外壁塗装の光触媒塗料のメリット・デメリット! 価格、注意点

「塗装業者に光触媒をすすめられたけど、光触媒は他の塗料と何が違うの?」と思う方が多いのではないでしょうか。

せっかく外壁塗装をするのなら、少しでも長持ちする塗料を選びたいと思うのが普通です。

光触媒塗料には、他の塗料にはないさまざまなメリットがあります。

一方デメリットもあるので、後悔しないためにはそれを知っておくことが大切です。

そこでこの記事では、光触媒塗料のメリット・デメリット他の塗料との違い費用相場注意点などについて詳しく紹介します。

目次

外壁塗装の光触媒塗料とは?

光触媒塗料とは、太陽光に反応して汚れを分解するセルフクリーニング機能を持った塗料のことをいいます。

分解された汚れは雨水で洗い流されてしまうため、塗装面を常にきれいな状態に保つことができるようになります。

「セルフクリーニング機能」汚れにくいメカニズム

セルフクリーニング効果を発揮するのは、光触媒塗料に含まれている酸化チタンという物質です。

酸化チタンが太陽の紫外線にあたって化学反応を起こすことで活性酸素を発生させ、活性酸素が塗装面に付いた汚れを分解するという仕組みです。

自分で洗浄しなくても常に綺麗な状態を維持できることから、建物の外壁塗装だけでなくさまざまなものに利用されています。

また酸化チタンは食品や化粧品などにも含まれている物質なので、肌に付着しても無害で安全な物質です。

外壁塗装の光触媒塗料のメリット・デメリット

光触媒塗料には他にもさまざまなメリットがありますが、デメリットもあります。

この章では、光触媒塗料のメリットとデメリットを紹介します。

光触媒塗料のメリット

光触媒のメリットは以下のようになります。

セルフクリーニング機能がある

セルフクリーニング機能については前述した通りです。

耐用年数が長い

光触媒塗料の耐用年数は12~20年程度といわれています。

これは高耐久塗料であるフッ素塗料に匹敵します。

ただしまだ歴史の浅い塗料であるため、実証結果はそれほど多くはありません。

紫外線に強い

光触媒塗料は、太陽光に含まれる紫外線により活性化して汚れの分解、大気浄化が可能になる塗料です。

空気清浄力がある

光触媒に含まれている酸化チタンが化学反応を起こすことで発生する活性酸素には、空気中の大気汚染物質を分解する働きがあります

そのため自動車の排気ガスなどの有害物質を分解する空気清浄機能があることもよく知られています。

したがって家の周りの空気がきれいになり、環境にも優しい塗料といえます。

ヒートアイランド現象を軽減

全ての光触媒塗料ではありませんが、一部の塗料には太陽光を反射することで遮熱し、蓄熱を抑えることで放熱を減らす効果があります。

光触媒塗料のデメリット

光触媒のデメリットは以下の通りです。

価格が高い

一般的なシリコン塗料と比較して約1.5~2倍のコストがかかります。

色の種類が少ない

光触媒塗料は、太陽光に反応しやすい白に近い淡い色が多くなります

これは光触媒塗料の原料である酸化チタンが白色顔料であるためです。

塗料によっては濃色がない場合もあるので、色の選択肢が狭くなります。

太陽光が当たらないと効果が発揮できない(立地によって効果がない)

光触媒塗料は太陽光の力で汚れを分解し、雨で洗い流して効果を発揮します。

立地により太陽光が当たらなかったり雨が当たらなかったりする場合は効果がありません

塗膜がひび割れしやすい

光触媒塗料の塗膜は固くなる傾向があるため、大きな地震や素材の収縮などで塗装下地である外壁が動くと、塗膜にひび割れが発生することがあります

落ちない汚れもある

光触媒塗料のセルフクリーニング機能は、砂や土埃、サビなどの無機質な汚れには効果がありません

また、鳥の糞などの強い汚れも分解しきれないことがあります。

大手メーカーでは製造されていない

光触媒塗料は、国内大手塗料メーカー上位3社では製造・販売されていません

信頼できる国内大手塗料メーカーがあえて製造していない塗料だということも頭に入れておく必要があります。

施工に高度な技術が必要

光触媒塗料は非常に塗りにくい塗料なので、扱った経験が少ない職人が塗装すると作業時間や仕上がりに影響が出ます。

したがって一般的な塗料よりも業者選びにリスクがあるといえます。

屋根用の塗料がない

光触媒塗料には屋根用の塗料がありません

したがって屋根には別の塗料を使用するようになりますが、一般的には屋根の方が外壁よりも劣化が早いので、屋根をさらにグレードの高い塗料で塗装しないとメンテナンス時期にズレが生じます。

光触媒塗料と他の塗料の違い

屋根や外壁の塗装に使用する塗料の中には、光触媒塗料のほかにもさまざまな塗料があります。

それぞれの塗料のおおまかな特徴は次の通りです。

アクリル塗料

軽量なので重ね塗りがしやすく光沢があって安価だが、耐用年数が短い

詳しくはこちら

 

ウレタン塗料

柔らかい素材なので密着性に優れているため、複雑な形状の外壁にも塗装しやすい

詳しくはこちら

 

シリコン塗料

耐用年数や価格などの総合的なバランスに優れているため、現在最も人気の高い塗料

詳しくはこちら

 

ラジカル(制御型)塗料

チョーキング現象の発生を抑えるために開発された比較的新しい塗料

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フッ素塗料

あらゆる気候に対応できる上に耐用年数が長いので、高層ビルや陸橋、鉄塔などの塗装に多く使用されている

詳しくはこちら

 

無機塗料

有機物の含有量が少ないためチョーキングなどの劣化が起こりにくいのが特徴、最も高価なフッ素塗料より価格が高い反面、塗膜が長持ちするため耐久性に優れている

詳しくはこちら

 

次に塗料ごとの耐用年数と施工単価を表にまとめてみました。

塗料 耐用年数 施工価格(単価)
アクリル塗料 5~8年 1,000~1,800円/㎡
ウレタン塗料 7~10年 1,500~2,500円/㎡
シリコン塗料 10~15年 1,800~3,500円/㎡
ラジカル(制御型)塗料 12~15年 2,200~4,000円/㎡
光触媒塗料 12~20年 3,800~5,500円/㎡
フッ素塗料 15~20年 3,500~5,000円/㎡
無機塗料 20〜25年 4,500~5,500円/㎡

※横にスクロールしてください。

光触媒塗料を取り扱っているメーカー

光触媒塗料は前述したように国内の大手塗料メーカー3社では製造・販売していません。

また、過去にはTOTOの「ハイドロテクトコート」が圧倒的なシェアを誇っていましたが、2017年に販売を中止しています。

現在、光触媒塗料を販売している主なメーカーと商品は次の通りです。

日本特殊塗料「エヌティオ」シリーズ

日本特殊塗料は自動車用防音材を提供する自動車製品事業と、航空機や建材に使用される塗料事業を行っています。

日本特殊塗料の「エヌティオ」は、仕上げの幅が一般的な光触媒塗料よりも広めであることが特徴です。

ピアレックス「ピュアコート」シリーズ

ピアレックスは機能性コーティング材の開発、設計、製造、販売、施工を行っている会社です。

ピアレックスが販売する「ピュアコート」シリーズの特徴は、光触媒効果のある塗料の中では珍しい塗膜の柔軟性の高さにあります。

ニュートラル「NU-COAT-AP」

ニュートラルは光触媒塗料の販売・施工を行っている会社です。

外装用の光触媒トップコート剤「NU-COAT-AP」は全国の戸建住宅、マンション、公共施設で採用されています。

SICコーティングス「シックコート」

SICコーティングスは各種塗料の販売・施工を行っている会社です。

SICコーティングスの「シックコート」は、下塗りの必要がない1工程による経済性を売りにしています。

オプティマス「オプティマスホワイトペイント」

オプティマスは塗料の製造・販売を行っている会社です。

オプティマスの「オプティマスホワイトペイント」は従来の光触媒塗料とは異なる配合により、基材を劣化させずに光触媒効果を長持ちさせる効果があります。

PGSホーム「スーパーチタンプロテクト」

PGSホームは光触媒を含む住宅ペイント、太陽光発電システム、家庭用蓄電池などの販売施工を行っている会社です。

PGSホームの「スーパーチタンプロテクト」は高いセルフクリーニング機能と窒素酸化物除去性能を有しています。

光触媒塗料による外壁塗装の費用相場

一般的な2階建戸建住宅を光触媒塗料で塗装した場合には、費用はいくら位かかるのでしょうか。

おおよその塗装費用を建物の坪数別(延べ床面積別)にみてみましょう。

建物の坪数(延べ床面積) 光触媒塗料の塗装費用相場
20坪 30~44万円
40坪 60~87万円
60坪 90~131万円

※実際に塗装する外壁面積=建物の坪数(延べ床面積)×1.2で計算しています。
※他に足場代、諸経費などがかかります。

外壁塗装で光触媒塗料を選ぶ時に気をつけたいこと

外壁塗装で光触媒塗料を使用する際に注意すべきことにはどのようなことがあるのでしょうか。

この章では、光触媒塗料を使用する際に注意すべき点を紹介します。

技術力と施工実績のある業者を選ぶ

光触媒塗料は、業者による施工品質の差が大きく出てしまう塗料です。

また他の塗料と比較して高額なため、光触媒塗装をうたった悪質な訪問販売業者も多数存在しています。

したがって光触媒塗料での施工実績が多く、施工管理がしっかりとできる業者に依頼することが大切です。

あらかじめ業者のホームページや口コミなどで、施工実績を必ず確認しておくようにしましょう。

また光触媒塗料のメーカーによっては施工可能な業者を認定しているので、依頼する予定の業者が希望する光触媒塗料を扱っているかどうかも必ず確認しておきましょう。

無機物の汚れは防ぐことができない

光触媒塗料は非常に高価な塗料ですが、無機物である砂や土埃、さびなどの汚れを分解することはできません。

また鳥の糞などには十分な効果が得られないことがあります。

したがって日々のお手入れがある程度は必要です。

こうしたこともあらかじめ頭にいれておくことが大切です。

まとめ

本記事では光触媒塗料のメリット・デメリット、費用相場、注意点などについて紹介しました。

光触媒塗料にはさまざまなメリットがある反面で、デメリットも少なくありません。

また、大手メーカーが開発や販売から撤退しているという不安もあります。

したがって、採用する際にはメリットばかりでなく、デメリットもしっかりと理解した上で決定することが重要です。

施工業者の技術や建物の状態によっても性能や耐久性が大きく左右される塗料なので、事前に専門家に相談するなどして慎重に検討するようにしましょう。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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