外壁塗装の価格の計算方法とは?平米単価、塗装面積について解説

塗装業者から取得した外壁や屋根の塗装工事の見積もり書をチェックする際には、外壁、屋根の塗装面積と足場の面積を自分で計算できると便利です。

なぜなら塗装業者が作成する見積書は、それぞれの面積に平米単価を掛けて算出されているためです。

そこで本記事では、これらの計算方法について紹介します。

ぜひ内容を良く理解して、塗装業者の見積もり書をチェックする際にお役立てください。

外壁塗装面積の計算方法

塗装費用=外壁(屋根)面積×塗料の平米単価

塗装業者から提出された外壁や屋根の塗装工事の見積もり書を見ると、「塗装費用=外壁(屋根)面積×塗料の平米単価」になっていることがほとんどです。

したがって見積もり書をチェックする際には、まずはご自宅の外壁又は屋根の塗装する部分の面積を知る必要があります。

塗装面積が自分で計算できれば、これらの数量を見積もり書に多めに記載して塗装料金を高く見せるような業者がいても騙されることはありません。

そこで次章では、まずは外壁の塗装面積を計算する方法を紹介します。

外壁の平米数を算出する方法

外壁の面積を計算する方法は主に3つありますが、塗装工事の場合には塗装しない部分の面積(玄関ドア・窓などの開口部等)を除外しなければならないのでこの点に注意が必要です。

また塗装業者が見積もり書を作成する際には、実際にメジャーなどを使って塗装する部分の面積を実測する方法と図面から計算する方法のどちらかになります。

それではそれぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

1-1メジャーを使い測量する

メジャーなどを使用して、外壁の面積(建物の外周と高さ)や開口部等の塗装しない部分の面積を実測して計算する方法です。

測量するのに時間がかかりますが、最も正確な数量を求めることができます。

家の図面がない場合には、塗装業者は必ずこの方法で塗装面積を算出した上で見積もり書の作成を行うことになります。

計算式は次の通りです。

外壁塗装面積=(建物の外周×高さ)-非塗装部分の面積

1-2図面から計算する

次に図面から計算する方法です。

計算式は次の通りです。

外壁塗装面積=4面の外壁面積-非塗装部分の面積

計算方法はまずは立面図から外壁の高さを求め、この高さに平面図から求めた外壁の長さを掛けます。

この面積から、窓などの塗装しない部分の面積をマイナスすることで塗装面積を算出します。

ただし実際の建物では、壁面ごとに高さが異なっていることが多いので、その場合には1面ごとの面積を計算し、最後に4面の合計面積を計算します。

1-3延べ床面積から計算する

建物の延べ床面積に係数を掛けて、簡単に大まかな外壁面積を計算する方法があります。

計算式は次の通りです。

外壁塗装面積=延べ床面積×1.2~1.4

この係数(1.2~1.4)を掛けることで、窓の部分などの塗装しない部分の面積が省かれます。

また係数は、延べ床面積が大きくなるほど(建物が大きくなるほど)小さい数字を採用した方が実測値に近くなる傾向があります。

尚、延べ床面積とは各階の床面積の合計のことをいいます。

この方法で求めた面積はあくまでも概算なので塗装業者が見積もり書の数量として採用することはありませんが、一般の方が見積もり書に記載された数量を簡単にチェックする上ではとても役に立つといえます。

見積書に記載されている数量とこの方法で計算した数量があまりにも大きく違う場合には、業者の見積もり書の精度を疑ってかかった方が良いでしょう。

尚、見積もり書に記載される数量の単位は平米(㎡)なので、延床面積が坪で表示されている場合には、平米(㎡)に換算して計算する必要があります。

計算式は次の通りです。

延べ床面積(㎡)=坪数×3.31

坪数から㎡数を計算したものを表にまとめてみました。(1坪=3.305㎡で計算)

坪数 ㎡数
20坪 66.1㎡
25坪 82.6㎡
30坪 99.2㎡
35坪 115.7㎡
40坪 132.2㎡
45坪 148.7㎡
50坪 165.3㎡

外壁塗装面積の早見表

前述した1-3の計算式を使って、建物の延べ床面積ごとに外壁の大まかな塗装面積の早見表を作成すると次の表のようになります。(係数1.2で計算)

延べ床面積(坪) 延床面積(㎡) 外壁塗装面積(㎡)
20坪 66.1㎡ 79.3㎡
25坪 82.6㎡ 99.1㎡
30坪 99.2㎡ 119.0㎡
35坪 115.7㎡ 138.8㎡
40坪 132.2㎡ 158.6㎡
45坪 148.7㎡ 178.4㎡
50坪 165.3㎡ 198.3㎡

※横にスクロールしてください。
※ただし窓の数や大きさによっても外壁塗装面積が異なります。

屋根塗装面積の計算方法

外壁と同時に屋根も塗装する場合には、屋根の面積も併せて計算する必要があります。

屋根面積の大まかな計算方法は次の通りです。

屋根塗装面積=1階の床面積×係数(1.2または1.5)

係数は屋根勾配が緩やかであれば1.2、屋根が急勾配であれば1.5を採用します。

また計算のもとになる面積は1階の床面積で、外壁の面積を計算する場合(延べ床面積から計算)とは異なるので注意が必要です。

屋根塗装面積の早見表

前述した計算式を使って、屋根の塗装面積の早見表を作成すると次のようになります。

1階の床面積(坪) 1階の床面積(㎡) 屋根面積(緩やかな勾配の場合) 屋根面積(急勾配の場合)
20坪 66.1㎡ 79.3㎡ 99.2㎡
30坪 99.2㎡ 119.0㎡ 148.8㎡
40坪 132.2㎡ 158.6㎡ 198.2㎡
50坪 165.3㎡ 198.4㎡ 248.0㎡

※横にスクロールしてください。

屋根の正確な面積を出すためには、実際には屋根勾配の他に、軒の出の寸法を計測する必要があります。(軒の出の寸法によって屋根面積が変わります)

したがって正確な面積は業者の実測によるか、図面で確認する必要がありますが、見積もり書に記載された屋根の面積が妥当かどうかをチェックする程度であれば、この表の面積を参考にして確認することができます。

足場面積の計算方法

次に足場の面積を計算する方法を紹介します。

足場の面積を計算するためには、まずは足場の外周の長さを計算します。

足場は建物から0.6m離して設置するため、足場の外周の長さは次のようになります。

足場の外周=(縦幅+0.6m×2)×2面+(横幅+0.6m×2)×2面

※横にスクロールしてください。

この数値に足場の高さを掛けると足場の面積を計算することができます。

坪数ごとの足場面積早見表

建物の面積がほぼ同じであったとしても、建物の形状が正方形に近くなるほど足場の面積は少なくなります。

(1辺の長さが4mの正方形の建物の方が、長辺8mで短辺が2mの長方形の建物よりも外周が短くなるので、同じ面積でも足場は少なくなります。)

したがって同じ面積の建物であっても足場の面積には幅がありますが、概ね次の表のようになります。

2階建住宅延床面積 足場面積
20坪 145~159㎡
30坪 175~189㎡
40坪 205~219㎡
50坪 235~249㎡

塗装単価から見る塗装代の計算方法

塗装工事にかかる費用は、次の計算式で求めることができます。

塗装工事費=塗装面積×塗装単価

塗装面積の計算方法については今まで紹介した通りなので、これに塗装単価を掛ければ塗装工事費を自分でも計算することができます。

塗装単価は使用する塗料によって大きく異なり、主な塗料の単価は次のようになります。

塗料の種類 塗装単価
アクリル系塗料 1,000~1,800円/㎡
ウレタン系塗料 1,500~2,500円/㎡
シリコン系塗料 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 2,200〜4,000円/㎡
光触媒塗料 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 4,500~5,500円/㎡
遮熱塗料 3,500~4,000円/㎡

それぞれの塗料の特徴や価格についてはこちらの記事をご覧ください。

平米数別:外壁塗装の工事費用例

外壁塗装工事では、塗装代、足場代のほかに高圧洗浄代、養生代、付帯部分の塗装代、諸経費などがかかります。

外壁をシリコン塗料で塗装した場合、これらを全て含んだ工事費がどれ位になるのかを建物の坪数別に試算してみました。

ただし単価は施工業者によって異なるので、あくまでも目安としてお使いください。

30坪(99㎡)の住宅の場合

足場面積180㎡、外壁塗装面積119㎡(99×1.2)として計算

項目 単価(㎡) 価格
足場代(飛散防止ネット) 1,100円 198,000円
高圧洗浄代 200円 23,800円
養生代 300円 35,700円
塗装工事(シリコン塗料3回塗り) 2,800円 333,200円
付帯部分の塗装工事(一式) 100,000円
諸経費(一式) 69,000円
合計 759,700円(消費税別)

※横にスクロールしてください。

40坪(132㎡)の住宅の場合

足場面積210㎡、外壁塗装面積158㎡(132×1.2)として計算

項目 単価(㎡) 価格
足場代(飛散防止ネット) 1,100円 231,000円
高圧洗浄代 200円 31,600円
養生代 300円 47,400円
塗装工事(シリコン塗料3回塗り) 2,800円 442,400円
付帯部分の塗装工事(一式) 100,000円
諸経費(一式) 85000円
合計 937,400円(消費税別)

※横にスクロールしてください。

50坪(165㎡)の住宅の場合

足場面積240㎡、外壁塗装面積198㎡(165×1.2)として計算

項目 単価(㎡) 価格
足場代(飛散防止ネット) 1,100円 264,000円
高圧洗浄代 200円 39,600円
養生代 300円 59,400円
塗装工事(シリコン塗料3回塗り) 2,800円 554,400円
付帯部分の塗装工事(一式) 100,000円
諸経費(一式) 101000円
合計 1,118,400円(消費税別)

※横にスクロールしてください。

業者ごとに見積もりの費用が異なっている場合の対処法

外壁塗装の際に複数の業者から相見積もりを取った時に、業者ごとに見積もり金額がバラバラだったということは決して珍しくありません。

その際に、あらかじめご自身でご自宅の延べ床面積や1階の床面積などから大まかな外壁や屋根の塗装面積を計算しておくことで、見積書に記載された数量を比較して良否を判断することができるようになります。

自分で計算した数量とあまりにも数量が異なっていた場合には、その業者はあまり信用できません。

業者によっては大雑把な現地調査しか行わずに、細かな計算を行っていないこともあるので注意が必要です。

自宅の外壁や屋根の面積を自分なりに把握しておくことで、業者から提出された見積もり書のチェックに役立ててください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

塗装工事のおおよその工事費用は、使用する塗料が決まっていればあらかじめ自分で計算することができます。

こうして計算した数字を頭の中に入れておくと、業者の見積もりをチェックする際に非常に役立ちます。

過剰な見積もりや手抜き工事、追加工事の請求など、トラブルが多い業界だからこそ、基本的な知識を身に付けて業者の見積もり書をチェックできるようにしておくことが大切です。

本記事の内容を参考にして、業者の見積もりチェックに役立てていただければ幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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