サイディング外壁の種類!種類別メリット・デメリットや費用も解説

現在、国内で新築される住宅の約8割の外壁にサイディング外壁が使用されています。

サイディング外壁は素材により大きく4つに分けられ、それぞれに特徴があります。

住まいづくりでは、それらの特徴をあらかじめよく知っておくことが大切です。

そこで今回は、サイディングの種類とそれぞれのメリット・デメリット、費用相場について詳しく紹介します。

サイディング壁材の種類は4種類

サイディングとは工場生産される外壁材のことで、品質が安定していて工事費用が安く抑えられるため、国内で建築される多くの新築住宅に使用されています。

またサイディングには素材の違いにより、窯業系サイディング、金属系サイディング、木質系サイディング、樹脂系サイディングの4種類があり、それぞれに特徴があります。

そして各サイディングの特徴を知ることで、自分の住まいに最適なサイディングを選ぶことができるようになります。

1:窯業系サイディング

窯業系サイディングとは、セメント質原料、繊維質原料、および混和剤からなる混合原料を窯で高熱処理して養生・硬化させたものです。

防火性能に優れ(全ての製品が防火構造認定製品です)、耐震性、断熱性、施工性も兼ね備えています。

サイディングの中で最も人気

窯業系サイディングは組成により「木繊維補強セメント板系」「繊維補強セメント板系」「繊維補強セメント・ケイ酸カルシウム板系」の3種類に分けることができ、サイディングボードの中で最も出荷量が多くなっています

また窯業系サイディングボードには、工場内で塗装する「塗装仕上げ」と現場で塗装する「無塗装板」の2種類があります。

国内における住宅の外壁の7割に採用されているといわれ、塗装仕上げのサイディングボードは模様や色合いもさまざまでデザイン性が高く、おしゃれな外壁材として高い人気があります。

工場で生産されるため品質が安定していて、大量生産されるのでコストがかからないことも特徴のひとつです。

ただし、最終的には塗装で仕上げられるため、定期的な塗り替え工事が必要です。

メリット・デメリット

窯業系サイディングのメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

メリット

  • 安価なので初期費用が抑えられる
  • デザイン、カラーのバリエーションが豊富
  • 耐火性、防火性に優れている
  • 施工が容易

デメリット

  • 素材自体に防水機能がないため、塗装による防水加工が必要
  • メンテナンス頻度が高い
  • 熱が蓄積しやすい
  • レンガやタイル、石など本物の質感には劣る

デザインの種類

金属系サイディング

金属系サイディングとは、金属板に断熱性のある裏打ち材を組み合わせて加工したものです。

金属製と聞くと無機質で冷たい印象を受ける方が多いと思いますが、近年では金属加工の技術が進歩していて、さまざまなデザインが選べるようになっています。

窯業系サイディングの様なレンガ風やタイル調、石目柄のものもあり、少しずつクオリティの高い商品が市場に出まわるようになってきました。

シェア№2リフォームで人気

金属製サイディングには、表に張られた金属素材によって溶融亜鉛メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、アルミニウム合金、ステンレス鋼板の4つがあり、国内では窯業系サイディングに次いでシェア№2となっています。 

軽量で断熱性が高く断熱・遮音効果の向上が期待できることから、サイディングの重ね張り(カバー工法)のリフォームに多く使われています。

また金属素材のため窯業系サイディングよりも衝撃に強く、メンテナンスサイクルが長くなる傾向があります。

そして金属製サイディングの中でも、ガルバリウム鋼板のものが近年の主流になっています。

アルミや亜鉛を鉄に被覆させたものですが、サビに強く耐久性に優れていて、金属サイディングの中でも比較的安価なのが人気の秘訣です。

メリット・デメリット

金属系サイディングのメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

メリット

  • 断熱性に優れている
  • 軽量なので施工しやすく、建物に負担をかけないため耐震性に優れている
  • 凍害に強くひび割れしにくいため、メンテナンス周期が長い

デメリット

  • 表面に傷が付きやすく、傷が付くとサビが発生する
  • 酸性雨や塩害により劣化しやすいので、海沿いの地域には向かない
  • デザインのバリエーションが少ない

デザインの種類

木質系サイディング

木質系サイディングとは、木材を使用して板状に加工した外壁材のことです。

窯業系サイディングや金属系サイディングでも木目調のデザインのものがありますが、どうしてもナチュラルさに欠けてしまいます。

その点木質系サイディングであれば天然の木材を使用するため、木材ならではの木の温もりが感じられます。

 窯業系や金属系にない自然で高級感のある質感

木質系サイディングには、天然の一枚板(無垢材)を使用したものや、木片同士を接着させたパーティクルボード系、木の繊維を固めたMDF系の3種類があります。

デザインや価格、使用する範囲などに応じて使い分けることになりますが、いずれも天然木を素材として使用しているため、熱を吸収しにくく断熱性が高いという特徴を持っています。

建物外部の熱が直接室内に伝わるのを防ぎ、夏場でも快適に過ごせる様になります。

また木の風合いを活かして、窯業系や金属系サイディングでは味わえない自然で高級感のある質感を得ることができます。

メリット・デメリット

木質系サイディングのメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

メリット

  • 断熱性が高い
  • 木の風合いを活かした自然で高級感のある質感が得られる

デメリット

  • 水や火に弱く経年劣化しやすいため、メンテナンスに費用がかかる
  • 耐久性が低い
  • 施工できる業者が少ない

デザインの種類

 

樹脂系サイディング

樹脂系サイディングとは、主原料にプラスチックの一部である塩化ビニル樹脂を使用した板状の外壁材です。

北米では約50%のシェア率がありますが、国内ではまだあまり使用されておらず、

北海道や東北地方などの寒冷地を中心に、少しずつ需要を伸ばしています。

メンテナンスに手間がかからない

樹脂系サイディングの種類は1種類しかありませんが、他のサイディングと比べて耐久性が高くメンテナンスに手間がかからないことが特徴です。

素材自体に顔料が練り込まれているため退色することはほとんどなく、商品によっては目地にシーリングが不要なものもあります。

また軽量な材質なので、金属系サイディングと同様に重ね張りのリフォームにも適しています。

一方では、国内ではわずか1%程度のシェア率しかないので、施工可能な業者を探すのが簡単ではありません。

また施工難易度が高いため、施工費用がが割高になる傾向があります。

メリット・デメリット

樹脂系サイディングのメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

メリット

  • 耐久性が高くメンテナンスの手間が少ない
  • 凍害や塩害に強い
  • 軽量なので建物に負担をかけず、耐震上有利になる

デメリット

  • 色柄が限定されるので、デザイン性が低い
  • 国内では施工業者が少ない
  • 施工難易度が高く、工事費用が高くなりやすい

ご自宅の外壁材の種類を見分ける方法

外壁材の種類によって耐用年数やメンテナンスの仕方が違ってくるので、自宅の外壁には何が使われているのかを知っておくことが非常に重要です。

そしてほとんどの方はご自宅の外壁材の種類をご存知だと思いますが、中古住宅を購入された方や、親から家を相続した場合などはわからないこともあるでしょう。

そこで自宅の外壁材の種類を見分ける方法をご紹介します。

外壁の目地があるかどうか

はじめに外壁に目地があるかどうかに注目します。 

目地がない場合には、モルタル外壁になります。

稀に漆喰や土壁のケースがありますが、近年建築された個人住宅の外壁が漆喰や土壁でできている事例は、都市部ではほとんどありません。

次に目地がある場合はサイディングかALCといえますが、金属系サイディングの場合は目地があまり目立ちません。

また、金属系サイディングや木質系サイディング、樹脂系サイディングの場合には、触ると質感の違いでも判別することができるでしょう。

外壁の目地の位置

次に目地の位置に注目します。

窯業系サイディングの1枚の大きさは455mm×3,030mmのものがほとんどなのに対して、1枚のALCパネルの幅は606mm(薄型パネルの場合)が標準です。

そしてALCは通常幅はそのまま使用するので(一部幅詰めして全体の寸法を調整します)、横606mm間隔で目地がある場合には、ALCと思ってほぼ間違いないでしょう。

またALCパネルの厚さは、75mm以上の厚型パネルと35mm以上75mm未満の薄型パネルがあり、木造住宅には主に薄型パネルが使用されています。

一方、窯業系サイディングは最も厚いものでも18mmで、ALCパネルの厚さの1/2程度しかありません。

この厚みはサッシなどの取り付けにも影響するので、ALCでは窓が外壁面よりも内側にあることがあります。

これらに注目して見ることで、サイディングとALCの判別ができます。

サイディング材の種類別費用相場

サイディング材の価格は、種類ごとに異なります。

一般的には、窯業系サイディング<金属系サイディング<木質系サイディング<樹脂系サイディングの順に価格が高くなります。

サイディング材の種類別の費用相場についての詳細は、リンク先の記事を参照してください。

サイディング外壁は7〜10年ごとにメンテナンスが必要

サイディングは経年劣化を起こすため、7〜10年ごとにメンテナンスが必要です。

定期的なメンテナンスをきちんと行うことで、住まいの耐久性を向上させることに繋がります。

メンテナンス時期の目安や費用についての詳細は、リンク先の記事を参照してください。

サイディングのリフォーム業者を選ぶ時のポイント

サイディング外壁の補修や塗装などのリフォームを行う際には、どのような業者に依頼すればよいのでしょうか。

ここでは業者選びのポイントを3つご紹介します。

施工実績が多い

多くのお客様を抱えている業者には、当然多くの施工実績があります。

施工実績が多く、経験豊富な業者からは状況に応じた的確なアドバイスが期待でき、依頼主のニーズに合わせた提案力にも優れていることが予想できます。

ホームページの施工事例や営業マンへの質問などを参考にして、どの程度の施工実績があるのかを事前に必ず確認する様にしましょう。

また必要に応じて、近くの施工中の現場に案内してもらうのも一つの方法です。

工事後の保証がある

どんなリフォーム工事でも、完成後に不具合が発生してしまうことがあります。

万一業者のミスで不具合が発生した際に、無償で補修してもらえる保証が付くかどうかも必ず確認しておきましょう。

また保証内容や保証期間は業者によって異なるので、詳細まできちんと確認しましょう。

外壁塗装の保証についてはこちらの記事を参考にしてみてください。

 

工事後のメンテナンスにも対応している

保証期間が終了しても、その後のメンテナンスは非常に重要です。

定期点検やアフターサービスなどの体制がきちんと整備されているかどうかも確認しておくと良いでしょう。

外壁塗装のアフターサービスについてはこちらの記事を参考にしてみてください。

まとめ

サイディング外壁には様々な種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

それらを十分に理解して今後のメンテナンス計画を立てるとともに、これから家を建てようとする方にもぜひ参考にしていただきたいと思います。

また自分の家の外壁材が何なのかわからないという方に、ご自宅の外壁材を見分ける方法についてご紹介しましたので、今後のメンテナンス計画にお役立てください。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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