外壁塗装の高級塗料フッ素塗料!特徴、価格、おすすめメーカー

外壁の塗り替えを検討している際に、フッ素塗料という塗料について聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

「フッ素塗料は、費用は高いけど耐久性が高いと聞いた」

「他の塗料との違いやメリット・デメリットは?」

などフッ素塗料について知りたい方も多いと思います。

そこでこの記事では、フッ素塗料の特徴メリット・デメリット費用相場おすすめメーカーについて詳しく紹介します。

外壁塗装のフッ素塗料とは?

フッ素塗料はとても高価ですが、優れた耐久性や耐候性を持っているため、頻繁に塗り替えができない高層ビルや大型の商業施設、陸橋、鉄塔、飛行機などの塗装に多く使用されています。

例えば、東京を代表する建築物である東京スカイツリーや六本木ヒルズなどでも使われています。また、フライパンなどの調理器具など身近なところでも使用されている塗料です。

フッ素塗料を構成する樹脂の中にフッ素が含まれており、耐用年数は15~20年と他の塗料よりも長いのが特徴です。

一般住宅では価格面での問題もありそれほど多くは使われていませんが、紫外線による劣化が激しい屋根を中心に、大きな住宅の外壁などに使われています。

一回の塗り替えにかかる塗料代や工事費は高くても、塗り替え頻度を少なくしてメンテナンス費用や足場代を節約できるのがメリットです。

外壁塗装のフッ素塗料のメリット・デメリット

フッ素塗料のメリットとデメリットには具体的にどのような点があるのでしょうか。

詳しく紹介します。

フッ素塗料のメリット

フッ素塗料は外壁塗装で主流になっているシリコン系塗料やウレタン系塗料よりも高価ですが、耐久性・耐候性に優れています。

メリットをまとめると次のようになります。

耐用年数が長い

耐久性、耐候性、耐薬品性に優れていて、紫外線や酸性雨、温度変化などにも強い塗料です。

また、耐熱性にも優れているので、紫外線などの熱による劣化がしにくくなります。

親水性がある

親水性があって雨と一緒に汚れを落とすので、汚れが付着しにくい(低汚染性)塗料といえます。

防カビ性、防藻性に優れている

カビや藻が付着しにくい塗料です。

光沢が長持ちする

耐摩耗性に優れているので、光沢が長持ちし長期間美観を維持することができます。

フッ素塗料のデメリット

数多くのメリットがあるフッ素塗料ですが、デメリットもあるので注意が必要です。

フッ素塗料のデメリットには次のような点があります。

価格が高い

ほかの塗料と比較して価格が高いことが最大のデメリットといえます。

一般的には、最も多く使用されているシリコン塗料の約1.5~2倍程度の価格になります。

そのため、一般住宅向けとしての実績がまだ少なく、施工経験豊富な業者が少ないこともデメリットといえるでしょう。

塗膜が硬くて弾力性がない

ほかの塗料と比べて塗膜が硬くなるので、外壁にひび割れが発生すると塗膜も一緒に割れてしまうことがあります。

また外壁サイディングのコーキング(継ぎ目部分の目地の充填剤)との相性が悪く、コーキング部分の塗膜にひび割れが生じてしまうことがあります。

ツヤ消し塗料がない(3分ツヤまで)

外壁のツヤは安っぽく見えるとしてあまり好まない方もいます。

また和風建築物との相性が悪い場合もあるので、好みが分かれます。

フッ素塗料の塗膜は、親水性の高さによるメリットを発揮するために光沢のある仕上がりになります。

マットなツヤ消し塗料がないのがデメリットです。

再塗装が難しい

フッ素塗料は塗膜が硬くて親水性があるため、塗り替えの際には塗料の密着を妨げます。

そのため塗り替える際には下塗り材の選定に注意が必要になります。

フッ素塗料は非常に耐久性の高い塗料ですが、外壁にフッ素塗料、屋根には別の塗料を使って塗装した場合には、先に屋根だけが劣化してしまい、足場を掛けて屋根だけを塗り替えることにもなりかねません。

こうしたことを避けるためにも、建物全体のメンテナンスサイクルのバランスをよく考えて塗料の選定を行うことが大切です。

フッ素塗料と他の塗料の違い

屋根や外壁の塗装に使用する塗料の中には、フッ素塗料のほかにもさまざまな塗料があります。

それぞれの塗料の大まかな特徴は次の通りです。

アクリル塗料

軽量なので重ね塗りがしやすく光沢があって安価だが、耐用年数が短い

詳しくはこちら

 

ウレタン塗料

柔らかい素材なので密着性に優れているため、複雑な形状の外壁にも塗装しやすい

詳しくはこちら

 

シリコン塗料

耐用年数や価格などの総合的なバランスに優れているため、現在最も人気の高い塗料

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ラジカル(制御型)塗料

チョーキング現象の発生を抑えるために開発された比較的新しい塗料

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光触媒塗料

塗料に含まれている酸化チタンが太陽光から放出される紫外線にあたって化学反応を起こすことで、壁面に付いた汚れを分解する効果がある

詳しくはこちら

 

無機塗料

有機物の含有量が少ないためチョーキングなどの劣化が起こりにくいのが特徴、最も高価なフッ素塗料より価格が高い反面、塗膜が長持ちするため耐久性に優れている

詳しくはこちら

 

塗料ごとの耐用年数と施工価格を表にまとめると以下のようになります。

塗料 耐用年数 施工価格(単価)
アクリル塗料 5~8年 1,000~1,800円/㎡
ウレタン塗料 7~10年 1,500~2,500円/㎡
シリコン塗料 10~15年 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 12~15年 2,200~4,000円/㎡
光触媒塗料 12~20年 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 15~20年 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 20〜25年 4,500~5,500円/㎡

※横にスクロールしてください。

フッ素塗料、おすすめメーカーの商品

フッ素塗料にもさまざまな種類があります。

一般の方には、どれを選べば良いのか分からないことがほとんどでしょう。

そんな場合には、国内を代表する三大塗料メーカーの商品を選んでおくと比較的安心です。

(職人の技術にも左右されるので、絶対とはいえません)

大手塗料メーカーのおすすめ外壁用フッ素塗料を紹介します。

1.日本ペイント

  • ファイン4Fセラミック

モルタル、コンクリート、ALC、サイディングボード、鉄、アルミなどの多くの外壁材に塗装することができ、最も普及しているスタンダードなフッ素塗料

  • ピュアライドUVプロテクト4Fクリアー

高意匠サイディングボードの模様をより長期間美しく保つことが可能で、防カビ性、防藻性にも優れた塗料

2.エスケー化研

  • クリーンマイルドフッソ

塗装可能な素材(適用下地)が多く、高い耐久性、低汚染性に加えて防カビ性・防藻性にも優れた塗料

  • スーパーセラタイトF

一液タイプのため調合、撹拌等の煩わしい作業がなく、また水性なので環境に優しい塗料

3.関西ペイント

  • セラMフッソ

主に外装の上塗りに使用されるほかに内部塗装にも適応できるので、幅広く使用できる塗料

  • アレスアクアフッソⅡ上塗

一液型水性塗料ながら、溶剤系塗料に匹敵する機能性を備えた環境に優しい塗料

フッ素塗料による外壁塗装の費用相場

フッ素塗料で180㎡の外壁を塗装した場合の工事費用はどれ位になるのでしょうか。

ほかの塗料と比較したものを表にまとめてみました。

塗料の種類 ㎡単価の相場 工事費用
アクリル塗料 1,000~1,800円/㎡ 18~32万円
ウレタン塗料 1,500~2,500円/㎡ 27~45万円
シリコン塗料 1,800~3,500円/㎡ 32~63万円
フッ素塗料 3,500~5,000円/㎡ 63~90万円

※横にスクロールしてください。
※他に足場代、諸経費などがかかります。

次に、一般的な2階建戸建住宅をフッ素塗料で塗装した場合のおおよその塗装費用を建物の坪数別(延床面積別)にみてみましょう。

建物の坪数 フッ素塗料の塗装費用相場
30坪 42~59万円
50坪 69~99万円
70坪 97~139万円

※他に足場代、諸経費などがかかります。※実際に塗装する外壁面積=建物の坪数(延床面積)×1.2で計算しています。

最後に各塗料のコストパフォーマンスを「1㎡あたりの施工単価」÷「耐用年数」で計算してみましょう。

  • アクリル塗料  約125~360円/年
  • ウレタン塗料  約150~360円/年
  • シリコン塗料  約120~350円/年
  • フッ素塗料   約175~330円/年

上記のようにフッ素塗料は必ずしもコストパフォーマンスが低いとは断言できず、耐用年数次第といえるでしょう。

外壁塗装でフッ素塗料を選ぶ時の注意点

フッ素塗料は非常に耐久性に優れた塗料ですがその分高価なので、フッ素塗料を使用した外壁塗装工事では絶対に失敗したくはないでしょう。

そこでフッ素塗料で失敗しないためのポイントを2つ紹介します。

フッ素の含有量が少ない塗料をすすめてくる悪徳業者に注意

現在さまざまな塗料メーカーがフッ素塗料を製造・販売しています。

そのため全ての商品の特徴を把握していて、その良し悪しを判断するのは専門家でも難しいでしょう。

決してマイナーなメーカーの塗料は駄目だとはいえませんが、中には粗悪なフッ素塗料を奨めてくる悪質な業者も存在しています。

しかしせっかく高額なフッ素塗料を使用するのであれば、リスクを冒す必要はありません。

前述した大手塗料メーカーの塗料であれば一定の安心感があります
またメーカーだけではなく、耐用年数も必ず確認するようにして下さい。

フッ素塗料の塗装実績・経験が豊富な業者を探す

どんなに良い塗料を選んでも、施工手順や施工品質の管理がいい加減な業者では塗料の性能を100%発揮させることができません。

フッ素塗料は一般住宅では施工実績がまだそんなに多くはない塗料なので、業者の施工経験が非常に重要です。

事前に業者のホームページや口コミなどで、業者の施工実績を必ず確認するようにしましょう。

外壁塗装にフッ素塗料がおすすめのケース

フッ素塗料は他の塗料と比較して耐久性が高いため、塗り替え周期を長くすることができるのが最大のメリットといえます。

外壁塗装にフッ素塗料がおすすめのケースは以下になります。

長期的に住み続ける予定なので長く持たせたい

塗料を長く持たせたいのであれば、耐久性の高いフッ素塗料が最適です。

メンテナンスのトータルコストを節約したい

フッ素塗料はメンテナンスサイクルを長くすることができるので、特に大きな住宅になるほど塗り替え回数を減らすことで足場代などを節約することができます。

光沢感のある仕上がりが好きな場合

塗膜に光沢があるのがフッ素塗料の特徴です。

別の塗料との塗り分けもおすすめ

せっかく外壁をフッ素塗料で塗り替えても先に屋根が劣化してしまえば、外壁の塗膜が劣化するのを待たずに足場を掛けて屋根だけの塗り替えが必要になってしまいます。

屋根は大量に紫外線を受けるので、一般的に外壁よりも劣化しやすい環境にあります。

したがって塗り替え時期を合わせるためには、外壁をシリコン塗料で塗装して屋根のみをフッ素塗料で塗装するという選択肢もあります。

必ずしも屋根と外壁に使用する塗料を合わせる必要はないので、最適な方法を塗装業者に相談してみると良いでしょう。

フッ素塗料は高価なので、上手に使ってメンテナンスコストを削減するようにしましょう。

まとめ

フッ素塗料は他の塗料と比較して耐用年数が長いものの、非常に高価になります。また機能的にもメリットばかりではありません。

それだけに事前に良く使用方法やデメリットまでを考えて採用しなければ、後悔してしまうことにもなりかねません。

満足度の高い外壁塗装工事を行うために、本記事の内容を参考にしていただければ幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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