外壁塗装の適正価格の見極め方!見積もり額のチェックポイント

外形塗装工事を検討している際、複数の業者から自宅の外壁塗装工事の見積もりをとったものの見積もりの妥当性が判断できず、どれが適正価格なのかわからないという方が多いのではないでしょうか。

外壁塗装の価格はさまざまな条件によって異なるため、一概にいくらが適正価格なのかを判断するのは簡単ではありません。

しかし必要な工事や材料費などの適正価格は、自分で調べることが可能です。

「どんな工事にいくらかかるのか」を細かくチェックしていくことで、見積もり書に記載された内容が正しいものなのかどうかを自分で判断することができるようになります。

そこで本記事では、外壁塗装の適正価格の見極め方を紹介します。

外壁塗装全体にかかる金額の費用相場

外壁塗装にかかる費用はさまざまな条件によって異なりますが、ある程度の相場を事前に把握しておくことは可能です。

相場さえ掴んでおけば、業者の見積もりが相場から大きく外れている場合にご自身で気付くことができるようになります。

そこでまず外壁塗装工事にかかるトータル費用の相場感を掴んでおきましょう。

外壁塗装の工事費用を構成している3つの項目

外壁塗装の価格は主に、「塗料代」・「足場代」・「施工費(人件費)」の3つの項目から構成されていて、これに業者の利益が加わったものが見積もり書に記載されている金額になっています。

それではそれぞれの概要について説明します。

塗料代

外壁塗装に使用する塗料にはさまざまな種類があり、塗料の種類によっておおよその相場価格があります。

そして一般的に価格が高いものほど、耐用年数が長くなります。

塗料の種類ごとの単価の相場と耐用年数は下の表のようになります。

塗料の種類 単価の相場 耐用年数
アクリル系塗料 1,000~1,800円/㎡ 5~8年
ウレタン系塗料 1,500~2,500円/㎡ 7~10年
シリコン系塗料 1,800~3,500円/㎡ 10~15年
ラジカル(制御型)塗料 2,200〜4,000円/㎡ 12年〜15年
光触媒塗料 3,800~5,500円/㎡ 12~20年
フッ素系塗料 3,500~5,000円/㎡ 15~20年
無機塗料 4,500~5,500円/㎡ 20~25年

※横にスクロールしてください。
※単価の欄に記載されている価格は材工価格(塗料代+施工費)です。

塗装業者が作成する外壁塗装工事の見積書では、材工価格(3工程)で記載されていることがほとんどです。

また、大手塗料メーカーの商品で外壁塗装によく使用されている代表的な塗料の平米単価は次のようになります。

塗料メーカー 商品名 単価の相場
日本ペイント パーフェクトトップ 2,200~2,700円/㎡
ファインシリコンフレッシュ 2,200~2,400円/㎡
関西ペイント セラМシリコン2 2,300~3,000円/㎡
エスケー化研 クリーンマイルドシリコン 2,200~2,600円/㎡
水性セラミシリコン 2,000~2,500円/㎡
クリーンマイルドフッソ 2,500~2,800円/㎡

※横にスクロールしてください。
※価格は3工程での材工価格(塗料代+施工費)

塗装工事費用は塗装面積によって異なるため、ご自宅の外壁の塗装面積を自分で計算して、見積もり書に記載されている塗装面積をチェックしてみると良いでしょう。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

足場代

外壁塗装工事には高所作業がともなうので、作業員の安全を確保するために足場の設置が不可欠になります。

足場代は建物の大きさや形状によって変わりますが、30坪の2階建住宅の場合では15~20万円前後になるのが一般的です。

また足場にはいくつかの種類がありますが、住宅の外壁塗装工事の際にはくさび式足場(ビケ足場)又は単管ブラケット足場が近年の主流になっています。

足場の設置費用については以下の表のようになります。

足場の種類 平米単価の相場
丸太足場 500~800円/㎡
単管足場 600~800円/㎡
枠組足場 1,000~1,500円/㎡
単管ブラケット足場 700~1,000円/㎡
くさび式足場(ビケ足場) 1,000~1,200円/㎡

※足場代のほかに飛散防止用ネット(養生シート)が必要になります。単価は150~200円/㎡程度です。

足場代は、建物の外周の長さがわかれば自分でも計算することができます。

足場は建物から0.6m離して設置するため、足場の外周の長さは次のようになります。

足場の外周の長さ=建物の外周の長さ+(0.6×8)

この数値に足場の高さを掛けることで、足場の面積を計算することができます。

通常建物の高さ(軒の高さ)は1階建=3.5m、2階建=6m、3階建=8.5mになりますが、足場は建物の軒の高さよりも1m高くして作業員の転落防止のために最上部に手摺を設置するため、足場の高さ=建物の軒の高さ+1mで計算します。

よって足場の面積は次の計算式を使って算出することができます。

足場面積=(建物の外周の長さ+4.8m)×(建物の軒の高さ+1m)

※横にスクロールしてください。

上記で求めた面積に足場の平米単価を掛ければ足場代が算出できます。

施工費(人件費)

施工費とは、高圧洗浄、養生、シーリング、塗装などを行う職人の人件費のことをいいます。

見積もり書には材料費、資材費を含めた材工価格で表示されていることが多いのですが、施工費が適正なものなのかどうかを判断するためには、「どこにどんな工事を行うのか」を確認しておく必要があります。

工事を行う場所(箇所)や内容がわかったら、下記の工事項目ごとの相場価格を参考にして見積もり書の内容をひとつずつチェックしていきます。

工事項目 相場価格
高圧洗浄 150~250円/㎡
養生 250~350円/㎡
軒天塗装 1,000~1,500円/㎡
雨樋塗装 800~1200円/㎡
破風板塗装 800~1,200円/m
雨戸塗装 2,000~3,000円/枚
シーリング打ち替え 900~1,200円/m
シーリング増し打ち 500~900円/m
廃材処理費 1式 10,000~30,000円
現場管理費 1式 30,000~50,000円

見積もり書をチェックした結果、上記の相場価格と大きな相違がないようであれば適正価格といえます。

屋根塗装も同時に行う場合の費用相場

外壁塗装と同時に屋根の塗装工事を行う方が多いと思いますが、屋根も外壁塗装工事と同ように平米単価をもとに価格が算出されます。

屋根塗装工事の費用の相場を塗装工事とその他の工事に分けてみていきましょう。

工事費の相場

工事項目 相場価格
屋根足場 600~900円/㎡
高圧洗浄・清掃 200~400円/㎡
ケレン 400~600円/㎡
ケレン(電動工具使用) 500~700円/㎡
錆止め 600~800円/㎡
縁切り 500~800円/㎡
縁切り(タスペーサー使用) 300~1,000円/㎡
廃材処理 1式 10,000~30,000円

※屋根を塗装する際には、屋根が急勾配な場合には屋根足場が必要になります。

塗装工事の相場

工事項目 相場価格
破風板塗装 800~1,200円/㎡
軒天塗装 1,000~1,500円/㎡
軒樋塗装 600~800円/㎡
竪樋塗装 600~800円/㎡

屋根塗装の塗料費用相場

屋根の塗装を行う際には、屋根用の塗料を使用します。

大手塗料メーカーの主な屋根用塗料の単価は次の表のようになります。

塗料メーカー 商品名 単価
日本ペイント サーモアイSi 4,290円/㎡
ニッペパーフェクトクーラーベスト 3,950円/㎡
ファインルーフSi 2,990円/㎡
ニッペファインルーフU 2,780円/㎡
ディフロン4Fルーフ 3,710円/㎡
関西ペイント スーパーシリコンルーフペイント 2,014円/㎡
エスケー化研 クールタイトSi 2,400~2,800円/㎡
ヤネフレッシュSi 2,500~3,000円/㎡
ルーフスターSi 2,800円/㎡

※横にスクロールしてください。

業者の見積もり書をチェックする際には、屋根の塗装面積は次の計算式で大まかな面積を算出することができます。

屋根の塗装面積=1階の床面積×係数(1.2または1.5)

係数は屋根勾配が緩やかであれば1.2、屋根が急勾配であれば1.5を採用すると実測値に近くなります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

適正価格で算出した見積もりの例

延べ床面積30坪の外壁サイディング張り、総2階建住宅をシリコン系塗料で塗装した場合の見積もり事例を紹介します。

外壁塗装のみの費用例

項目 数量 単価(円) 合計(円)
足場 230㎡ 900 207,000
飛散防止ネット 230㎡ 200 46,000
高圧洗浄 120㎡ 250 30,000
養生 120㎡ 200 24,000
シーリング打ち替え 200m 1,000 200,000
下地補修 1式 25,000
外壁シリコン塗装(3回塗り) 120㎡ 2,500 300,000
廃棄物処分 1式 20,000
諸経費 1式 85,000
合計 937,000

※横にスクロールしてください。

外壁塗装+屋根塗装工事の費用例

上記の住宅を外壁塗装と併せて同時に屋根塗装も行った場合の見積もり事例は次のようになります。

屋根は緩い勾配とします。(屋根足場なし)

項目 数量 単価(円) 合計(円)
足場 230㎡ 900 207,000
飛散防止ネット 230㎡ 200 46,000
高圧洗浄(屋根、外壁) 180㎡ 250 45,000
養生 120㎡ 200 24,000
シーリング打ち替え 200m 1,000 200,000
外壁下地補修 1式 25,000
外壁シリコン塗装(3回塗り) 120㎡ 2,500 300,000
タスペーサー 60㎡ 300 18,000
屋根下地補修 1式 15,000
屋根シリコン塗装(3回塗り) 60㎡ 2,500 150,000
廃棄物処分 1式 20,000
諸経費 1式 105,000
合計 1,155,000

※横にスクロールしてください。

外壁塗装を適正価格で行うための注意点

外壁塗装を行う際には業者の見積もり書が適正価格になっているかどうかをチェックすることが大切ですが、見積もり書にはそれと同時にチェックすべきポイントがあります。

この章では外壁塗装を適正価格で行うための注意点を紹介します。

塗料を選ぶ時は長い目で判断を!

塗料を選ぶ際には、価格が安い塗料につい目が行きがちです。

しかし低価格の塗料ほど耐用年数が短いものが多く、そのような塗料を使って塗装した場合には頻繁に塗り替えが必要になります。

塗り替えの際には足場の架設費用(最低でも15~20万円程度)がその都度かかるので、長期的なスパンで考えると結果的に費用がかさんでしまうことにもなりかねません。

塗料を選択する際には、1回の塗り替えにかかる費用だけでなく、長い目で見て判断することが大切です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

足場代無料や足場代サービスに要注意

足場代は全工事費の2割以上になるほど大きなボリュームを占めています。

工事が終わると後に残るものではないので、なんとか足場代を節約したいと思う方が多いのではないでしょうか。

訪問販売業者などが時々「足場代をサービスします」などといって勧誘してくることがありますが、このような話に安易に飛びついてしまうのは非常に危険です。

足場代を無料にするといいながらも、塗料代や他の工事の費用に削った足場代を上乗せするのがこれらの業者の常套手段です。

足場は悪質な業者のターゲットになりやすいので、注意が必要です。

見積もり書の「工事一式」という表記はトラブルの原因になる可能性も

見積もり書の中には、塗装する部分の数量や足場の数量などが記載されておらずに、「一式」と書かれたものが時々あります。

このような見積もり書では、どこをどの範囲まで工事するのかが全くわからずトラブルの原因となりがちです。

そのため、多くの工事項目が「一式」で記載された見積もり書を提出する業者との契約は避けた方が無難です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

外壁塗装を適正価格で行うには

外壁塗装を適正価格で行うためには、単に見積もり書に記載された内容や数量をチェックするだけでは不十分です。

業者が見積もり額を算出する過程が非常に重要になります。

そこでこの章では、適正価格で外壁塗装を行うために押さえておきたいポイントを紹介します。

住宅に対しての診断内容を確認する

見積もり書を作成する際には、業者の担当者が必ず事前に建物調査を行います。

外壁塗装の見積もり金額は、建物の築年数や劣化状況によって異なるためです。

建物調査の目的は、単に外壁の面積や塗装箇所の数量を計測することだけではありません。

施工業者は見積もり書を作成する前に建物の劣化状況を細かくチェックして、その診断結果に基づき修繕計画を立てます。

そしてその修繕計画を元にして見積もり書を作成します。

したがって、いい加減な建物調査では適切な修繕計画を立てることができず、正しい見積もり額が算出できないということになります。

通常の場合、建物調査には少なくとも30分以上の時間を要します。

10分程度で終わるような調査しか行わないようであれば、適切な見積もり額を算出することはできないと思った方が良いでしょう。

業者がどのような調査・診断を行ったのかを確認しておくことが大切です。

疑問点や不安点を業者に聞く

見積もり書を詳細にチェックしていけば、誰でもいくつかの不明点や疑問点が出てくるものです。

こうした不明点や疑問点は決してそのままにしておかず、担当者に質問してみましょう。

担当者から明確な回答が得られるようであればその業者は信用できるといえますが、そうでなければ何かしら疑ってかかった方が良いかもしれません。

疑問に思ったことを質問して業者の担当者の反応をみることで、今までわからなかったことが見えてくることがあります。

まとめ

塗装業者から見積もり書を受け取ると、どうしても見積もり書の総額ばかりが気になってしまうものです。

しかしそれでは見積もり金額が適正なものなのかどうかはわかりません。

たとえ予算内に納まっていたとしても、工事完了後に後悔してしまうことにもなりかねません。

適正価格で工事を発注するためには、見積もり書を隅々までよくチェックして、業者と契約する前に疑問点を解消しておくことが大切です。

また同時に、業者が見積もり書を作成する過程でどのような調査を行ったのかが重要になります。

本記事を見積もり書の適正価格を見極めるために役立てていただければ幸いです。

この記事のライター:亀田 融
東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。 事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。 現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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