外壁のカビの原因と落とし方!除去費用・予防策も解説

自宅の外壁についたシミや汚れがこすってもなかなか落ちない、シミや汚れを落としてもすぐにまた汚れてしまう・・・という場合には、そのシミや汚れの正体はカビかもしれません。

カビは塗膜の劣化のサイン

そのまま放置し続けると劣化がどんどん進行してしまうので、早めに対処することが大切です。

この記事では、外壁にカビが発生する原因や自分で落とす方法、業者に依頼する場合の除去費用の相場などについてご紹介します。

外壁にカビが発生する原因

カビが発生するためには、日当たりが悪い風通しが悪い湿気が高い(60%以上)ほかに、周囲に植物が多いなどといった条件があります。

植物があるところは一般的に湿気があるため、カビが育ちやすいのです。

また植物にはカビの菌が付着していることがあり、カビの胞子が風に乗って外壁や屋根まで飛んでくることが、カビが発生する原因になることがあります。

さらに凹凸のある外壁は雨水や埃がたまりやすいため、カビに適した環境になりやすいと言われています。

したがって、汚れたまま放置された外壁はカビにとって好都合といえるでしょう。

つまり建物がこれらの環境下にあるとカビが発生して増殖する可能性が高くなります。

外壁周りで、この条件に該当する場所を見ていきましょう。

カビが発生しやすい場所

事前に対策を行うためには、カビが発生しやすい場所を知っておく必要があります。

建物周りでカビが発生しやすい場所には、次のような場所があります。

地面に近い場所

地面に近い場所は湿気が多く、雨の跳ね返りで外壁面に汚れや土が付着しやすい場所です。

こうした場所は、カビの繁殖に適しているといえます。

室外機や物置などの陰

室外機や物置などの陰になる部分は、風通しが悪く、湿気がこもりやすくなります。

また直射日光があたりにくいので、カビにとって非常に好都合です。

北向きの外壁面

日当たりの悪い北向きの外壁面は、ジメジメして湿気がこもりやすくなります。

また一般的には風通しが悪いことが多いので、その場合にはカビが発生するための条件をすべて満たしています。

外壁のカビやコケ・藻の見分け方

外壁に付着する汚れには、カビと似たものにコケや藻があります。

カビは菌、コケや藻は植物という違いがありますが、なかなか見分けがつかない方も多いのではないでしょうか。

大きな違いは、カビは水分と栄養がないと繁殖できませんが、コケや藻は光合成を行うことができるので水分さえあれば生息が可能です。

また、カビは日陰を好みますが、コケや藻は植物なので日当たりが良い場所でも繁殖する種類があります。

さらにコケや藻は緑色なので、外壁に付着すると非常に目立ってしまいます。

一方、カビには黒、白、黄色などの様々な色があるので、植物にしては変わった色だった場合にはカビである可能性が高いといえます。

外壁のカビを放置するとどうなる?

外壁に発生したカビをそのまま放置してしまうと、以下の通り様々なリスクを負うことになります。

  • 美観を損なう
    カビは時間の経過と共に次第に増殖するため、美観が損なわれます。
  • アレルギーの原因になる
    咳やくしゃみ・かゆみといった症状から、喘息、気管支炎の原因にもなり得るため、特に抵抗力の低い小さな子供やお年寄りのいるご家庭では注意が必要です。
  • 外壁の劣化スピードが早くなる
    外壁の防水性能の劣化によりカビは発生するため、カビを放置しておくと劣化のスピードが更に早くなってしまいます。
  • 完全除去ができなくなる
    カビは長く放置しておくと深く根を張って、完全に除去することが困難になってしまう恐れがあります。

カビを発見したら、できるだけ早い時期に除去するようにしましょう。

カビ除去は自分でする?プロにまかせる?どちらが良い?

外壁に発生したカビはできるだけ早めに除去する必要があるとなると、自分でなんとか洗い落としたいと思う方が多いのではないでしょうか。

カビは初期の段階であれば自分で対処することができます。

そこで、自分で処理できるかどうかの判断ポイントとカビの落とし方をご紹介します。

自分でするか?プロにまかせるか?判断のポイント

外壁に付着したカビを自分で落とすか、プロに依頼するのかの判断のポイントは次の3つです。

すべてあてはまるようであれば、自分で除去することができる可能性があります。

カビがそこまで進行していない

カビの発生が初期段階でそれほど繁殖が進行していないようであれば、まずは自分で除去してみましょう。

外壁がまだ新しい

外壁がまだ新しくて防水性能が高い状態を保っている場合は、カビが外壁材の内部まで根を張っていないと思われるので、自分でカビを除去することができる可能性が高いといえます。

カビが建物の低い場所で発生している

カビの発生箇所が地面から手が届く低い場所にあって安全に作業ができるようであれば、自分でカビ落としの作業を行うことができます。

【DIY】自分でする、カビの落とし方

前述した条件に合致するようであれば、DIYにチャレンジしてみましょう。

自分で行うカビ落としの手順は以下の通りです。

STEP1:道具、洗浄剤を準備

DIYで外壁のカビを落とす際には、まずはホームセンターなどで必要な道具や洗浄剤などをそろえます。

必要な道具は以下の通りです。

  • ホース(または家庭用高圧洗浄機)
  • バケツ
  • ブラシ、スポンジ
  • 脚立
  • ゴム手袋
  • レインコート
  • 長靴
  • 保護メガネ
  • 外壁洗浄用の洗剤、漂白剤など

STEP2:水で汚れを落とす

自分で外壁のカビを除去する場合には、はじめに水で洗い流してみましょう。

カビが発生している箇所をスポンジなどで軽くこすりながら水洗いします。

ただし、強くこすり過ぎてしまうと外壁を傷めてしまうので、力加減に注意が必要です。

発生して間もないカビであれば、柔らかいブラシやスポンジを使用して水洗いするだけで比較的簡単に除去することができます。

ただしこの時には、カビが皮膚に付着したり目に入ったりしないように、必ず保護メガネやゴム手袋などを装着して作業するようにしましょう。

STEP3:漂白剤、洗浄剤で洗浄する

水洗いだけではカビがうまく除去できない場合には、漂白剤や洗浄剤を使って洗浄するとある程度のカビは除去することができます。

ただしカビキラーなどを使用すると、外壁の塗膜がはがれてしまって見栄えが悪くなってしまうことがあるので注意が必要です。

また、大規模なホームセンターなどで売られている家庭用の高圧洗浄機を使って洗浄するのもひとつの方法です。

普通のホースによる水洗いよりも高圧で洗浄できるので、より大きな効果が期待できます。

外壁のカビ除去はプロにまかせるのがおすすめな理由

自分でカビの除去作業を行っても上手に落ちない場合には、決して無理をせずにプロにまかせた方が賢明です。

プロにまかせた方が良い理由は、次の3点です。

  • 外壁を強くこすりすぎたり、使用する洗剤が強すぎたりすると、塗膜を傷つけてしまうことがある
  • カビを完全に除去するためには、専門的な知識が必要になる
  • 脚立やはしご、足場の上での高所作業には墜落・転落等の危険が伴う

外壁のカビ除去の費用相場

業者にカビの除去を依頼する場合には、高圧洗浄とバイオ洗浄の2つの方法があります。

高圧洗浄の費用相場は2〜3万円

外壁に付着しているカビは、塗装業者が通常の外壁塗り替え工事の際に使用する業務用の高圧洗浄機を使って水洗いすることで、ある程度は除去することが可能です。

そのため軽度のカビの場合には、一般的に高圧洗浄が行われています。

高圧洗浄の費用相場は1㎡あたり150250円程度で、一般的な住宅の場合には2~3万円程度になります(ただし足場代は別途必要)。

バイオ洗浄の費用相場は3〜5万円

カビの菌糸が塗膜や外壁の内部にまで達している場合には、高圧洗浄するだけでは完全に除去することはできず、カビが再発してしまう恐れがあります。

このようなケースでは、薬剤を使ったバイオ殺菌洗浄を行います。

カビの殺菌効果がある薬剤がカビの菌糸にダメージを与えるので、カビの再発を防止することができます。

バイオ洗浄の費用相場は通常の高圧洗浄よりも高く、1㎡あたり300500円程度になりますが、高圧洗浄よりも高い効果が期待できます。

一方、バイオ洗浄に使用する薬剤は、建物の周辺にある植物にもダメージを与えてしまう恐れがあるので、事前にビニールシートなどでしっかりと養生することが大切です。

外壁塗装も一つの選択肢

何度もカビを除去しても、すぐに再発してしまうという場合には、塗膜の防水機能が弱まっている可能性が高いといえます。

塗膜の防水機能が低下して、外壁材の中に雨水が浸み込むようになると、カビの生育に最適な環境になるためです。

そのような場合には、外壁塗装を行うという選択肢があります。

その他の劣化部分も併せて補修することができ、汚れにくい低汚染塗料や防カビ効果のある塗料を選択して塗装し直せば、汚れが付きにくくカビが発生しにくい外壁に生まれ変わります。

外壁塗装については、こちらのの記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

外壁のカビ発生の予防法

ここまでご紹介したように、外壁にカビが発生するのには様々な原因があります。

カビの発生を防ぐためにはどうすれば良いのか、具体的な予防法をご紹介しましょう。

防カビ効果のある塗料を塗る

57種類もあるといわれている建物から検出されるカビや藻などの菌に対抗するためには、前述した防カビに特化した塗料を使用するのが最も効果的な方法と言えます。

一方現在では、様々な塗料メーカーから多くの防カビ塗料が販売されています。それぞれに特徴があるので、良く比較検討した上で最適な塗料を選ぶことが大切です。

また光触媒塗料などの特殊な塗料にも、紫外線に反応して外壁表面のカビなどの汚れを分解してくれる機能があるので、高い防カビ効果が期待できるといえるでしょう。

艶あり塗料で塗装する

表面に凹凸がない艶あり塗料で塗装すると、水はけが良くなり汚れが付きにくいので、カビの発生を抑える効果が期待できます。

表面に凹凸がない金属製の外壁に変える

表面に凹凸のないガルバリウム鋼板などの金属製の外壁は、モルタルやサイディングの外壁よりも一般的にカビが発生しにくいといえます。(ただし100%防げるものではありません)

したがって、少しでもカビの発生を抑えたい場合には、凹凸のない金属製の外壁材にリフォームする方法があります。

外壁の風通しを良くする

カビが発生するための条件には、日当たりが悪い、風通しが悪いといったことがあります。

外壁の周囲に物を置き過ぎていると日当たりや風通しが悪くなって湿気が溜まりやすくなってしまうので、あまり物を置かないように注意することが大切です。

定期的にメンテナンスを行う

外壁に汚れやホコリが付着すると、カビが生えやすい環境になってしまいます。

したがってカビが生えやすい場所は、定期的に掃除することが大切です。

年に数回程度は水で汚れやホコリを洗い流し10年に1回程度は外壁塗装を行うといったメンテナンスを行うことで、カビの発生を防ぐことができます。

まとめ

外壁に発生したカビは、建物の美観や耐久性を大きく損ねてしまうだけでなく、そこに住む人にもさまざまな健康被害を及ぼす恐れがあります。

したがってカビを発見したら早期に除去すると共に、できるだけカビが発生しにくい環境にする防カビ機能の高い塗料で塗装するなどといった対策が非常に重要になります。

本記事では、カビの発生原因や除去方法、除去費用の相場、予防策などについてご紹介しましたので、ぜひ参考にしてください。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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