樹脂系サイディングを徹底解説!特徴、費用、おすすめメーカー
樹脂系サイディングという外壁材をご存知でしょうか。
日本では一般的に外壁には窯業系サイディングが使われることが多く、樹脂系サイディングはあまり使われていません。
サイディングには、窯業系サイディング以外にも金属系サイディングや木質系サイディング、樹脂系サイディングがあります。
樹脂系サイディングは日本ではあまり使われていないものの、アメリカなど他の国ではメジャーなサイディングとして定着しつつあります。
特に、北米などの寒冷地で採用されるケースが増えてきています。
しかし、樹脂系サイディングは他の外壁材とは異なる特徴やメリット、デメリットがあります。
そこで今回は、樹脂系サイディングの特徴やメリット・デメリットについて解説します。
目次
樹脂系サイディングの基礎知識
樹脂系サイディングは、塩化ビニール樹脂を主原料としたサイディングボードです。
塩化ビニール樹脂とは、60%が天然塩で40%が石油を原料とするプラスチックで、腐食やひび割れが起こりにくい特徴を持っています。
塩化ビニール樹脂を主原料とする樹脂系サイディングは、高い耐久性や凍害に強い特徴から北米エリアなどの寒冷地で普及している外壁材です。
上からの塗装の必要がなく、耐用年数は30年前後
樹脂系サイディングは一般的な住宅に使われている窯業系サイディングとは異なり、サイディング自体に色がついているため、上から塗装する必要がありません。
また、原料となる塩化ビニール樹脂は腐食やひび割れが起こりにくく燃えにくいという性質もあります。
メーカーによっては耐用年数が30年前後の商品もあります。
日本国内での普及率は1%~2%、対応業者も少ない
日本国内での樹脂系サイディングの普及率は、1%~2%程度です。
国内では窯業系サイディングが普及しているため、樹脂系サイディングに対応できる業者も少ないのが現状です。
日本国内では樹脂系サイディングを取り扱うメーカーも少なく、業者間での認知度も低いため、樹脂系サイディングを施工できる業者が増えない原因のひとつになっています。
しかし凍害などへの耐久性が高いことから、北海道や東北などの一部の寒冷地では普及してきています。
それ以外の地域においてはまだ普及率も認知度も低いため、樹脂系サイディングを扱っている業者を探すには手間がかかるかもしれません。
樹脂系サイディングのメリット
日本国内ではあまり使われていない樹脂系サイディングですが、その他の外壁材に比べてもメリットは非常に多いサイディングです。
ここでは、樹脂系サイディングのメリットについて解説します。
耐用年数が長い
樹脂系サイディングの主原料である塩化ビニール樹脂は、腐食やひび割れが起こりにくい特徴があります。
そのため、樹脂系サイディングの耐用年数は長く設定されています。
商品によっては、耐用年数が30年ほどとなることもあります。
塗装やコーキングのメンテナンスがほぼ不要
樹脂系サイディング自体に色がついているため上からの塗装が必要なく、外壁の塗り替えなどのメンテナンスがほとんど必要ありません。紫外線による変色はありますが、窯業系サイディングのような定期的なメンテナンスはほぼ不要です。また、樹脂系サイディングの施工方法にはオープンジョイント工法が採用されるため、サイディング同士のジョイント部分へのコーキングがありません。
したがってコーキング劣化によるコーキング部分へのメンテナンスも必要ありません。
凍害・塩害の影響を受けない
樹脂系サイディングは撥水性のある塩化ビニール樹脂を主原料としているので吸水性が低く、凍害などの影響を受けにくい特徴があります。
さらに弾力があることでへこみやクラックも発生しくく、凍害によるひび割れもほとんどありません。
また樹脂系サイディングで採用されるオープンジョイント工法によって、外壁材の裏側への雨水の侵入を抑えられます。
さらに潮風などによる塩害にも強く、サビや腐食もありません。
建物への負担が少ない
樹脂系サイディングを施工することで建物への負担が少なくなります。
樹脂系サイディングの重量は、窯業系サイディングの1/10ほどと軽量です。
建物の重量は耐震性に大きく影響するため、できるだけ軽量にすることで耐震性の向上が期待できます。
また、カバー工法などのリフォームに於いても、軽量な樹脂系サイディングは重宝されます。
変色しにくい
樹脂系サイディングは素材自体に顔料が含まれているため、長期間変色しにくい特徴があります。
窯業系サイディングでは上から塗装する必要があります。また施工方法によっては塗装ムラも発生します。
しかし樹脂系サイディングは、材料そのものに色がついているため、部分的な変色も起こりにくいとされています。
ひび割れが起きにくい
樹脂系サイディングは素材自体に弾力があるため衝撃によるひび割れが起こりにくく、台風などで物がぶつかったとしても、へこみやひび割れが発生しにくいとされています。
また寒冷地ならではの雪圧に対しても、素材の弾力によって対応することができます。
防火性が高い
樹脂系サイディングは防火性が高く、火元に接してなければ自然と消化する性質があります。
また樹脂系サイディングは燃え始める温度が450度程度と高く、簡単に火が付くことはありません。
汚れにくくお手入れが簡単
樹脂系サイディングには汚れにくい性質があります。
サイディングの表面に付いたほこりなどは、雨で簡単に洗い流されます。
また、苔や藻が発生してしまった場合にも、樹脂系サイディングの耐久性の高さから高圧洗浄機などを使ってのメンテナンスが可能です。
樹脂系サイディングのデメリット
一般的な住宅の使われている窯業系サイディングと比べてもメリットの多い樹脂系サイディングですが、実際に施工する際には知っておきたい注意点があります。
ここでは、樹脂系サイディングのデメリットを解説します。
認知度が低く取り扱っている業者が少ない
樹脂系サイディングの認知度が低いため、取り扱っている業者が多くありません。
日本国内での樹脂系サイディングの普及率は1%程度で施工実績も少ないため、施工業者の知識や経験値も低いことが最大のデメリットです。
色やデザインが少ない
樹脂系サイディングは、カラーバリエーションやデザインが限られます。
認知度や普及率が低いため、窯業系サイディングなどと比べると圧倒的に種類が少なくなります。
また素材自体に顔料を含ませているため、木目調などの複雑なデザインができず、単色デザインになります。
施工費が他の外壁材と比べて高い
樹脂系サイディングはサイディング自体の生産量が少なく、また取り扱える業者が少ないことから、工事を行う際の施工費が他の外壁材と比べて高くなります。
ただし、窯業系サイディングなどと違ってメンテナンスにかかる費用を抑えることができますので、トータルコストではそこまで大きな差にはなりません。
樹脂系サイディングの費用相場
樹脂系サイディングの費用相場は一般的な30坪の住宅の場合、約150~300万円程度です。
窯業系サイディングなどの他の外壁材よりも施工費用は高くなりますが、外壁塗装やシーリングのメンテナンスなどが必要ないことからトータルコストで考えると安くなることもあります。
また、軽量な樹脂系サイディングはカバー工法などでも使うことができるので、モルタル外壁などからリフォームする方も増えています。
工事費用の内訳
樹脂系サイディングの工事費用の相場は150~300万円程度ですが、工事費用の中にはさまざまな費用が含まれています。
工事費用の中には、樹脂系サイディングなどの材料費かかる費用の他にも、足場の設置費用や施工する職人の人件費などがあります。
また、窯業系サイディングのメンテナンスは一般的に10年前後を目安に定期的に行う必要があります。
メンテナンスの際には、塗料などの材料費や足場の設置費用、職人の人件費などが毎回必要になります。
しかし樹脂系サイディングの場合には定期的なメンテナンスがほとんどないため、施工後のメンテナンス費用を捻出する必要がありません。
樹脂系サイディングへのリフォーム方法と工期
樹脂系サイディングへのリフォーム方法には、重ね張りと張り替えによる方法があります。
ここではそれぞれの工法の特徴と工期について解説します。
重ね張り(カバー工法)によるリフォーム
重ね張り(カバー工法)とは、既存の外壁の解体や撤去を行わずに上から新しいサイディング材を張り付けるリフォーム方法です。
施工後の外壁が既存の外壁材と新しいサイディング材の二重になることから、できるだけ軽量のサイディング材を選択することが大事です。
重ね張り工法の工期は7日~14日程度です。
重ね張り工法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にして下さい。
張り替えによるリフォーム
張り替えは既存の外壁をすべて解体、撤去して新しいサイディング材を張り付ける工法です。
既存の外壁材を撤去することで、サイディングの下に隠れていた防水シートの劣化や外壁内部の腐食に対応することができるメリットがあります。
また、既存の外壁材を撤去することで建物の重量を軽くすることが可能です。張り替え工法の工期は2週間~3週間程度です。
張り替え工法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
樹脂系サイディングと他のサイディング材との価格さや性能の違いとは?
日本の住宅で使われているサイディングは主に4つの種類があります。
窯業系サイディング、金属系サイディング、木質系サイディング、樹脂系サイディングです。
ここでは樹脂系サイディングとその他のサイディング材との違いを解説します。
種類 | 樹脂系サイディング | 窯業系サイディング | 金属系サイディング | 木質性サイディング |
耐久性 | ◎ | ◯ | ◎ | △ |
耐震性 | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ |
耐火性 | ◯ | ◎ | ◯ | △ |
対凍結性 | ◎ | △ | ◯ | △ |
デザイン性 | △ | ◎ | ◯ | ◎ |
メンテナンスの頻度 | ◎ | △ | ◯ | △ |
耐用年数 | 30年前後 | 7〜10年 | 10〜15年 | 7〜10年 |
費用相場(30坪) | 150〜300万円 | 100〜200万円 | 120〜250万円 | 200〜400万円 |
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窯業系サイディング
日本の住宅に使われているサイディングの中でも、もっとも普及しているのが窯業系サイディングです。
耐火性やデザイン性が高く、幅広いデザインの住宅に採用することができます。
費用相場は100~200万円程度とサイディング材の中でも費用を抑えることが可能です。
窯業系サイディングについては、こちらの記事を参考にして下さい。
金属系サイディング
金属系サイディングは、ガルバリウム鋼板などを使ったサイディング材で耐久性の高さが特徴です。
またサイディング自体が軽量なため建物に負担をかけず、耐震性の向上も期待できます。
金属系サイディングはカバー工法など、軽量なサイディング材を必要とする工法で採用されるケースが多くなっています。
費用相場は120~250万円程度で樹脂系サイディングよりは費用を抑えることが可能です。
金属系サイディングについてはこちらの記事を参考にして下さい。
木質系サイディング
木質系サイディングは本物の木材を使ったサイディング材で、デザイン性や質感の高さが特徴です。
その他のサイディング材と比較すると耐久性が低くなりますが、定期的にメンテンナスを行うことで高いデザイン性や耐久性を保つことができます。
費用相場は200~400万円程度で、樹脂系サイディングに比べても高額になります。耐久性や費用よりもデザイン性の高さを求める方に採用されています。
木質系サイディングについてはこちらの記事を参考にして下さい。
樹脂系サイディングを製造しているメーカーと主要商品
日本国内での普及率は高くありませんが、樹脂系サイディングを製造しているメーカーがいくつかあります。
ここでは樹脂系サイディングを製造しているメーカーと主要商品を紹介します。
旭トステム外装(リクシル):WALL-J
※出典:旭トステム外装「WALL-J」
旭トステム外装のWALL-Jには、落ち着いた配色で高級感を印象付けるシリーズとベース使いがしやすい淡色をそろえたシリーズがあります。
どちらも光沢を抑えた色合いで建物に高級感を持たせることができます。
表面色の部分的な変色や褐色にはメーカーの30年保証がついています。
ゼオン化成:ゼオンサイディング
※出典:ゼオン化成「ゼオンサイディング」
ゼオン化成のゼオンサイディングには、4つのシリーズがあり豊富なカラーバリエーションの樹脂系サイディングがあります。
また、縦張りと横張りの商品ラインナップがあるため、さまざまな住宅デザインが可能です。
エポックス:永久美人
※出典:エポックス「永久美人」
エポックスの永久美人は、メーカー保証が30年付いた高耐久の樹脂系サイディングです。
1997年ごろから販売を開始し、全工事を自社による施工を行っています。
樹脂系サイディングの施工業者が少ない中、施工実績も豊富です。
まとめ
樹脂系サイディングは、日本国内ではまだ認知度や普及率が低い外壁材です。しかし、寒冷地などでは徐々に採用されています。
耐久性や対凍害性に優れたサイディング材で、軽量なため建物の耐震性の向上にも期待できます。
また、窯業系サイディングなどのように外壁塗装などのメンテンナスがほとんど必要ないメリットがあります。
しかし、国内での普及率が低いために施工実績が増えないことや、施工単価が高額になるなどのデメリットもあります。
初期コストが高い樹脂系サイディングですが、国内での認知度や普及率が上がることで施工実績や施工単価は改善されていくでしょう。
建物のトータルコストを考えた場合には、樹脂系サイディングも選択肢のひとつとなるでしょう。
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