないので、地域の自治体で確認してみると良いでしょう。

窓口に行って直接確認する以外にも、自治体のホームページなどで確認することができます。

こちらの記事では全47都道府県の助成金情報もまとめています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

住まいを長く健全な状態で維持していくためには、定期的な外壁塗装が不可欠です。

また適切な時期に対処することで、費用を抑えることも可能になります。

しかし塗り替えが必要になる頃には住宅ローンの返済や子供の教育費などの金銭的な負担を抱えていることが多く、外壁塗装を先延ばしにしてしまうケースが少なくありません。

この様な時には、ローンを利用することを検討してみましょう。

ローンを利用することで、最適な時期に修繕を行うことができ、手元に現金が残るメリットがあります。

この記事を参考にして、ローン利用のメリットとデメリットを十分検討した上で、最適な選択をするようにしましょう。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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